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ライム先輩との冬
目立つ事に意味があるが、目立ってはいけない
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「でもでも、自分で持つって言います! 後、この袋にしたのには一応理由があって」
アーロンが言い募ると、寮長は眼鏡を上げて、
「ふん、小賢しい言い訳ですね」
と言ったが、リバーが、
「おう、待て待て、どんな理由か聞いてみようぜ」
とアーロンに顎で先を続ける様促した。
「えっと、目立ってはいけないと思って。これならうっかり預け忘れて持って来てしまったって言い訳が立つと思いましたし、洗濯室で毎回洗われているので袋自体も清潔だと思いました」
リバーはその答えを聞くと、にやにやしながら顎に手を当てた。
「だとよ、スミス先生はどう思うね?」
寮長はスミス先生と呼ばれた事に「うっ」とたじろいだ。明らかに意図があって、リバーに自分の家が王族の教師の家柄である事を当て擦られていると察したからだ。
「アーロン様の答えの中で、正解に近いのは最初の部分だけですね。清潔なのは当たり前の事ですし、そもそも言い訳する様な状況に自らを陥らせる事が間違いです」
「言い方が、いちいち堅苦しいな」
とリバーは益々にやにや笑いを大きくして、寮長に先を促す。
「で?」
堅苦しいと言われた寮長は、言葉を選んでいるのか、少しゆっくり間を置きながら話す。
「貴族相手に、それも自分より目上の立場の方に何かを渡すなら……、綺麗に飾り付けるのが基本です。洗濯物袋は論外、美しい箱に入れ、綺麗な布で包む。見た目が大事です。……但し、中身が重要な物の場合、周りの人間に見られるのは良くない。まあ、それはアーロン様も分かっている様ですが……。つまり、目立つ事に意味があるが、目立ってはいけないのです」
リバーが寮長の答えに拍手した。
「うん、そうだな、って事で、リバー先生が助けてやろう。ちょっと待ってろ」
と、リバーは奥の部屋へ行くが、その前に寮長に近付くと頭を撫でながら耳元で何やら囁いた。それを聞いて、寮長が顔を赤らめて俯く。その頭をぽんぽんと寮長の肩に飛び移ったマクマが優しく叩いた。
やがてリバーが風呂敷と、火の国の文箱を抱えて戻って来た。
「この間、火の国の店に行った時に気に入った柄を見つけたんで買い求めたんだが、これに入れて渡すといい。あ、やらねえからな。返して貰うぞ」
「はい、勿論」
渡されて、アーロンはこれなら自分も持ってた、何処にしまったっけ、それにはあのとんでも無い中身を出さなきゃだけどと思い出した。文箱には赤い大きな花が描かれ、蝶が一羽とまっていた。
「その花は椿だそうだ。艶やかで良いだろう」
「はい」
アーロンが洗濯物袋の中身を移し終えると、リバーは風呂敷で包む。
「よし、これを俺からライムん家の従僕に渡しとくからな」
「へ?」
アーロンが驚いて顔を上げると、リバーが呆れ顔になった。
「目立ってはいけないってフランクが言ったろう?」
「あ、そうでした。でもそれじゃあ、食事の時にライム先輩が持って来る事になるのでは?」
「実際に持つのはあいつの従僕だろ。貴重品だから事前に預けて置くって形を取れば何の問題もない。寧ろその方が中身の重要性が高まる」
リバーの言葉に確かにそうだけど……、そういう物なのかな?とアーロンが寮長を見ると、寮長もその肩の上のマクマも頷いた。リバーはその様子を見て微笑み、話を続ける。
「あっちは伯爵家だからな、お前が呼び付けると角が立つだろ? 俺が代理でやり取りしてやる」
「はい」
「後、特別に封の魔方陣も貼っといてやろう。ライムの息子とライムとお前しか開けられないやつな。でないと勝手に中身を見る奴が出んとも限らん」
「ありがとうございます!」
「うん。友達二人にもちゃんと礼を言っとけよ。二人が気付いてくれなかったら、お前ん家が恥かく所だったんだからな」
「はい」
アーロンは、寮長とイアンに向き直ると二人に頭を下げた。
「気がついてくれて、教えてくれてありがとうございました」
「……ああ」
「うう、ん。僕は何も」
と寮長とイアンは恥ずかしそうにアーロンの感謝の言葉を受けたが、イアンは直ぐにうずうずした様にリバーに尋ねた。
「せんせ、火の国のお店に行ったって?」
「おお、楽しみにしてろ。小豆ときな粉と、抹茶っていうのを買って来たからな。他にも色々あるぞ」
「わあ」
その言葉にイアンは、目をきらきらと輝かせた。
アーロンが言い募ると、寮長は眼鏡を上げて、
「ふん、小賢しい言い訳ですね」
と言ったが、リバーが、
「おう、待て待て、どんな理由か聞いてみようぜ」
とアーロンに顎で先を続ける様促した。
「えっと、目立ってはいけないと思って。これならうっかり預け忘れて持って来てしまったって言い訳が立つと思いましたし、洗濯室で毎回洗われているので袋自体も清潔だと思いました」
リバーはその答えを聞くと、にやにやしながら顎に手を当てた。
「だとよ、スミス先生はどう思うね?」
寮長はスミス先生と呼ばれた事に「うっ」とたじろいだ。明らかに意図があって、リバーに自分の家が王族の教師の家柄である事を当て擦られていると察したからだ。
「アーロン様の答えの中で、正解に近いのは最初の部分だけですね。清潔なのは当たり前の事ですし、そもそも言い訳する様な状況に自らを陥らせる事が間違いです」
「言い方が、いちいち堅苦しいな」
とリバーは益々にやにや笑いを大きくして、寮長に先を促す。
「で?」
堅苦しいと言われた寮長は、言葉を選んでいるのか、少しゆっくり間を置きながら話す。
「貴族相手に、それも自分より目上の立場の方に何かを渡すなら……、綺麗に飾り付けるのが基本です。洗濯物袋は論外、美しい箱に入れ、綺麗な布で包む。見た目が大事です。……但し、中身が重要な物の場合、周りの人間に見られるのは良くない。まあ、それはアーロン様も分かっている様ですが……。つまり、目立つ事に意味があるが、目立ってはいけないのです」
リバーが寮長の答えに拍手した。
「うん、そうだな、って事で、リバー先生が助けてやろう。ちょっと待ってろ」
と、リバーは奥の部屋へ行くが、その前に寮長に近付くと頭を撫でながら耳元で何やら囁いた。それを聞いて、寮長が顔を赤らめて俯く。その頭をぽんぽんと寮長の肩に飛び移ったマクマが優しく叩いた。
やがてリバーが風呂敷と、火の国の文箱を抱えて戻って来た。
「この間、火の国の店に行った時に気に入った柄を見つけたんで買い求めたんだが、これに入れて渡すといい。あ、やらねえからな。返して貰うぞ」
「はい、勿論」
渡されて、アーロンはこれなら自分も持ってた、何処にしまったっけ、それにはあのとんでも無い中身を出さなきゃだけどと思い出した。文箱には赤い大きな花が描かれ、蝶が一羽とまっていた。
「その花は椿だそうだ。艶やかで良いだろう」
「はい」
アーロンが洗濯物袋の中身を移し終えると、リバーは風呂敷で包む。
「よし、これを俺からライムん家の従僕に渡しとくからな」
「へ?」
アーロンが驚いて顔を上げると、リバーが呆れ顔になった。
「目立ってはいけないってフランクが言ったろう?」
「あ、そうでした。でもそれじゃあ、食事の時にライム先輩が持って来る事になるのでは?」
「実際に持つのはあいつの従僕だろ。貴重品だから事前に預けて置くって形を取れば何の問題もない。寧ろその方が中身の重要性が高まる」
リバーの言葉に確かにそうだけど……、そういう物なのかな?とアーロンが寮長を見ると、寮長もその肩の上のマクマも頷いた。リバーはその様子を見て微笑み、話を続ける。
「あっちは伯爵家だからな、お前が呼び付けると角が立つだろ? 俺が代理でやり取りしてやる」
「はい」
「後、特別に封の魔方陣も貼っといてやろう。ライムの息子とライムとお前しか開けられないやつな。でないと勝手に中身を見る奴が出んとも限らん」
「ありがとうございます!」
「うん。友達二人にもちゃんと礼を言っとけよ。二人が気付いてくれなかったら、お前ん家が恥かく所だったんだからな」
「はい」
アーロンは、寮長とイアンに向き直ると二人に頭を下げた。
「気がついてくれて、教えてくれてありがとうございました」
「……ああ」
「うう、ん。僕は何も」
と寮長とイアンは恥ずかしそうにアーロンの感謝の言葉を受けたが、イアンは直ぐにうずうずした様にリバーに尋ねた。
「せんせ、火の国のお店に行ったって?」
「おお、楽しみにしてろ。小豆ときな粉と、抹茶っていうのを買って来たからな。他にも色々あるぞ」
「わあ」
その言葉にイアンは、目をきらきらと輝かせた。
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