伯爵様がお選びになったのは、義妹ではなく私だったのでした

睡蓮

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第4話

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カタリナがレイヴン伯爵との邂逅を果たしたなど想像だにしていないプラーナは、変わらず伯爵と話をするための準備にいそしんでいた。

「お父様がすでに招待状を手に入れてくださっておりますし、後はもう食事会当日を楽しむだけだわ♪」

カタリナがいなくなったことで機嫌を良くしているプラーナであったが、それはカタリナがいなくなってしばらく経つ今でも変わらずにいる様子。

「カタリナももっとかしこく立ち回っていれば、もっとましな未来を描けていたかもしれないのにねぇ…。私のようにできていれば伯爵様との関係だってあり得たかもしれないのに、本当に可愛そうだわぁ」

アリアの追放を裏で仕組んだのは他でもない自分でありながら、プラーナは自分は被害者なのだというスタンスを崩さない。

「まぁ、どのみち一緒だわね。だって伯爵様からの愛情は私が一心に受け取ることになるのだから…♪」
コンコンコン
「プラーナ、いるか?」
「ローグお父様ですか?」

その時、プラーナの部屋をノックするローグの声が彼女の耳に届いた。
プラーナはそのままローグに向けて返事を行うと、ローグはそのままプラーナの部屋の中に足を踏み入れる。

「なんだなんだ、もう伯爵の食事会の準備を進めているのか?気が早すぎやしないか?」
「お父様、こういうのは早い段階から取り掛かった方が良いのです。伯爵様は私が来ると言う事を聞いて喜んでおられたのでしょう?」
「招待状を受け取りに行ったときは、そんな雰囲気を見せていたような感じだったぞ」
「ほら!!なら私は伯爵様の期待に応えないといけないのですから!!」

つい先日、ローグは伯爵の元を訪れており、食事会における招待状を受け取りに行っていた。
その時の伯爵の雰囲気になにか思うところがあったようで、ローグに言わせればそれはプラーナに対する意識からくるものではないかという事になっているのだが…。

「お父様だって、近しい関係にあられる伯爵様と私の関係が深まることを望まれているのでしょう?それこそ私たちが婚約関係にまで発展したら、お父様だって伯爵様の父となることができるのですよ?」
「まぁ、カタリナの父になることを比べればよっぽど魅力的な事ではあるな。あれは全く無意味だったどころか、よかったことなんて一度もなかったからな…」

カタリナに関するエピソードのすべてはプラーナがでっち上げているものだと言うのに、彼女を溺愛しているためかその点に気づくことが出来ないでいるローグ。
だからこそプラーナにしてみれば、これほどやりやすい相手もなかった。

「その時が来るのをお楽しみにしていてください、お父様。私は近く伯爵夫人となり、優雅な貴族家への仲間入りを果たすのです。その時こそカタリナお姉様に出て行っていただいた甲斐があるというものなのですから」
「はいはい、楽しみにしているよ。まぁ、好きなようにやってくれればいいさ」

うれしそうな表情でそう言葉を発するプラーナの姿を見て、ローグもまた一段とその気をよくしている様子。
しかし、当然二人は全く気付いていない。
伯爵の隣にはすでに、自分たちが追い出したカタリナがいるのだという事に…。

――伯爵家内での会話――

「えっと、今度の舞踏会にはどれくらいの方が来られるんでしたっけ?」
「人数はかなりの数だったと思う。だから当日は大変かもねぇ…」

来るべきイベントの日に向けて、伯爵家の中では使用人の人々がその準備に明け暮れていた。
そんな中、当然のように話題はある人物たちのものに移っていく。

「それで、例の親子も来るのかしらね?」
「来るって話よ!だってこの間、伯爵様の所まで招待状受け取りに来ていたんだもの!」
「まぁ、それはなかなかすごいことになりそうね…!!」
「ちょ、ちょっと待って、どういうこと…?」
「なに、知らないの??最近伯爵様が気に入られているカタリナ様、その親子から捨てられたって話があるの!!」
「!?!?!?」

その事は誰にも知られていないであろうと考えていたプラーナたちだったものの、人間の伝聞力というのはすさまじく、すでにこの伯爵家の者たちの耳にまでその噂話は届いていた。

「なんでなんで!?なんでそんなことになってるわけ!?」
「多分、向こうの方はカタリナ様がここに居るってことを知らないんじゃないかしら…?だから今だに伯爵様の事を狙っていて、得意げに今回の舞踏会に参加することを決めてきたんじゃないかしら…?」

事実、その予想は大いに的を得ていた。
逆に言えば、使用人たちでさえその事を知っているという事は、他の貴族家の者やその関係者、ここ数日でカタリナとの関係を深めた者たちは、もれなくカタリナの過去に何があったのか、プラーナたちがカタリナに何をしてきたのかを知っているという事になる。
…まさかそれらの事がこのような形で表に出ていることを想像だにしていないであろうプラーナたちがその事を知った時、果たしてどのような反応を見せることとなるのであろうか…?
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