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第五十話 適材適所

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「それを貸せ」
リクが言ってくる。

「適材適所ってもんがあるからさ、、、俺は大して戦えない。それを飲んでリクが戦えなくなったら困る。なら2本まとめて俺が飲むのが懸命だ。せっかく出られたのに伯爵の姑息な手でやられたなんて嫌じゃん?」
俺が持ってるポーションはコーヒーみたいな黒色。リクの持ってるのはお茶みたいな緑色。なんなら匂いもお茶かもしれない。
手元にある黒いポーションはなんの匂いもしない。

色で判断するならハズレは俺なのだろう。
片方は整腸剤でもう片方は不明と。伯爵アイツのことだ。両方ともハズレの可能性すらもある。両方良薬アタリは絶対にないと言ってもいいだろう。

「だからって、お前は耐えれるのかよ。この前のパンみたいなことは許さねぇからな?」
ちなみになんだがパンの時は耐えた扱いになってないのか?

「薬に関しての本業がここにいるんだからさ」
最悪材料さえあれば自分でなんとかできる可能性が高い。
少なくともどちらかが動ける状態でいる為にも2本とも一人で飲むのがベストだろう。

「まぁまぁ、一回貸して。俺の知ってる薬草が使われてたら見ただけで鑑定できるかもしれないから」
受け取った瞬間に二つ混ぜてゴックンだ。

リクが渋々といった感じで渡してくる。

俺はそれをひったくるように取り上げて二つを調合スキルを使いながら混ぜた。
もう何がどんな成分でどんな効果があるか判らないポーションの完成だ。

ゴクリ

未知のポーションを飲む。
味は別にしない。強いて言えば少し甘いような甘くないような。

鑑定は、、、、意識上に浮かぶ画面みたいなやつが崩壊していく。


こんなことは初めてだ。
多分、鑑定に失敗したとかそういうことなのだろう。

「はぁ」
リクは横でため息をついた。

「飲んだんだから解放しろ!」
水晶に向かって叫ぶ。

「ふむ」
謎の原理で牢の柵の鍵が開く。

魔法なのだろう。

「次は私の部屋に来ると良い」
そう言って地下牢と階段を結ぶ扉も開けてくれた。
一体何を考えているのかわからない。

俺は地下牢のある部屋から出て階段を登るための一歩を踏み出す。





プツン





糸の切れた操り人形。

迫り来る階段。階段が迫っているんじゃない。自分が倒れていっているのだ。

「おい!」

イメージは金縛りだろうか。力が入らなくて体が動かない。顔や指先がぎりぎりって感じだろうか。

「おい、しっかりしろ」
リクが呼びかけてくる。

意識ははっきりしている、ただすごく心臓の音がうるさい。

「なんか、、、お、か、、しい、、、」
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