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第3話
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ルーグル様が私の事を追放してからしばらくの時が経過した時、貴族家の将来を決める会合(貴族会)が開催された。
ここでは、それぞれの貴族が国にとって良くないことをしていないか、真っ当に貴族家としての振る舞いを行えているか、誰かに迷惑をかけていなかどうか、などということが客観的に判定され、ここで話し合われた内容は今後の彼らの評価やイメージに大きくかかわってくる。
「さて、今回もこの場に集まってくださった皆様に感謝を申し上げつつ、つつましく貴族家としての関係を続けていく上で適切な話し合いができることをうれしくおもっております。皆様、よろしくお願いいたします」
この場には大小さまざまな貴族家の人々から、王宮に関わる人々、資産家や名家も参加しており、なかなかそうそうたる顔ぶれではある。
会場中を非常に厳かな雰囲気が包み、余計な言葉など一切口にできないという空気が支配する…。
…さて、こんなすごい場所にどうして私みたいな人間が呼ばれているのかと言うと…。
「では、まず最初の議題に移りましょうか。他でもない、最近我々の業界を賑わせているルーグル伯爵様の事についてです」
当のルーグル伯爵は、この場には現れていない。
話を聞くところによると、もともとは彼もこの場に訪れる予定ではあったものの、この期に及んでリリアーナが駄々をこね、結局彼はリリアーナとの時間を選ぶことにしたのだという。
…貴族が貴族会を欠席するなんて論外な事だとは思うけれど、あの男ならやりそうなことではあるし、たぶんそれは本当の事なのだろう。
彼の元婚約者である私になら、間違いないものだと断言できる。
「今日はルーグル様の真意のほどを確かめるべく、こうして議題にすることとしたのですが、ご本人が不在のようですね…」
…やはりこんなことは今までにない事なのか、司会の人は困惑したような表情を浮かべて見せる。
そしてそれは次第に他の人たちにも広がっていき、じわじわとこの場の空気がルーグル様にいぶかしさを生み出すものとなっていく…。
「…ここに現れないなんて、あいつは本当に大丈夫なのか?いろいろと妙な噂があるみたいだが…」
「最近なんて、王都西側の城を一方的に接収したと聞いたぞ?なんでも妹の願いだからどうしても実現したかったとか言って、周りの反対を押しのけて勝手にやった事らしいが…」
「食料の備蓄を勝手に買い占めたのもあいつじゃなかったか??しかもそれも妹から言われた言葉が元だったとか聞いたが…」
色々な疑惑の声が持ち上がっていく中、司会の人は一旦この場をおさめにかかる。
「皆様落ち着いてください。伯爵様におかれましてはいろいろな噂話が駆け巡っておりますが、今日はそれらの真偽のほどを確かめるべく、ある人にお話を伺いたく思っております。他でもない、伯爵様とは以前まで婚約者の関係にあった、エリナさまでございます」
「「おおぉぉ…!」」
私の名前が呼び出された途端、この場に集まった人々から少し驚きの声があげられる。
まぁ無理もない、普通なら婚約破棄された女性は、その過去をいち早く忘れてしまいたいと思う事だろうから、こんな形で大勢の前に現れることなんてないだろうから。
でも私は、伯爵様のあの性格やふるまいをここに集まった人々に知ってもらいたく、こうして話をすることを受け入れることにした。
「ではエリナ様、単調直入にお聞きしますが…。あなたの目に伯爵様は、どのように映りましたか?」
聞かれたことに、私はただただ正直に答えるだけ。
私は早速その質問に対し、第一声を発した。
「端的に言えばあの人は……」
ここでは、それぞれの貴族が国にとって良くないことをしていないか、真っ当に貴族家としての振る舞いを行えているか、誰かに迷惑をかけていなかどうか、などということが客観的に判定され、ここで話し合われた内容は今後の彼らの評価やイメージに大きくかかわってくる。
「さて、今回もこの場に集まってくださった皆様に感謝を申し上げつつ、つつましく貴族家としての関係を続けていく上で適切な話し合いができることをうれしくおもっております。皆様、よろしくお願いいたします」
この場には大小さまざまな貴族家の人々から、王宮に関わる人々、資産家や名家も参加しており、なかなかそうそうたる顔ぶれではある。
会場中を非常に厳かな雰囲気が包み、余計な言葉など一切口にできないという空気が支配する…。
…さて、こんなすごい場所にどうして私みたいな人間が呼ばれているのかと言うと…。
「では、まず最初の議題に移りましょうか。他でもない、最近我々の業界を賑わせているルーグル伯爵様の事についてです」
当のルーグル伯爵は、この場には現れていない。
話を聞くところによると、もともとは彼もこの場に訪れる予定ではあったものの、この期に及んでリリアーナが駄々をこね、結局彼はリリアーナとの時間を選ぶことにしたのだという。
…貴族が貴族会を欠席するなんて論外な事だとは思うけれど、あの男ならやりそうなことではあるし、たぶんそれは本当の事なのだろう。
彼の元婚約者である私になら、間違いないものだと断言できる。
「今日はルーグル様の真意のほどを確かめるべく、こうして議題にすることとしたのですが、ご本人が不在のようですね…」
…やはりこんなことは今までにない事なのか、司会の人は困惑したような表情を浮かべて見せる。
そしてそれは次第に他の人たちにも広がっていき、じわじわとこの場の空気がルーグル様にいぶかしさを生み出すものとなっていく…。
「…ここに現れないなんて、あいつは本当に大丈夫なのか?いろいろと妙な噂があるみたいだが…」
「最近なんて、王都西側の城を一方的に接収したと聞いたぞ?なんでも妹の願いだからどうしても実現したかったとか言って、周りの反対を押しのけて勝手にやった事らしいが…」
「食料の備蓄を勝手に買い占めたのもあいつじゃなかったか??しかもそれも妹から言われた言葉が元だったとか聞いたが…」
色々な疑惑の声が持ち上がっていく中、司会の人は一旦この場をおさめにかかる。
「皆様落ち着いてください。伯爵様におかれましてはいろいろな噂話が駆け巡っておりますが、今日はそれらの真偽のほどを確かめるべく、ある人にお話を伺いたく思っております。他でもない、伯爵様とは以前まで婚約者の関係にあった、エリナさまでございます」
「「おおぉぉ…!」」
私の名前が呼び出された途端、この場に集まった人々から少し驚きの声があげられる。
まぁ無理もない、普通なら婚約破棄された女性は、その過去をいち早く忘れてしまいたいと思う事だろうから、こんな形で大勢の前に現れることなんてないだろうから。
でも私は、伯爵様のあの性格やふるまいをここに集まった人々に知ってもらいたく、こうして話をすることを受け入れることにした。
「ではエリナ様、単調直入にお聞きしますが…。あなたの目に伯爵様は、どのように映りましたか?」
聞かれたことに、私はただただ正直に答えるだけ。
私は早速その質問に対し、第一声を発した。
「端的に言えばあの人は……」
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