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ゆとりの呪い
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〈前畑編〉
私の好きな人は、残酷だ。
二年間ずっと、本気で好きだったのに、あるとき私に別の男を押しつけてきた。
しかも、どうしようもなく馬鹿で仕事のできないガキみたいな奴を。
賭けをして、負けたから仕方がない。それに、最初からわかっていた。あの人は私のことなんて眼中にない。
「あんたも悪いと思うよ」
私が愚痴るとめぐみさんが言った。私たちは休日によくランチをする。
「加賀君が鈍感だからってのを抜きにしても、あんたのアプローチの仕方って、相手にとったら冗談にしか聞こえないと思う」
指摘されて黙った。毎日好きだと言って、ことあるごとに付き合ってと騒いでいれば、確かに本気だと思われないかもしれない。
「でも、最初からこうだったわけじゃないよ? 一番最初に好きって言ったとき、ちゃんと雰囲気出して頑張ったんだから」
あのとき。好きだと告げたあとで、加賀君は少し悲しそうな顔をした。同じ部署で仕事をしていく仲間なのに、そんな目で見るなよ、と言いたかったのかもしれない。
社内恋愛はしないから、と言って、私の頭を撫でた。ごめん、と謝りながら。
「加賀君が中途半端に優しくするから駄目なんだよ! あとカッコイイし、優しいし、仕事もできるし、他部署の奴らと違って、私は加賀君の内面もよーく知った上で、大好きなのよ。好きって言わずにいられないの!」
「うん……、まあ、あんたはもうそのままでいいと思う。で、高橋君とはどうするつもり?」
ぎくっとした。
「どうって……、別に」
「高橋君があんたのこといいなって思ってたの、知ってた?」
めぐみさんがニヤニヤしてパンケーキを口に入れた。
「知らない。気持ち悪い」
「加賀君がキューピッド役買って出るってちょっと面白いよね」
「ひどいよ。とてつもなく残酷だよ」
泣きたくなる。好きな人に別の男と付き合わされるなんて。
「一日でいいからって言ってたでしょ。あんたが嫌がることくらいわかってるんだよ」
「わかっててこの仕打ち!」
「うん、だからとりあえず食事だけでも行ってみたらいいよ。明日は?」
めぐみさんが携帯をバッグから出した。
「ちょ、何する気?」
「高橋君に明日の予定聞こうと思って」
「やだ、やめてよ!」
「こういうのは早いほうがいいよ。もうそろそろアクション起こさなきゃ。加賀君もどうなってんのって気にしてたよ」
「何それ」
テーブルに突っ伏した。私に直接言わないで、めぐみさんとそんな話をしているなんて。
「あんた被害者ぶってるけど、加賀君だって負けたらキスしなきゃいけないってどでかいリスク背負ってたんだよ? 付き合ってる子、いるのに」
私は顔を上げて、口を尖らせてめぐみさんを見た。
「めぐみさんは何があっても加賀君の味方だもんね」
「そうだよ」
あっさり認めて携帯を操作している。なんのためらいもなく肯定するんだから、と胸がモヤモヤする。
めぐみさんは既婚者で、子どももいる。でも時々、もしかして加賀君のことが好きなんじゃないか、と思ってしまう。
加賀君が入社したときの話を、別の部署の人から聞いたとき、本気で疑った。
めぐみさんは、加賀君にまとわりつく女たちを、土下座で黙らせたのだ。
「ねえ、めぐみさん」
「何」
携帯を置いて私を見る。
「もしかして、加賀君の彼女のこと、何か聞いたりしてるの?」
「え」
あ、動揺した。当たりだ。私には言わないこともめぐみさんには簡単に話す。
彼女になれないのはどうしようもないけど、こういうところで差が出ると悲しくなる。
「そのうちあんたにも話すかもね」
「何、その言い方。彼女、わけありなの?」
めぐみさんは人差し指でばつを作って、唇の前に持っていった。
絶対に言わないつもりだ。
「私の口からは何も言わない」
「ずるい」
「当たり前。言うわけない。あ、高橋君から返事来た」
携帯を開いて、画面を見下ろし、口元をにやつかせて「明日暇です、だって」と言った。
「私は暇じゃないもん」
「もう、めんどくさい奴だな。食事だけでいいから行きなさいよ」
「あのガキの面倒、私一人で見ろって言うの? 無理無理」
めぐみさんがため息をついた。
「わかった、私も行くから」
それで妥協することにした。
次の日の休日、三人で焼き肉に行った。どうせなら好きなものをたらふく食って、奢らせてやろう、と思ったのだ。
そうすれば、ゆとりも私と付き合いたいなんてもう思わない。
そう思っていたのに。
馬鹿みたいに食べて、馬鹿みたいな値段になったのに、高橋はにこにこと全額支払った。
「実家住みの坊ちゃんだもんね」
揶揄すると、嬉しそうに頷いた。
「また一緒にご飯食べに行きましょうね。なんでも奢ります」
それでいいのかよ、と呆れた。鴨にされているとは思わないのか。思わないのだ。馬鹿だから。
それから何度か、二人で食事に行った。ただ食べて飲んで奢らせて、帰るだけ。毎回高い支払いを押しつけても、一向に音を上げない。
これは付き合っているとは言えない。高橋はわかっているのだろうか。
何度目かのディナーで訊いてみた。
「あんた、まさか私と付き合ってるとか思ってないよね」
「え? 付き合ってますよね?」
やっぱりか。
「食べて飲んでそれでおしまいじゃない。こういうの、付き合うって言わないの」
「えー? じゃあどういうのが付き合うって言うんですか?」
「もしかしなくても、付き合ったことない?」
「ないです」
さすがマザコンの僕ちゃんだ。
「前畑さんはあるんですか?」
「あるに決まってんでしょ」
「じゃあ、付き合うってどういうことか教えてください」
絵に描いたような、純粋な少年の目。今の科白に別の意味はなく、ただの質問だった。
私はこのときすでに酔っていた。
テーブルの上の料理を平らげ、ワインを飲み干し、高橋の襟首を引っ張って、ホテルに連れて行った。
朝、目が覚めると、隣に貧相な体を丸出しにした高橋が寝転がっていて、悲鳴を上げてしまった。私の悲鳴で高橋が起きると、「違うから!」と叫んだ。
「何がですか?」
寝ぼけ眼をこすりながら高橋が訊いた。その仕草が何故だか可愛く見えてしまった。私はおかしくなった。
「付き合うって、こういうことじゃないから! もっと、段階を踏むのが本当で、手ぇ繋いだり、デートしたりそういうのから始めるのが男女の正しいお付き合いだからね!」
泡を食って説明する私をぼんやり見ていた高橋が、「わかりましたぁ」と間延びした声で答えた。
「じゃあデートしましょう」
「えっ」
「僕、前畑さんとデート、したいです」
私は頭を抱えた。ニコニコ笑って言う高橋が、可愛く見える。呪いにかかったのだ。昨日、あの店で食べた料理に、何かよくないものが混ざっていて、そのせいで、私はおかしくなった。
布団の中に潜り込んで、「ゆとり」と呼んだ。
「はいー?」
「加賀君に今日のこと言ったら、殺すから」
尻軽だと思われたくない。加賀君に恋していた二年間、ずっとストイックな性生活を送っていたのに、どうしてこうなった。
「殺してやるんだから!」
「はぁい、わかりましたぁ」
怖い声で言ったのに、高橋は明るい声で、返事をした。
「誰にも言うなよ。言ったら、本当に殺すから」
「わかりましたってばぁ」
「仕方ないから、今度デートしてあげる」
とりあえず、そこからやり直そう、と思った。
〈おわり〉
私の好きな人は、残酷だ。
二年間ずっと、本気で好きだったのに、あるとき私に別の男を押しつけてきた。
しかも、どうしようもなく馬鹿で仕事のできないガキみたいな奴を。
賭けをして、負けたから仕方がない。それに、最初からわかっていた。あの人は私のことなんて眼中にない。
「あんたも悪いと思うよ」
私が愚痴るとめぐみさんが言った。私たちは休日によくランチをする。
「加賀君が鈍感だからってのを抜きにしても、あんたのアプローチの仕方って、相手にとったら冗談にしか聞こえないと思う」
指摘されて黙った。毎日好きだと言って、ことあるごとに付き合ってと騒いでいれば、確かに本気だと思われないかもしれない。
「でも、最初からこうだったわけじゃないよ? 一番最初に好きって言ったとき、ちゃんと雰囲気出して頑張ったんだから」
あのとき。好きだと告げたあとで、加賀君は少し悲しそうな顔をした。同じ部署で仕事をしていく仲間なのに、そんな目で見るなよ、と言いたかったのかもしれない。
社内恋愛はしないから、と言って、私の頭を撫でた。ごめん、と謝りながら。
「加賀君が中途半端に優しくするから駄目なんだよ! あとカッコイイし、優しいし、仕事もできるし、他部署の奴らと違って、私は加賀君の内面もよーく知った上で、大好きなのよ。好きって言わずにいられないの!」
「うん……、まあ、あんたはもうそのままでいいと思う。で、高橋君とはどうするつもり?」
ぎくっとした。
「どうって……、別に」
「高橋君があんたのこといいなって思ってたの、知ってた?」
めぐみさんがニヤニヤしてパンケーキを口に入れた。
「知らない。気持ち悪い」
「加賀君がキューピッド役買って出るってちょっと面白いよね」
「ひどいよ。とてつもなく残酷だよ」
泣きたくなる。好きな人に別の男と付き合わされるなんて。
「一日でいいからって言ってたでしょ。あんたが嫌がることくらいわかってるんだよ」
「わかっててこの仕打ち!」
「うん、だからとりあえず食事だけでも行ってみたらいいよ。明日は?」
めぐみさんが携帯をバッグから出した。
「ちょ、何する気?」
「高橋君に明日の予定聞こうと思って」
「やだ、やめてよ!」
「こういうのは早いほうがいいよ。もうそろそろアクション起こさなきゃ。加賀君もどうなってんのって気にしてたよ」
「何それ」
テーブルに突っ伏した。私に直接言わないで、めぐみさんとそんな話をしているなんて。
「あんた被害者ぶってるけど、加賀君だって負けたらキスしなきゃいけないってどでかいリスク背負ってたんだよ? 付き合ってる子、いるのに」
私は顔を上げて、口を尖らせてめぐみさんを見た。
「めぐみさんは何があっても加賀君の味方だもんね」
「そうだよ」
あっさり認めて携帯を操作している。なんのためらいもなく肯定するんだから、と胸がモヤモヤする。
めぐみさんは既婚者で、子どももいる。でも時々、もしかして加賀君のことが好きなんじゃないか、と思ってしまう。
加賀君が入社したときの話を、別の部署の人から聞いたとき、本気で疑った。
めぐみさんは、加賀君にまとわりつく女たちを、土下座で黙らせたのだ。
「ねえ、めぐみさん」
「何」
携帯を置いて私を見る。
「もしかして、加賀君の彼女のこと、何か聞いたりしてるの?」
「え」
あ、動揺した。当たりだ。私には言わないこともめぐみさんには簡単に話す。
彼女になれないのはどうしようもないけど、こういうところで差が出ると悲しくなる。
「そのうちあんたにも話すかもね」
「何、その言い方。彼女、わけありなの?」
めぐみさんは人差し指でばつを作って、唇の前に持っていった。
絶対に言わないつもりだ。
「私の口からは何も言わない」
「ずるい」
「当たり前。言うわけない。あ、高橋君から返事来た」
携帯を開いて、画面を見下ろし、口元をにやつかせて「明日暇です、だって」と言った。
「私は暇じゃないもん」
「もう、めんどくさい奴だな。食事だけでいいから行きなさいよ」
「あのガキの面倒、私一人で見ろって言うの? 無理無理」
めぐみさんがため息をついた。
「わかった、私も行くから」
それで妥協することにした。
次の日の休日、三人で焼き肉に行った。どうせなら好きなものをたらふく食って、奢らせてやろう、と思ったのだ。
そうすれば、ゆとりも私と付き合いたいなんてもう思わない。
そう思っていたのに。
馬鹿みたいに食べて、馬鹿みたいな値段になったのに、高橋はにこにこと全額支払った。
「実家住みの坊ちゃんだもんね」
揶揄すると、嬉しそうに頷いた。
「また一緒にご飯食べに行きましょうね。なんでも奢ります」
それでいいのかよ、と呆れた。鴨にされているとは思わないのか。思わないのだ。馬鹿だから。
それから何度か、二人で食事に行った。ただ食べて飲んで奢らせて、帰るだけ。毎回高い支払いを押しつけても、一向に音を上げない。
これは付き合っているとは言えない。高橋はわかっているのだろうか。
何度目かのディナーで訊いてみた。
「あんた、まさか私と付き合ってるとか思ってないよね」
「え? 付き合ってますよね?」
やっぱりか。
「食べて飲んでそれでおしまいじゃない。こういうの、付き合うって言わないの」
「えー? じゃあどういうのが付き合うって言うんですか?」
「もしかしなくても、付き合ったことない?」
「ないです」
さすがマザコンの僕ちゃんだ。
「前畑さんはあるんですか?」
「あるに決まってんでしょ」
「じゃあ、付き合うってどういうことか教えてください」
絵に描いたような、純粋な少年の目。今の科白に別の意味はなく、ただの質問だった。
私はこのときすでに酔っていた。
テーブルの上の料理を平らげ、ワインを飲み干し、高橋の襟首を引っ張って、ホテルに連れて行った。
朝、目が覚めると、隣に貧相な体を丸出しにした高橋が寝転がっていて、悲鳴を上げてしまった。私の悲鳴で高橋が起きると、「違うから!」と叫んだ。
「何がですか?」
寝ぼけ眼をこすりながら高橋が訊いた。その仕草が何故だか可愛く見えてしまった。私はおかしくなった。
「付き合うって、こういうことじゃないから! もっと、段階を踏むのが本当で、手ぇ繋いだり、デートしたりそういうのから始めるのが男女の正しいお付き合いだからね!」
泡を食って説明する私をぼんやり見ていた高橋が、「わかりましたぁ」と間延びした声で答えた。
「じゃあデートしましょう」
「えっ」
「僕、前畑さんとデート、したいです」
私は頭を抱えた。ニコニコ笑って言う高橋が、可愛く見える。呪いにかかったのだ。昨日、あの店で食べた料理に、何かよくないものが混ざっていて、そのせいで、私はおかしくなった。
布団の中に潜り込んで、「ゆとり」と呼んだ。
「はいー?」
「加賀君に今日のこと言ったら、殺すから」
尻軽だと思われたくない。加賀君に恋していた二年間、ずっとストイックな性生活を送っていたのに、どうしてこうなった。
「殺してやるんだから!」
「はぁい、わかりましたぁ」
怖い声で言ったのに、高橋は明るい声で、返事をした。
「誰にも言うなよ。言ったら、本当に殺すから」
「わかりましたってばぁ」
「仕方ないから、今度デートしてあげる」
とりあえず、そこからやり直そう、と思った。
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