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駆け巡る普天率土の章
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恥ずかしいな。
周りの目の事を考えていないけど、私もユリウスといると周りのことなど考えられない程にふわふわとする心境なので人の事は言えない。
「シアちゃん、行きましょう!」
「あら、良かったの?」
私は考えていたら、いつの間にかイザーク君はまたなと手を振り、こっちをチラチラと見ていた男子生徒の方へと駆け寄っていった。
「良いのよ、偶にはこうして同じ教室の人と交流するのも良いの。短い学生生活だからね。それに、冬季休暇が来る前に色々話しておきたそうにしていたのよ。」
「そうなの?」
「あら、知らない?冬季休暇の後にある学末小隊戦よ。」
「……学末小隊戦?」
「それも話すのはついてからにしましょうか。待たせてますから。」
ミレディさんに誘われて、冬が近いので少し寒くなってきたのか、落ち葉も多く清掃員の人が魔法を使い集めているのを私は歩き見ながら話し聞いていた。
「学末小隊戦はコースや学年を越えて選抜した仲間と戦い競う事が求められるわ。一応同学年や同じコースで集まり過ぎない様にある程度の基準が定められているからそこが注意あるの。」
「それは騎士科とか強そうね。」
「ふふ、短期コースも例年人気なのよ?優秀者が多いですもの。」
言われてみれば、短期コースには普通科とは違い、磨けば光る様な色々な強者がいる。
もちろん、全てが戦いに秀でているという訳ではないので玉石混交なのだが。
「今回は特にシアちゃん達が居るから……色々注目あるわよ?」
「……ぇ、私は戦い苦手よ?」
「あら、噂は聞いているわよ。飛行広場の番を守る乱闘。」
「それは"彼方"を想い出す引き金だったと、噂ですよ。私は人族なのでわかりませんけれど。」
声に驚いて見ると、カフェの入り口でチョコレートの様な茶髪に、暗く渋い紅色の様な深蘇芳の色の瞳が美しい少女がいた。
可愛い顔立ちで何処かで見た事がある気がするが、思い出せない。
アーモンドの形をして整った瞳に可愛いらしい容貌は、人目を引くだろう。
「初めまして、シアお姉様。そして……よろしくお願いしますね。」
フッと挑戦的に鼻で笑った彼女を私は、ピクッと身体が引き攣った。
「……イェリン、私達は用事があるの。また今度にしてくださる?」
隣から少し怒っている気配がした。
それはそうだろう。
話を遮った挙句、一応は学園内は無礼講とはなっているが、それでも避けて欲しいと言われていたのに声をかけるのは普通は少し避けるはずだ。
「すみません、少し挨拶したかったので……」
彼女は少し気まずそうな表情をした後、隣に退いて離れた。
私はミレディさんに引きずられる様に足早で歩き、彼女が他の人とは違う人目を集める顔立ちでもある。
それ以上にジワリと背筋に流れ落ちる冷や汗が、危険を感じていた。
「……"1の主人公"にしてはやはり変ね。ストーリーとは違うし、私と同じなのかしら?」
すれ違う瞬間に彼女が小さく独り言を言ったのを聞いて内心驚いたが、それを表面に出さないように顔を変えない様に苦心した。
ジワリと私の胸に広がる懸念が当たっていた事が、明白となったのだ。
ミレディさんに引っ張られて私はハッとしながら扉を閉めるとそこには先程教室にいた面々がいてホッとした。
「お待たせいたしましたこと、お許しくださいませ。」
「良いのですよ、バイルシュミット様」
「そうですよ、暫しの時歓談していたから、過ぎるのも早かったです。」
同じコースのクラスの女子が集まり、華やかな雰囲気に包まれていた。
目立つ様で、カフェの端にいる数人の男子生徒の視線を集めていたのは仕方ない。
料理を頼み、席に着くと私達の話題はテストと学末小隊戦の事になっていった。
「それでチームはどうされるのです?」
「同学年と同科は被り過ぎない様に確か課されてますよね?」
「そうなのよね。私のところは番と組をしようと思いまして、後幼馴染の先輩が騎士科にいるので。」
「あら、ほぼじゃ決まっているのね。」
「えぇ……」
みんなが料理を食事しながら、話しているのを眺めながら食事を私もしていた。
これは美味しいと食べながら考えていると、私はどうなるのだろう。
ユリウスがどうするのか。
いつ帰ってくるのかはわからないが、学末小隊戦の時までには帰ってきているだろうし。
ユリウスと出るのは確実だろう。
ほぼ、私は戦闘向きではないけれど。
先程言われていた言葉を思いだした。
彼方か。
竜人族なので、竜化する事は許されているのだろうか。
「あの……竜化は含まれるのでしょうか?それとも単純に魔法や剣のみ?」
「……含まれると思いますわ。通年ならば種族特性を入れないなんて勿体無いですもの。」
「でも、それだと御二方が個体差で圧勝するわね。」
「キャロル様の所は特に……見応えがありそうですわ。」
「……金竜と銀竜の乱舞」
私へ視線が集まり、フッと恥ずかしさに包まれる。
「うーん、それは流石に勝ち目がなさ過ぎて今季は封印されそうな気がします。」
「えっ、でも見たいわ!」
「私も見たいのに!」
数人からは見るのは良いけれど、相手にして戦うのは……
と声が上がり、やや竜化は今季だけ封印される可能性があるかもしれないと話題になった。
「あら、残念だけど、そろそろお時間ね。」
「ほとんどが決まってて順調だけど……」
私は悩んでいた。
だが同じ教室の人達と話せて楽しかったのもあり、私は以外とまだ彼女達を知らなかったなともう少しで卒業なのにと思った。
「今日は話せて楽しかったわ。」
「私も楽しいわ、試験の勉強しなくちゃいけないのが億劫ですけど。」
「あら、それならみんなで集まってしませんこと?」
「良いわね、同じ学科ですから放課後少し集まりましょうか。確か自習室のグループ用を予約しておきましょうか?」
「それは嬉しいわ。独りで勉強していても……わからないから詰まっていたりするもの。」
「婚約者としていると、その……」
「やだ、惚気話は続きを聴きたくなるわ。」
「ち、違うのですからっ……勉強に集中できなくなるって話です。」
竜人族の赤色の髪の女子生徒は赤くなる顔を抑えて、もうと消え入りそうな声であの人が悪いのと言っているので、甘い雰囲気に包まれた。
「そうね……私も番の香りが原因かと思い、丁寧に清潔にしたり、隠したりしたけれど、結果的に俺に不満があるのか?と隠せば問題になって……されたり、そもそも清潔にしていても変わりないよ?と言われてしまうし。そもそも対処法はないんですの?」
「そうですよね……私も少し困ります。」
私もユリウスと昨日は………
学園があるからと彼が抑えてくれたから、少しは手加減されたけど。
なにか方法はあるのだろうか。
周りの目の事を考えていないけど、私もユリウスといると周りのことなど考えられない程にふわふわとする心境なので人の事は言えない。
「シアちゃん、行きましょう!」
「あら、良かったの?」
私は考えていたら、いつの間にかイザーク君はまたなと手を振り、こっちをチラチラと見ていた男子生徒の方へと駆け寄っていった。
「良いのよ、偶にはこうして同じ教室の人と交流するのも良いの。短い学生生活だからね。それに、冬季休暇が来る前に色々話しておきたそうにしていたのよ。」
「そうなの?」
「あら、知らない?冬季休暇の後にある学末小隊戦よ。」
「……学末小隊戦?」
「それも話すのはついてからにしましょうか。待たせてますから。」
ミレディさんに誘われて、冬が近いので少し寒くなってきたのか、落ち葉も多く清掃員の人が魔法を使い集めているのを私は歩き見ながら話し聞いていた。
「学末小隊戦はコースや学年を越えて選抜した仲間と戦い競う事が求められるわ。一応同学年や同じコースで集まり過ぎない様にある程度の基準が定められているからそこが注意あるの。」
「それは騎士科とか強そうね。」
「ふふ、短期コースも例年人気なのよ?優秀者が多いですもの。」
言われてみれば、短期コースには普通科とは違い、磨けば光る様な色々な強者がいる。
もちろん、全てが戦いに秀でているという訳ではないので玉石混交なのだが。
「今回は特にシアちゃん達が居るから……色々注目あるわよ?」
「……ぇ、私は戦い苦手よ?」
「あら、噂は聞いているわよ。飛行広場の番を守る乱闘。」
「それは"彼方"を想い出す引き金だったと、噂ですよ。私は人族なのでわかりませんけれど。」
声に驚いて見ると、カフェの入り口でチョコレートの様な茶髪に、暗く渋い紅色の様な深蘇芳の色の瞳が美しい少女がいた。
可愛い顔立ちで何処かで見た事がある気がするが、思い出せない。
アーモンドの形をして整った瞳に可愛いらしい容貌は、人目を引くだろう。
「初めまして、シアお姉様。そして……よろしくお願いしますね。」
フッと挑戦的に鼻で笑った彼女を私は、ピクッと身体が引き攣った。
「……イェリン、私達は用事があるの。また今度にしてくださる?」
隣から少し怒っている気配がした。
それはそうだろう。
話を遮った挙句、一応は学園内は無礼講とはなっているが、それでも避けて欲しいと言われていたのに声をかけるのは普通は少し避けるはずだ。
「すみません、少し挨拶したかったので……」
彼女は少し気まずそうな表情をした後、隣に退いて離れた。
私はミレディさんに引きずられる様に足早で歩き、彼女が他の人とは違う人目を集める顔立ちでもある。
それ以上にジワリと背筋に流れ落ちる冷や汗が、危険を感じていた。
「……"1の主人公"にしてはやはり変ね。ストーリーとは違うし、私と同じなのかしら?」
すれ違う瞬間に彼女が小さく独り言を言ったのを聞いて内心驚いたが、それを表面に出さないように顔を変えない様に苦心した。
ジワリと私の胸に広がる懸念が当たっていた事が、明白となったのだ。
ミレディさんに引っ張られて私はハッとしながら扉を閉めるとそこには先程教室にいた面々がいてホッとした。
「お待たせいたしましたこと、お許しくださいませ。」
「良いのですよ、バイルシュミット様」
「そうですよ、暫しの時歓談していたから、過ぎるのも早かったです。」
同じコースのクラスの女子が集まり、華やかな雰囲気に包まれていた。
目立つ様で、カフェの端にいる数人の男子生徒の視線を集めていたのは仕方ない。
料理を頼み、席に着くと私達の話題はテストと学末小隊戦の事になっていった。
「それでチームはどうされるのです?」
「同学年と同科は被り過ぎない様に確か課されてますよね?」
「そうなのよね。私のところは番と組をしようと思いまして、後幼馴染の先輩が騎士科にいるので。」
「あら、ほぼじゃ決まっているのね。」
「えぇ……」
みんなが料理を食事しながら、話しているのを眺めながら食事を私もしていた。
これは美味しいと食べながら考えていると、私はどうなるのだろう。
ユリウスがどうするのか。
いつ帰ってくるのかはわからないが、学末小隊戦の時までには帰ってきているだろうし。
ユリウスと出るのは確実だろう。
ほぼ、私は戦闘向きではないけれど。
先程言われていた言葉を思いだした。
彼方か。
竜人族なので、竜化する事は許されているのだろうか。
「あの……竜化は含まれるのでしょうか?それとも単純に魔法や剣のみ?」
「……含まれると思いますわ。通年ならば種族特性を入れないなんて勿体無いですもの。」
「でも、それだと御二方が個体差で圧勝するわね。」
「キャロル様の所は特に……見応えがありそうですわ。」
「……金竜と銀竜の乱舞」
私へ視線が集まり、フッと恥ずかしさに包まれる。
「うーん、それは流石に勝ち目がなさ過ぎて今季は封印されそうな気がします。」
「えっ、でも見たいわ!」
「私も見たいのに!」
数人からは見るのは良いけれど、相手にして戦うのは……
と声が上がり、やや竜化は今季だけ封印される可能性があるかもしれないと話題になった。
「あら、残念だけど、そろそろお時間ね。」
「ほとんどが決まってて順調だけど……」
私は悩んでいた。
だが同じ教室の人達と話せて楽しかったのもあり、私は以外とまだ彼女達を知らなかったなともう少しで卒業なのにと思った。
「今日は話せて楽しかったわ。」
「私も楽しいわ、試験の勉強しなくちゃいけないのが億劫ですけど。」
「あら、それならみんなで集まってしませんこと?」
「良いわね、同じ学科ですから放課後少し集まりましょうか。確か自習室のグループ用を予約しておきましょうか?」
「それは嬉しいわ。独りで勉強していても……わからないから詰まっていたりするもの。」
「婚約者としていると、その……」
「やだ、惚気話は続きを聴きたくなるわ。」
「ち、違うのですからっ……勉強に集中できなくなるって話です。」
竜人族の赤色の髪の女子生徒は赤くなる顔を抑えて、もうと消え入りそうな声であの人が悪いのと言っているので、甘い雰囲気に包まれた。
「そうね……私も番の香りが原因かと思い、丁寧に清潔にしたり、隠したりしたけれど、結果的に俺に不満があるのか?と隠せば問題になって……されたり、そもそも清潔にしていても変わりないよ?と言われてしまうし。そもそも対処法はないんですの?」
「そうですよね……私も少し困ります。」
私もユリウスと昨日は………
学園があるからと彼が抑えてくれたから、少しは手加減されたけど。
なにか方法はあるのだろうか。
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