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第16 サポート役ですから…? 1
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リオネル様に連れられて広間に足を踏み入れたとたん、ざわめきが小さく起きていた。
いままで女性との噂が立ったことがなかったリオネル様だけに、同伴の私に対して興味を持っているのだろう。さまざまな目が向けられていた。
「大丈夫だ、気にするな」
傷に負担にならないように手を添えていた私の掌に、リオネル様の左手が重なってくる。その温かさに励まされるように私はまた一歩踏み出した。
もちろん招待客のすべてではない。それでもこの場にいた一部の客が不躾なほどジロジロと好奇の眼差しを向けている。
だけどしばらく眺めた後はその同伴者の正体が、ブランシャール家の娘だと気が付いたのだろう。私を見ていた目が不快そうに歪んでいく。
いくら大きな商会を経営しているとはいえ、我が家は男爵家にすぎなかった。しかも、もともとカナトス領内で手広く商いを行う商人だったところ、先の戦争で食料補給路の確保の功績から爵位を得ただけなのだ。
我が家より上位の爵位を持つ家には、そのことを好ましく思わずに、成金のくせにエラぶって、と口さがなく言う者がいることも知っている。
だけどそんな不愉快そうな顔を向けていた者達も、リオネル様の吊された右腕を認識したのだろう。
しかめられていた顔が、にやにやと意地悪い笑みへと変わっていった。
「リオネル様!…と、ブランシャール男爵令嬢。ようこそおいで下さいました」
そしていまホストとしてリオネル様へ嬉しそうに声をかけたレヴァスト子爵家の令嬢エディス様もたしか、我が家を快く思っていないお一人だった。
爵位が上であるエディス様にエレンも何も言い返せないことが多いのだろう。よくエディス様も招待されているパーティーへは出席を渋っている姿を見かけていた。
いまだってリオネル様と私では、向けられる笑顔や声に差があるのだ。それはささいな差なのかもしれない。でも向けられた者にとっては小さなトゲがチクチクと刺さり続けているような感覚だった。
「カナトス卿、本日は我が家の舞踏会へご参加頂きありがとうございます」
不意に聞こえたもうひとつの声にリオネル様がそちらの方を振り返る。そこには口元に髭を蓄えた小太りのレヴァスト子爵が立っていた。
「とんでもない。なかなか盛況のようで何よりだ。今日はあまり長居はできないが、楽しませてもらおう」
「お早めのお帰りとなる予定なのですか?」
大げさなほど大きくなった声は本気で驚いているのか、演技なのかが分からなかった。でもその声に周りで歓談していた人々の視線がこちらへ向いたようだった。
「まぁ、このケガの状態だからな」
「なるほど、確か3ヶ月ほど前の事故だとお伺いしましたが」
レヴァスト子爵の視線がチラッと私の方を向いたようだった。その視線に私が思わず下を向く。そんな私の手をもう1度リオネル様の手がキュッと握った。
「それよりも、以前お話しした者が今日の舞踏会へ参加すると伺ったのだが」
「あぁ、もういらっしゃっております!さぁ、こちらへ!!」
誘導されるリオネル様へ連れ添って私も歩き出そうと顔を上げた。だけどそんな私に少し困ったような笑顔をリオネル様が向けていた。
「レナ、悪いが少しテラスで待っていてもらえないか?」
「かしこまりました」
リオネル様のサポートの為にご一緒している立場なのだ。不要だとリオネル様自身が判断してしまえば、それに従うだけだった。
そのまま立ち去る姿を見送っていた私の耳に、クスッと小馬鹿にするような笑い声が聞こえてくる。
いままで女性との噂が立ったことがなかったリオネル様だけに、同伴の私に対して興味を持っているのだろう。さまざまな目が向けられていた。
「大丈夫だ、気にするな」
傷に負担にならないように手を添えていた私の掌に、リオネル様の左手が重なってくる。その温かさに励まされるように私はまた一歩踏み出した。
もちろん招待客のすべてではない。それでもこの場にいた一部の客が不躾なほどジロジロと好奇の眼差しを向けている。
だけどしばらく眺めた後はその同伴者の正体が、ブランシャール家の娘だと気が付いたのだろう。私を見ていた目が不快そうに歪んでいく。
いくら大きな商会を経営しているとはいえ、我が家は男爵家にすぎなかった。しかも、もともとカナトス領内で手広く商いを行う商人だったところ、先の戦争で食料補給路の確保の功績から爵位を得ただけなのだ。
我が家より上位の爵位を持つ家には、そのことを好ましく思わずに、成金のくせにエラぶって、と口さがなく言う者がいることも知っている。
だけどそんな不愉快そうな顔を向けていた者達も、リオネル様の吊された右腕を認識したのだろう。
しかめられていた顔が、にやにやと意地悪い笑みへと変わっていった。
「リオネル様!…と、ブランシャール男爵令嬢。ようこそおいで下さいました」
そしていまホストとしてリオネル様へ嬉しそうに声をかけたレヴァスト子爵家の令嬢エディス様もたしか、我が家を快く思っていないお一人だった。
爵位が上であるエディス様にエレンも何も言い返せないことが多いのだろう。よくエディス様も招待されているパーティーへは出席を渋っている姿を見かけていた。
いまだってリオネル様と私では、向けられる笑顔や声に差があるのだ。それはささいな差なのかもしれない。でも向けられた者にとっては小さなトゲがチクチクと刺さり続けているような感覚だった。
「カナトス卿、本日は我が家の舞踏会へご参加頂きありがとうございます」
不意に聞こえたもうひとつの声にリオネル様がそちらの方を振り返る。そこには口元に髭を蓄えた小太りのレヴァスト子爵が立っていた。
「とんでもない。なかなか盛況のようで何よりだ。今日はあまり長居はできないが、楽しませてもらおう」
「お早めのお帰りとなる予定なのですか?」
大げさなほど大きくなった声は本気で驚いているのか、演技なのかが分からなかった。でもその声に周りで歓談していた人々の視線がこちらへ向いたようだった。
「まぁ、このケガの状態だからな」
「なるほど、確か3ヶ月ほど前の事故だとお伺いしましたが」
レヴァスト子爵の視線がチラッと私の方を向いたようだった。その視線に私が思わず下を向く。そんな私の手をもう1度リオネル様の手がキュッと握った。
「それよりも、以前お話しした者が今日の舞踏会へ参加すると伺ったのだが」
「あぁ、もういらっしゃっております!さぁ、こちらへ!!」
誘導されるリオネル様へ連れ添って私も歩き出そうと顔を上げた。だけどそんな私に少し困ったような笑顔をリオネル様が向けていた。
「レナ、悪いが少しテラスで待っていてもらえないか?」
「かしこまりました」
リオネル様のサポートの為にご一緒している立場なのだ。不要だとリオネル様自身が判断してしまえば、それに従うだけだった。
そのまま立ち去る姿を見送っていた私の耳に、クスッと小馬鹿にするような笑い声が聞こえてくる。
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