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第一章
水簾洞の小猿 《二》
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仙人について
仙人については諸説あるようですが、このお話では私の手持ちの道教の書籍から
◎仙人ランキング
上仙>高仙>大仙>玄仙>真仙>神仙>霊仙>至仙
◎仙人の区別
天仙・地仙・水仙
を参考に、『仙人ランキング + 仙人の区別 ÷ 2』で勝手に分けています。(^o^;)
ちなみに、仙人とは
火に入っても焼けず、水に入っても溺れず、顔や形を自在に変え、姿を隠せ、様々な能力を持っている人
********
悟空は、いつも独りだった。その時時に須菩提がいたとしても、年の近い者がいなかったと言う意味において、悟空はいつも独りだったのだ。
東勝神州は傲来国の沖合いにポツンと浮ぶ火山島、花果山。この花果山の頂きにあった一塊の仙石が長い間陽の気を浴びて、この石が割れて卵を産みそこから孵った赤子、それが孫悟空だった。
その赤子を、たまたま薬の材料を探しに花果山に来ていた玄仙の須菩提が見つけ、赤子一人では生きてはいけまいと面倒を見るようになったのが、悟空と須菩提の出逢いである。
仙人は基本、天上界へとつながる山・須弥山に住んでいる。須弥山は、天上界へとつながる長い階段のある高い高い山だ。そしてそれを取り囲む四つの山が、須弥山の麓と言う位置付けになっている。
その須弥山では仙人の地位に応じて住む場所が決まっており、中央の天上界へとつながる階段のある高い山には天仙と呼ばれる上仙と高仙が、それを取り囲む山には地仙と呼ばれる大仙・玄仙・真仙と、水仙と呼ばれる神仙・霊仙・至仙が住んでいた。そしてその山の一つ、妙高山が須弥山の入り口となっていたのである。
仙人の頂点である上仙は須弥山の中腹より上に住まい、天上界と下界の繋ぎの役目を背負っている。高仙は中腹に暮らすが、地仙は取り囲む山の左手に、水仙は右手に住まいを構えるのが一般的だ。
須菩提は地仙として須弥山に暮らしてはいたが、須弥山を出て各地を回ることも多かった。赤子であった悟空を見つけてからは花果山にも住まいを用意し、悟空を連れ須弥山と花果山を行き来するようになる。
「悟空、謝ってくるのじゃ!!」
「嫌だよ、じいちゃん! なんでオレがあいつらに謝らなくちゃいけないんだよ!!」
「お前は、彼らが必死で作ったものをすべて、粉々にしたのじゃぞ」
「そんなこと知るもんか! あいつら、オレのことを化け物って言った! オレに皆で石を投げて来たんだ!」
「悟空!!」
一人で山を降りれるようになった悟空は、須菩提に内緒で山から降り人里へ行くと、その人里で悪さを繰り返すようになった。その多くは、輝くような琥珀色の髪に火眼金睛と言われる炎を連想させる金色の虹彩を備えた、金色にも時には赤色にも見える眼球の、悟空の見目のせいであったかも知れない。
黒髪黒目しか存在しないこの世界で、多少の色の違いはあれど瑠璃紺色は仏の色、群青色は道教神の色、深碧色は邪神の色、白い髪に赤い睛眸は鬼神の色。では、輝く琥珀色は何者か。
人間に仇なす妖怪達は様々な色合いを持つ、ならば琥珀色の髪と睛眸は悪しき者。人々は里を、女子供達を守るため、手に手に石や武器を持って悟空に投げつけた。それは、何処へ行っても変わらなかった。
須菩提と二人だけで育ってきた悟空にとって、人里の中で子供達が笑いあって駆け回り、無造作に大人達が子供達に差し出す温かい手。無条件で子供を抱き締める両親。どれもこれも、悟空がこれまでに見たこともない光景だった。
だから、あそこに行けば自分もその中に入れてもらえるものだと、ただ単純に悟空は思っていたのだ。だが、走り寄ったその場所で子供達が自分を見つめる恐怖に歪んだ目、つんざくような悲鳴。“妖怪だぁー!! 化け物だぁー!!” と騒ぎだす子供達。それは、悟空にとって衝撃だった。
何もわからぬ幼子が “だれ?” と悟空に近寄ろうとすれば、“近寄るなー!! 出て行けー!!” と悟空に向かって物を投げつける大人達。投げつけられた石が額にあたり、赤紅色とも臙脂色ともわからぬ色の血が流れ出た。それがまた、“やはり人ではない” と人々の恐怖心を誘うのだ。それが、か弱い人間であればこそ。
悟空は、羨ましかったのだ。一緒に遊び回る子供達の楽しげな声、自分にはいるはずもない愛情を注いでくれる両親の姿。楽しそうに立ち話をする人達。そんな僅かに垣間見た人並みの生活が、知らず知らずのうちに悟空の中に憧れにも切望にも似た気持ちを生んだ。そして、それが自分にも手に入れられるものだと思ったのだ。
だが、何処へ行っても何も変わらなかった。何処に行っても、自分は人の輪には入れなかった。そんなことを繰り返すたびに、悟空の中に苛立ちや妬み嫉みに近い感情が生まれ、渦巻いていくようになる。そしてその気持ちを払うように、悟空は暴れた。
悟空は陽の気を受けて生まれたため、陰の気をあまり持たない。その悟空が自分の気持ちに気づくはずもなく、一時暴れればいつもの悟空に戻っていた。
だがそれでも、帰って須菩提に叱られれば “オレは悪くない!” と苛立ち、また人里におりては悪さを繰り返す。そんな悪循環が、続いていたのだ。
その度に、須菩提が人々に頭を下げてまわっていることなど知りもせずに。そしてある日、悟空は暴挙に出る。
「あっはははは、取り戻せるものならやってみろ!! オレに追い付けるならな!!」
東海龍王の龍宮に押し入った悟空は、持ち主の意に従い自在に伸縮すると言われる神珍鉄製の如意金箍棒、雲の上を歩くことができる歩雲履、躑躅色に染め上げられた珍しい防具、そして空を自在に行き来し大きさを変える雲のキン斗雲を奪い取ったのである。
これにより、悟空は花果山だけでなく、多く人間達が住む場所まで行くことになる。
********
時時→その時、その時
孵る→卵がひなや子供になる
面倒→世話
繋ぎ→つなぐこと。また、つなぐもの
虹彩→眼球の角膜と水晶体の間にある輪状の薄い膜。中央の孔が瞳孔で虹彩の伸縮によって瞳孔の開きを調節して眼球内に入る光の量を調節する。色素に富み、その色合いは人種によって特徴がある
見目→顔立ち。見た感じ
瑠璃紺→瑠璃色がかった紺色の意味で、深い紫みの青色
深碧→宝石の緑碧玉(グリーンジャスパー)のような力強く深い緑色
仇なす→敵対したり害を与えたりする
無造作→たやすいこと。容易なこと。また、そのさま。気にせず気軽に行うこと
羨む→他人が自分より恵まれていたり、優れていたりするのを見て、自分もそうなりたいと願うこと。また、自分が他人ほど恵まれていないことを不満に思う
垣間見る→ちらっと見る
憧れ→あこがれること。理想とする物事に強く心から引かれること
切望→熱心に望むこと。たっての願い
妬み嫉み→他人を羨ましく思い、その分だけ憎らしいと思う感情。嫉妬と同義
暴挙→乱暴で無謀な振る舞い
※ここにきてですが、各キャラの衣装や衣装名が少し変わるかもしれません。今までネットで調べて書いていたのですが、今日漢服の資料本が届きまして、すべて中国語なのでまだ詳しくわかりませが、衣装の名も含めてあっているのが朱子深衣だけのような気がするのです。(>_<)
次回更新は4月1日か2日が目標です。
仙人については諸説あるようですが、このお話では私の手持ちの道教の書籍から
◎仙人ランキング
上仙>高仙>大仙>玄仙>真仙>神仙>霊仙>至仙
◎仙人の区別
天仙・地仙・水仙
を参考に、『仙人ランキング + 仙人の区別 ÷ 2』で勝手に分けています。(^o^;)
ちなみに、仙人とは
火に入っても焼けず、水に入っても溺れず、顔や形を自在に変え、姿を隠せ、様々な能力を持っている人
********
悟空は、いつも独りだった。その時時に須菩提がいたとしても、年の近い者がいなかったと言う意味において、悟空はいつも独りだったのだ。
東勝神州は傲来国の沖合いにポツンと浮ぶ火山島、花果山。この花果山の頂きにあった一塊の仙石が長い間陽の気を浴びて、この石が割れて卵を産みそこから孵った赤子、それが孫悟空だった。
その赤子を、たまたま薬の材料を探しに花果山に来ていた玄仙の須菩提が見つけ、赤子一人では生きてはいけまいと面倒を見るようになったのが、悟空と須菩提の出逢いである。
仙人は基本、天上界へとつながる山・須弥山に住んでいる。須弥山は、天上界へとつながる長い階段のある高い高い山だ。そしてそれを取り囲む四つの山が、須弥山の麓と言う位置付けになっている。
その須弥山では仙人の地位に応じて住む場所が決まっており、中央の天上界へとつながる階段のある高い山には天仙と呼ばれる上仙と高仙が、それを取り囲む山には地仙と呼ばれる大仙・玄仙・真仙と、水仙と呼ばれる神仙・霊仙・至仙が住んでいた。そしてその山の一つ、妙高山が須弥山の入り口となっていたのである。
仙人の頂点である上仙は須弥山の中腹より上に住まい、天上界と下界の繋ぎの役目を背負っている。高仙は中腹に暮らすが、地仙は取り囲む山の左手に、水仙は右手に住まいを構えるのが一般的だ。
須菩提は地仙として須弥山に暮らしてはいたが、須弥山を出て各地を回ることも多かった。赤子であった悟空を見つけてからは花果山にも住まいを用意し、悟空を連れ須弥山と花果山を行き来するようになる。
「悟空、謝ってくるのじゃ!!」
「嫌だよ、じいちゃん! なんでオレがあいつらに謝らなくちゃいけないんだよ!!」
「お前は、彼らが必死で作ったものをすべて、粉々にしたのじゃぞ」
「そんなこと知るもんか! あいつら、オレのことを化け物って言った! オレに皆で石を投げて来たんだ!」
「悟空!!」
一人で山を降りれるようになった悟空は、須菩提に内緒で山から降り人里へ行くと、その人里で悪さを繰り返すようになった。その多くは、輝くような琥珀色の髪に火眼金睛と言われる炎を連想させる金色の虹彩を備えた、金色にも時には赤色にも見える眼球の、悟空の見目のせいであったかも知れない。
黒髪黒目しか存在しないこの世界で、多少の色の違いはあれど瑠璃紺色は仏の色、群青色は道教神の色、深碧色は邪神の色、白い髪に赤い睛眸は鬼神の色。では、輝く琥珀色は何者か。
人間に仇なす妖怪達は様々な色合いを持つ、ならば琥珀色の髪と睛眸は悪しき者。人々は里を、女子供達を守るため、手に手に石や武器を持って悟空に投げつけた。それは、何処へ行っても変わらなかった。
須菩提と二人だけで育ってきた悟空にとって、人里の中で子供達が笑いあって駆け回り、無造作に大人達が子供達に差し出す温かい手。無条件で子供を抱き締める両親。どれもこれも、悟空がこれまでに見たこともない光景だった。
だから、あそこに行けば自分もその中に入れてもらえるものだと、ただ単純に悟空は思っていたのだ。だが、走り寄ったその場所で子供達が自分を見つめる恐怖に歪んだ目、つんざくような悲鳴。“妖怪だぁー!! 化け物だぁー!!” と騒ぎだす子供達。それは、悟空にとって衝撃だった。
何もわからぬ幼子が “だれ?” と悟空に近寄ろうとすれば、“近寄るなー!! 出て行けー!!” と悟空に向かって物を投げつける大人達。投げつけられた石が額にあたり、赤紅色とも臙脂色ともわからぬ色の血が流れ出た。それがまた、“やはり人ではない” と人々の恐怖心を誘うのだ。それが、か弱い人間であればこそ。
悟空は、羨ましかったのだ。一緒に遊び回る子供達の楽しげな声、自分にはいるはずもない愛情を注いでくれる両親の姿。楽しそうに立ち話をする人達。そんな僅かに垣間見た人並みの生活が、知らず知らずのうちに悟空の中に憧れにも切望にも似た気持ちを生んだ。そして、それが自分にも手に入れられるものだと思ったのだ。
だが、何処へ行っても何も変わらなかった。何処に行っても、自分は人の輪には入れなかった。そんなことを繰り返すたびに、悟空の中に苛立ちや妬み嫉みに近い感情が生まれ、渦巻いていくようになる。そしてその気持ちを払うように、悟空は暴れた。
悟空は陽の気を受けて生まれたため、陰の気をあまり持たない。その悟空が自分の気持ちに気づくはずもなく、一時暴れればいつもの悟空に戻っていた。
だがそれでも、帰って須菩提に叱られれば “オレは悪くない!” と苛立ち、また人里におりては悪さを繰り返す。そんな悪循環が、続いていたのだ。
その度に、須菩提が人々に頭を下げてまわっていることなど知りもせずに。そしてある日、悟空は暴挙に出る。
「あっはははは、取り戻せるものならやってみろ!! オレに追い付けるならな!!」
東海龍王の龍宮に押し入った悟空は、持ち主の意に従い自在に伸縮すると言われる神珍鉄製の如意金箍棒、雲の上を歩くことができる歩雲履、躑躅色に染め上げられた珍しい防具、そして空を自在に行き来し大きさを変える雲のキン斗雲を奪い取ったのである。
これにより、悟空は花果山だけでなく、多く人間達が住む場所まで行くことになる。
********
時時→その時、その時
孵る→卵がひなや子供になる
面倒→世話
繋ぎ→つなぐこと。また、つなぐもの
虹彩→眼球の角膜と水晶体の間にある輪状の薄い膜。中央の孔が瞳孔で虹彩の伸縮によって瞳孔の開きを調節して眼球内に入る光の量を調節する。色素に富み、その色合いは人種によって特徴がある
見目→顔立ち。見た感じ
瑠璃紺→瑠璃色がかった紺色の意味で、深い紫みの青色
深碧→宝石の緑碧玉(グリーンジャスパー)のような力強く深い緑色
仇なす→敵対したり害を与えたりする
無造作→たやすいこと。容易なこと。また、そのさま。気にせず気軽に行うこと
羨む→他人が自分より恵まれていたり、優れていたりするのを見て、自分もそうなりたいと願うこと。また、自分が他人ほど恵まれていないことを不満に思う
垣間見る→ちらっと見る
憧れ→あこがれること。理想とする物事に強く心から引かれること
切望→熱心に望むこと。たっての願い
妬み嫉み→他人を羨ましく思い、その分だけ憎らしいと思う感情。嫉妬と同義
暴挙→乱暴で無謀な振る舞い
※ここにきてですが、各キャラの衣装や衣装名が少し変わるかもしれません。今までネットで調べて書いていたのですが、今日漢服の資料本が届きまして、すべて中国語なのでまだ詳しくわかりませが、衣装の名も含めてあっているのが朱子深衣だけのような気がするのです。(>_<)
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