オオカミ獣人にスローライフの邪魔される ツンデレはやめてくれ!

さえ

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1章スローライフ準備編

40 迷宮D (アセナ視点)

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腹が立ったのか、あれがどういう感情だったのかは今となってはわからない。
勢いに任せて自宅を出て、ギルドに張り出されていた最高難易度の迷宮の攻略クエストを受けてしまった。
ギルドからは村で一番強い人に死なれたら困るだのなんだの言われたが知ったこっちゃない。

思い出したくない記憶ではあるが、狼獣人族の慣習に伴侶には実力を示せみたいなのがあったか?
あぁ、そんなのでアイツをオレのもんにできるなら容易いさ。

でもいい。生きて帰れるかわからないが、この迷宮をクリアしたら名誉が、お金が、多少の乱暴をしても許されるぐらいの権力が手に入るだろう。
死んだら死んだで別にいい。アイツ無しにどうでもいい人生なんて送りたくない。迷宮ならオレらしい死に方もできる。

行き慣れた北の森。いつも通る時は行きは歩き、帰りは商人の荷台に座っている。今回は帰りも歩きだなぁなんて思っていた頃には地図に描かれた迷宮に来ていた。







ひっきりなしに襲ってくるモンスターには時間はかかるが、苦戦するほどでもなかった。
階層主を殺せばその部屋は安全な休憩ポイントになる。

ただ、迷宮の脅威はモンスターだけではない。気候や地形も厄介な要素の一つとなる。





迷宮の本番は第三階層のボスからだった。

自分の横スレスレを通る攻撃に、逆に自分の攻撃が当たらない感覚。やっと冒険らしくなってきた。少なくともこの状況を楽しめるぐらいの余裕はまだある。

ミノタウロスのクッセェ血を避けてトドメを刺した。


第四階層

相変わらずボス以外は数が厄介なだけで、強さはあんまりだ。

暑い。さっきの階層は寒かったが、この階層は暑い。動けば動いた分だけの発熱がまた鬱陶しい。


でもダラダラ歩いていたらワラワラとモンスターが集まってくる。此処はスムーズにボスの部屋に直行すべきだろう。


無視してボスの部屋に飛び込んでやった。


「今度はどんなのがお出迎えしてくれやがる?」

ゴゴゴ

今までの階層主とは違って地面から現れる。

虫。

ファイアワームってところか。
火のブレスだったり、とにかく暴れて火の粉を飛ばしまくったりと厄介ではある。
通常であればアセナレベルになるとそれほど問題にならない。


「ガァァァ」

「おいおい、ファイアワームがなくなんて聞いたこと、、、」
話している時に、意識が何か別のところへ持っていかれるような感覚に襲われる。

自分で頬をビンタしてなんとか戻ってきたが、鳴き声にはそういう効果があるのかもしれない。

ならば早めにトドメを刺すのみ。

背中から短剣を差し込めば、いくら大きなワームでも魔石に届くはずだ。

背後へ周り、首に当たるその部分に剣の狙いを定める。

あと3メートル、その時に剣を投げればよかったのかもしれないが、回避の方が優先された。
巨大ワームの巨大な毛穴から火柱が立った。

咄嗟に身体を捻って着地点を変えたが、攻撃しそびれた。


「ガァァァァァァ」
クソッ脳に、、、


『お世話になった。借りはいつかちゃんと返します』
高くなる心拍数

『今日中には荷物をまとめて出ます。この村にはいると思うのでこれからもよろしくお願
『なんでだよ』
え?』
訳の分からない焦りと後悔。


「嫌な記憶を思い出させるなぁ、おい。でもこの記憶は此処にくるキッカケになったやつだから効かねーよ!」

持っていた氷の魔剣で氷柱を生み出した。
ワームは持ち前の火力で氷柱を小さくしたようだが、幾つかは刺さったようだ。
氷が刺さったなら火を扱うモンスターとしては死活問題だろう。

体内で溶ければそれだけで毒のような役割を果たすだろう。




「ガァァァァァァォォォァァァ」
また来る。惑わされるなと自分に喝を、、、

「アセナ!!」

もうダメそうだ。


「ははは、ついに幻覚まで見えてくらぁ」


ワームにはしっかりとオレの弱点がわかっているようだ。



「危、、」
横目に見えていた攻撃をギリギリでかわしたが、幻覚のアキトは心配してくれるようだ。

「ありがとなぁそんな幻覚まで見せてくれてっ!!」


相手はどうやら瀕死になってきたようだ。二回目の氷の魔剣で、多分魔剣は使えなくなるが、特大サイズの氷柱を飛ばしてトドメを刺した。


「アセナ!!」
魔石を拾おうとしていたら背中から衝撃が走った。
しまった油断して、何かモンスターの残党が、、、

「うぉっ」
情けない声を出してよろめく、その瞬間に衝撃の元を見た。

そこにはアキトが、あの幻覚で出してくれたアキトがいた。

「倒したのに幻覚が消えねぇ。もうダメだこりゃ」

「本物だって!」
突っ込んでくる都合のいい幻覚なんだな。

「ごめんなさい。もう師弟関係なんてやめよう」

「は、はははっ」
ほら、こうやって結局は攻撃に変えてくる。

「付き合ってくれませんか?」
は、、、

そこにはあの時に欲しかった言葉が、、、違う。自分が言い出せなかった言葉を言われた。

「お前ホンモノか?」

オレらしくないがもう幻覚でも現実でもどっちでもいい。

このまま襲って、、
「何度も、うっぶ」

唇から伝わる感触、匂い、アキトの匂い。アキトの味。
嘘を言って何度も奪った味。

これはホンモノだ。

どうしようもなく嬉しい。でも、迷宮の成果を代償に、、、そんなことはどうでもいいか。

折角ならこの迷宮は攻略したい。
いくらオレが攻略した後でも、アキトがここまで来るにはそれなりに強さが必要だったはずだ。ってことはアキトもそれなりに強くなったということなのだろう。

二人でなら。
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