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九重先生の目的は?
しおりを挟む俺と凛は冊子を抱えて化学準備室を出た。
九重先生は凛の答えを聞けて満足したようだ。
「くそっ...!」
「凛...」
何で声をかければいいか、分からなかった。
俺を解放するために凛は条件を呑んだのだから。
「大丈夫だから、恋はもう関わらないでくれ。...お願いだから」
やっぱり凛は優しい。
こんな時まで俺のことを考えてくれるなんて。
俺に出来ることは本当に何もないのだろうか。
うーん...。
忠告してくれた凛には申し訳ないけれど、取り敢えず九重先生を見張っていよう。
凛に何かある方が嫌だから。
教室に持って行った冊子を人数分配り終える。
化学の授業で先生の話を聞きながら、研究の目的を書き写す。
ふと疑問に思った。
九重先生の目的って何だろう。
凛と瑠衣を虐めていたと聞いたけれど、理由もなくそんなことをするのか?
どちらかというと凛に執着しているように思った。
授業中に考えても答えは出なかったけど。
「海崎くん、放課後冊子作りを手伝ってくれますか?」
「...はい」
九重先生のお願いに凛は大人しく従う。
冊子作りの他にも変なことさせられるんじゃ...。
放課後、見張っていると二人はホッチキス留めをしているだけだった。
胸を撫で下ろす。
胸を撫で下ろして間も無く、手を握り始めた。
凛の手に九重先生が手を絡ませて...ってダメだろ!
会話までは聞こえないが、凛は手を離したそうに顔を顰めている。
「...!」
我慢ができなくなり、止めようとした僕の口を手で塞いだのは翔だった。
腕を引っ張られて、人のない隣の教室へ連れられる。
「なんで!」
翔が居ることも、なぜ止めたのかも分からない。
「恋は一人で突っ走るから止めたんだよ。何か悩んでいることは分かっていたし」
怒っている俺に対して翔は冷静だった。
「止めるべきじゃないってこと?凛は親友なんだよ!」
「...俺はずっと恋が好きで拗らせていたからわかる。九重先生は海崎凛を傷つけることはしない」
「だって、瑠衣が虐められていたって...!」
「具体的にどんなことをされたか聞いた?心や体を傷つけることはしないよ、きっと。好きな相手ならね」
「......え?」
九重先生の好きな相手が凛?
今までの行動を振り返る。
多少虐めていた部分はあれど、本気で傷つけようという意志は感じなかったような。
好きな相手ほど虐めたくなるってこと?
意味わからない!
そんなの嫌われるだけだと思うし、好意を表して好きだと伝えればいいのに。
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