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第1話
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「お父様見てください!!フォード第一王子様からの舞踏会への招待状です!!」
非常にうれしそうな表情を浮かべながらそう言葉を発するのは、フォード第一王子の事を心から愛してやまないネイ。
彼女はその手紙の到着を今か今かと待ちわびていた。
「やれやれ、ネイは気が早いな。まだ手紙の中身も見ていないというのに」
「見なくてもわかります!フォード様が私の事を招待してくださることに決めたのです!あぁ、一体どんなドレスを着ていけば喜んでいただけるでしょう…!」
うれしさを爆発させるネイの事を横目に見ながら、手紙を彼女から受け取ったデリックはその封を丁寧に開封し、中から出てきた手紙の本文に目を通していく。
するとそこにはネイが予見していた通り、王宮にて開かれる舞踏会への招待状が同封されていた。
「ネイ、君の想像力には恐れ入った。まさか本当にフォード様が僕らの事を王宮に招待してこようとは…♪」
「だから言ったでしょうお父様?」
ネイに続き、デリックもまたその表情をうれしそうなものにしていく。
しかしその時、その手紙の内容にデリックはやや不快感を覚えた。
「しかしここには、ロミアも一緒に招待されてしまっているな…」
「え…。お姉様も…?」
その名前を聞いた途端、それまでのうれしそうな表情はどこへやら、ネイは不満気な表情を浮かべてみせる。
それもそのはず、ネイは自身の姉であるロミアの事を非常にうとましく思っていたからだ。
「別にお姉様はおいていってもいいのではないですか?連れて行っても周りが嫌な思いをするだけですよ?」
「僕もそうしたいのはやまやまだが、誘われてしまっている以上そうもいかない…。相手はフォード第一王子なのだから、心証を悪くしてしまっても良くないしな…」
「……」
どうして二人がロミアに対してそこまで嫌悪感を示すのか、それは二人の両親がネイの事ばかりを気にかけているからである。
ネイは姉であるロミアを悪者にする形で自分の評判を上げていき、それは周囲の人々だけではなく両親に至っても同じであった。
2人はネイの言うことならばすぐに信用し、一方でロミアの言うことは全く信じてかからなかった。
結局その関係が今に至るまで改善されることはなく、ロミアは彼ら家族から一方的に虐げ続けられていた。
そんなさなかにあっての、家族全員の王宮への招待。
どう対応していくか、答えは一つしかなかった。
――――
「いいかロミア、フォード第一王子様からもたらされた招待状にはお前の名前も書かれていた。しかし調子に乗るんじゃないぞ?フォード様は仕方なくお前の名前を書いただけで、特別な思いを抱いてなどいない」
「そうですよお姉様、第一王子様は私の事を好きになってくださっているのですから、余計な期待なんてしないでくださいね?」
デリック、ネイの二人は極めて冷たい口調でロミアに対してそう言葉を発する。
そしてもう一人、ネイとロミアの母であるメリアがこう言葉を続ける。
「あなたはなにもしゃべらなくていいわ。ただ黙ってその場に立っているだけでいいの。いい、ロミア。建前でお誘いをいただいたことにきちんと感謝しなさい?あなたに存在価値なんて全くないけれど、心の広いフォード様はそれでもあなたの事を呼ぶと決められたのだから」
「なにも言わない、それいいですねお母様。お姉様、挨拶をされても返さないでくださいよ?なんだか外でお姉様の声を聞くだけで恥ずかしくなってきますから」
メリアの言葉がうれしく思えたのか、ネイはやや楽しそうな表情を浮かべながらそう言葉を重ねた。
やはりロミアの責められる姿を見るのは楽しくて仕方がない様子。
「二人の言ったことをちゃんと守れよロミア。もしも余計なことをし始めたら、その時はそれにふさわしい罰を与えてやるからな。まぁそんなことをするだけの勇気がお前にあるとは思えないから、別に心配はしていないが」
「……」
3人からかけられる言葉を、ただただ静かに聞き入れているロミア。
それもそのはず、ここで言葉を返したところで彼らはそれ以上に強い言葉でロミアの事を攻撃するのみであり、状況が変わることなどまったくない。
それなら、ただ静かにこの場をやり過ごす方がよっぽど懸命な選択といえるのだから。
「それじゃあお母様、早速準備にとりかかりましょう!舞踏会はちょうど一週間後ですから、ドレスの用意やお化粧の準備を整えておかないと…!」
「そうね、その場には他の多くの権力者や貴族家の人たちも来るのでしょうし、恥ずかしい格好でいくわけにはいかないもの」
「あぁロミア、お前にはなんにも用意なんてしないからな。そのままの格好で行くといい」
「クスクス…。私なら恥ずかしくて死んでしまいますわ…♪」
「あら、そんなことを言ったらロミアに可哀そうよ?一応彼女だってこれでも女なんだから♪」
ロミアを前にして好き勝手な言葉を続ける二人。
その言葉が最後には自分たちももとに帰ってくることになるということを、この時はまだかけらも想像していないのだった…。
非常にうれしそうな表情を浮かべながらそう言葉を発するのは、フォード第一王子の事を心から愛してやまないネイ。
彼女はその手紙の到着を今か今かと待ちわびていた。
「やれやれ、ネイは気が早いな。まだ手紙の中身も見ていないというのに」
「見なくてもわかります!フォード様が私の事を招待してくださることに決めたのです!あぁ、一体どんなドレスを着ていけば喜んでいただけるでしょう…!」
うれしさを爆発させるネイの事を横目に見ながら、手紙を彼女から受け取ったデリックはその封を丁寧に開封し、中から出てきた手紙の本文に目を通していく。
するとそこにはネイが予見していた通り、王宮にて開かれる舞踏会への招待状が同封されていた。
「ネイ、君の想像力には恐れ入った。まさか本当にフォード様が僕らの事を王宮に招待してこようとは…♪」
「だから言ったでしょうお父様?」
ネイに続き、デリックもまたその表情をうれしそうなものにしていく。
しかしその時、その手紙の内容にデリックはやや不快感を覚えた。
「しかしここには、ロミアも一緒に招待されてしまっているな…」
「え…。お姉様も…?」
その名前を聞いた途端、それまでのうれしそうな表情はどこへやら、ネイは不満気な表情を浮かべてみせる。
それもそのはず、ネイは自身の姉であるロミアの事を非常にうとましく思っていたからだ。
「別にお姉様はおいていってもいいのではないですか?連れて行っても周りが嫌な思いをするだけですよ?」
「僕もそうしたいのはやまやまだが、誘われてしまっている以上そうもいかない…。相手はフォード第一王子なのだから、心証を悪くしてしまっても良くないしな…」
「……」
どうして二人がロミアに対してそこまで嫌悪感を示すのか、それは二人の両親がネイの事ばかりを気にかけているからである。
ネイは姉であるロミアを悪者にする形で自分の評判を上げていき、それは周囲の人々だけではなく両親に至っても同じであった。
2人はネイの言うことならばすぐに信用し、一方でロミアの言うことは全く信じてかからなかった。
結局その関係が今に至るまで改善されることはなく、ロミアは彼ら家族から一方的に虐げ続けられていた。
そんなさなかにあっての、家族全員の王宮への招待。
どう対応していくか、答えは一つしかなかった。
――――
「いいかロミア、フォード第一王子様からもたらされた招待状にはお前の名前も書かれていた。しかし調子に乗るんじゃないぞ?フォード様は仕方なくお前の名前を書いただけで、特別な思いを抱いてなどいない」
「そうですよお姉様、第一王子様は私の事を好きになってくださっているのですから、余計な期待なんてしないでくださいね?」
デリック、ネイの二人は極めて冷たい口調でロミアに対してそう言葉を発する。
そしてもう一人、ネイとロミアの母であるメリアがこう言葉を続ける。
「あなたはなにもしゃべらなくていいわ。ただ黙ってその場に立っているだけでいいの。いい、ロミア。建前でお誘いをいただいたことにきちんと感謝しなさい?あなたに存在価値なんて全くないけれど、心の広いフォード様はそれでもあなたの事を呼ぶと決められたのだから」
「なにも言わない、それいいですねお母様。お姉様、挨拶をされても返さないでくださいよ?なんだか外でお姉様の声を聞くだけで恥ずかしくなってきますから」
メリアの言葉がうれしく思えたのか、ネイはやや楽しそうな表情を浮かべながらそう言葉を重ねた。
やはりロミアの責められる姿を見るのは楽しくて仕方がない様子。
「二人の言ったことをちゃんと守れよロミア。もしも余計なことをし始めたら、その時はそれにふさわしい罰を与えてやるからな。まぁそんなことをするだけの勇気がお前にあるとは思えないから、別に心配はしていないが」
「……」
3人からかけられる言葉を、ただただ静かに聞き入れているロミア。
それもそのはず、ここで言葉を返したところで彼らはそれ以上に強い言葉でロミアの事を攻撃するのみであり、状況が変わることなどまったくない。
それなら、ただ静かにこの場をやり過ごす方がよっぽど懸命な選択といえるのだから。
「それじゃあお母様、早速準備にとりかかりましょう!舞踏会はちょうど一週間後ですから、ドレスの用意やお化粧の準備を整えておかないと…!」
「そうね、その場には他の多くの権力者や貴族家の人たちも来るのでしょうし、恥ずかしい格好でいくわけにはいかないもの」
「あぁロミア、お前にはなんにも用意なんてしないからな。そのままの格好で行くといい」
「クスクス…。私なら恥ずかしくて死んでしまいますわ…♪」
「あら、そんなことを言ったらロミアに可哀そうよ?一応彼女だってこれでも女なんだから♪」
ロミアを前にして好き勝手な言葉を続ける二人。
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