義妹がいればそれだけでいいのでしょう?

睡蓮

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第2話

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――アルカ伯爵視点――

「というわけで、ジュリアには婚約破棄することを告げてきた。これで大丈夫かい?」
「はい、本当にうれしいです!さすがは私のお兄様!!」

僕の言葉を心から嬉しく思ってくれているのか、ルーレはその表情を非常に明るいものとしながらそう言葉を発する。
その顔を見ることが出来ただけでも、ジュリアの事を婚約破棄した甲斐があったというもの。

「やっぱり私、あのお姉様とは一緒にやっていける気がしなかったんですの…。もちろん私だって最初は、お姉様と本当の姉妹になるために必死に寄り添ったつもりだったのですよ?それなのにお姉様ときたらいつもいつも私の思いを無視して、ひどい言葉ばかりを返してくるのです…。きっと、私の傷つく顔を見るのが楽しみだったのでしょうね…」
「そうか、そこまで君の事を傷つけていたのか、ジュリアは…」

僕としたことが、どうして今まで放っておいてしまったのか…。
ルーレがこんなにも苦しい毎日を我慢し続けてくれていたというのに、その痛みを理解しようともせず…。

「…でも、私が変な事を言ってお二人の婚約関係を台無しにするわけにはいきませんでしたから…。私にとってはお兄様の幸せが一番なのです。それを壊してしまうことになるかもしれないと思うと、どうしても言えないでいました…」
「ルーレ…。君はそこまで僕の事を…」

僕の事を心から思ってくれているルーレの姿を改めて目の当たりにして、僕は冗談ではなく自分の心が天にも昇る気持ちを感じていた。
本当に自分の事を思ってくれているという事は、こんなにもうれしいものなのかと。

「心配はいらないよルーレ。元々ジュリアとの関係に愛情なんてかけらもなかったんだ。ただただタイミングが良かったのと、都合がよさそうな性格だったから婚約者に選んでやっただけの事。それを向こうは、自分は愛されて当然の立場だと痛い勘違いをしていたよ。いまさらそんな相手を僕が愛せるはずもないだろう?だから君は何も心配などしなくてもいい。やはり僕が愛しているのは、ルーレ、君だけなんだから」
「ありがとうございますお兄様♪」

頭の中からとろけそうになるルーレの声と香りを堪能しながら、僕は彼女の体をそっと抱きしめる。
そうすると彼女の体温を肌で感じることができ、僕らの関係がただの兄妹にとどまるものではないという事を十分すぎるほどに認識することができる。

「ルーレ、またなにかほしいものがあれば僕に言うといい。君の願いであるなら、伯爵であるこの僕がその願いを必ずかなえて見せるとも」

――ルーレ視点――

その言葉を私はひきだしたかったのだ。
お兄様がジュリアと婚約してからというもの、私は自分のいう事を何でも聞いてくれるお兄様の存在を取られてしまう事だけを懸念していた。
だからこそありもしない被害をでっちあげて、お姉様の事を一方的に攻撃し続けてきた。

「(それにしても、まさかここまでうまく婚約破棄をさせることが出来るだなんて…♪)」

私は最初から、ジュリアをここから追い出すことさえできれば何でもよかった。

「(ほんとざまぁないわね。私のお兄様を横取りしようなんて思うからそんなみじめな婚約破棄を受けることになるのよ。しっかり反省しなさい♪)」

彼女ほどみじめな思いをしている女もいないと思う。
婚約者である伯爵様からは自分の言っていることを何も信用してもらえなくて、その一方で義妹である私からはありもしない罪をでっちあげられて詰められて…♪

「(追い出される瞬間の顔が見られなかったことだけが残念だけれど、まぁそれはまたどこかで見られるかもしれないし。向こうは間違いなくお兄様との婚約に未練たらたらでしょうから、近いうちになにか言ってくるでしょうし)」

伯爵様との婚約が白紙にされて、未練を感じない女なんているはずがない。
であるなら、きっとジュリアはまた私たちのもとにやってくるはず。
婚約破棄を受けるに至った理由は全て、私がでっち上げたものだとか言ってね。
まぁそれは確かにその通りではあるのだけれど、そんな話を私を溺愛しているお兄様が受け入れるはずがない。
お兄様は最後の最後まで私の味方をしてくれるに決まっていて、そこに可能性を感じている向こうがただただ愚かであるに決まっているのだから♪

「ねぇお兄様、今度二人でどこかにお出かけしましょう?私今はお兄様と二人きりになりたいのです。…私と二人じゃ、はずかしいですか?」
「そんなはずがないだろうルーレ!よし、決まりだ!二人で遊びに行こうじゃないか!」

お兄様は本当に私にやさしくて助かる。
そして、私の願いをなんでもかなえてくれる。
だから私はお兄様との関係を切り離すつもりはないし、どんな女にもこの美味しい立場を譲るつもりはない。
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