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第5話
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――王宮での会話――
そしていよいよ、運命の王宮食事会の当日を迎えた。
その会場の前に到着したミリアたちは、改めてクレアに対してくぎを刺し始める。
「いいかクレア、何度も言うが余計な事を言うんじゃないぞ?お前はただ静かに顔を伏せて誰とも目を合わせなければそれでいい」
「お姉様と顔を合わせてしまうことほど不快なことはありませんからね。当然のことです」
いつも通りな雰囲気を見せる彼らに対し、クレアはどこか落ち着いていた。
かけられたそれらの言葉に反論をすることもなく、嫌そうな態度を見せることもなく、そのまま静かに会場の中にへと足を踏み入れていった。
――――
クレアたちが会場に姿を現した直後、1人の人物が数名の部下を伴ってその元を訪れてきた。
他でもない、エバー第一王子本人である。
「これはこれは、お待ちしておりました!今日という日の訪れを僕はずっと楽しみにしていて…」
「私こそ、こうしてお誘いいただいたことを本当にうれしく思っております!エバー様、今日は忘れられない一日にいたしましょうね♪」
エバーが言葉をかけると同時に、ミリアは一歩前に出てその言葉に返事を始める。
彼が言葉をかける相手は、自分に違いないと確信を持っていたためであろう。
「え、えっと…。君は確かミリアだったね、来てくれたことをうれしく思って…」
「大丈夫ですよエバー様、わざわざ言っていただかなくとも、その思いははっきりと私のもとに届いております!私もエバー様のためにこうして準備をさせていただき…」
「あらあら、私にも挨拶をさせてよミリア。あんまりずっとしゃべってるからエバー様が困ってらっしゃるでしょう?」
そんなミリアの後ろから、やや嫌味たらしい口調でそう言葉をかける彼女の母。
「ミリアの母でございます。エバー様、私からも感謝の言葉を述べさせてください。こうしてこのような素晴らしい食事会に招待をいただきましたこと、本当にうれしく思っております」
「は、はぁ…」
いきなり現れたかと思えば、次々と自分の会話に割って入ってくる二人。
エバーはその心の中で、こう言葉を漏らしていた。
「(僕ははやくクレアと話がしたいのだが…。どうしてこうも邪魔ばかりしてくるのか…)」
明らかに迷惑そうな表情を浮かべるエバーであったものの、その様子に二人は気づかないまま。
エバーはこのままではらちが明かないと考えたのか、そのまま直接クレアのもとまで向き合い、こう言葉をかけた。
「クレア、君と話ができる日をずっとずっと待っていた。今日は楽しい一日にすることを約束するよ」
「……」
しかし、クレアは事前に口を開くなと厳命されているため、エバーからの言葉に返事ができないでいる。
…するとエバーは、その光景をこう認識した。
「(クレア、完全に緊張してしまっているみたいだ…。まぁ、ついの間までの僕も全く同じ状態だったし、気持ちはすごくわかるな…)」
黙り込んでしまうクレアの姿を見てそう分析したエバーは、これをポジティブにとらえることとした。
「これから一緒に食事をするというのに、そんなに緊張してしまっていては楽しむものも楽しめないでしょう!僕がエスコートいたしますから、少し会場を一緒に回ってみませんか?なんでしたら王宮の中もご案内いたしますよ!」
「「っ!?!?!?!?!?」」
逆転の発想ともいえるエバーの言葉だったものの、その内容に反射的に嫌悪感を抱く者が二人…。
「ちょっと待ってくださいエバー様!!それなら私の方がふさわしいことと思います!どうしてお姉様にそこまでされるのですか!!」
「そうですよ!!時間の無駄でしかありません!!」
口をとがらせてそう抗議を始める二人であったものの、エバーはここでようやく二人に対して答え合わせを始める。
「…なるほど、君たち二人はクレアの事をそう認識しているわけか。どうりで話が少しかみ合わないなと思っていた」
「かみ合わない、とは…?」
「ではあえてはっきり言おうか。ミリア、僕が興味があるのはクレアだけなんだよ」
「っ!?!?!?」
「おそらく、君は僕が君の事を想っているものだと勘違いをしていたんだろう?だからさっきもあんな恥ずかしい言葉をぬけぬけと言ってのけることができたのだろう?」
「は、恥ずかしいって…!?」
「ミリア、僕が君とこれまで話をしていたのは、別に君と話がしたかったからではない。君との会話の中では、必然的にクレアの話が多く出てくるだろう?だから僕は君との会話を楽しんでいたし、興味を持っていたんだ」
「っ!?!?!?」
これまでの答え合わせが始まり、ミリアは一気にその立場を悪くしていく。
「僕はずっとずっとクレアの事が気になっていた。けれど、なかなか勇気がでずに話しかけることができないでした。だからこそ今日、君たち家族を丸ごと招待して腹を決めることと覚悟したんだ。そうでもしなければ、勇気が出ないと思ってね」
「そ、そんな…まさか…」
「君に関して良い話は何も聞かない。それは、クレアの表情がずっと暗いことと無関係ではないと思う。詳しいことはこれからクレアに聞かせてもらうことにするけれど、その話の内容次第によっては君たちとの関係は明るいものではないということだけは分かっておいてもらおうか」
「っ!?!?」
最初こそうきうきとした様子で会場に臨んだ3人。
しかし今のその雰囲気は、もう完全に最初とは全く雰囲気の違うものであった…。
そしていよいよ、運命の王宮食事会の当日を迎えた。
その会場の前に到着したミリアたちは、改めてクレアに対してくぎを刺し始める。
「いいかクレア、何度も言うが余計な事を言うんじゃないぞ?お前はただ静かに顔を伏せて誰とも目を合わせなければそれでいい」
「お姉様と顔を合わせてしまうことほど不快なことはありませんからね。当然のことです」
いつも通りな雰囲気を見せる彼らに対し、クレアはどこか落ち着いていた。
かけられたそれらの言葉に反論をすることもなく、嫌そうな態度を見せることもなく、そのまま静かに会場の中にへと足を踏み入れていった。
――――
クレアたちが会場に姿を現した直後、1人の人物が数名の部下を伴ってその元を訪れてきた。
他でもない、エバー第一王子本人である。
「これはこれは、お待ちしておりました!今日という日の訪れを僕はずっと楽しみにしていて…」
「私こそ、こうしてお誘いいただいたことを本当にうれしく思っております!エバー様、今日は忘れられない一日にいたしましょうね♪」
エバーが言葉をかけると同時に、ミリアは一歩前に出てその言葉に返事を始める。
彼が言葉をかける相手は、自分に違いないと確信を持っていたためであろう。
「え、えっと…。君は確かミリアだったね、来てくれたことをうれしく思って…」
「大丈夫ですよエバー様、わざわざ言っていただかなくとも、その思いははっきりと私のもとに届いております!私もエバー様のためにこうして準備をさせていただき…」
「あらあら、私にも挨拶をさせてよミリア。あんまりずっとしゃべってるからエバー様が困ってらっしゃるでしょう?」
そんなミリアの後ろから、やや嫌味たらしい口調でそう言葉をかける彼女の母。
「ミリアの母でございます。エバー様、私からも感謝の言葉を述べさせてください。こうしてこのような素晴らしい食事会に招待をいただきましたこと、本当にうれしく思っております」
「は、はぁ…」
いきなり現れたかと思えば、次々と自分の会話に割って入ってくる二人。
エバーはその心の中で、こう言葉を漏らしていた。
「(僕ははやくクレアと話がしたいのだが…。どうしてこうも邪魔ばかりしてくるのか…)」
明らかに迷惑そうな表情を浮かべるエバーであったものの、その様子に二人は気づかないまま。
エバーはこのままではらちが明かないと考えたのか、そのまま直接クレアのもとまで向き合い、こう言葉をかけた。
「クレア、君と話ができる日をずっとずっと待っていた。今日は楽しい一日にすることを約束するよ」
「……」
しかし、クレアは事前に口を開くなと厳命されているため、エバーからの言葉に返事ができないでいる。
…するとエバーは、その光景をこう認識した。
「(クレア、完全に緊張してしまっているみたいだ…。まぁ、ついの間までの僕も全く同じ状態だったし、気持ちはすごくわかるな…)」
黙り込んでしまうクレアの姿を見てそう分析したエバーは、これをポジティブにとらえることとした。
「これから一緒に食事をするというのに、そんなに緊張してしまっていては楽しむものも楽しめないでしょう!僕がエスコートいたしますから、少し会場を一緒に回ってみませんか?なんでしたら王宮の中もご案内いたしますよ!」
「「っ!?!?!?!?!?」」
逆転の発想ともいえるエバーの言葉だったものの、その内容に反射的に嫌悪感を抱く者が二人…。
「ちょっと待ってくださいエバー様!!それなら私の方がふさわしいことと思います!どうしてお姉様にそこまでされるのですか!!」
「そうですよ!!時間の無駄でしかありません!!」
口をとがらせてそう抗議を始める二人であったものの、エバーはここでようやく二人に対して答え合わせを始める。
「…なるほど、君たち二人はクレアの事をそう認識しているわけか。どうりで話が少しかみ合わないなと思っていた」
「かみ合わない、とは…?」
「ではあえてはっきり言おうか。ミリア、僕が興味があるのはクレアだけなんだよ」
「っ!?!?!?」
「おそらく、君は僕が君の事を想っているものだと勘違いをしていたんだろう?だからさっきもあんな恥ずかしい言葉をぬけぬけと言ってのけることができたのだろう?」
「は、恥ずかしいって…!?」
「ミリア、僕が君とこれまで話をしていたのは、別に君と話がしたかったからではない。君との会話の中では、必然的にクレアの話が多く出てくるだろう?だから僕は君との会話を楽しんでいたし、興味を持っていたんだ」
「っ!?!?!?」
これまでの答え合わせが始まり、ミリアは一気にその立場を悪くしていく。
「僕はずっとずっとクレアの事が気になっていた。けれど、なかなか勇気がでずに話しかけることができないでした。だからこそ今日、君たち家族を丸ごと招待して腹を決めることと覚悟したんだ。そうでもしなければ、勇気が出ないと思ってね」
「そ、そんな…まさか…」
「君に関して良い話は何も聞かない。それは、クレアの表情がずっと暗いことと無関係ではないと思う。詳しいことはこれからクレアに聞かせてもらうことにするけれど、その話の内容次第によっては君たちとの関係は明るいものではないということだけは分かっておいてもらおうか」
「っ!?!?」
最初こそうきうきとした様子で会場に臨んだ3人。
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