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第2話
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「セレシア、君との婚約は今日をもって終わりにすることに決めた」
「…え?」
ある日の事、ロンベル伯爵とその婚約者であるセレシアの二人は、街中にある上品なレストランを訪れていた。
お店の雰囲気も非常にきれいなその場所に置いて、二人のもとに運ばれてくる料理は見る者の舌を震えさせるほどの絶品ばかり。
それほどに心地の良い場所でありながらも、ロンベルがセレシアに対して発した言葉は非常に雰囲気にそぐわないものだった。
「…な、なにかの冗談のおつもりですか?ど、どうして急にそのようなことを…」
「もう決めたんだ。セレシア、君との関係はもう続けていけるものではないとね」
「…??」
なんの前触れもなく、突然にそう言葉を告げられてしまったセレシアにしてみれば、はいそうですかとその婚約破棄をそのまま受け入れられるはずもない。
「い、いきなりそんなことを言われても、何が何だか分かりません…。ロンベル様、いったい何をお考えになられているのですか?」
「別に君に説明するほどのことでもないさ。すべては伯爵である僕が決めるだけの事。僕自身が、僕の隣に立つものとして君はふさわしくないと思っただけの事。だから、この婚約を取りやめにすることを決めたんだ」
「ちょ、ちょっと待ってくださいロンベル様!!」
セレシアとて、一方的に言われているだけで黙っているわけにはいかない。
「もともと私の事を半ば強引に婚約者にされたのはロンベル様の方だったではありませんか!私は最初から、自分なんかが伯爵様にはふさわしくはないのではないかと言い続けてきました!それでも伯爵様が、自分を信じてついてきなさいと言ったのですよ!?だから私はそれまでの自分をすべて捨てて、あなたにすべてをささげる覚悟で婚約を受け入れることにしたのです!だというのに、このような形で一方的に関係を切り捨てられることは納得ができません!いったいどういうおつもりなのですか!」
「どうもこうも……」
ロンベルに対し、遠慮なく自分の思ったことをそのまま伝えるセレシア。
それもそのはず、彼女はロンベルの婚約者になるにあたって、それまで自分が好いていた相手との関係や自分の本当の思い、恋心などをすべて捨てることを迫られたのだ。
当然彼女はそのことに激しく抵抗したものの、伯爵としての権力を有しているロンベルの前にそんな抵抗が聞き入れられるはずもなく、最終的にセレシアはロンベルのものとなる形で婚約を結ぶこととなったのだった。
…それが、今になって一方的に切り捨てられるなど、セレシアからすれば受け入れられるものではなかった。
「いいじゃないか。君だって本当は僕との婚約を嫌っていたのだろう?これで完全に元通りになるというわけだ。お互いウィンウィンじゃないか」
「そういう話をしているんではありません!!」
ロンベルの話はやや的を得ていたものの、それはセレシアの心の中に湧き上がった疑問を解決するほどのものではなかった。
「私が言いたいのは、ロンベル様は私の事をどれだけ雑にお考えになられているのかということです!私がもともと婚約に後ろ向きだったから、これで元通りすべて解決というわけではないのです!私はロンベル様からの扱いに納得がいかないのです!!」
そう、それがセレシアの素直な思いだった。
彼女とて、ロンベルとの関係が終わること自体に嫌気を覚えているわけではない。
自分の事を利用するかのような扱いに加え、少し都合が悪くなったならこうして一方的に切り捨ててすべてをなかったことにする、その不誠実さが許せないのだった。
「はぁ…。静かに黙って消えてくれたら円満に解決していたのだが…。君がそこまで言うのなら仕方がない、一応事実を説明することにするか…」
「…?」
ロンベルはやれやれと言った口調を見せながら、セレシアに対して説明を始める。
「セレシア、君は僕の愛する妹たちの事を虐げていたそうじゃないか。自分が伯爵夫人となったことをいいことに、彼女たちに対して高圧的な態度をとり続けていたという話を聞いているぞ?」
「…はい?」
「バレなければ何をしてもいいとでも思っているのか?だがそういうわけにはいかない。僕はこの耳で彼女たちから直接その話を聞いたんだ。彼女たちが僕にうそをつくはずはないのだから、それらはすべて事実だったということになる。それはつまり、君が彼女たちの事を一方的に虐げていたということになるな?」
「…ロンベル様、まさかそれを本気にされて…」
「まさかだと?どちらが本当の事を言っているかなんて誰の目にも明らかだろう?君は僕の婚約者だから逃げ切れるとでも思っていたのかもしれないが、甘えたことを言うんじゃない。僕は元から彼女たちの方の味方だとも。いったいいつ君に味方をするといった?勘違いも甚だしいな」
「……」
その言葉を聞いた時、セレシアは起こったことのすべてを理解した。
…ここまで突然にロンベルが婚約破棄を決定した理由と、その動機、そのきっかけをどこの誰が作ったのかということを。
「分かりました、私の事を信じてくださらない旦那さまとは関係を続けていくことはできないでしょう。その婚約破棄、心から喜んで受け入れさせていただくことにします」
「ざまぁないなセレシア。やはり悪は滅びるんだよ」
余裕そうな表情でそう言葉を発するロンベル。
…この判断が後の自分を大きく苦しめることになるのだが、妹たちに夢中な彼がそのことに気づくはずはなかった…。
「…え?」
ある日の事、ロンベル伯爵とその婚約者であるセレシアの二人は、街中にある上品なレストランを訪れていた。
お店の雰囲気も非常にきれいなその場所に置いて、二人のもとに運ばれてくる料理は見る者の舌を震えさせるほどの絶品ばかり。
それほどに心地の良い場所でありながらも、ロンベルがセレシアに対して発した言葉は非常に雰囲気にそぐわないものだった。
「…な、なにかの冗談のおつもりですか?ど、どうして急にそのようなことを…」
「もう決めたんだ。セレシア、君との関係はもう続けていけるものではないとね」
「…??」
なんの前触れもなく、突然にそう言葉を告げられてしまったセレシアにしてみれば、はいそうですかとその婚約破棄をそのまま受け入れられるはずもない。
「い、いきなりそんなことを言われても、何が何だか分かりません…。ロンベル様、いったい何をお考えになられているのですか?」
「別に君に説明するほどのことでもないさ。すべては伯爵である僕が決めるだけの事。僕自身が、僕の隣に立つものとして君はふさわしくないと思っただけの事。だから、この婚約を取りやめにすることを決めたんだ」
「ちょ、ちょっと待ってくださいロンベル様!!」
セレシアとて、一方的に言われているだけで黙っているわけにはいかない。
「もともと私の事を半ば強引に婚約者にされたのはロンベル様の方だったではありませんか!私は最初から、自分なんかが伯爵様にはふさわしくはないのではないかと言い続けてきました!それでも伯爵様が、自分を信じてついてきなさいと言ったのですよ!?だから私はそれまでの自分をすべて捨てて、あなたにすべてをささげる覚悟で婚約を受け入れることにしたのです!だというのに、このような形で一方的に関係を切り捨てられることは納得ができません!いったいどういうおつもりなのですか!」
「どうもこうも……」
ロンベルに対し、遠慮なく自分の思ったことをそのまま伝えるセレシア。
それもそのはず、彼女はロンベルの婚約者になるにあたって、それまで自分が好いていた相手との関係や自分の本当の思い、恋心などをすべて捨てることを迫られたのだ。
当然彼女はそのことに激しく抵抗したものの、伯爵としての権力を有しているロンベルの前にそんな抵抗が聞き入れられるはずもなく、最終的にセレシアはロンベルのものとなる形で婚約を結ぶこととなったのだった。
…それが、今になって一方的に切り捨てられるなど、セレシアからすれば受け入れられるものではなかった。
「いいじゃないか。君だって本当は僕との婚約を嫌っていたのだろう?これで完全に元通りになるというわけだ。お互いウィンウィンじゃないか」
「そういう話をしているんではありません!!」
ロンベルの話はやや的を得ていたものの、それはセレシアの心の中に湧き上がった疑問を解決するほどのものではなかった。
「私が言いたいのは、ロンベル様は私の事をどれだけ雑にお考えになられているのかということです!私がもともと婚約に後ろ向きだったから、これで元通りすべて解決というわけではないのです!私はロンベル様からの扱いに納得がいかないのです!!」
そう、それがセレシアの素直な思いだった。
彼女とて、ロンベルとの関係が終わること自体に嫌気を覚えているわけではない。
自分の事を利用するかのような扱いに加え、少し都合が悪くなったならこうして一方的に切り捨ててすべてをなかったことにする、その不誠実さが許せないのだった。
「はぁ…。静かに黙って消えてくれたら円満に解決していたのだが…。君がそこまで言うのなら仕方がない、一応事実を説明することにするか…」
「…?」
ロンベルはやれやれと言った口調を見せながら、セレシアに対して説明を始める。
「セレシア、君は僕の愛する妹たちの事を虐げていたそうじゃないか。自分が伯爵夫人となったことをいいことに、彼女たちに対して高圧的な態度をとり続けていたという話を聞いているぞ?」
「…はい?」
「バレなければ何をしてもいいとでも思っているのか?だがそういうわけにはいかない。僕はこの耳で彼女たちから直接その話を聞いたんだ。彼女たちが僕にうそをつくはずはないのだから、それらはすべて事実だったということになる。それはつまり、君が彼女たちの事を一方的に虐げていたということになるな?」
「…ロンベル様、まさかそれを本気にされて…」
「まさかだと?どちらが本当の事を言っているかなんて誰の目にも明らかだろう?君は僕の婚約者だから逃げ切れるとでも思っていたのかもしれないが、甘えたことを言うんじゃない。僕は元から彼女たちの方の味方だとも。いったいいつ君に味方をするといった?勘違いも甚だしいな」
「……」
その言葉を聞いた時、セレシアは起こったことのすべてを理解した。
…ここまで突然にロンベルが婚約破棄を決定した理由と、その動機、そのきっかけをどこの誰が作ったのかということを。
「分かりました、私の事を信じてくださらない旦那さまとは関係を続けていくことはできないでしょう。その婚約破棄、心から喜んで受け入れさせていただくことにします」
「ざまぁないなセレシア。やはり悪は滅びるんだよ」
余裕そうな表情でそう言葉を発するロンベル。
…この判断が後の自分を大きく苦しめることになるのだが、妹たちに夢中な彼がそのことに気づくはずはなかった…。
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