女神の手違いで殺された俺は、異世界にて機械装甲を纏い美少女達と共に冒険ス!

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第三章

2話「お嬢様を氷責め」

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 スージーさんの店に手紙を置いて家に帰るとその日の後は特に何事もなく、俺とヴィクトリアはリビングの暖炉の火で温まりながら過ごした。

 すると夜の十九時ぐらいだろうか、新たな魔法の知識を蓄えに出掛けていたユリアがお腹減ったと言いながらフラフラの状態で帰ってきたのだ。

 ヴィクトリアは直ぐに暖かい豆のスープと作ると、ユリアはそれを一瞬にして平らげて満足した表情で暖炉の近くで寝始めたのだ。

「こいつ……。まさか魔法の事に没頭し過ぎて何も食べていなかったのか?」
「確かにありえますね。それにユリアが自炊できるとは到底思えませんし……」

 俺とヴィクトリアは、ユリアの寝顔を見ながらそんな会話を交わしていると、更に続けざまに二十一時頃、家の扉が急にノックされたのだ。

「ん……? 誰でしょうか? こんな夜遅くに」

 ヴィクトリアはノック音を聞くと椅子から立ち上がり玄関へと向かったが……、

「おい待てヴィクトリア! 開けるんじゃない! こんな夜遅くに人様の家に訪ねてくる奴なんて、きっと変な輩に違いないぞ!」

 俺は直ぐにヴィクトリアに声を掛けて扉を開けるのを阻止させた。

「えっ、それって盗賊か山賊って事ですか!?」
「確証はないが……たぶんな……」

 当然こんな遅い時間に家にやってくる客人の予定はない。つまり俺は盗賊の類を視野に入れて警戒したのだ。だが我が家の一番の戦力とも言えるサド賢者はご覧のとおり爆睡中で役に立ちそうにはない。

 俺とヴィクトリアは冬だと言うのに額に脂汗を滲ませていると、次第にノックをする音が大きくなり連続で扉を叩き始めた。……これは本格的にやばいかも知れない。

「ちょ、ちょっとユウキどうするんですか!? ノックの緩急が凄いことになってきましたよ!!」
「あ、慌てるなヴィクトリア! 俺に作戦がある!」

 ノックの音を聞くたびに焦りの色を顕にするヴィクトリアに対し、俺は強気に言葉を言うとヴィクトリアはそれを聞いて少しだけ安心したようだった。

「いいか? お前が俺の合図で扉を開けたら、俺が直ぐにスキル【フリーズ】を発動して相手を攻撃する。そうしたらヴィクトリアは周りに仲間がいないか瞬時に確認するんだ。……もし居たらその時はユリアを叩き起すことに全力を捧げよう」
「わ、分かりました! つまり扉を開けたら私は敵の確認をして、他に仲間らしき人がいたらこの大盾をユリアにぶつけて起こせばいいんですね!!」

 俺は即席で考えた作戦をヴィクトリアに話すと、どこから取り出したのか大盾を自分の近くに置いていた。
 あとはこの頭のおかしい訪問者を確認するだけだが……頼むから面倒事だけは辞めてくれよと願うばかりだ。

「いくぞヴィクトリア!」
「はいっ!」

 俺達は配置に着くと、ヴィクトリアは俺の合図を待っているのか真剣な表情で俺を見てくる。
 そして…………、

「いまだヴィクトリア! 開けろッ!」
「はいいっ!!」

 合図を送るとヴィクトリア勢い良く扉を開けて、俺はすぐにスキル【フリーズ】を発動した。

「オラ喰らいやがれッ!! この凍を作る時にしか役にたたないスキルをよォ!! はーははっ!どうだこの極寒の夜中にフリーズを浴びせられた気分はよぉ。なぁなぁ教えてくれよぉ? 今どんな気分だぁ!?」

 俺はフリーズを扉の前に立っている重厚な鎧を纏った人物に浴びせ続けていると、横からはヴィクトリアが小言を言ってきた。

「うわぁ……。ここぞとばかりに粋がっていますよこのニート冒険者。これじゃぁどっちが盗賊なのか分かりませんね」
「うるさいわ! お前は早く敵の確認しろよ!」
「しましたよ! 居ませんでしたよ!」

 俺はヴィクトリアの言い方に苛立ちを覚えると、それは言い争いへと発展していき暫く小言合戦が続いた。
 やがて俺は魔力が切れると一体どんな奴がこんな遅くに訪問してきのか、顔を拝んでやろうと鎧を纏った人物へと近づいた。

 すると今にも消え入りそうな声で、

「わ、私ですわ……ぱ、ぱぱ、パトリシアですの……」
「「……えっ」」

 鎧を来た者からは俺達のパーティメンバーのパトリシアの声が聞こえてきたのだ。
 そして俺とヴィクトリアは顔を互いに見合わせて、盛大なやらかしを実感すると急いでパトリシアを解凍するべく家へと運び込んだ。





「酷いですわ……。私はただ家に帰ってきただけだと言うのに……」
「ご、ごめんて。俺だってあんな時間にお前が帰ってくるとは思わなかったんだよ……」

 暖炉の前で毛布に包まって丸くなっているパトリシアに対し俺は只管に謝り続けていると、背後ではヴィクトリアが笑いを堪えている様子で何かを言ってきた。

「ふふっ、ユウキってば盗賊とか言っちゃって馬鹿みたいですね! しかもカッコよくキメ顔で俺に作戦がある! とか言っちゃって~。あひゃひゃ!!」
「う、うるさいな! お前だって信じてたじゃないかよ!」

 ヴィクトリアと俺は小言を言い放っていると、パトリシアがふとした様子で俺達の方に視線を向けてきた。

「あ、そう言えば……ここに帰って来る途中に気になる噂を耳にしましたの」
「「気になる噂?」」

 パトリシアの発言に俺とヴィクトリアは同じ言葉が同時に出ると、妙な気持ち悪さが全身を包んだ。これも長い付き合い故の弊害なのだろうか。

「ええ、そうですの。まずミストルを含む地域全域に記録的な寒波が到来してるのはご存知でしょう?」
「あ、あぁ。それはギルドのおっちゃん達が言っていたのを耳にしたぞ?」

 そう、このミストルを含む全地域では例年にないぐらいの記録的寒波が到来しているらしく、物資の搬送やクエスト活動に支障をきたし始めているのだ。

「そこでこんな噂を耳にしましたの。この寒波の影響は冬限定で現れる”雪原の女王”のせいだと」
「雪原の女王……? なんだそのゲームのボスキャラみたいな名前」

 パトリシアから言われた寒波の原因に、俺は思わずはツッコミを入れてしまうが許して欲しい。
 こっちだって神妙な顔で何を言い出すのかと待っていれば、急にゲームみたいな展開の事を言い出したのだから。

「げーむのぼすきゃら? それって何ですの?」
「あ、いや……気にする必要ない。忘れて話の続きを頼む」

 パトリシアは首を傾げながら聞いてくるが、俺はそれより話の続きを優先させた。

「わ、分かりましたわ。それでその雪原の女王を倒せばこの記録的な寒波も収まって、例年通りの普通の冬に戻ると聞きましたの」
「なるほどな……。つまりこの異様な状態は魔物の仕業だったと言うわけだな」

 俺はパトリシアから事情を全て聞くと妙に納得してしまった。明らかにこの寒波はおかしい言えざる負えない部分があったからだ。

 まず噴水広場の水は全て凍ってアートみたいになっていて、川や池も凍りつき魚を釣る事も不可能だ。それで今では無邪気な子供達が寒さに耐えながら氷の上で遊んでいるぐらいだ。

「よっしゃぁああ!! そんな迷惑は女王だったら早く討伐しに行きましょうよユウキ!」
「そうだぞ! オレだってこの寒さのせいでいつもの半分しか活動出来なくて困っているのだ!」

 ヴィクトリアとユリアの怒涛の声が後ろから聞こえてくると、俺は思わず振り返る。

「なんだユリア起きていたのか。てかヴィクトリアは……なんでそんなに珍しくやる気を出しているんだ?」
「ふっ……案ずるなユウキよ。オレはちゃんとお前たちが盗賊がどうのこうの言っていた辺りで起きていたぞ」

 ユリアは結構前から起きてたらしい。だがその辺りで気づいていたなら手を貸して欲しかったのだがな。パトリシアの鎧は冷たくて重いしで大変だったのだが。

「私のやる気が満ち溢れるのは当然のことです! 何故ならこの寒波のせいでピギーのステーキが食べられなくなってしまい、私としては死活問題なのです!」
「ああ、なるほどな」

 コイツの動機はいつだって単純だってことを俺は忘れていたようだ。
 しかしこの寒波の原因が魔物のせいだと分かったのなら、ここはゴールドランクの冒険者として見過ごす事は出来ないだろう。

「なあ。明日は皆でギルドに行ってみないか? そこで詳しい事を知っている人を見つけて情報を聞いてから討伐って感じで」
「「「それでいきましょうッ!!!」」」

 俺は自分でも珍しく真面目に考えて発言していると思うと、三人は一斉に立ち上がって返事を帰してきた。……だがパトリシアは忘れているのだろうか。

「……おぉ!! これはまさにメロン級のおっぱいッ! そして黒色の魅惑の下着ガーターベルトだぁ!!」
 
 パトリシアの鎧は中までフリーズが浸透していた事で、服も凍ってしまい今は下着姿で毛布に包まっていたのだ。そしてそんな状態で勢い良く立ち上がったら当然毛布は、はだけ落ちて……。

「ちょっちょっと! パトリシア毛布を毛布を!!」
「ほぇ? …………きゃ、きゃぁぁぁあ!! み、見ないで下さいまし! この変態ユウキ!」

 逸早く気が付いたヴィクトリアが声を掛けると、パトリシアは自分の姿を確認してから甲高い声を叫びながら俺を罵声してきた。

 しかしそんな恥ずかしそうに顔を赤らめて言われても効果はない。
 寧ろ形容しがたい感情すら湧いてきて……。いや、寧ろ俺が興奮してしまうではないか!!
 
「ああ、今日は良い夢が見れそうだな。……ふへへ」
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