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しおりを挟むお腹から血を出してる兎。
放って置いたら死んじゃうかもしれない。
「怪我の手当てをするから、そこにいるのよ」
走って手当ての道具を取りにいく。
子爵家には貧乏すぎて使用人がいない。
だから自分の怪我は自分で手当てしていた。
「兎さーん。ちょっと痛いかもしれないけれど、薬を塗るわ」
弱っているせいか、抵抗する力もないようだ。
「...っ」
痛そうに目をキュッと瞑る兎。
なるべく優しく手当てしよう。
包帯を巻き終わると兎を部屋へ持って行く。
あのままにしておいたら食べられてしまうかもしれなかったから。
せめて元気になるまでは...。
毛布で作った寝床にそっと置く。
兎はそのまま眠っていった。
「王宮に連れて行けるのかしら...?」
使用人がいない子爵家に置いておくわけにもいかない。
お父様とお母様は執務で忙しいし。
「行く前に聞いてみよう」
王宮からの使者に聞けば判断してくれるはず。
もし無理だったら、お母様に兎が元気になる間だけお願いしよう。
情が深い人だから、きっと引き受けてくれる。
私は翌日に備えてぐっすりと寝た。
朝日が差し込む。
春とは言え、朝はまだ冷えている。
「うう、寒い」
そう呟きながら、兎の様子を見る。
うん、昨日より状態がいい。
薬のおかげね。
「お腹が減るわよね、何か持ってくるから待っててちょうだい」
兎は人参やキャベツを食べるのかしら?
細かく切って...と。
人参とキャベツ、白菜を入れたおかげで彩豊かになった。
とても健康に良さそうね。
「どうぞ」
差し出すが、野菜の匂いを嗅ぐだけだ。
お腹が減ったら食べるでしょうと放って置いて、私は支度を始めた。
見られてたら食べ辛いと思うから。
青い色のドレスを選ぶ。
第一王子の瞳の色が青色だからだ。
社交界では婚約者の瞳の色と似たドレスを着る令嬢が多いらしい。
形だけとはいえ、婚約者なのだからそうするべきよねと選んだ。
髪には幼い頃に貰ったバレッタを付けて、それ以外は特別何もしない。
不器用だから、凝った髪型が出来ないのだ。
支度が終わって、ちらりと兎をみると食べ終わっていた。
いつの間に!?
でも、食べてくれて良かった。
「兎さん、持つわよ」
持ち上げて、玄関へ移動する。
既に馬車は来ていた。
「リナベル、手に持っているのは何!?」
見送りに来てくれたお母様は目を丸くする。
「お母様。兎が怪我をしていたので、手当てしました。元気になるまでの間だけお世話しようかと思っています。使者の方、兎を連れて行くことは可能ですか?」
「構いませんよ」
良かった...。
「リナベル。兎は驚いたけれど、しっかりとお世話するのよ。王妃教育もこなすこと。...辛い時があれば戻ってきていいから」
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