PG指定のヤンデレ惨殺乙女ゲームで、攻略対象キャラになってしまった

最上ふう。

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PG指定のヤンデレ惨殺乙女ゲーム

PG指定のヤンデレ惨殺乙女ゲーム

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 それは、何の前触れもなく。唐突に。いきなり訪れた。

 今年度から、貴重な光属性の魔力を持つ少女がロウアーフォーム下の学年に編入してくるらしい、という噂話があることは知っていた。
 何でも、市井で平民として育った彼女は、馬車との接触事故に遭った子供を稀有な光の魔法で癒したことでその力が露見し、領主である男爵が彼女を養子として迎え入れて貴族籍を取得。現地で貴族としての教育を詰め込みで受けた後、今年から貴族だけが籍を置くことを許されているこの学園に編入することになった、とのことだった。

 そんな巷談、耳に入ってきていただけで、特に気に留めていたわけじゃない。ただ、「ああ、そうなんだ。幸運な子だな」ぐらいの認識でしかなかった。


 ──この目で、彼女の姿を見るまでは。


 ふわふわと揺れる、ピンクブロンドの髪。
 淑女にあるまじき、大口を開けて笑う明るい笑顔。
 自分より高位貴族が幅を利かせるこの学園で、身分差などどこ吹く風と言わんばかりの馴れ馴れしい振る舞い。

 視界に入った瞬間、「あ、この子だ」と思った。「主人公ヒロインが入学してきたんだ」、と。
 そこで、「ヒロイン?」と内心で首を傾げた刹那、昔の──所謂、前世の──記憶が一気に脳内を駆け巡り、俺は堪らずよろめいた。
 額に手を当てて、きつく目を瞑る。数秒経って再び目を開けた時には、全てのことを思い出していた。


 ここは、前世、『地球』という世界の『日本』という国でやったことのある乙女ゲーム、『Bloody Sanctuary』──通称『ブラサン』──の中の世界。
 剣と魔法のファンタジーな世界線で、ミーリアという名の平凡な──といいつつビジュは良い──少女が、光属性の魔力持ちであることを見出されて貴族の仲間入りをし、貴族学校で様々なイケメンと絆を深めつつ多くの困難を乗り越え、最終的にはそのうちの誰かと恋に落ちて結ばれエンディングを迎えるという、一見王道の恋愛シミュレーションゲームだ。

 しかし、このゲームは一筋縄ではいかないのが売りだった。
 攻略の難易度が高いだけではなく、登場人物がとにかく死にまくる。ちょっと選択肢を誤っただけで死。人選をミスっただけで死。浮気したら死。正規ルートでも死。死、死、死、屍の山。
 その上、乙女ゲなのにそこまでする必要があるか? というレベルでグロく、残酷な死に様で、更にはヤンデレ要素も満載という、当然のようにPG指定されていた程の残虐鬱ゲームなのだ!

──そんな最悪なゲームの中に、俺は転生していた……だと!? もっと言うと、そのゲームの攻略対象の中の一人が、俺だった、ってコト!?

 驚愕の展開に震えそうになる足を叱咤した俺は、すぐさま踵を返し、宿舎の自分の部屋へと取って返すのだった。
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