第一王子の婚約者になりました!?あくまで契約です

ゆう

文字の大きさ
3 / 3

3

しおりを挟む


お腹から血を出してる兎。
放って置いたら死んじゃうかもしれない。

「怪我の手当てをするから、そこにいるのよ」

走って手当ての道具を取りにいく。

子爵家には貧乏すぎて使用人がいない。
だから自分の怪我は自分で手当てしていた。

「兎さーん。ちょっと痛いかもしれないけれど、薬を塗るわ」

弱っているせいか、抵抗する力もないようだ。

「...っ」

痛そうに目をキュッと瞑る兎。
なるべく優しく手当てしよう。

包帯を巻き終わると兎を部屋へ持って行く。
あのままにしておいたら食べられてしまうかもしれなかったから。

せめて元気になるまでは...。

毛布で作った寝床にそっと置く。
兎はそのまま眠っていった。

「王宮に連れて行けるのかしら...?」

使用人がいない子爵家に置いておくわけにもいかない。
お父様とお母様は執務で忙しいし。

「行く前に聞いてみよう」

王宮からの使者に聞けば判断してくれるはず。

もし無理だったら、お母様に兎が元気になる間だけお願いしよう。
情が深い人だから、きっと引き受けてくれる。

私は翌日に備えてぐっすりと寝た。

朝日が差し込む。
春とは言え、朝はまだ冷えている。

「うう、寒い」

そう呟きながら、兎の様子を見る。

うん、昨日より状態がいい。
薬のおかげね。

「お腹が減るわよね、何か持ってくるから待っててちょうだい」

兎は人参やキャベツを食べるのかしら?
細かく切って...と。

人参とキャベツ、白菜を入れたおかげで彩豊かになった。
とても健康に良さそうね。

「どうぞ」

差し出すが、野菜の匂いを嗅ぐだけだ。

お腹が減ったら食べるでしょうと放って置いて、私は支度を始めた。
見られてたら食べ辛いと思うから。

青い色のドレスを選ぶ。
第一王子の瞳の色が青色だからだ。

社交界では婚約者の瞳の色と似たドレスを着る令嬢が多いらしい。
形だけとはいえ、婚約者なのだからそうするべきよねと選んだ。

髪には幼い頃に貰ったバレッタを付けて、それ以外は特別何もしない。
不器用だから、凝った髪型が出来ないのだ。

支度が終わって、ちらりと兎をみると食べ終わっていた。
いつの間に!?
でも、食べてくれて良かった。

「兎さん、持つわよ」

持ち上げて、玄関へ移動する。
既に馬車は来ていた。

「リナベル、手に持っているのは何!?」

見送りに来てくれたお母様は目を丸くする。

「お母様。兎が怪我をしていたので、手当てしました。元気になるまでの間だけお世話しようかと思っています。使者の方、兎を連れて行くことは可能ですか?」

「構いませんよ」

良かった...。

「リナベル。兎は驚いたけれど、しっかりとお世話するのよ。王妃教育もこなすこと。...辛い時があれば戻ってきていいから」




しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

転生したら4人のヤンデレ彼氏に溺愛される日々が待っていた。

aika
恋愛
主人公まゆは冴えないOL。 ある日ちょっとした事故で命を落とし転生したら・・・ 4人のイケメン俳優たちと同棲するという神展開が待っていた。 それぞれタイプの違うイケメンたちに囲まれながら、 生活することになったまゆだが、彼らはまゆを溺愛するあまり どんどんヤンデレ男になっていき・・・・ ヤンデレ、溺愛、執着、取り合い・・・♡ 何でもありのドタバタ恋愛逆ハーレムコメディです。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。 ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

日常的に罠にかかるうさぎが、とうとう逃げられない罠に絡め取られるお話

下菊みこと
恋愛
ヤンデレっていうほど病んでないけど、機を見て主人公を捕獲する彼。 そんな彼に見事に捕まる主人公。 そんなお話です。 ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...