聖十字騎士学院の異端児〜学園でただ1人の男の俺は個性豊かな女子達に迫られながらも、世界最強の聖剣を駆使して成り上がる〜

R666

文字の大きさ
8 / 12

8話「聖騎士とは常に死と隣り合わせ」

しおりを挟む
 この聖十字騎士学院のテストにまさかの筆記があることを知らされると、俺としては生前の頃からペーパーテストに至っては嫌な思い出しかなく、気分が一気に奈落の底まで落とされたようなものだ。だがそれでも無情なことに姉貴の授業は続いていくのでノートを取るのに必死である。

「最初にお前たち全員が共通して覚えておかないといけないことがある。それは聖剣には剣の他にも聖銃や聖槍や聖弓と呼ばれる武器も存在するということだ。聖剣とはそれらのことを総じて呼ぶ際の総称であるのだ」
    
 姉貴はタブレットを操作して次々と画像やデータを電子黒板に表示させていくと、画面に表示された殆どの物が銃や槍や弓という武器であり、本当に聖剣とは総称であるようだ。

 だけど聖剣と言うとやはり剣という意味合いの方が強いと俺は思うのだが、この世界の価値観ではそういうことは特に気にしないのだろうか。

「うーむ。もしかして一番最初に作られたのが剣型の物だから、聖剣という名前になったのか?」

 これは完全に自身の憶測でしかないのだが唯一思い浮かんだ説がこれだけで、だとしたらならば納得のいくものであることに間違いはない。

 何れ授業の中で聖剣という総称に至るまでの経緯とかを教えて貰えることに期待しておこう。
 それまで真なる答えはお預けとし、俺の中ではさきの説が最も有力のものとして保留しておく。

「それで次に聖剣の形状について話していく。これも聖剣を扱った事がある者ならば知っているだろうが。しっかりと聞け」

 タブレットの操作を一旦止めて姉貴が顔を全員の方へと向けると、そのあと何故か視線が一人の女子の元へと一点に注がれていた。多分だが姉貴に今睨まれている女子が先程、小言を漏らして注意を受けていた人物なのだろう。

 それから姉貴は再び視線をタブレットへと向けて軽い咳払いを行うと、

「聖剣には造形変化の魔法を付与することで大きさや見た目を自由に変えることが可能だ。それは多くの女性が常日頃から聖剣を持ち歩くのは見た目的に嫌だということで、普段はブレスレットやネックレスなどに形状を変化させているのだ」

 聖剣とは常に武器としての形態を維持している訳ではなく、個々のセンスにより装飾の類として擬態を施しているらしい。
 つまり擬態させている装飾によっては、その人の美的感覚が何となく分かるということだろう。

「なるほど」

 だがそれを聞いて自然とその言葉が口から零れると確かに言われてみれば姉貴が聖剣を日頃から持ち歩いている素振りは一切なく、一体どこにあんな剣型の物を隠し持ち歩いているのかと疑問ではあったのだが漸く答えにたどり着いた。

 しかし同時に今度は一体どんな装飾の類として姉貴は聖剣の形状を変化させていたのだろうかと言う新たな疑問が浮上した。

 何故なら姉貴はネックレスとかブレスレットとかのファッション関係は皆無であり、家で過ごしている時は常にジャージのような服を着て酒を飲みつつテレビを見ているような女性であるのだ。

 そんなズボラな性格をしている姉貴が聖剣をどんな装飾に……。
 これは宇宙の謎を解き明かすぐらいの高難易度に匹敵する難問となるのではないだろうか。

 けれど姉貴の事もそうなのだが暇な時に街を出歩いても、誰ひとりとして聖剣のような武器を手にしていないことから、やはり女性の方々は聖騎士という以前に一人の女性なのだろう。
 どこの世界でも女性はファッションや容姿を気にするものだということだ。

「そして必要な時に応じて自身の魔力を聖剣に与えると形状が元に戻り、それと同時に礼装も纏えるという仕組みだ」

 姉貴がタブレットを操作して電子黒板にネックレス型の物が聖剣へと形を戻す瞬間の動画を映し出すと、確かに色々な法則を無視して規格外なことが可能であることをまざまざと認識させられた。

 もしかしてこの世界の文明レベルは俺が生きていた頃の日本というか……向こうの世界の技術レベルを遥かに凌駕しているのではないだろうか。そう考えてしまうと自然と背筋が凍るように冷えるが、今更向こうのことを考えても仕方ないことだと何処か冷静な部分もあった。

 どのみち俺自身は既に死んで別の世界で誕生した身であるのだ。
 ならばいつまでも向こうの世界のことを気にしてもしょうがないだろう。
 別に未練なんぞ、これっぽちもないからな。ああ、本当にだ。

 しかし話は変わるがこの世界の基盤となっているものは、個々に宿るとされている魔力という概念に間違いはなさそうである。
 なんせタブレット端末を扱うのにも必要であり、聖剣を扱う際にも必要であるからだ。

 ちなみに魔力とは男性にも宿るものなのだが何故か聖剣は男性には反応しないのだ。
 だからこの世界の男達は前線の戦闘職にはつかず、後方支援が主となっているようなのだ。

 余談だがこの情報は姉貴が現役の頃に話していたことだから信憑性は高い筈だ。
 というか間違いなくそうだろう。聖剣相手に生身とか考えたくもない。

 ……だが改めてそう思うと本当になんで俺だけ聖剣が扱えるんだろうな。
 これは最早そういう一種の呪いと考えるべきかも知れん。
 
「それと礼装のことは全員知っていると思うが一応簡単に説明をしておくと鎧みたいな物だ。それを身に纏いながら聖騎士は敵と戦う事になる。そもそも礼装無しで他の聖騎士と戦う事になれば最悪の場合死ぬか、運が良くて四肢の欠損程度で済むこととなるだろう」

 姉貴が今全員に伝えている事はなにも誇張して話していることではないのだ。
 聖騎士というのは聖剣と礼装が一つとなり漸く戦えるようになる者であり、どちらが一つでも欠けた状態で戦うとなるとそれだけで勝敗は大きく傾くことになる。

 それだけは身を持って俺は知っているのだ。なんせこのパルメシル王国に移住して二年後に隣国と領土の権利を賭けた小規模の争いが勃発したからだ。

 毎日テレビでは戦士した聖騎士や後方支援の人達の名前が沢山流れ、時折映る戦場の光景には味方や敵の双方の聖騎士達が泥や血まみれとなり倒れていたり、一部は腐敗が進んでいるのか虫が多く集る死体も映っていた。今でも虫の卵が沢山産み付けられた死体を思い出す時があるぐらいだ。

 この世界は戦争というものを幼い頃から覚えさせる為に、平然とテレビでそういうことを放送するらしいのだ。そういうのは平和な世界で暮らしていた俺にとっては中々に衝撃的なもので、それを見た日から一週間ぐらいは食べ物が全く喉を通らなかった記憶がある。

 だが何もそんな悲惨な光景を目の当たりにしたのは俺だけではない。ヒカリも無論そうだし恐らくこの場に居る全員は、あの時の戦争をテレビで見ていたであろう。中には戦争で肉親を失った者もいるはずだ。……だからこそ、聖剣と礼装の重要性については一番理解を示せる。

「つまり生身で聖騎士との戦いを強いられた時点で、礼装を着ていない者は決死の覚悟で戦闘を行わければならないのか。……もし、そんな時が起きたら俺は――」

 万が一の時を考えてしまうと自然とペンを握る手が緩んでしまうが、まだ碌に聖剣の扱いを学んでもいないこの状態では何も思い浮かぶことはなかった。強いて言うならば生物の本能として逃げることを優先させるぐらいだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん

菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。

甘酢ニノ
恋愛
彼女いない歴=年齢の高校生・相沢蓮。 平凡な日々を送る彼の前に立ちはだかるのは── 学園一の美少女・黒瀬葵。 なぜか彼女は、俺にだけやたらとツンツンしてくる。 冷たくて、意地っ張りで、でも時々見せるその“素”が、どうしようもなく気になる。 最初はただの勘違いだったはずの関係。 けれど、小さな出来事の積み重ねが、少しずつ2人の距離を変えていく。 ツンデレな彼女と、不器用な俺がすれ違いながら少しずつ近づく、 焦れったくて甘酸っぱい、青春ラブコメディ。

処理中です...