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レイ視点

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幼い頃、僕は不吉な黒髪の子と呼ばれていた。
いや、今も言われているかもしれないが、目の前で堂々と言われなくなった。

今の僕には、公爵家の子息という地位、高い魔力の二つがあるから。

ただ、幼い僕には地位も魔力も無かったし、親に愛された記憶も無かった。

あるのは虐められた記憶だけ。

その状態で自分のことを愛せると思う?

ある日突然魔力が出現し、暴走した。
体内で暴走していたため、とても苦しく、僕はこのまま死ぬのかなと思った。

誰からも必要とされない、愛されない僕は死んでもいいかな、なんて思っていた。

奇跡的に助かった時にはなんでまだ生きてるんだろうって。

まあ、生きていたお陰で大好きなリリアナに会えたんだけど。

僕は高い魔力を持っているという理由から、公爵家へ引き取られることとなった。

引き取られ先で出会ったのは公爵のカイザー様に美しいリーナ様、その娘であるとても愛らしいリリアナだった。

幸せそうな家族だった。
こんな僕を受け入れてくれるのだろうか。

不安だった僕にリリアナは声をかけてくれた。

「レイ、これからよろしくね」

「リリアナ様...こちらこそよろしくお願いします」

声が震えた。
名前を呼んでいいのかわからなかったから。

「様も敬語もいらないわ。だって私たちもう家族なのだから」

家族だと言ってもらえた事が嬉しくて涙がポロポロと溢れた。
それに慌てるリリアナ。

「私、何か変なこと言ったかしら?ごめんなさいっ」

「いえ...嬉しくて」

急に泣いたりして嫌われるかも、と思ったが、そんなことはなかった。
リリアナは優しく抱きしめてくれた。

その時から僕は優しいリリアナの事が大好きになった。

リリアナのことを知っていく度、僕はより好きになっていった。

頑張り屋なところ、ちょっとドジなところ、どれもが愛しいと思った。

それが恋愛感情だと気付いたのは、第一王子との婚約が決まった日。

リリアナが嬉しそうに話してくれるのに、僕は胸がズキズキと痛んだ。
第一王子じゃなくて、僕と婚約して欲しい...そう思った時、これは恋だと気付いた。

その後、第一王子の心無い仕打ちによって婚約破棄になる。

僕はリリアナが幸せであるなら、この気持ちは抑えていようと思っていた。
でも、そうで無いなら抑える必要ないよね?

僕がリリアナを幸せにするんだ。

義父とリリアナを説得して、無事婚約まで出来ることとなった。
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