勇者一行から追放されし流離いのトレジャーハンター、幻の10の指輪を探し求めて旅をする。~この世の宝や隠された財宝は全て俺の物~

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11話「新たなるトレジャーの仕事」

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 腹を減らしながら新たな街へと到着すると、そこで運命なのかは分からないが勇者一行の事が書かれた新聞のような物を拾うと、その記事には俺の事が間接的に書かれていたのだが、ぎりぎり御尋ね者として認定されておらず、顔写真などが公開されることはなかった。

 恐らく証拠不十分という所で救われたのだろう。
 だけど今後どうなるかは神のみぞ知るということで、完全に安心出来る訳でもないのだ。
 最悪の場合は変装スキルを駆使して、常に顔を変えながら生活を送らないといけない可能性もある。
 
「まあだけどこの世界の捜査レベルがかなり低くて助かったぜ。こんなの日本なら即行で見つかって今頃は豚箱の中で目を覚ましていることだろうよ」

 この世界に日本の警察並の捜査力が無いとして胸を撫で下ろすと共に、右手に握り締めていた新聞を丸めてくしゃくしゃにすると草が生い茂る脇道へと放り投げて、それから止めていた足を再び動かすのであった。

「……ん? なんだこりゃ?」

 歩みを再開させて直ぐに街の情報が書かれた提示版が視界の端に映り込むと、この街の情報が知りたいとして態々披露が蓄積された足を止めて提示版を覗き込んだのだが、なんとそこにはトレジャーハンターとして大いに興味を唆られる内容の張り紙が出されていたのだ。

「えーっと、なになに? トレジャーハンターと戦闘職の冒険者を募集……ほうほう、これはこれは中々に興味深いな」

 提示版に張り出されている紙に目を通して内容を黙読していくと、どうやらその張り紙に書かれている内容としては森の奥地にて眠る遺跡を調査する為に、宝探しの専門家でもあるトレジャーハンターや魔物退治を生業としている戦闘職の冒険者をある程度の人数募集しているとのことだ。

「うーむ、このチャンス……逃す手はないな! なんせ遺跡調査でトレジャーハンターを募集するということは、そこには十中八九お宝が隠されているという目星が付いていることを意味しているからな」

 手を顎に当てながらも悩むまでもないとして、この遺跡調査の募集に応じることを決めると、ここ最近は森の中暮らしで気分が落ち込んでいたのだが、ここにきて自前の運要素が再び花開くと気分は右肩上がりで胸の高鳴りが増していく。

「だが気になるのは宝の分け前だが……。まあ今は新たな仕事を見つけられたとして深くは考えないでおこう。どうせ詳しい説明があるだろうからな」

 遺跡調査にて大事なことの一つでもある自分達の取り分が凄く気になる所ではあるが、これはトレジャーハンターとして性が影響していてどうしようもないのだ。しかし本来トレジャーハンターとは一人で宝を見つけ出すことが推奨されているのだ。

 それは仲間が増えれば増えるほどに取り分が少なくなるからだ。
 だけど仲間が多ければその分お宝を探しやすくなり、道中危険なことに遭遇しても臨機応変に対応して乗り越えられるだろうけどな。

 つまり利益だけを追求するのであればソロ活動であり、安全性と安定性を求めるのであればパーティーで宝を探すべきということだ。

「……っていうかそもそもの話だが、こんな大それた遺跡調査を計画したのは一体誰なんだ?」

 そう独り言を漏らしながら改めて張り紙に目を通していくと、その紙の下部には主催者らしき名前が書かれていることを発見することが出来たのだが、それは聞いたこともないような名前であった。

「ジョン・ドウ……? それが今回の遺跡調査の主催者の名前なのか? うーん、聞いたこともない名前だな」

 両腕を組みながらジョン・ドウという人物について思案するが、その名前は生まれてから一度も聞いたこともない名前であり、そのせいで遺跡調査自体が一気に怪しいものへと見えてくるが、それでもジョン・ドウという人物が貴族系の人間であることは何となく分かる。

 その理由としては大抵の場合は宝を独り占めしたいという欲に人が抗えないことから、こういう大体的な遺跡調査や人員を募ることはまずしないのだ。

 だが今こうしてあるということは主催者は遺跡の知識や、ましてや魔物を一人で倒すことすらできない非力な人間ということだ。

 ということは貴族が遺跡に隠されている財宝を目当てで、これらを募集しているということになる。さすがに一般人市民が大人数を募集できるほどの金を持ち合わせてはいないだろうからな。
 あと考えられる可能性としては王族が配下の貴族に命令を出しているというぐらいであろう。

「というか何処の遺跡を調査するのかという具体的な説明が一切ないな……。んー、ってことは説明会があるのか?」

 張り紙には具体的な内容の記述は一切書かれていなくて内容の全てが抽象的なものばかりであり、そうなるとこういう場合は説明会というのが何処かの場所を借りて行われることになるのだ。

 まあそもそもの話を言うならば何処の遺跡かも分からず、ただ人員だけを募集するとか普通に考えても意味がないからな。一体何がしたいんだって話だよ。

「えーっとそれで? 肝心の説明の場所はどこかなーっと。……おぉ! あったあったここか!」

 再び張り紙に目を通すことになると只管に下の方へと文字を見ていくが、そこで漸く説明会という文字を見つけることが出来ると、その次の文には説明会が行われる場所と日時がしっかりと記載されていることに気が付いた。

「4月4日、18時頃、長靴の酒場にて説明……ほうほう、なるほど把握したぞ」

 張り紙に記されている日程と場所を理解して小さく頷くが、そこでふと妙な違和感を覚えると今日の日付を確認する為に魔道具型の時計を取り出して視線を向ける。すると奇妙なことに4月4日とは今日の日付であり、予定の時間は今からちょうど6時間後であるのだ。

「おいおい……まじかよ最高だな! つまりこれはトレジャーハンターの神様が遺跡調査に参加しろ言っているに違いない! まさに運命に導かれていると言っても過言ではないだろうな!」

 意図せずとして全ての状況が重なり合うと最早この遺跡調査を無視することはできなくて、何が何でも説明会へと出席してトレジャーハンターとしての枠を勝ち取り調査に参加しなければならない。それがトレジャーの神からのお告げであるとこを俺は心で理解できたのだ。
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