22 / 25
怖い人
しおりを挟む九重先生の姿が見えなくなってから瑠衣が口を開く。
「ちっ!なんで来たのよ、あいつ。てか、その手離せば」
確かに。もう九重先生からは遠ざかったし、凛の腕を離しても大丈夫だ。
ぱっと凛の腕を話す。
「凛と瑠衣は怖がってたけど、そんなに怖い人なのか」
「怖いに決まってるの、私たちは。だってあの人に虐められていたんだから!」
凛と瑠衣が?
凛の方を思わず見ると、顔をそらされた。
「……本当なら、俺が直接言う。凛と瑠衣に近づくなって」
「恋は!関わらなくていいから!」
これまで黙っていた凛が声を上げる。
「でも」
「関係ないだろ。俺はもう親友だと思ってない」
ズキっと胸が痛む。
凛が親友だと思っていなくても、俺にとって凛は親友だし、助けたい。
これって俺のエゴだよね。
「分かった。じゃあ帰る」
俺は凛ではなく翔を選んだのだから、自分勝手に行動するのは良くない。
勝手に凛が望んでいないのに行動するだなんて。
助けたいという気持ちは勿論あるけど。
2人と別れて、帰路に着く。
「……おかえり、恋」
暗い面持ちの翔。
そうだ、今日学校で付き合っていることを再度打ち明けようとしたら、翔が遮ったんだった。
「ただいま」
俺と付き合うのが翔にとってそんなに恥ずかしいことなのか、聞こう。
「翔、あのさ……」
「恋、話が」
丁度声が被ってしまう。
「翔から言って。多分同じことだし」
「うん、俺たちが付き合っていることは秘密にしといた方がいいと思うんだ」
「なんで?」
「恋が傷つけられる可能性が高いから。赤坂さんと付き合った時に水掛けられてたの、恋もその場で見てたでしょ」
「……俺と付き合っているのが恥ずかしいからは一切ない?」
「は?ないに決まってる。俺は恋が傷つくことが「良かったぁー!」」
翔の言葉を遮り、安堵の言葉を口にする。
俺が傷つくことが怖いだけだったなんて。
「そんなの、全然平気。翔が付いてるし」
「俺はいつでも助けれるヒーローじゃないんだけど」
「それでも!俺は平気だって。翔が傍にいてくれるならね」
軽く言うと胡乱げな目をして見てくる翔。
「……恋の平気は信用ならない。付き合っていることは絶対秘密にする。知られるにしても、自分たちから広める必要は無いでしょ」
「それはそうだけど」
「じゃあ、付き合っていることは秘密にしていく方向で、ね?」
翔の圧力を感じる笑顔でこの話は打ち切られた。
その後、夕食を取りお風呂に入って布団に入った。
あーー。
明日から不安だ。
瑠衣から話を聞いた限りなんか厄介そうな匂いするし。
凛と瑠衣が虐められていたって話が本当だったなら、また何かされるかもしれない。
だけど凛からは関わらなくていいからって言われたから、俺は手出し出来ない。
はあと心の中でため息をついて眠りに入った。
次の日、俺は強制的に巻き込まれることとなる。
20
あなたにおすすめの小説
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
【完結】自称ワンコに異世界でも執着されている
水市 宇和香
BL
「たとえ異世界に逃げたとしたって、もう二度と逃さないよ」
アザミが高校二年生のときに、異世界・トルバート王国へ転移して早二年。
この国で二十代半ばの美形の知り合いなどいないはずだったが、
「キスしたら思いだしてくれる? 鳥居 薊くん」
その言葉で、彼が日本にいたころ、一度だけキスした同級生の十千万堂 巴波だと気づいた。
同い年だったはずのハナミは、自分より七つも年上になっていた。彼は王都から辺境の地ーーニーナ市まではるばる、四年間もアザミを探す旅をしていたらしい。
キスをした過去はなかったこととして、二人はふたたび友人として過ごすようになった。
辺境の地で地味に生きていたアザミの日常は、ハナミとの再会によって一変し始める。
そしてこの再会はやがて、ニーナ市を揺るがす事件へと発展するのだった…!
★執着美形攻め×内弁慶な地味平凡
※完結まで毎日更新予定です!(現在エピローグ手前まで書き終わってます!おたのしみに!)
※感想や誤字脱字のご指摘等々、ご意見なんでもお待ちしてます!
美形×平凡、異世界、転移、執着、溺愛、傍若無人攻め、内弁慶受け、内気受け、同い年だけど年の差
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
ハッピーライフのために地味で根暗な僕がチャラ男会計になるために
ミカン
BL
地味で根暗な北斗が上手く生きていくために王道学園でチャラ男会計になる話
※主人公へのいじめ描写ありのため苦手な方は閲覧ご注意下さい。
αからΩになった俺が幸せを掴むまで
なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。
10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。
義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。
アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。
義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が…
義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。
そんな海里が本当の幸せを掴むまで…
【完結】まずは結婚からで。〜出会って0日、夫夫はじめました〜
小門内田
BL
ドケチで貧乏な大学生の瀧本 純也は、冷徹御曹司の諏訪 冬悟に交際0日、いや、初対面で結婚を迫られる!?
契約から始まった奇妙な結婚生活は、次第に互いの心を少しずつ変えていく。
“契約から本物へ―”
愛を知らない御曹司×愛されたがりの大学生の、立場も性格も正反対な二人が、不器用に心を通わせていく、ドタバタあり、じんわり甘い、ゆるやかな日常BL。
※最初は少し殺伐としていますが、ゆっくりと変化していく物語です。
※男同士の結婚が、一般的な世界線となります。
※関係性をわかりやすくするため、「嫁」や「妻」といった表現を使用しております。
※同タイトルのpixiv版とは、加筆・修正しておりますので、若干内容が変わっております。
予めご了承ください。
※更新日時等はXにてお知らせいたします
僕のユニークスキルはお菓子を出すことです
野鳥
BL
魔法のある世界で、異世界転生した主人公の唯一使えるユニークスキルがお菓子を出すことだった。
あれ?これって材料費なしでお菓子屋さん出来るのでは??
お菓子無双を夢見る主人公です。
********
小説は読み専なので、思い立った時にしか書けないです。
基本全ての小説は不定期に書いておりますので、ご了承くださいませー。
ショートショートじゃ終わらないので短編に切り替えます……こんなはずじゃ…( `ᾥ´ )クッ
本編完結しました〜
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる