愛が重いなんて聞いてない

音羽 藍

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駆け巡る普天率土の章

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案内されて客室に着き、荷物を確認した後、ユリウスがソファーに座り私を招いて、私はなんだ?と思いながら座り今に至る。

「女性騎士が1人と男性騎士が3人でしょ?」
「……シアそれと、俺の方にも着いてるがなにかあれば、シアの方を優先させる様に言ってある。」
「それは……逆じゃない?」

私は王族の家系ではなくただの婚約者だ。
番ではあるが。

「なにを言っているんだ。君は俺より非力だろ?それに番が死ねば……身体を繋げた番は諸共死ぬだろ?君が俺の唯一無二の希望であり、弱点でもある。」
「……そうね、忘れていたわ。」
「シアは自身よりも、俺を優先させるけど、君が死んだら何もかもが終わりなんだ。それはわかってくれ。」
「……言い過ぎだから。ただのパーティーでしょ?ユリウス。」

私は手袋を脱いで、ユリウスの頬に触れた。真剣な眼差しは何かを憂いて心配してくれている。

「……今までなにもない事の方が少なくないだろ?」
「……あったはず。あったもの……きっと。」

思い出しながら、私は少しその彼の言葉通りにならない事を祈りながら、額に軽く触れるだけのキスをした。
少し口紅がついたけど、指でそそっと擦り取った。

「口の方が良いんだが。」
「しないわよ……止められないでしょ?」
「ぐ……止められるはずだ。」
「ほら、晩餐会行くでしょ?用意しないと。」

少し欲望と理性の狭間で葛藤する彼と別れて、私はドレッサーの方に向かった。

ユリウスに忠告されて、忘れていたが彼とは切っては切れぬ縁を思い出しながらも、それが嬉しい気持ちもあり、自分で重い女だなと自覚して、それを隠す為に、私はドレッサーの方へ行った。









「それで……」

晩餐会は何事もなく終了して肩抜かしな気分にもなりながらも、安心した。

目の前で商人の男性がユリウスにぜひと勧めているが、ユリウスは断っている。

「俺の愛を伝道する為に……」

私の方へ金や宝石をたくさんつけた人族の中年だろう年代の頭が禿げた男性が一歩歩んだ瞬間に騎士が立ち塞がり、ユリウスがゴミを見る様な目つきで次と言い、騎士に退室させられて、なにがなんだかわからぬうちに去っていった。

まだまだ面会を求める者が多く、一人一人やれうちの領へ来てくれだの、側室にうちの娘はどう?なんてユリウスと私が冷徹な視線を向ける様な発言や、逆にその女を貰って側室にしてやっても良いと謎の上から目線の青年にユリウスは怒って、さっきから私の背中を触る手が尻の辺りで触っており、恥ずかしい。

壁を背にしている為に見られてはいないとは思うが、パニエ越しなのでダイレクトではないのが救いだ。

背中の開いているスリットから隙間から触られて、手が下着を掻き分けて下着の中へと入り際どい所へと進み触って、ユリウスの方へ咎める視線を向けると、なに?と素知らぬ表情をして触られて私は扇子で顔を少し隠しながらも耐えた。

「……ッ」
「それで……からの」

この国の人気の歓楽街などの話しをされているが、全く水商売に興味がない可能性が高い竜人族に話されてもと、若い男性の騎士の一人は不思議そうにその面会を申し込んだ男性へ視線を向けていた。
興味がないと言わんばかりに、スリットから入り込んで、ユリウスの手が際どい所へと進み、後ろの秘処をそろりと撫でられ、軽く押された事で声をあげかけて唇を思わず抑えそうになった私はユリウスの足をテーブルクロスで隠されている事に感謝しながら踏みつける。

彼はそれすら、私を見てなにかうっとりとしながら、触り続ける。

なにをしてるのよ、公務中でしょと欲に塗れた煩悩の彼に、ヒールのある靴でグリグリとすると少し頬を赤らめた表情を私に向けて右手を私の右手と繋いだ。

「私には愛する婚約者がいるからその場所には行く事がないだろう。」

ユリウスは繋いだ手から私の薬指へと軽くキスをして、その無駄話を続けていた貴族を騎士に視線を向けて、騎士達が動き遠さげた。

そろそろ、夜更けも近いと騎士に終了を告げて、私は彼から離れて睨んだ。

応接室から移動して目を瞬いた瞬間、背後から彼に抱えられ、私はひゃっと情け無い声が出た。

「ちょっと、ユリウスっ」
「もう二人きりだし、良いだろ?」
「もう……さすがに怒ったんだけど?」
「ごめんって、歓楽街の事で男娼の事で表情を変えて、少し他の男を見る君を俺に視線を向けたくなって。それに、ドレスが似合う君が可愛くてさ。」
「……本当に?腹いせじゃないの?」
「なんの?」

不思議そうに見る私をベッドに下ろして、パニエやその他諸々の下着やドレスの紐を知っている様に動き、私はなんで私ですらやっとこの前理解したばかりなのにと、手際の良い彼を足を軽く蹴る。

「めんどくさいって顔に出てたわよ、面会する人が立ち去った後。」
「……顔に出てたか。長かったからな……番しか愛さない竜人族にそういう施設を勧めても意味のない事なんだがな。」

私はサッといつのまにか万歳する様にするりと紐を解かれ、脱がされてドレスを持ち、ソファーの上に置いた彼も脱ぎ捨てていき、私がそのフォーマルな衣装をきた彼を眺めているのがバレたのか、私は改めて目線を逸らした。

「この格好のまま、しても良いけど?」
「なんで、する前提なのよ。」

私は見ていた事がバレて顔に熱が上がるのを感じながらも、チラリと彼の方を向き、脱ぎかけたシャツの隙間から、鍛えられた腹が見えてセクシーだと魅力的に見えた。

「……私は帰るまで嫌よ、声が聞こえてるのは嫌だし。ユリウスの声が……」
「あ、なんで俺?」

服を椅子に置き、私はベッドから降りようと、起き上がり立ちあがりバスルームに逃げようと思ったが、しなやかな肌色が目の端をかすめてずしりといつの間にか側に来て押し倒される。

「どこにも逃がさないから……」
「ユリウス、ここ外国なのよ?恥ずかしいからっ」

このベッドのシーツが汚れていたら、シタという事は明白で、声も家とは違い漏れる可能性がある。

王宮は熱さの為か、通気性の良い、透ける簾の様な物で寝室と応接の間は仕切られており、応接の間と外の通路は壁であるが薄いのだ。
声が漏れないはずがない。

「……男娼の事でまさか欲しいとか思ったのか?」
「思う訳ないでしょ!……私にはユリウスだけで良いから……そんなのがあるんだって思っただけだから。女性だけだと思っていたのよ。」
「そりゃ……男も女も思う事はあるからな……それでなんで俺なんだ?」
「……私としているユリウスの声を女性騎士に聞かせたくなくて。」
「………ッという事は嫉妬か?」

ギシッと音がなり、青い瞳は至近距離にあり、魅惑的に口元が微笑み、整えられていた金髪を手で崩しながら、私の肢体を撫で上げる。

下着のみの身体は熱さと興奮で熱っており、どぐんどくんと早い速度で心臓の音がしているのは、胸に手を置いた彼にバレているだろう。

「……そうよっ」
「ふーん?なら聞かせなければ……」
「でも嫌だからって……」

ぺしぺしと彼の背に手を回して、なんとか逃れようとしたが、彼は少し悩み、しょうがないと首を振った。

「わかった、その代わり家に帰ったらシアから誘ってくれる?」
「え?……そうね、わかったわ。引くぐらいぐいぐいしてみせるから。」
「楽しみにしてる、引く事はないと思うがな。」

明日も予定があるからか、悩んだ彼が私が少し眠たそうな私を見たからか、バスルームへと抱えて運んでくれた。

最初は、この国のメイドをつけようとしてくれたが、ユリウスはしきたりだからと断った。

その時、背後に控えていた一部の若いメイドが残念そうな顔をしたのを私は内心モヤっとした。

年嵩のありそうなメイド長はさすが貫禄があり、経験豊富なのか、表情を変えなかった。

私はそれを思い出しながら、ユリウスに抱えてくれた今の状況に安心しながら、目を閉じた。
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