義兄が溺愛してきます

ゆう

文字の大きさ
21 / 25

教育実習生

しおりを挟む

「ひど~い、凛のことは特別なのになぁ」

「あのなぁ」

凛が口を出そうとするとチャイムが鳴った。
話を中断して教室に駆け込む。
うげ、先生もういるじゃん……。
また叱られる、と思った。

「はぁ、早く席に着け」

あれ?叱られないってことは、何かあるのかな。
口々に返事をして席に着く。

「今日から教育実習生が1人来ることになった。入って」
 
「九重梓です。今日から2週間よろしくお願いします」

まじか。
転校生の次に教育実習生って、せわしないな。
瑠衣の時には男子がざわめいていたが、今度は女子がざわめく。
容姿端麗だったからだ。
天然なのかパーマのかかった髪にこげ茶色の目。
チャラそうな見た目。

「「はあ!?」」

声を上げたのは凛と瑠衣だった。
九重先生は2人に対して満面の笑みを見せる。

「久しぶりですね、2人とも」

「「……」」

2人は苦い顔をして背ける。
知り合いなのは分かるが、関わり合いたく無い様子。

「海崎たち知り合いだったのか。色々教えてやってくれ」

「お願いします」

ぺこりと頭を下げる九重先生。
優しくていい人そうに見えるんだけどな。

放課後。
凛と瑠衣、九重先生、それから何故か俺が案内することになった。
何で関係の無い俺が……、それに貴重な放課後が……。
それもこれも、俺もと指名した九重先生にある。

「初めまして、桜木恋くん」

もう覚えたのか、偶然名簿を見たのか、名前を呼ばれる。

「はあ、初めまして。俺、帰っていいですか?案内には凛と瑠衣がいるし……」

「ダメです。貴方がいるとより面白くなりそうなので」

面白そう……?意味がわからない。
優しくていい人そうという第1印象は早くも崩れかけている。

「恋は関係ねぇだろ!九重」

「寂しいですね、幼い頃は梓くんと慕ってくれていたのに」

「慕ってねーし!名前はお前が言わせたんだろ」

あの犬にしか怖がらない凛が怖がっていながらも、九重先生に対して歯向かっている。
それに何を思ったのか九重先生が凛に近づく。
あの瑠衣が止めてくんないかな。
人頼みで悪いけど、怖い面がある瑠衣が一言いったら済むと思う。
瑠衣の方を見ると、顔を青ざめて立ち尽くしていた。
仕方ない、凛の前に立つ。

「凛が嫌がってます。これ以上近づかないでください」

「恋くん?貴方は関係ないでしょう」

「関係あります!俺は凛の親友ですから!」

親友が怖いと思っている相手からは俺が守るし。
って言っても、まだ凛とは親友に戻れてないのかもだけど。
それでもいい。
俺が親友だと思っているだけ。

「恋……」

「なるほど。分かりました。今日はもう帰っていいですよ。案内の続きはまた明日にでも」

案外あっさりと解放して貰えた。
すれ違う際、九重先生が凛の耳元で何かを話す。

「桜木恋……あなたの好きな相手ですね。これから楽しめそうです」

「なっ!」

ぼそぼそと話していたので聞こえなかったが、凛の腕を引っ張り玄関へと行く。
どうせいい内容じゃないことは凛の表情を見れば分かる。




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】

三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。 皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。 涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥ 上司×部下BL

【完結】自称ワンコに異世界でも執着されている

水市 宇和香
BL
「たとえ異世界に逃げたとしたって、もう二度と逃さないよ」 アザミが高校二年生のときに、異世界・トルバート王国へ転移して早二年。 この国で二十代半ばの美形の知り合いなどいないはずだったが、 「キスしたら思いだしてくれる? 鳥居 薊くん」 その言葉で、彼が日本にいたころ、一度だけキスした同級生の十千万堂 巴波だと気づいた。 同い年だったはずのハナミは、自分より七つも年上になっていた。彼は王都から辺境の地ーーニーナ市まではるばる、四年間もアザミを探す旅をしていたらしい。 キスをした過去はなかったこととして、二人はふたたび友人として過ごすようになった。 辺境の地で地味に生きていたアザミの日常は、ハナミとの再会によって一変し始める。 そしてこの再会はやがて、ニーナ市を揺るがす事件へと発展するのだった…! ★執着美形攻め×内弁慶な地味平凡 ※完結まで毎日更新予定です!(現在エピローグ手前まで書き終わってます!おたのしみに!) ※感想や誤字脱字のご指摘等々、ご意見なんでもお待ちしてます! 美形×平凡、異世界、転移、執着、溺愛、傍若無人攻め、内弁慶受け、内気受け、同い年だけど年の差

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

αからΩになった俺が幸せを掴むまで

なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。 10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。 義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。 アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。 義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が… 義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。 そんな海里が本当の幸せを掴むまで…

僕の王子様

くるむ
BL
鹿倉歩(かぐらあゆむ)は、クリスマスイブに出合った礼人のことが忘れられずに彼と同じ高校を受けることを決意。 無事に受かり礼人と同じ高校に通うことが出来たのだが、校内での礼人の人気があまりにもすさまじいことを知り、自分から近づけずにいた。 そんな中、やたらイケメンばかりがそろっている『読書同好会』の存在を知り、そこに礼人が在籍していることを聞きつけて……。 見た目が派手で性格も明るく、反面人の心の機微にも敏感で一目置かれる存在でもあるくせに、実は騒がれることが嫌いで他人が傍にいるだけで眠ることも出来ない神経質な礼人と、大人しくて素直なワンコのお話。 元々は、神経質なイケメンがただ一人のワンコに甘える話が書きたくて考えたお話です。 ※『近くにいるのに君が遠い』のスピンオフになっています。未読の方は読んでいただけたらより礼人のことが分かるかと思います。

余命半年の俺を、手酷く振ったはずの元カレ二人が手を組んで逃がしてくれません

ユッキー
BL
半年以内に俺は一人寂しく死ぬ。そんな未来を視た。きっと誰も悲しむ人は居ないだろう。そう思っていたから何も怖くなかった。なのにそんな俺の元に過去手酷く振り、今では世界的スターとなった元カレ二人がやってきた。彼らは全てを知っていた。俺がどうして彼らを振ったのか、そして俺の余命も。 全てを諦めた主人公と、主人公を諦めきれないイケメンサッカー選手とシンガーソングライターの再会が導く未来は?

発情期のタイムリミット

なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。 抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック! 「絶対に赤点は取れない!」 「発情期なんて気合で乗り越える!」 そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。 だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。 「俺に頼れって言ってんのに」 「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」 試験か、発情期か。 ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――! ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。 *一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。

処理中です...