相方が女体化の呪いを受けて勇者一行から追放されると二人で異世界を旅することになりました。~最強と美少女が掛け合わされば天下無敵っ!~

R666

文字の大きさ
29 / 33

28話「性欲に飲まれし男と純情乙女」

しおりを挟む
 シスターブレンダが突風により俺と同じく壁の方へと押し飛ばされると、深月が慌てて怪我の有無を確認するように近付いていたのだが、どうやら彼女に目立つ外傷はないようで一安心していた。

 しかしそのあと俺がブレンダの元へと近付いて無理して歩かせないように横抱きにして抱えると、そこで相方が妙に格好良いことを口にして彼女に笑みを見せていたのだが、ここで水を差して雰囲気を壊すのも悪いかと思いつつも我慢できずに深月へと単純な疑問を投げかけてみた。

 そう、今のお前は下着姿だがそんな姿で大丈夫なのかと。

 だがそうすると当の本人でもある相方は自分が下着姿ということを完全に忘れていたようで、途端に顔を赤く染めて湯気を頭上から出しそうな勢いを見せると慌てて突風により吹き飛ばされた上着やズボンをかき集めていた。

 そして一番近くに落ちていたズボンを手に取ると深月は、

「こっち見んなよ! 絶対に見るなよ! 一度でも視線を感じたら絶交だかんな!」

 そう言いながら羞恥心を盛大に感じているのか声が上擦り放題でとんでもないことになっていた。けれどそれは捉え方によれば『見てくれ。絶対に見てくれ!』という意味にも解釈できてしまうので本当に危険だと言わざる他ないだろう。

「……え、えいっ!」

 短くも可愛い声が腕の中から聞こえてくると共に視界が一瞬にして漆黒に包まれると、またもやエルド王の仕業かとも思われるが、これは事情を察してくれたブレンダが自らの両手で目を覆い隠してくれたのだ。

「申し訳ない。助かるよシスターさん」

 彼女を抱えていて両手が使えない状態であるが故に感謝の言葉を伝えることしかできない。
 だがこの感謝の言葉は紛れもなく本物であり、あれだけ『見てくれ』と言われたら自発的に目を閉じることはほぼ不可能に近く、思春期男子の好奇心はそう簡単に止められる筈もないのだ。

「感謝の言葉は勿体無いです……。寧ろこれぐらいのことしか、お役に立てないので……」

 未だにブレンダの中ではエルド王の呪いを払えきれない事に対しての感情が溢れているようで言動が後ろ向きである。こればかりは直ぐに立ち直れるものではないと直感的に理解すると、例えるならば親にエロ本やパソコンの検索履歴を見られた時と同様の感覚なのではないだろうか。

 ……やばい。例え話で持ち出しといてあれなんだが、それは普通に実体験で家族会議まで開かれて公開処刑された日を思い出してしまった。ああ、今でも鮮明に思い出せる。
 家族の冷ややかな視線と共に机の上には暴かれた俺の性癖が鎮座する光景が。

 ――それから気分が一気に落ち込むと一種の賢者タイムにも似た感覚に陥り、全てに関して無気力となると深月の着替えが終わまるまで待つこと自体なんの造作もないことであった。

「よっし、これで大丈夫っと。おーい、もうこっち見てもいいぞー」

 着替えを終えたらしく相方の声が聞こえてくると、目元からブレンダの柔らかい手のひらが離れていくのだが、心なしか少しだけ名残惜しいと思えるのは気のせいだろうか。

 というか女性とこれほどまでに密着したのは何気に生まれて初めてのことかもしれない。
 これは多分だが一生の記憶に残ること間違いないだろう。てか現代日本でこんなことを普通にしていたら、まず間違いなく通報されてポリスメンに怒られてしまうしな。

 ああ、本当にここが異世界ということで助けられているぜ。
 それだけで思うならば創世神アステラも中々に捨てたもんじゃないかもな。

「おーう。それじゃあシスターさんを部屋まで連れて行くぞ。深月は扉を開けてくれ」

 返事をしつつ彼女を絶対安静のまま部屋まで連れて行こうとすると、そこに疚しい気持ちや感情は一切なくて、これは純粋に相方の為に奮闘してくれたブレンダのことを思うが故にの行動である。そう、言うなれば戦士には相応の恩を返すべきだということだ。

 ここで勘違いをして欲しくないのだが断じて、横抱きをしている時に彼女の柔らかな体を腕全体で堪能していたり、合法的に女性の部屋に上がり込もうと考えている訳ではないのだ。
 
 そんな気持ちは今の俺には決してない。それにここが教会だということを忘れてはならない。
 邪な感情や煩悩などは一番淘汰されるべきことであろう。

「えーっと……ブレンダさんはそれでいいのか? 言っちゃあなんだけどコイツ純粋な変態野郎ですよ?」

 だがそんなことを考えていた間に深月が何やら余計なことをブレンダへと尋ねていた。
 しかも人差し指を向けてくると共に目を細めて露骨に嫌な表情を見せつつ。

 恐らく相方は俺との付き合いがそれなりにあることから、あの会話だけで真の狙いに気づいたということであろう。
 まったく末恐ろしい奴であると同時に、これが親友というものかと少しだけ嬉しくも思える。

「へ、変態さんなんですか?」

 ブレンダから変態という言葉が躊躇いを見せながらも出てくると、もう流石にこれは駄目だろうという可能性が一番に浮かび上がる。

「……い、いいえ。心は紳士です」

 もはや自分でも何が言いたいのか理解できていないのだが、彼女が視線を一切逸らさずに向けてくると何も考えられないのだ。しかしここで忘れてはいけないのが俺は童貞であるということだ。
 
 そんな自分が可愛い女性から至近距離で見つめられたら一体何ができようと言うのだろうか。
 それによく見れば深月は笑いを堪えているのか、手を口元に当てながら肩を小刻みに揺らしている。どうやらこれは自身の下着姿を見られた事に対しての腹いせと見てまず間違いないだろう。

「で、でもいいですよ……。ユウトさんは私の命の恩人さんですからっ!」

 腕の中から聞こえてきたブレンダの声は優しくも温かみのあるもので、それは俺や深月が想像していたものとは真逆の反応でもあり、それだけ言うと彼女は恥ずかしそうに両手で自らの顔を覆い隠していた。

 とどのつまりブレンダは俺を部屋に招き入れることを許したということだ。 

「えっ、え――――っ!?」

 そして相方のほうから汚い悲鳴が劈くように響いて耳に届くと、それは呆気に取られて反応ができていない俺の分まで肩代わりしてくれていたのかも知れない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

処理中です...