4 / 6
第4話
しおりを挟む
カタリナがレイヴン伯爵との邂逅を果たしたなど想像だにしていないプラーナは、変わらず伯爵と話をするための準備にいそしんでいた。
「お父様がすでに招待状を手に入れてくださっておりますし、後はもう食事会当日を楽しむだけだわ♪」
カタリナがいなくなったことで機嫌を良くしているプラーナであったが、それはカタリナがいなくなってしばらく経つ今でも変わらずにいる様子。
「カタリナももっとかしこく立ち回っていれば、もっとましな未来を描けていたかもしれないのにねぇ…。私のようにできていれば伯爵様との関係だってあり得たかもしれないのに、本当に可愛そうだわぁ」
アリアの追放を裏で仕組んだのは他でもない自分でありながら、プラーナは自分は被害者なのだというスタンスを崩さない。
「まぁ、どのみち一緒だわね。だって伯爵様からの愛情は私が一心に受け取ることになるのだから…♪」
コンコンコン
「プラーナ、いるか?」
「ローグお父様ですか?」
その時、プラーナの部屋をノックするローグの声が彼女の耳に届いた。
プラーナはそのままローグに向けて返事を行うと、ローグはそのままプラーナの部屋の中に足を踏み入れる。
「なんだなんだ、もう伯爵の食事会の準備を進めているのか?気が早すぎやしないか?」
「お父様、こういうのは早い段階から取り掛かった方が良いのです。伯爵様は私が来ると言う事を聞いて喜んでおられたのでしょう?」
「招待状を受け取りに行ったときは、そんな雰囲気を見せていたような感じだったぞ」
「ほら!!なら私は伯爵様の期待に応えないといけないのですから!!」
つい先日、ローグは伯爵の元を訪れており、食事会における招待状を受け取りに行っていた。
その時の伯爵の雰囲気になにか思うところがあったようで、ローグに言わせればそれはプラーナに対する意識からくるものではないかという事になっているのだが…。
「お父様だって、近しい関係にあられる伯爵様と私の関係が深まることを望まれているのでしょう?それこそ私たちが婚約関係にまで発展したら、お父様だって伯爵様の父となることができるのですよ?」
「まぁ、カタリナの父になることを比べればよっぽど魅力的な事ではあるな。あれは全く無意味だったどころか、よかったことなんて一度もなかったからな…」
カタリナに関するエピソードのすべてはプラーナがでっち上げているものだと言うのに、彼女を溺愛しているためかその点に気づくことが出来ないでいるローグ。
だからこそプラーナにしてみれば、これほどやりやすい相手もなかった。
「その時が来るのをお楽しみにしていてください、お父様。私は近く伯爵夫人となり、優雅な貴族家への仲間入りを果たすのです。その時こそカタリナお姉様に出て行っていただいた甲斐があるというものなのですから」
「はいはい、楽しみにしているよ。まぁ、好きなようにやってくれればいいさ」
うれしそうな表情でそう言葉を発するプラーナの姿を見て、ローグもまた一段とその気をよくしている様子。
しかし、当然二人は全く気付いていない。
伯爵の隣にはすでに、自分たちが追い出したカタリナがいるのだという事に…。
――伯爵家内での会話――
「えっと、今度の舞踏会にはどれくらいの方が来られるんでしたっけ?」
「人数はかなりの数だったと思う。だから当日は大変かもねぇ…」
来るべきイベントの日に向けて、伯爵家の中では使用人の人々がその準備に明け暮れていた。
そんな中、当然のように話題はある人物たちのものに移っていく。
「それで、例の親子も来るのかしらね?」
「来るって話よ!だってこの間、伯爵様の所まで招待状受け取りに来ていたんだもの!」
「まぁ、それはなかなかすごいことになりそうね…!!」
「ちょ、ちょっと待って、どういうこと…?」
「なに、知らないの??最近伯爵様が気に入られているカタリナ様、その親子から捨てられたって話があるの!!」
「!?!?!?」
その事は誰にも知られていないであろうと考えていたプラーナたちだったものの、人間の伝聞力というのはすさまじく、すでにこの伯爵家の者たちの耳にまでその噂話は届いていた。
「なんでなんで!?なんでそんなことになってるわけ!?」
「多分、向こうの方はカタリナ様がここに居るってことを知らないんじゃないかしら…?だから今だに伯爵様の事を狙っていて、得意げに今回の舞踏会に参加することを決めてきたんじゃないかしら…?」
事実、その予想は大いに的を得ていた。
逆に言えば、使用人たちでさえその事を知っているという事は、他の貴族家の者やその関係者、ここ数日でカタリナとの関係を深めた者たちは、もれなくカタリナの過去に何があったのか、プラーナたちがカタリナに何をしてきたのかを知っているという事になる。
…まさかそれらの事がこのような形で表に出ていることを想像だにしていないであろうプラーナたちがその事を知った時、果たしてどのような反応を見せることとなるのであろうか…?
「お父様がすでに招待状を手に入れてくださっておりますし、後はもう食事会当日を楽しむだけだわ♪」
カタリナがいなくなったことで機嫌を良くしているプラーナであったが、それはカタリナがいなくなってしばらく経つ今でも変わらずにいる様子。
「カタリナももっとかしこく立ち回っていれば、もっとましな未来を描けていたかもしれないのにねぇ…。私のようにできていれば伯爵様との関係だってあり得たかもしれないのに、本当に可愛そうだわぁ」
アリアの追放を裏で仕組んだのは他でもない自分でありながら、プラーナは自分は被害者なのだというスタンスを崩さない。
「まぁ、どのみち一緒だわね。だって伯爵様からの愛情は私が一心に受け取ることになるのだから…♪」
コンコンコン
「プラーナ、いるか?」
「ローグお父様ですか?」
その時、プラーナの部屋をノックするローグの声が彼女の耳に届いた。
プラーナはそのままローグに向けて返事を行うと、ローグはそのままプラーナの部屋の中に足を踏み入れる。
「なんだなんだ、もう伯爵の食事会の準備を進めているのか?気が早すぎやしないか?」
「お父様、こういうのは早い段階から取り掛かった方が良いのです。伯爵様は私が来ると言う事を聞いて喜んでおられたのでしょう?」
「招待状を受け取りに行ったときは、そんな雰囲気を見せていたような感じだったぞ」
「ほら!!なら私は伯爵様の期待に応えないといけないのですから!!」
つい先日、ローグは伯爵の元を訪れており、食事会における招待状を受け取りに行っていた。
その時の伯爵の雰囲気になにか思うところがあったようで、ローグに言わせればそれはプラーナに対する意識からくるものではないかという事になっているのだが…。
「お父様だって、近しい関係にあられる伯爵様と私の関係が深まることを望まれているのでしょう?それこそ私たちが婚約関係にまで発展したら、お父様だって伯爵様の父となることができるのですよ?」
「まぁ、カタリナの父になることを比べればよっぽど魅力的な事ではあるな。あれは全く無意味だったどころか、よかったことなんて一度もなかったからな…」
カタリナに関するエピソードのすべてはプラーナがでっち上げているものだと言うのに、彼女を溺愛しているためかその点に気づくことが出来ないでいるローグ。
だからこそプラーナにしてみれば、これほどやりやすい相手もなかった。
「その時が来るのをお楽しみにしていてください、お父様。私は近く伯爵夫人となり、優雅な貴族家への仲間入りを果たすのです。その時こそカタリナお姉様に出て行っていただいた甲斐があるというものなのですから」
「はいはい、楽しみにしているよ。まぁ、好きなようにやってくれればいいさ」
うれしそうな表情でそう言葉を発するプラーナの姿を見て、ローグもまた一段とその気をよくしている様子。
しかし、当然二人は全く気付いていない。
伯爵の隣にはすでに、自分たちが追い出したカタリナがいるのだという事に…。
――伯爵家内での会話――
「えっと、今度の舞踏会にはどれくらいの方が来られるんでしたっけ?」
「人数はかなりの数だったと思う。だから当日は大変かもねぇ…」
来るべきイベントの日に向けて、伯爵家の中では使用人の人々がその準備に明け暮れていた。
そんな中、当然のように話題はある人物たちのものに移っていく。
「それで、例の親子も来るのかしらね?」
「来るって話よ!だってこの間、伯爵様の所まで招待状受け取りに来ていたんだもの!」
「まぁ、それはなかなかすごいことになりそうね…!!」
「ちょ、ちょっと待って、どういうこと…?」
「なに、知らないの??最近伯爵様が気に入られているカタリナ様、その親子から捨てられたって話があるの!!」
「!?!?!?」
その事は誰にも知られていないであろうと考えていたプラーナたちだったものの、人間の伝聞力というのはすさまじく、すでにこの伯爵家の者たちの耳にまでその噂話は届いていた。
「なんでなんで!?なんでそんなことになってるわけ!?」
「多分、向こうの方はカタリナ様がここに居るってことを知らないんじゃないかしら…?だから今だに伯爵様の事を狙っていて、得意げに今回の舞踏会に参加することを決めてきたんじゃないかしら…?」
事実、その予想は大いに的を得ていた。
逆に言えば、使用人たちでさえその事を知っているという事は、他の貴族家の者やその関係者、ここ数日でカタリナとの関係を深めた者たちは、もれなくカタリナの過去に何があったのか、プラーナたちがカタリナに何をしてきたのかを知っているという事になる。
…まさかそれらの事がこのような形で表に出ていることを想像だにしていないであろうプラーナたちがその事を知った時、果たしてどのような反応を見せることとなるのであろうか…?
32
あなたにおすすめの小説
婚約破棄ありがとう!と笑ったら、元婚約者が泣きながら復縁を迫ってきました
ほーみ
恋愛
「――婚約を破棄する!」
大広間に響いたその宣告は、きっと誰もが予想していたことだったのだろう。
けれど、当事者である私――エリス・ローレンツの胸の内には、不思議なほどの安堵しかなかった。
王太子殿下であるレオンハルト様に、婚約を破棄される。
婚約者として彼に尽くした八年間の努力は、彼のたった一言で終わった。
だが、私の唇からこぼれたのは悲鳴でも涙でもなく――。
だってあの子は欲しがりさん
Mag_Mel
恋愛
エレナとマルティナは貴族の姉妹。幼い頃から妹のマルティナは、姉が持つものを何でも欲しがり、両親の後押しもあって、それらを次々と奪ってきた。
そしてついには、エレナの婚約者までもが妹の手に渡ってしまう。
親友のトゥーリは憤るが、エレナはただ微笑み「仕方がない」とすべてを受け入れるだけ。
その姿に耐えきれなくなったトゥーリは、マルティナに苦言を呈することを決意するが……。
婚約破棄宣言をされても、涙より先に笑いがこみあげました。
一ノ瀬和葉
恋愛
「――セシリア・エルディアとの婚約を、ここに破棄する!」
煌めくシャンデリアの下で、王太子リオネル殿下が声を張り上げた。
会場にいた貴族たちは一斉に息を呑み、舞踏の音楽さえ止まる。
……ああ、やっと来たか。
婚約破棄。断罪。悪役令嬢への審判。
ここで私は泣き崩れ、殿下に縋りつき、噂通りの醜態をさらす――
……はずだったのだろう。周囲の期待としては。
だが、残念。
私の胸に込みあげてきたのは、涙ではなく、笑いだった。
(だって……ようやく自由になれるんですもの)
その瞬間の私の顔を、誰も「悪役令嬢」とは呼べなかったはずだ。
なろう、カクヨム様でも投稿しています。
なろう日間20位 25000PV感謝です。
※ご都合注意。後日談の方を一部修正しました。
愚か者が自滅するのを、近くで見ていただけですから
越智屋ノマ
恋愛
宮中舞踏会の最中、侯爵令嬢ルクレツィアは王太子グレゴリオから一方的に婚約破棄を宣告される。新たな婚約者は、平民出身で才女と名高い女官ピア・スミス。
新たな時代の象徴を気取る王太子夫妻の華やかな振る舞いは、やがて国中の不満を集め、王家は静かに綻び始めていく。
一方、表舞台から退いたはずのルクレツィアは、親友である王女アリアンヌと再会する。――崩れゆく王家を前に、それぞれの役割を選び取った『親友』たちの結末は?
実兄の嘘で悪女にされた気の毒な令嬢は、王子に捨てられました
恋せよ恋
恋愛
「お前が泣いて縋ったから、この婚約を結んでやったんだ」
婚約者である第一王子エイドリアンから放たれたのは、
身に覚えのない侮蔑の言葉だった。
10歳のあの日、彼が私に一目惚れして跪いたはずの婚約。
だが、兄ヘンリーは、隣国の魔性の王女フローレンスに毒され、
妹の私を「嘘つきの悪女」だと切り捨てた。
婚約者も、兄も、居場所も、すべてを奪われた私、ティファニー16歳。
学園中で嘲笑われ、絶望の淵に立たされた私の手を取ったのは、
フローレンス王女の影に隠れていた隣国の孤高な騎士チャールズだった。
「私は知っています。あなたが誰よりも気高く、美しいことを」
彼だけは、私の掌に刻まれた「真実の傷」を見てくれた。
捨てられた侯爵令嬢は、裏切った男たちをどん底へ叩き落とす!
痛快ラブ×復讐劇、ティファニーの逆襲が始まる!
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
婚約者の私を見捨てたあなた、もう二度と関わらないので安心して下さい
神崎 ルナ
恋愛
第三王女ロクサーヌには婚約者がいた。騎士団でも有望株のナイシス・ガラット侯爵令息。その美貌もあって人気がある彼との婚約が決められたのは幼いとき。彼には他に優先する幼なじみがいたが、政略結婚だからある程度は仕方ない、と思っていた。だが、王宮が魔導師に襲われ、魔術により天井の一部がロクサーヌへ落ちてきたとき、彼が真っ先に助けに行ったのは幼馴染だという女性だった。その後もロクサーヌのことは見えていないのか、完全にスルーして彼女を抱きかかえて去って行くナイシス。
嘘でしょう。
その後ロクサーヌは一月、目が覚めなかった。
そして目覚めたとき、おとなしやかと言われていたロクサーヌの姿はどこにもなかった。
「ガラット侯爵令息とは婚約破棄? 当然でしょう。それとね私、力が欲しいの」
もう誰かが護ってくれるなんて思わない。
ロクサーヌは力をつけてひとりで生きていこうと誓った。
だがそこへクスコ辺境伯がロクサーヌへ求婚する。
「ぜひ辺境へ来て欲しい」
※時代考証がゆるゆるですm(__)m ご注意くださいm(__)m
総合・恋愛ランキング1位(2025.8.4)hotランキング1位(2025.8.5)になりましたΣ(・ω・ノ)ノ ありがとうございます<(_ _)>
白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません
鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。
「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」
そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。
——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。
「最近、おまえが気になるんだ」
「もっと夫婦としての時間を持たないか?」
今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。
愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。
わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。
政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ
“白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる