282 / 694
第4章 魔術学園奮闘編
第282話 これは売れるぜ。
しおりを挟む
「えっ? だってこんな遠距離魔術を使う奴はいないって……」
トーマの言葉にステファノは戸惑った。
「さすがに30メートルというのはな。だが、10メートル、20メートルを狙う時にそれを補助する道具というのは買い手がいるぜ」
「なある。スコープは要らないが、狙いを合わせる機構は使える」
「そういうこと。わかってんじゃないの、兄貴」
「兄貴じゃない」
要するに照準器を長杖などに取りつけようというのだ。
「これは売れるぜ」
トーマの声が変わった。完全に商売人としてのスイッチが入っている。
「取りつけ機構、調整機構が肝だ。ウチの技術ならしばらくは他所が真似できないものを作れる」
「しばらくなのか?」
「まあな。ばらせば作り方はわかる。職人ならな?」
この世界に「特許権」などというものは存在しない。やった者勝ちである。
それでは創業者としてのうま味がないのではないか?
「所詮、買い手の数は決まっている。いつまでも美味しい商売ではないさ」
「それじゃあ、キムラーヤ商会としても儲からないんじゃ」
「これだけだったらな」
トーマは商売人としての顔を見せて、にやりと笑った。
「商売は明日終わるわけじゃない。こいつをきっかけに軍とのパイプが太くなる。それだけでも価値はある」
当然売り先の主流は軍相手となる。そこで軍関係者とお抱え魔術師に気に入ってもらえれば、これからの商売がやり易くなるのだ。
「狙いの精度を高めるという概念は面白いぜ。弓でも投石器でも、考え方の応用はできる。そっちの方が商売としては大きくなるだろう」
トーマは「発明品」としてだけではなく、「ビジネス」としての可能性まで考えていた。
「だから、やった者勝ちなのさ。先に走り出せば、それだけのメリットがある。お前には売り上げの1割を渡すぜ、ステファノ」
「えっ? 何もしてないのに?」
「馬鹿言うんじゃないぜ。商売で一番貴重なのは『何を売るか』という概念だ」
トーマはアカデミーの新入生としてではなく、商売人として語った。
「ステファノ、この件はトーマのいう通りだと僕も思うね。遠慮なく口銭をもらったら良いさ。なあに、売れなければゼロなんだから気にすることはない」
「そういうこと。後で覚書を届けさせるぜ」
商売人のスールーとトーマに説得されて、ステファノは申し出を受け入れることにした。
「それとな、ステファノ。この件も論文にまとめておくべきだ。これは君個人の成果として研究報告会に出したまえ」
スールーは、更にアドバイスした。
「うん。図面を引いたサントスを協力者ということにしてやってくれ」
「いや、俺は」
「サントス。技術は報われるべきだ」
遠慮しようとしたサントスをトーマは言葉で抑え込んだ。技術に関するトーマの情熱は本物であった。
「もちろんです。俺に図面は作れませんから。でも、トーマは協力者に入れなくても良いのか?」
ステファノが問うと、トーマは笑って言った。
「俺か? 俺は要らん。その分甘い汁を吸わせてもらうさ。わははは」
これが商売人というものかと、ステファノは圧倒された。
◆◆◆
情革研会合の後、ドリーとの訓練までは1時間の隙間時間がある。チャレンジへの対応はほぼ完了しており、残すは「薬草の基礎」だけであった。
これは週末に集中して対策するつもりなので、この1時間に手をつけるつもりはない。
(そうだ。教室で使われている魔道具について、教務課で聞いてみよう)
黒板の表示装置や拡声器など、その仕組みに興味を覚えた魔道具がいくつか存在した。もしかすると、情革研の取り組みの参考になるかもしれない。
教務課は授業のある時間帯ということで、閑散としていた。
「すみません。お願いがあるんですが」
「おう、何だい? 変わった格好をした子だな」
ステファノは、入り口近くにデスクのある男性に声を掛けた。男性はステファノの出で立ちに見覚えがなかったらしく、驚いて二度見をしていた。
「お仕事の邪魔をしたら申し訳ないんですが、教室で使われている魔道具について伺いたいのですが……」
「あん? 魔道具だと? それは俺じゃ応えられんな。さて、魔道具となるとなあ」
言葉はきつめだが、男は面倒見がよい性格らしい。腕を組んで真剣に考え始めた。
「どうした、マードック? 魔道具がどうとか聞こえたようだが」
奥から現れたのは、教務長のアリステアであった。今日も髪の毛一本乱れのない、きっちりとした外見、服装である。
「アリステアさん、こんにちは。魔術科1年のステファノです」
「ああ、言わなくてもわかっていますよ。ステファノですね。そうでしょうとも」
アリステアはもちろん、ステファノのことを覚えていた。
ちらりと興味ありげに、道着姿を上から下へ眺めた。
「面白い服装ですが、似合っていますね。大分着込んだようです」
「はい。柔という護身術を先輩から学んでいます」
「ああ、ミョウシンさんですね。聞いていますよ。あなたが同好会に加わったと」
何が面白いのか、アリステアは楽しそうに微笑んだ。
「あなた方2人が同好会を結成したのは、実に興味深いですね。まったく違う2人ですから」
貴族子女のミョウシンと庶民であるステファノが、たった2人で同好会を作ったことがどうやら面白いらしい。
「アカデミーの精神にかなっていると思いませんか? その通りですね」
「あの、学園で使用されている魔道具についてどなたかにお話を伺えないかと思いまして」
ステファノは思い切ってアリステア教務長に用件を切り出した。
――――――――――
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
◆次回「第283話 好奇心は猫を殺すとも言います。怖いですね。」
「ほう? 君は魔道具に興味を持っていますか。ああ、庶民出身者でしたね。それならわかります」
貴族の世界では魔道具はそれ程珍しいものではない。大金持ちにとってもそうなのだろう。
ここでもステファノの特異性が人とは違う行動を取らせていた。
「今まで魔道具という物を見たことがなかったので、どんな物なのか興味があります」
ステファノは隠さずに真意を語った。田舎者と見られても構わない。実際に田舎者で、その上貧乏なのだから。
「なるほど。好奇心を持つのは良いことですね。そうですとも。好奇心は学問の原動力になります」
アリステアの瞳がきらきらと輝いた。
……
◆お楽しみに。
トーマの言葉にステファノは戸惑った。
「さすがに30メートルというのはな。だが、10メートル、20メートルを狙う時にそれを補助する道具というのは買い手がいるぜ」
「なある。スコープは要らないが、狙いを合わせる機構は使える」
「そういうこと。わかってんじゃないの、兄貴」
「兄貴じゃない」
要するに照準器を長杖などに取りつけようというのだ。
「これは売れるぜ」
トーマの声が変わった。完全に商売人としてのスイッチが入っている。
「取りつけ機構、調整機構が肝だ。ウチの技術ならしばらくは他所が真似できないものを作れる」
「しばらくなのか?」
「まあな。ばらせば作り方はわかる。職人ならな?」
この世界に「特許権」などというものは存在しない。やった者勝ちである。
それでは創業者としてのうま味がないのではないか?
「所詮、買い手の数は決まっている。いつまでも美味しい商売ではないさ」
「それじゃあ、キムラーヤ商会としても儲からないんじゃ」
「これだけだったらな」
トーマは商売人としての顔を見せて、にやりと笑った。
「商売は明日終わるわけじゃない。こいつをきっかけに軍とのパイプが太くなる。それだけでも価値はある」
当然売り先の主流は軍相手となる。そこで軍関係者とお抱え魔術師に気に入ってもらえれば、これからの商売がやり易くなるのだ。
「狙いの精度を高めるという概念は面白いぜ。弓でも投石器でも、考え方の応用はできる。そっちの方が商売としては大きくなるだろう」
トーマは「発明品」としてだけではなく、「ビジネス」としての可能性まで考えていた。
「だから、やった者勝ちなのさ。先に走り出せば、それだけのメリットがある。お前には売り上げの1割を渡すぜ、ステファノ」
「えっ? 何もしてないのに?」
「馬鹿言うんじゃないぜ。商売で一番貴重なのは『何を売るか』という概念だ」
トーマはアカデミーの新入生としてではなく、商売人として語った。
「ステファノ、この件はトーマのいう通りだと僕も思うね。遠慮なく口銭をもらったら良いさ。なあに、売れなければゼロなんだから気にすることはない」
「そういうこと。後で覚書を届けさせるぜ」
商売人のスールーとトーマに説得されて、ステファノは申し出を受け入れることにした。
「それとな、ステファノ。この件も論文にまとめておくべきだ。これは君個人の成果として研究報告会に出したまえ」
スールーは、更にアドバイスした。
「うん。図面を引いたサントスを協力者ということにしてやってくれ」
「いや、俺は」
「サントス。技術は報われるべきだ」
遠慮しようとしたサントスをトーマは言葉で抑え込んだ。技術に関するトーマの情熱は本物であった。
「もちろんです。俺に図面は作れませんから。でも、トーマは協力者に入れなくても良いのか?」
ステファノが問うと、トーマは笑って言った。
「俺か? 俺は要らん。その分甘い汁を吸わせてもらうさ。わははは」
これが商売人というものかと、ステファノは圧倒された。
◆◆◆
情革研会合の後、ドリーとの訓練までは1時間の隙間時間がある。チャレンジへの対応はほぼ完了しており、残すは「薬草の基礎」だけであった。
これは週末に集中して対策するつもりなので、この1時間に手をつけるつもりはない。
(そうだ。教室で使われている魔道具について、教務課で聞いてみよう)
黒板の表示装置や拡声器など、その仕組みに興味を覚えた魔道具がいくつか存在した。もしかすると、情革研の取り組みの参考になるかもしれない。
教務課は授業のある時間帯ということで、閑散としていた。
「すみません。お願いがあるんですが」
「おう、何だい? 変わった格好をした子だな」
ステファノは、入り口近くにデスクのある男性に声を掛けた。男性はステファノの出で立ちに見覚えがなかったらしく、驚いて二度見をしていた。
「お仕事の邪魔をしたら申し訳ないんですが、教室で使われている魔道具について伺いたいのですが……」
「あん? 魔道具だと? それは俺じゃ応えられんな。さて、魔道具となるとなあ」
言葉はきつめだが、男は面倒見がよい性格らしい。腕を組んで真剣に考え始めた。
「どうした、マードック? 魔道具がどうとか聞こえたようだが」
奥から現れたのは、教務長のアリステアであった。今日も髪の毛一本乱れのない、きっちりとした外見、服装である。
「アリステアさん、こんにちは。魔術科1年のステファノです」
「ああ、言わなくてもわかっていますよ。ステファノですね。そうでしょうとも」
アリステアはもちろん、ステファノのことを覚えていた。
ちらりと興味ありげに、道着姿を上から下へ眺めた。
「面白い服装ですが、似合っていますね。大分着込んだようです」
「はい。柔という護身術を先輩から学んでいます」
「ああ、ミョウシンさんですね。聞いていますよ。あなたが同好会に加わったと」
何が面白いのか、アリステアは楽しそうに微笑んだ。
「あなた方2人が同好会を結成したのは、実に興味深いですね。まったく違う2人ですから」
貴族子女のミョウシンと庶民であるステファノが、たった2人で同好会を作ったことがどうやら面白いらしい。
「アカデミーの精神にかなっていると思いませんか? その通りですね」
「あの、学園で使用されている魔道具についてどなたかにお話を伺えないかと思いまして」
ステファノは思い切ってアリステア教務長に用件を切り出した。
――――――――――
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
◆次回「第283話 好奇心は猫を殺すとも言います。怖いですね。」
「ほう? 君は魔道具に興味を持っていますか。ああ、庶民出身者でしたね。それならわかります」
貴族の世界では魔道具はそれ程珍しいものではない。大金持ちにとってもそうなのだろう。
ここでもステファノの特異性が人とは違う行動を取らせていた。
「今まで魔道具という物を見たことがなかったので、どんな物なのか興味があります」
ステファノは隠さずに真意を語った。田舎者と見られても構わない。実際に田舎者で、その上貧乏なのだから。
「なるほど。好奇心を持つのは良いことですね。そうですとも。好奇心は学問の原動力になります」
アリステアの瞳がきらきらと輝いた。
……
◆お楽しみに。
1
あなたにおすすめの小説
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ダンジョン学園サブカル同好会の日常
くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。
まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。
しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。
一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中
あ、まん。
ファンタジー
仕事一筋40年。
結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。
定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。
だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。
唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。
彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。
現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。
これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。
ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。
そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。
問題は一つ。
兄様との関係が、どうしようもなく悪い。
僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
5/9から小説になろうでも掲載中
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる