異世界でロリッ子魔導師になりました

リオック

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王国編

未知と遭遇しました

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 魔導学院には王立と私立があるが、それは剣術学院も同じく王立は言ってしまえばエリート校である。
 魔導師の家系の貴族が多いが、貴族や王家が才能を見込んだ中層や下層の人達の支援をした生徒も特例で入学している。
 剣術学院も以下同文なのだがこの4つの学院には卒業するのに必要な共通項目もある、12歳からできるギルドの仮登録・・・ブロンズランクでの実地訓練を一定数こなすというもの。
 誕生日の関係で全員が同じタイミングでは行えない事で訓練の時期はバラバラ、以前王立剣術学院の実地訓練に遭遇したがそんなに多くはない。
 採取や農村の収穫の手伝いやら依頼内容は多岐にわたるので討伐の際エリアまで被る上で学院生の訓練と一緒になるのは珍しいみたいだ。
「あの時の討伐は回数に入るです?」
 ミリーと実戦を共にしたことで実地訓練の必要回数は減ったのではないかとも思ったが・・・
「シルバーランクだけではなく、先生の同伴も必須ですわね。あの学院生達も先生がついていたでしょう?」
 まあそんなに甘くはないようだ、実地訓練に関してはブロンズの登録が完了して人数が揃った者からパーティーを組み、以降は14歳の正式登録後までその班での行動になるみたいだ。
「私(わたくし)とフィオナの誕生日は離れておりますから別の班ですわね、残念ですわ」
 ミリーと同じ班になるとどこかで思っていたから、しばらく別行動になることに少し寂しさを感じてしまった・・・前世の友人達と疎遠になったときはそこまで感じた事はなかったのだが。
「今期生は4人編成でしたっけ?他の3人は誰です?」
「よく一緒にいる仲良し3人組ですわね、カーム君とソレル君は攻撃、ココさんが回復とバランスはいいですわね」
 そこに近接が加われば完璧ですわね、と言うミリーの言葉で回復とはどういう原理なのだろうと聞いてみる。
「初級ですと術者と対象の治癒力を促進させますわ、対象者本人の魔力を利用しますから重傷の時には中級以上が鉄則ですわ」
 中級と上級なら術者の魔力を分け与えながら回復力を補完されるという、龍人貴族の国級回復だと切り離された腕がくっつくくらい強力なのだそうだ。
 しかし龍族と人族はそれだけ力の差があるのに普通に共生してるな・・・権威にあまり興味のない種族なのだろうか?
「龍族の人達(?)は人族を支配しようとしないです?とても能力に違いがありすぎるですが・・・」
「それはヴェルガリア帝国の龍族信仰のお陰ですわね、龍人になれる龍族の方も人族の生活圏は便利で居心地がいいから協力的みたいですわね」
 まあ寿命も違うだろうし、生き急ぐ必要もなさそうだから達観してるのかもしれない。回復魔導術とかあると病気もしないんじゃなかろうか・・・ウィクトール家の人達の寝込んだ姿なんて見たことないから単純に魔力自体も影響するのだろうか。
「ミリーも実地訓練頑張ってなのです」
 とそう言ったところで部屋の扉がコンコンと鳴った。
「フィオナ、お客様ですよ~お部屋に通していいかしら?」
 誰だろうと思っていると男性の声が失礼すると言って部屋へと入ってきた。
「ギルドマスターのギリアム・クラインだ、直接話をするのは初めてかな?」

 ギルドマスターの要件は単純にジオに護衛依頼とのことだった、護衛と言っても基本は同行するだけで直接戦闘に参加はしないでほしいとのことだが。
「私(わたくし)達の実地訓練の護衛に何故フィオナなんですの?シルバーランクの冒険者は他にもいるでしょう?」
 この護衛は例の実地訓練へのシルバーランクの同行のことらしいが・・・確かにジオのランクなら同行条件を満たしているのは実証済みだが、私の事情を知ってて依頼するほどなのだろうか。
「国王の密命でしてね、娘の身を案じてのこと・・・故に以前二人で討伐依頼に行ったときのことに対して私が呼び出されましてな・・・」
 受付に伝えておくべきでしたなと、王女と二人だけで討伐に行ったのは流石に心配をかけたらしいが、実力と気心も知れているとのことから今回の依頼を任せたいのだそうだ。
「お父様も心配性ですわね、でもちょっと楽しそうですわ」
「んー、王様直々の依頼だと拒否権なさそうです・・・杖に追加パーツ付けとくのです」
 でもそういうことならゴールドランクの冒険者を呼べばよかったのでは・・・?と思ったが言うだけ野暮かと私も訓練の護衛に備えるのだった。

 ミリー達の護衛、と言うよりは同行して危険な時だけ加勢するだけのお仕事は・・・本当に見てるだけであった。
 討伐訓練に選ばれたのは以前来た山岳地帯に続く洞窟だが、今回は山岳の周囲の確認をしてその是非をギルドに報告といった内容だった。
「ソレル!そっちいったぜ!」
「任せて、カームもそっち!」
「わわ、こっちにもきた!」
「私(わたくし)が対処しますわ」
 いざという時はと身構えてはいたものの4人共大変に優秀でこちらの出る幕はなさそうだった・・・以前の討伐で数は減っていたであろう、周りに魔物の姿は見あたらなかった。
「剣術学院の生徒もでしたが、学院生の子達は皆優秀ですね」
 クラスメイトと一緒だとつい喋り方を間違いそうになるのを気をつけつつ、先生に話を振ってみる。
「今期生は特にですね、何せミリー君とフィオナ君という天才もいますからねぇ・・・あ、ジオさんはフィオナ君と言われても知りませんよね」
 まあ私なんですがとは言えず、空飛ぶ子の話は聞き及んでますよと返す。
 今回の同行の件についてはこの先生も事情は知らないようだ、密命なのは本当らしい。
「それに王立剣術学院にはブライト家の令嬢もいますからね、今期の6年生の学院合同戦はかなり盛り上がりそうですよ」
 学院合同戦という聞き慣れない話について聞こうとしたが先生は生徒達を集合させていた。
「周囲の安全も確保できたようですから野営の準備に取り掛かって下さい。明日山岳の周囲を確認した後、王都に戻るということになりますので・・・」
 と戦闘中荷物番も兼ねて見ていたがこの荷物の多さは野営も想定しての事だった。
 野営ということは・・・私はこの鎧を脱ぐわけにもいかないのだから、必然・・・
「まだ訓練ということで私とジオさんで交代しながら見張りをすることになりますが、私が先にしましょうか?」
 どっちにしても鎧の中で一晩過ごすことになりそうだった・・・

 鎧の中での就寝は想定していなかった為、寝心地は非常によろしくなかった・・・こんなことなら事前に訓練の段取りを聞いておくべきだった。
「大丈夫ですの?少しヨロヨロしてますわよ・・・」
「全身が痛いのです・・・」
 ミリーがひそひそと声を掛けてきてくれた、ある意味戦闘の時より疲れているように見えたようだ。
 流石に全身鎧に寝心地など追究した人はいないであろう、お陰で身体中が痛い・・・今度は鎧の中にクッションのようなものを仕込んでおこうと考えている間に洞窟を抜けた。
「山岳地帯には初めて来ましたが、意外と拓けてるんですね?」
「このあたりは岩山になってますからね、奥に行けば木々も生い茂っていますよ」
 今回はその手前までの確認で終わりです、といわれて周りを確認してみる・・・ここらへんは岩石高野といった感じだろうか。
「岩ばかりで殺風景な場所だね、ソレルとカームも離れすぎだよー」
「こんだけ何もなければ魔物が来ても気付くってー」
 3人の距離が少し離れていく、訓練中に暢気なものである。
 山岳地帯の魔物の生態系はどんなだろうとミリーにこっそり話を聞いてみる。
「鳥型とか狼型とかですわね、森林地帯程ではありませんが虫型もいますわ・・・けど」
 変ですわねとミリーが口元に指を当てながら周りを見回す。
「どうかしたです?」
「魔物の気配がなさすぎますわ、洞窟ではそれなりに遭遇しましたのに」
 言われてみると空を飛んでる鳥型の姿も特に見られない、奥地の方に引っ込んでいるのだろうかと、3人と先生の方にミリーと歩いているとその時前方の右側の大岩が傾いた。
 ガラガラと石が瓦礫のように崩れていった、とその瓦礫の中で術式のようなものが見えた。
 スラスターで全員の前に出て、シールドを展開した瞬間炎の塊が飛んできた。
 バチィィィンッ 「むっ?」
 その炎の塊は今までシールドで受けたもののなかではかなりの威力があった、少しだけバランスを崩すが直ぐに立て直す。
「な・・・あれは・・・ゴーレム!?」
「今のジオさんの動きカッケェェ!」
「カーム、今それどころじゃないですよ!」
 と他の人達の反応は色々だが・・・ゴーレムをリアルで見るのは初めてだが、これは随分と大きい。
 少し距離が離れているから反応できたものの真横で出てきてたら今ので全滅してもおかしくはなかっただろう、ゴーレムの目のようなものが赤く光、高周波のような音を発生させた。
 後方の両側の岩崖が同様に崩れると前方のゴーレムの3分の1くらいのサイズの岩人形が姿を現す、退路も断たれる形になり否応にも対峙する状態が作られてしまった。
「これはまずいですわね・・・逃げるにしてもこれでは」
後方に出現したのはまだどうにかできそうなものの、問題は前方の大きい奴だ・・・防げたとはいえあれが使ったのは魔導術のように見えた。
 野生のゴーレムは魔導術も使ってくるのかと思っているとゴーレムの前に再度術式が形成され、同じ炎の塊が飛んでくる。
 バチィィィンッ
 今度は両腕の籠手からシールド展開して防ぐ、これなら十分対処できそうだと思っていると・・・
「あれは・・・魔級ですわ!あのゴーレムは自然発生したものではありませんわ!」
 魔級というと確か魔族が使うという術式だと教えてもらった気がするが、ということはあれは魔族側の兵器だとでもいうのか・・・?
「あれに背を向けるのは危険だな・・・近接職抜きであんなものを相手にするのは・・・」
 後方のゴーレムもこちらに徐々に距離を詰めてきている、この状況で取る選択肢は・・・
「私があれを相手にします、ミリーと皆さんは後方のゴーレムを!」
 ミリーがいれば後方の奴は大丈夫だろうと考え、私はあれの攻撃を凌ぎ退路確保からの撤退・・・あんなものを相手に生身で戦ってたここの世界の人達は凄いなと改めて思いスラスターで跳躍し接近する。
「やべぇ、あんなのに一人で・・・」
「フィ・・・ジオさんにお任せしてこの2体を殲滅しますわよ!」
 ミリーとカームの声が遠のき、大型ゴーレムの頭めがけてブレードを振り下ろす・・・だが頭部の前に見えない壁のようなものに阻まれる。
 チュィィィンッ 
 頭部とブレードの間に激しい火花が散る・・・術式を展開した様子もなく、この壁みたいなものはどうやら魔法障壁みたいなものだろうか。
「こんなものまで・・・ブレードを防がれるのなんて初めてだなっ」
 振りかぶってきたゴーレムの右腕をシールドで受け流しつつ、地上に着地したのち右籠手のブレードを突き出すも足元からも障壁で阻まれる・・・近距離も遠距離もできつつのこの防御力は厄介なことこの上ない。
「固すぎる・・・っ、やっぱり凌いだ後に撤退するしか・・・だが・・・」
 これを放置して撤退したらこのゴーレムはどこに向かう・・・?
 洞窟に入れるようなサイズではないから王都にまではこなさそうだけれど・・・冒険者達が遭遇して死人がでるという可能性は高いだろう。
 ゴーレムから1つ2つと術式が連続して展開され防御に徹しながらちらっと後方を見た時、サンダーストームが発生する瞬間が目に入る。
 雷撃が混じる竜巻が残り1体になっていた小型ゴーレムを飲み込みバラバラになっていく・・・やはり凄い威力だと大型ゴーレムに視線を戻す。
 ふと考える、超圧縮で高威力でなら貫通させれるかと少しミリーの方へと後退する。
「フィ・・・ジオさん!こっちは片付きましたわよ!」
 撤退できる状態ができ退避が可能にはなったが、私は追加パーツを取り付けたディオールの杖を背中から外し魔力を集中させゴーレムを見る・・・魔力の性質を見てみると中心に強い光を放つ部分があるのを確認できた。
「ミリー!一度でいいので魔導術で防御をお願いしますー!」
「え!?何を考え・・・いえ、わかりましたわ!」
 ディオールの杖をくるっと回しつつライフルのように構える、とゴーレムから術式が展開され炎の塊が迫る・・・と私の前に豪風が発生し炎が遮断された。
「やっぱりミリーは凄いのです・・・これならっ」
 ディオールの先に魔力を一点集中させ、私は一気に放出させた。
 光の柱・・・レーザーキャノンが大型ゴーレムの中心に衝突し、障壁が一瞬阻んだ後貫通していった。
 ドシュゥゥゥンッ
 あの中心の光が核であってくれたら・・・と放った一撃の後、大型ゴーレムはガラガラと音を立て崩れていった。
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