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授業
休み時間
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※講義選択の為に四、五人の『組』を組む、としてましたが、『班』の方が分かり易いと思ったので、表現を変えました。前の話も変更して有ります。
☆
講義終わりの鐘が鳴り一時間目は終了した。
すると、補佐の上級生は鐘が鳴り出した途端に、片付けを始め、
「じゃ、次の時間にまた来るね~」
と言って、誰よりも先に教室から出て行った。
「すっごい人でしたね」
「うん」
「これを今日三時間目迄」
「もうお腹一杯」
イアンがちょっとげんなりした顔でお腹を撫でる。
「他所の班と交換してくれないっすかね」
タイスケが周りを見回すが、休憩時間に気を抜いた様になっていた生徒達は急に顔を突き合わせて資料を見ながら相談し始め、誰も目を合わさない。
「無理そうっすね……」
それは聞かなくても分かってたと思いつつ、アーロンは立ち上がった。
「僕、ちょっとお手洗い行って来る」
「あ、じゃあおいらも行くっす」
「休み時間二十分でしたっけ」
「うん」
じゃあ皆で行こうという話になってぞろぞろと連れ立って行く。場所は何処だろうと誰かが言い出すと、Aクラスの前にあったとタイスケが言うので、そちらへ歩いて行く。やけに廊下に人が多い。
「この人達って何なんだろう? 一年生じゃないよね」
「王太子殿下が居るからっすかね?」
今日はタイスケとアーロンが並んで歩き、後ろからイアンとイチロウがついて来る。こそこそと声を顰めながら話し便所に着いた。アーロンは三番目の兄ケビンから、小用の便器は絶対に使用するなと言われているので個室を使った。済ませて出ると廊下には更に人が増えていて、歩き難い。四人で肩を寄せ合いながらくっつく様にして歩く。
「これは幾ら何でも非常識じゃないのかね」
「ちょっと集まり過ぎっすよね」
王太子に直接会える滅多に無い機会だとしても、いち貴族としてどうなのかと思ってしまう。タイスケとひそひそ話しながら戻るが教室に近づくにつれ何故か人はどんどん増えて行く。すみませんと人を掻き分ける様にしながら、後ろ扉を開けた途端、教室内の生徒が一気にこちらを振り向いた。不思議に思いながら座ろうとすると、アーロン達の隣で班を組んでいた生徒の一人がすっと近づいて来て、イアンとイチロウに内緒話をする様に話し掛けて来た。
何だろうと見ていると、直ぐに二人が荷物を持って隣の班と席を代わるのでアーロンとタイスケも用意してと言って来た。よく分からないが、向こうの班の生徒達はもう荷物を持ってこちらに移動して来ているのでアーロンとタイスケも従う。すると更に窓側の班の生徒達も席を代わろうと言ってきた。それを見て、タイスケは「ああ」と納得いった様だがアーロンにはまだ分からなかった。
「どういう事?」
理由が分かったらしいタイスケにアーロンは尋ねた。タイスケは困った顔で、イアンとイチロウを見てから、
「何かね、王太子殿下を見に来てるんじゃなかったみたいっす」
と言った。それにイアンとイチロウが頷く。
「え、じゃあ誰を見に来てるの?」
「アーロン様っす」
「え?」
イアンとイチロウがまた頷いた。
「多分、可愛い一年生が居るって噂になったんじゃないかと」
「ええええ」
確かに、自分ならまだ分かる。男爵家だから身分は低い何なら一番下だし、王太子殿下を見に来るのは不敬だし非常識だけど、アーロンは田舎の貧乏男爵家の十男坊だから不敬では無い。無いけど……、これはどうなのか。
「っていうか、本当に僕を見に来てるの?」
とアーロンが口にすると、席を代わった生徒達だけでなく、周りの生徒達も頷いた。ちょっと、アーロンにはこの騒動が信じられない。まだ廊下はざわめいていて、教室にいても外に人が大勢居るのが分かる。
「それだけ、アーロン様が美人って事だと思うっすけど、ちょっとこれは困ったっす」
タイスケが困り顔をするのに、まだ信じられないアーロンはどう対応して良いのか分からない。するとイアンが、
「アーロン様、休み時間に毎回お手洗いに行きたい人?」
と聞いて来た。
「うん。ごめんね」
ちょっと申し訳なく思いながらアーロンは返事をする。
「謝らないで」
「まあ、さすがに今日だけだと思うし、あんまり酷かったら学院に抗議しましょう」
「うんうん」
三人に慰められたが、アーロンはなるべく水分は控えようと心に決めた。
☆
講義終わりの鐘が鳴り一時間目は終了した。
すると、補佐の上級生は鐘が鳴り出した途端に、片付けを始め、
「じゃ、次の時間にまた来るね~」
と言って、誰よりも先に教室から出て行った。
「すっごい人でしたね」
「うん」
「これを今日三時間目迄」
「もうお腹一杯」
イアンがちょっとげんなりした顔でお腹を撫でる。
「他所の班と交換してくれないっすかね」
タイスケが周りを見回すが、休憩時間に気を抜いた様になっていた生徒達は急に顔を突き合わせて資料を見ながら相談し始め、誰も目を合わさない。
「無理そうっすね……」
それは聞かなくても分かってたと思いつつ、アーロンは立ち上がった。
「僕、ちょっとお手洗い行って来る」
「あ、じゃあおいらも行くっす」
「休み時間二十分でしたっけ」
「うん」
じゃあ皆で行こうという話になってぞろぞろと連れ立って行く。場所は何処だろうと誰かが言い出すと、Aクラスの前にあったとタイスケが言うので、そちらへ歩いて行く。やけに廊下に人が多い。
「この人達って何なんだろう? 一年生じゃないよね」
「王太子殿下が居るからっすかね?」
今日はタイスケとアーロンが並んで歩き、後ろからイアンとイチロウがついて来る。こそこそと声を顰めながら話し便所に着いた。アーロンは三番目の兄ケビンから、小用の便器は絶対に使用するなと言われているので個室を使った。済ませて出ると廊下には更に人が増えていて、歩き難い。四人で肩を寄せ合いながらくっつく様にして歩く。
「これは幾ら何でも非常識じゃないのかね」
「ちょっと集まり過ぎっすよね」
王太子に直接会える滅多に無い機会だとしても、いち貴族としてどうなのかと思ってしまう。タイスケとひそひそ話しながら戻るが教室に近づくにつれ何故か人はどんどん増えて行く。すみませんと人を掻き分ける様にしながら、後ろ扉を開けた途端、教室内の生徒が一気にこちらを振り向いた。不思議に思いながら座ろうとすると、アーロン達の隣で班を組んでいた生徒の一人がすっと近づいて来て、イアンとイチロウに内緒話をする様に話し掛けて来た。
何だろうと見ていると、直ぐに二人が荷物を持って隣の班と席を代わるのでアーロンとタイスケも用意してと言って来た。よく分からないが、向こうの班の生徒達はもう荷物を持ってこちらに移動して来ているのでアーロンとタイスケも従う。すると更に窓側の班の生徒達も席を代わろうと言ってきた。それを見て、タイスケは「ああ」と納得いった様だがアーロンにはまだ分からなかった。
「どういう事?」
理由が分かったらしいタイスケにアーロンは尋ねた。タイスケは困った顔で、イアンとイチロウを見てから、
「何かね、王太子殿下を見に来てるんじゃなかったみたいっす」
と言った。それにイアンとイチロウが頷く。
「え、じゃあ誰を見に来てるの?」
「アーロン様っす」
「え?」
イアンとイチロウがまた頷いた。
「多分、可愛い一年生が居るって噂になったんじゃないかと」
「ええええ」
確かに、自分ならまだ分かる。男爵家だから身分は低い何なら一番下だし、王太子殿下を見に来るのは不敬だし非常識だけど、アーロンは田舎の貧乏男爵家の十男坊だから不敬では無い。無いけど……、これはどうなのか。
「っていうか、本当に僕を見に来てるの?」
とアーロンが口にすると、席を代わった生徒達だけでなく、周りの生徒達も頷いた。ちょっと、アーロンにはこの騒動が信じられない。まだ廊下はざわめいていて、教室にいても外に人が大勢居るのが分かる。
「それだけ、アーロン様が美人って事だと思うっすけど、ちょっとこれは困ったっす」
タイスケが困り顔をするのに、まだ信じられないアーロンはどう対応して良いのか分からない。するとイアンが、
「アーロン様、休み時間に毎回お手洗いに行きたい人?」
と聞いて来た。
「うん。ごめんね」
ちょっと申し訳なく思いながらアーロンは返事をする。
「謝らないで」
「まあ、さすがに今日だけだと思うし、あんまり酷かったら学院に抗議しましょう」
「うんうん」
三人に慰められたが、アーロンはなるべく水分は控えようと心に決めた。
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