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10 その穴の向こう *
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それから俺は、成り行きでオークの計測に付き合い、マーゴの報告書作成に付き合うこととなった。
本来なら、俺の事情聴取も彼女の仕事だったが、団長の求める期限に到底間に合わないとのことで、副団長自ら録取書を作成し、マーゴは後学のため立ち合う形をとった。
「では、マーゴが手負いにしたオークから一旦退却したところに居合わせて、襲い掛かられたので剣を振るったところ、偶然にもうまい具合に傷を負わせる事ができた、ということですね? ご一読の上、よろしければ、こちらへご署名ください」
俺がそれっぽくでっち上げた説明を、メイナードが更に供述調書らしく仕上げた。
署名を終えたところで、水牛人が身を乗り出した。
「で、参考までに、実際のところをお伺いしておきたいのですが。部下の指導に必要なので、ご協力願います。記録には残しません。オークも既に廃棄処理へ回しましたから、切り口でとやかく言われる心配もありません」
それから、傍に立つマーゴを見た。
「お前もよく聞いておけ。ザックさんがいなかったら、内臓穴だらけで死んでいた」
「ええっ。どうやって?」
驚くマーゴを、男二人で見つめ、互いに顔を見合わせた。
本当にわかっていないようだ。もちろん、あのぶっといペニスで無理やり犯されるのである。
具体的にはグロいから言えないが、人間なら、ほぼ死ぬ。
メイナードがどうするかと思ったら、彼は角のある頭を左右に振った。
「お前、そんなんで団ちょ‥‥まあ、いい。先に殺せば問題ない。ザックさん、ご説明をお願いします」
そこで俺は、マーゴが助けて、と叫びながらやってきたところから、俺を見張りに残し荷車を借りに出かけたところまで副団長に教えた。オークの倒し方については、ほぼスルーである。
彼の聞きたい点は、部下の行動だった。マーゴを立ち合わせたのは、俺の言葉に嘘がないかを見るためらしかった。
腕も立てば、頭も回り、その上慎重な男である。彼が上に立つ組織が、あんないい加減な仕事をするのは、矛盾も甚だしかった。つまりは、彼の上にいる責任者に問題がある訳だ。
「ザック殿、ありがとうございました。夕食までの間、騎士団を案内させます。マーゴ、お前は急いで報告書を仕上げるんだ」
「副団長、お腹空きました。頭が働きません」
新人騎士のマーゴが口答えした。ある意味、肝の据わった奴だ。ただ、話を聞くと、昨夜から食事が出来ていないことになる。
少しは滋養を補給した方が、効率も良さそうだ。
「お前は、食べたら寝るだろう。終わるまでは、水だけ飲め。何なら、飴を医務室から分けてもらっても良い。それから、書類はここではなく、本部の事務室で書くんだぞ。居眠りしたら、起こしてもらえ」
「そんなあ~」
マーゴには気の毒だが、書類に期限があるなら、メイナードの妥協は適切に思えた。あの団長が、期限内に書類を提出したところで読む保証はない。
それでいて、締切に遅れたら間違いなく責めるだろうことは、予想できた。
しおしおと歩く彼女を従え、副団長と俺が廊下を歩くと、話し声が聞こえてきた。
「ホレス! 非番でマダム・ヤンのところへ行ったんじゃないのか?」
「おう。ヌかず三発やってきたぜ。魔獣料理が出るって聞いて、ちょっと来てみたんだ。もう、売り切れか?」
角を曲がると、熊人と人間の騎士が立ち話をしていた。熊人は私服だが、こちらも騎士なのだろう。
俺は、彼に見覚えがあった。今朝、マダムが擦り寄った娼館の常連客だった。
「ホレス隊長、ちょうど良いところへ来た」
メイナードが、やけに優しい声を出した。二人が、ハッとしてこちらを向く。熊人が、マーゴに気付いて声を上げた。
「おおっ。もしかして、本当にオークだったか。やるじゃねえか新人。で、今日の魔獣料理は、まさか?」
こちらへ足を踏み出し、マーゴの肩を叩くように伸ばした腕を、メイナードが捕らえた。
「ホレス隊長。マーゴは戻ったばかりで、急ぎ報告書を仕上げねばならん。昨夜当直だった隊長が手伝っても良いのだが、先に客人の案内を頼みたい。オーク退治を手伝ってくれたザック殿だ。どうかね」
ホレスの腕は筋肉隆々であったが、それより細く見えるメイナードの力に逆らえなかった。頭の上の熊耳が、ピクピクと震える。
「うわ。副団長勘弁してくださいよ。やります、案内しますから、放してください」
「頼んだよ。ザック殿、隊長のホレスが騎士団を案内します。不明な点は、何でも聞いてください。私は他の仕事があるので、これで失礼します。また、後ほど。ああ、ちなみに今日の夕食は、バジリスクだ、ホレス隊長」
最後まで、優しい声と笑顔のまま、水牛人は去った。
マーゴもその後をついていったところを見ると、事務室へ向かったようだ。
「えーと。ザック、さんだっけ?」
腕を摩りつつ、ホレスは不機嫌な声を出した。
「先ほど小耳に挟んだのですが」
俺は言った。熊人と話していた相手は、姿を消していた。
「私も今朝、マダムの元におりました。隊長はマダムから、とても丁重に扱われていましたね」
ホレスは、たちまち機嫌を直した。
「おう。あんたもあそこへ通う口か。俺は、常連なんだ」
と、知らない娼婦の名前をいくつか挙げた。彼は、何人かのお気に入りを順転するタイプらしかった。そうすれば、誰かが休みを取っていても、二番手三番手が相手をしてくれる。
「お話は、道々お伺いしても、よろしいですか」
延々娼婦談義をされても返しに困るので、俺は騎士団の案内を促した。娼館を利用したのは一回じゃないが、ホレスみたいな常連とは違う。町へ来ること自体、滅多にないのだ。
本部の案内は、すぐに終わった。
厨房では夕食の準備が始まっており、バジリスクだった物は跡形もなく鶏肉の山に変じていた。オークと蛇の尻尾は既に焼却炉行きか、見当たらない。
マーゴばかりか、俺も昼飯を食い損ねた。
事務室では、マーゴが書類と格闘していた。奥の机に山積みの書類があった。メイナードの席らしい。当人は席を外して不在だった。
練習場では、騎士が自主的に鍛錬する様子を見ることができた。全般に、獣人の割合が多いように思われた。女性の騎士も目立つ。
「こんなもんかな。まだ夕食には早いな。何か質問ある?」
「先ほど団長様を見かけましたが、貴族の方ですよね」
向こうは俺の名を聞き覚えていた。アデラの知り合いらしいあの男が、どういう出自なのか、気になった。
「おう。ウェズリー=ゴールト団長か。王都にお住まいの、ゴールト伯爵家のご出身だ。いい男だろう?」
「はあ」
俺は、貴族に詳しい訳じゃない。ゴールト伯爵の名に、聞き覚えはない。だが、先ほどの対面や騎士団の印象から、嫡子でもなく、将来を嘱望されてここへ赴任したようには見えなかった。
「俺も、団長ほどじゃなくても、いつかはあんな風に、いい女を侍らせてみたいもんだぜ」
ホレスはゴールト団長に憧れているようだ。ああ見えて、メイナードより強いのかもしれない。そうだろうか?
「もしかして、リタ様とか」
がばっ。ホレスの分厚い手のひらが、俺の口に被さった。
「ちっちっちっ。名前呼ぶ時は、気をつけろ。団長に誤解されたら面倒だ。あいつの方も、頭が回るからな。睨まれたくねえ」
よくわからないが、団長や本人の前でリタの名を口にしない方が良さそうだ。
「そうだ。いい場所教えてやる。着いたら、絶対に音を立てるなよ。ついて来い」
ホレスは、先に立って歩き出した。階段を登ったり降りたり、裏手を巡って着いた先は、通路の端を後から倉庫に仕立てたような半端な部屋だった。
熊人の手招きに従って、暗い中を奥へ進む。積み上がった布を横へずらすと、指の先ほどの穴が現れた。声が漏れてくる。
先にホレスが穴へ目を当て、しばらく動かずにいた。その手が股間へと伸びていく。膨らんだ局部を撫でようとして、俺の存在を思い出したらしい。目と手が同時に引っ込んだ。
ジェスチャーで、俺に穴を勧められた。音を立てるな、と言われている。質問もできない。穴に目を当てた。
団長室らしかった。広い執務机がある。そこへ覆い被さるように、女騎士が俯していた。制服は上も下も半分かた脱げている。豊満なおっぱいが、机の上に押し潰され広がっていた。
その体が律動的に揺れる。剥き出しとなった丸い尻に、団長が腰を打ちつけているのだった。
「そら、そら、もっと鳴け」
「で、でもっ。ウェズリー、ああっ」
ぱんっ、ぱんっ。
交わる音も、声もはっきり聞こえた。
俺は早々に穴から目を外した。熊人が、すごいだろ、と手振りで示した後、再び覗きを始めた。徐々に息が荒くなり、膨らんだ股間を握りしめる。席を外した方が良さそうだ。俺は、そろそろと後退を始めた。
不意に、ホレスが仰け反り、布で穴を塞いだ。そのまま口を引き結び、俺が開いた扉から外へ出た。
「どうしましたか?」
二人でそそくさとその場を離れ、十分な距離が取れたと見込んだところで、尋ねてみた。
「副団長が来たんだ」
ホレスは、まだ息が荒い。
「うわ、修羅場」
思わず漏らすと、熊人はニヤリと笑って見せた。
「そこは、鍵を掛けてあったから、何とかするだろう」
どうせ覗くなら、そっちの方を見たかった。だが、メイナードは恐ろしく勘の鋭い男だ。覗きがバレたら、面倒臭いことを押し付けられそうな気がした。
「乳もケツも最高だよな。オーク退治でさっき帰ってきたばかりなのに、あんなにヤレる体力も、そそられるぜ。女だてらに、剣の腕も侮れん。あれなら一晩中でも抱ける。ザックさんとやらも、居合わせたんだよな。もしかして、手ぐらい握らせてもらったか?」
「先ほどの方とですか? いいえ」
本来なら、俺の事情聴取も彼女の仕事だったが、団長の求める期限に到底間に合わないとのことで、副団長自ら録取書を作成し、マーゴは後学のため立ち合う形をとった。
「では、マーゴが手負いにしたオークから一旦退却したところに居合わせて、襲い掛かられたので剣を振るったところ、偶然にもうまい具合に傷を負わせる事ができた、ということですね? ご一読の上、よろしければ、こちらへご署名ください」
俺がそれっぽくでっち上げた説明を、メイナードが更に供述調書らしく仕上げた。
署名を終えたところで、水牛人が身を乗り出した。
「で、参考までに、実際のところをお伺いしておきたいのですが。部下の指導に必要なので、ご協力願います。記録には残しません。オークも既に廃棄処理へ回しましたから、切り口でとやかく言われる心配もありません」
それから、傍に立つマーゴを見た。
「お前もよく聞いておけ。ザックさんがいなかったら、内臓穴だらけで死んでいた」
「ええっ。どうやって?」
驚くマーゴを、男二人で見つめ、互いに顔を見合わせた。
本当にわかっていないようだ。もちろん、あのぶっといペニスで無理やり犯されるのである。
具体的にはグロいから言えないが、人間なら、ほぼ死ぬ。
メイナードがどうするかと思ったら、彼は角のある頭を左右に振った。
「お前、そんなんで団ちょ‥‥まあ、いい。先に殺せば問題ない。ザックさん、ご説明をお願いします」
そこで俺は、マーゴが助けて、と叫びながらやってきたところから、俺を見張りに残し荷車を借りに出かけたところまで副団長に教えた。オークの倒し方については、ほぼスルーである。
彼の聞きたい点は、部下の行動だった。マーゴを立ち合わせたのは、俺の言葉に嘘がないかを見るためらしかった。
腕も立てば、頭も回り、その上慎重な男である。彼が上に立つ組織が、あんないい加減な仕事をするのは、矛盾も甚だしかった。つまりは、彼の上にいる責任者に問題がある訳だ。
「ザック殿、ありがとうございました。夕食までの間、騎士団を案内させます。マーゴ、お前は急いで報告書を仕上げるんだ」
「副団長、お腹空きました。頭が働きません」
新人騎士のマーゴが口答えした。ある意味、肝の据わった奴だ。ただ、話を聞くと、昨夜から食事が出来ていないことになる。
少しは滋養を補給した方が、効率も良さそうだ。
「お前は、食べたら寝るだろう。終わるまでは、水だけ飲め。何なら、飴を医務室から分けてもらっても良い。それから、書類はここではなく、本部の事務室で書くんだぞ。居眠りしたら、起こしてもらえ」
「そんなあ~」
マーゴには気の毒だが、書類に期限があるなら、メイナードの妥協は適切に思えた。あの団長が、期限内に書類を提出したところで読む保証はない。
それでいて、締切に遅れたら間違いなく責めるだろうことは、予想できた。
しおしおと歩く彼女を従え、副団長と俺が廊下を歩くと、話し声が聞こえてきた。
「ホレス! 非番でマダム・ヤンのところへ行ったんじゃないのか?」
「おう。ヌかず三発やってきたぜ。魔獣料理が出るって聞いて、ちょっと来てみたんだ。もう、売り切れか?」
角を曲がると、熊人と人間の騎士が立ち話をしていた。熊人は私服だが、こちらも騎士なのだろう。
俺は、彼に見覚えがあった。今朝、マダムが擦り寄った娼館の常連客だった。
「ホレス隊長、ちょうど良いところへ来た」
メイナードが、やけに優しい声を出した。二人が、ハッとしてこちらを向く。熊人が、マーゴに気付いて声を上げた。
「おおっ。もしかして、本当にオークだったか。やるじゃねえか新人。で、今日の魔獣料理は、まさか?」
こちらへ足を踏み出し、マーゴの肩を叩くように伸ばした腕を、メイナードが捕らえた。
「ホレス隊長。マーゴは戻ったばかりで、急ぎ報告書を仕上げねばならん。昨夜当直だった隊長が手伝っても良いのだが、先に客人の案内を頼みたい。オーク退治を手伝ってくれたザック殿だ。どうかね」
ホレスの腕は筋肉隆々であったが、それより細く見えるメイナードの力に逆らえなかった。頭の上の熊耳が、ピクピクと震える。
「うわ。副団長勘弁してくださいよ。やります、案内しますから、放してください」
「頼んだよ。ザック殿、隊長のホレスが騎士団を案内します。不明な点は、何でも聞いてください。私は他の仕事があるので、これで失礼します。また、後ほど。ああ、ちなみに今日の夕食は、バジリスクだ、ホレス隊長」
最後まで、優しい声と笑顔のまま、水牛人は去った。
マーゴもその後をついていったところを見ると、事務室へ向かったようだ。
「えーと。ザック、さんだっけ?」
腕を摩りつつ、ホレスは不機嫌な声を出した。
「先ほど小耳に挟んだのですが」
俺は言った。熊人と話していた相手は、姿を消していた。
「私も今朝、マダムの元におりました。隊長はマダムから、とても丁重に扱われていましたね」
ホレスは、たちまち機嫌を直した。
「おう。あんたもあそこへ通う口か。俺は、常連なんだ」
と、知らない娼婦の名前をいくつか挙げた。彼は、何人かのお気に入りを順転するタイプらしかった。そうすれば、誰かが休みを取っていても、二番手三番手が相手をしてくれる。
「お話は、道々お伺いしても、よろしいですか」
延々娼婦談義をされても返しに困るので、俺は騎士団の案内を促した。娼館を利用したのは一回じゃないが、ホレスみたいな常連とは違う。町へ来ること自体、滅多にないのだ。
本部の案内は、すぐに終わった。
厨房では夕食の準備が始まっており、バジリスクだった物は跡形もなく鶏肉の山に変じていた。オークと蛇の尻尾は既に焼却炉行きか、見当たらない。
マーゴばかりか、俺も昼飯を食い損ねた。
事務室では、マーゴが書類と格闘していた。奥の机に山積みの書類があった。メイナードの席らしい。当人は席を外して不在だった。
練習場では、騎士が自主的に鍛錬する様子を見ることができた。全般に、獣人の割合が多いように思われた。女性の騎士も目立つ。
「こんなもんかな。まだ夕食には早いな。何か質問ある?」
「先ほど団長様を見かけましたが、貴族の方ですよね」
向こうは俺の名を聞き覚えていた。アデラの知り合いらしいあの男が、どういう出自なのか、気になった。
「おう。ウェズリー=ゴールト団長か。王都にお住まいの、ゴールト伯爵家のご出身だ。いい男だろう?」
「はあ」
俺は、貴族に詳しい訳じゃない。ゴールト伯爵の名に、聞き覚えはない。だが、先ほどの対面や騎士団の印象から、嫡子でもなく、将来を嘱望されてここへ赴任したようには見えなかった。
「俺も、団長ほどじゃなくても、いつかはあんな風に、いい女を侍らせてみたいもんだぜ」
ホレスはゴールト団長に憧れているようだ。ああ見えて、メイナードより強いのかもしれない。そうだろうか?
「もしかして、リタ様とか」
がばっ。ホレスの分厚い手のひらが、俺の口に被さった。
「ちっちっちっ。名前呼ぶ時は、気をつけろ。団長に誤解されたら面倒だ。あいつの方も、頭が回るからな。睨まれたくねえ」
よくわからないが、団長や本人の前でリタの名を口にしない方が良さそうだ。
「そうだ。いい場所教えてやる。着いたら、絶対に音を立てるなよ。ついて来い」
ホレスは、先に立って歩き出した。階段を登ったり降りたり、裏手を巡って着いた先は、通路の端を後から倉庫に仕立てたような半端な部屋だった。
熊人の手招きに従って、暗い中を奥へ進む。積み上がった布を横へずらすと、指の先ほどの穴が現れた。声が漏れてくる。
先にホレスが穴へ目を当て、しばらく動かずにいた。その手が股間へと伸びていく。膨らんだ局部を撫でようとして、俺の存在を思い出したらしい。目と手が同時に引っ込んだ。
ジェスチャーで、俺に穴を勧められた。音を立てるな、と言われている。質問もできない。穴に目を当てた。
団長室らしかった。広い執務机がある。そこへ覆い被さるように、女騎士が俯していた。制服は上も下も半分かた脱げている。豊満なおっぱいが、机の上に押し潰され広がっていた。
その体が律動的に揺れる。剥き出しとなった丸い尻に、団長が腰を打ちつけているのだった。
「そら、そら、もっと鳴け」
「で、でもっ。ウェズリー、ああっ」
ぱんっ、ぱんっ。
交わる音も、声もはっきり聞こえた。
俺は早々に穴から目を外した。熊人が、すごいだろ、と手振りで示した後、再び覗きを始めた。徐々に息が荒くなり、膨らんだ股間を握りしめる。席を外した方が良さそうだ。俺は、そろそろと後退を始めた。
不意に、ホレスが仰け反り、布で穴を塞いだ。そのまま口を引き結び、俺が開いた扉から外へ出た。
「どうしましたか?」
二人でそそくさとその場を離れ、十分な距離が取れたと見込んだところで、尋ねてみた。
「副団長が来たんだ」
ホレスは、まだ息が荒い。
「うわ、修羅場」
思わず漏らすと、熊人はニヤリと笑って見せた。
「そこは、鍵を掛けてあったから、何とかするだろう」
どうせ覗くなら、そっちの方を見たかった。だが、メイナードは恐ろしく勘の鋭い男だ。覗きがバレたら、面倒臭いことを押し付けられそうな気がした。
「乳もケツも最高だよな。オーク退治でさっき帰ってきたばかりなのに、あんなにヤレる体力も、そそられるぜ。女だてらに、剣の腕も侮れん。あれなら一晩中でも抱ける。ザックさんとやらも、居合わせたんだよな。もしかして、手ぐらい握らせてもらったか?」
「先ほどの方とですか? いいえ」
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