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ライム先輩との冬
ケビンの置き土産
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期末試験に備えて殆どの生徒達が猛勉強だ。自室でやるか、図書館や談話室等他の生徒も居る場所でやるかに分かれているが、アーロンは断然自室以外の場所派。何故ならアーロンの机の上に兄が、例の文箱を広げて行ったからだ。それも念入りに魔道具を設置して。
愛し子同士の大切な話、というのはこれで終わりと言った兄が自分の机の上に、文箱の蓋を開けて置いたまま出て行こうとするのに、アーロンは慌てて片付けようと近付いた。すると、
「貴重品です! 触れないで下さい! 触れないで下さい!」
と文箱ががなり立てた。
「ひゃっ」
と驚いて離れたアーロンは、「どういう事?」と呟く。
「はっはっはー、見事に引っかかったな、アーロンちゃんよ」
嬉しそうに肩を抱くケビンをアーロンは睨み付けた。
「何したの?」
「こないだ、アーロンちゃんが特別講義で行った美術館あるだろ? あそこで使う予定の魔道具を借りて来たんだ。すげえだろ」
興味津々の顔で、キースとアレックスも寄って来た。
「喋った」
「喋ったね」
「おうともさ」
二人に、キースが自慢げに説明する。
「このちっこい銀の鼠さんが見えるか? こいつが魔道具で、解除出来るのは登録してある人間だけだ。で、それ以外の奴が触ろうとすると大声で警告する」
試しにキースが手を伸ばすと、鼠がまたがなり立てた。
「貴重品です! 触れないで下さい! 触れないで下さい!」
「わー、すごい。鼠さん、偉いねえ」
とアレックスが嬉しそうに手を叩くが、アーロンは「ふん、そんなの」と負けずに触ろうとした。すると、
「警告、警告! これ以上近付くと攻撃します! 貴重品です! 触れないで下さい! 触れないで下さい!」
と鼠は更に声を大きくして、がなり立てる。その声の大きさは、
「煩いよー」
「耳が痛い」
とキースとアレックスが自分達の耳を塞ぐ位だ。
「すげえだろ、今は防音の魔道具が効いてるけど、下の階迄聞こえる位の音量になってる」
自慢するケビン。だが、防音の魔道具が効いている今なら!とアーロンはめげずに近付いた。すると、
「最終警告! 最終警告! これ以上近付くと処罰します! 処罰します!」
と更にもっと大きな声がして、鼠の目が赤く光った。「うわー」とキースとアレックスは耳を塞いでいる。アーロンも頭がくらくらする程の大声だったが、だからと言って諦めたら兄の気が済む迄、この卑猥な物が丸見えの状態にされてしまうと、頑張って文箱に手を伸ばした。すると、鼠の赤い目から光線が出て、アーロンの手を直撃した。
「痛っ!」
アーロンが手を引くと、光線が当たった部分は赤くなって腫れていた。
「はっ、はっ、はー。予想通りの行動してくれるアーロンちゃんよ、見せてみな」
ケビンは笑いながら耳から何かを取り外すと、それをマントのポケットにしまった。そしてポケットから小さな缶を取り出すと、アーロンに手を出す様に促した。鼠の大声に平然としていると思ったら、自分だけいつの間にかちゃっかり耳栓をしていた様だ。
アーロンが素直に赤くなった手を出すと、ケビンは缶を開けて軟膏を塗ってくれた。アーロンは剝れて、頬を膨らませている。
「あの美術館な、いずれは平民にも開放する予定なんだ。けどさ、触れるなって注意書き貼っても平民には読めないだろ? だから声で注意する魔道具を作ったんだ。まだテスト段階なんだけどな。それを借りて来たんだが、まんまと引っ掛かったな、うちのアーロンちゃんは」
ケビンの言葉に、「そうなの?」とキースとアレックスが驚いている。あの公園は平民にも開放すると御触れが出た段階でかなりの抗議が貴族から出たのだった。それを更に建物の方も公開するとなったら、より大きな騒ぎになるだろうと予想された。
「まあ、ずうっと先の話だけどな。今すぐは無理だろ」
「そうだよね~」
と二人も頷いている。
「って訳で、それに備えて準備してる魔道具だ。優れもんだぞ、例えば」
とケビンが、じいっと文箱の中のとある品を見つめると、鼠が話しだした。
「こちらは火の国原産の木で作られた張型になります。男根を模した物で、性行前に、受け手の膣、又は後孔を拡張するのに使用します。火の国の熟練の職人による手彫りで、実在する男性の男根を参考にして彫られており、様々な太さや長さに対応しています」
「わーわー!」
聞いていられず、遮ろうとアーロンが大声を上げたが、鼠はしっかり最後迄話し終えた。
「すっごーい!」
「お利口!」
またも拍手して、キースとアレックスは喜んでいるが、アーロンはもう顔から火が出そうである。
「すっげえだろ? 無理に教えんのは諦めるけど、アーロンちゃんが興味を持った時にいつでも気軽に正しい知識を得られる様に置いてくぜ」
「止めてよ、こんなのあったら誰も入れられないし、第一机で勉強出来ないじゃない!」
とアーロンが抗議したが、
「何言ってんだ? 誰を入れるつもりだ? ライムのが、じゃねえ、息子ってもんがありながら他の男を部屋に入れるつもりか?」
「そうそう、もうイアン君だって入れたらだめだよー」
「そうだよ、僕かキース先輩以外の男はだめだからね!」
と三人に叱られてしまった。仕方無くアーロンは、
「うっ、じゃあ誰も入れないけど。でもでもっ! お掃除の人は入るし、それに僕が机を使えない!」
と言い返したが、
「おお、じゃあ掃除の件は俺からリバーに言っといてやるよ。試験の勉強は別のとこでやればいいだろ? この部屋ではセックスの勉強に集中しろ、それも大事な事だぞ」
「うんうん」
「そうだね~」
とまた一対三で言い負かされてしまったのだった。
愛し子同士の大切な話、というのはこれで終わりと言った兄が自分の机の上に、文箱の蓋を開けて置いたまま出て行こうとするのに、アーロンは慌てて片付けようと近付いた。すると、
「貴重品です! 触れないで下さい! 触れないで下さい!」
と文箱ががなり立てた。
「ひゃっ」
と驚いて離れたアーロンは、「どういう事?」と呟く。
「はっはっはー、見事に引っかかったな、アーロンちゃんよ」
嬉しそうに肩を抱くケビンをアーロンは睨み付けた。
「何したの?」
「こないだ、アーロンちゃんが特別講義で行った美術館あるだろ? あそこで使う予定の魔道具を借りて来たんだ。すげえだろ」
興味津々の顔で、キースとアレックスも寄って来た。
「喋った」
「喋ったね」
「おうともさ」
二人に、キースが自慢げに説明する。
「このちっこい銀の鼠さんが見えるか? こいつが魔道具で、解除出来るのは登録してある人間だけだ。で、それ以外の奴が触ろうとすると大声で警告する」
試しにキースが手を伸ばすと、鼠がまたがなり立てた。
「貴重品です! 触れないで下さい! 触れないで下さい!」
「わー、すごい。鼠さん、偉いねえ」
とアレックスが嬉しそうに手を叩くが、アーロンは「ふん、そんなの」と負けずに触ろうとした。すると、
「警告、警告! これ以上近付くと攻撃します! 貴重品です! 触れないで下さい! 触れないで下さい!」
と鼠は更に声を大きくして、がなり立てる。その声の大きさは、
「煩いよー」
「耳が痛い」
とキースとアレックスが自分達の耳を塞ぐ位だ。
「すげえだろ、今は防音の魔道具が効いてるけど、下の階迄聞こえる位の音量になってる」
自慢するケビン。だが、防音の魔道具が効いている今なら!とアーロンはめげずに近付いた。すると、
「最終警告! 最終警告! これ以上近付くと処罰します! 処罰します!」
と更にもっと大きな声がして、鼠の目が赤く光った。「うわー」とキースとアレックスは耳を塞いでいる。アーロンも頭がくらくらする程の大声だったが、だからと言って諦めたら兄の気が済む迄、この卑猥な物が丸見えの状態にされてしまうと、頑張って文箱に手を伸ばした。すると、鼠の赤い目から光線が出て、アーロンの手を直撃した。
「痛っ!」
アーロンが手を引くと、光線が当たった部分は赤くなって腫れていた。
「はっ、はっ、はー。予想通りの行動してくれるアーロンちゃんよ、見せてみな」
ケビンは笑いながら耳から何かを取り外すと、それをマントのポケットにしまった。そしてポケットから小さな缶を取り出すと、アーロンに手を出す様に促した。鼠の大声に平然としていると思ったら、自分だけいつの間にかちゃっかり耳栓をしていた様だ。
アーロンが素直に赤くなった手を出すと、ケビンは缶を開けて軟膏を塗ってくれた。アーロンは剝れて、頬を膨らませている。
「あの美術館な、いずれは平民にも開放する予定なんだ。けどさ、触れるなって注意書き貼っても平民には読めないだろ? だから声で注意する魔道具を作ったんだ。まだテスト段階なんだけどな。それを借りて来たんだが、まんまと引っ掛かったな、うちのアーロンちゃんは」
ケビンの言葉に、「そうなの?」とキースとアレックスが驚いている。あの公園は平民にも開放すると御触れが出た段階でかなりの抗議が貴族から出たのだった。それを更に建物の方も公開するとなったら、より大きな騒ぎになるだろうと予想された。
「まあ、ずうっと先の話だけどな。今すぐは無理だろ」
「そうだよね~」
と二人も頷いている。
「って訳で、それに備えて準備してる魔道具だ。優れもんだぞ、例えば」
とケビンが、じいっと文箱の中のとある品を見つめると、鼠が話しだした。
「こちらは火の国原産の木で作られた張型になります。男根を模した物で、性行前に、受け手の膣、又は後孔を拡張するのに使用します。火の国の熟練の職人による手彫りで、実在する男性の男根を参考にして彫られており、様々な太さや長さに対応しています」
「わーわー!」
聞いていられず、遮ろうとアーロンが大声を上げたが、鼠はしっかり最後迄話し終えた。
「すっごーい!」
「お利口!」
またも拍手して、キースとアレックスは喜んでいるが、アーロンはもう顔から火が出そうである。
「すっげえだろ? 無理に教えんのは諦めるけど、アーロンちゃんが興味を持った時にいつでも気軽に正しい知識を得られる様に置いてくぜ」
「止めてよ、こんなのあったら誰も入れられないし、第一机で勉強出来ないじゃない!」
とアーロンが抗議したが、
「何言ってんだ? 誰を入れるつもりだ? ライムのが、じゃねえ、息子ってもんがありながら他の男を部屋に入れるつもりか?」
「そうそう、もうイアン君だって入れたらだめだよー」
「そうだよ、僕かキース先輩以外の男はだめだからね!」
と三人に叱られてしまった。仕方無くアーロンは、
「うっ、じゃあ誰も入れないけど。でもでもっ! お掃除の人は入るし、それに僕が机を使えない!」
と言い返したが、
「おお、じゃあ掃除の件は俺からリバーに言っといてやるよ。試験の勉強は別のとこでやればいいだろ? この部屋ではセックスの勉強に集中しろ、それも大事な事だぞ」
「うんうん」
「そうだね~」
とまた一対三で言い負かされてしまったのだった。
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