貴方の杖、直します。ただし、有料です。

椎茸

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第7章 レインの不可思議な行動

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「実は、今日はハパドアさんから、解析結果の一部をユミルさんに伝えるように言われているんだ。」
「そうなの?」

食後のお茶を楽しんでいると、ウィリアムが急にそう切り出した。

「うん。まず、杖の修復についてだけれど、修復魔法にほんの僅かに強化魔法が付与されていたらしい。しかし、通常の強化魔法が一時的なものに対して、ユミルの杖修復には、恒常的な効果がある。普通では考えづらいことだ。
ハパドアさんの考察では、ユミルさんの魔法は髪の毛よりも細い透明な糸のようなもので、それを修復のために緻密に編み込むことによって、途中で付与された強化魔法が脱落しないほど、細くて緻密すぎるその網のような構造になっているんじゃないか、ということらしい。」
「はぁ…。」

ユミルは話しが難しくて、ポカンとした表情で気の抜けた返事を返す。

「多分、重ね掛けすることで、その網目のような構造がさらに多層化されて、さらに強化されていくんじゃないかな?」
「う~ん、もし杖にそんな構造が残ってしまっていたら、魔法が使いづらそうだけど。」
「そこがユミルの凄いところだよ。普通は残痕が残ると使用者は杖が使いづらい。けれど、ユミルの魔法は“透明な糸”のようなものだから、何も感じないんだ。」
「はぁ…。」

(自分の修復魔法がそんなことになっているなんて、思いもしなかったから、何だか現実味がないな…。)

ユミルは未だウィリアムの言葉が受け入れられずに、どこか意識が遠くにあるような感じさえする。

「ちなみに、治癒魔法にも同じことが起こっているらしい。」
「強化魔法ってこと?」
「人体の場合はちょっと効果が違くて、その僅かにかかっている強化魔法が自然治癒力を促進させているみたいだ。」
「…うん?」
「例えば、治癒魔法で傷口を塞いだとき、その傷口は治癒魔法士の魔法で接着剤のようにくっつけられている状態に過ぎない。治癒魔法をかけた後は、一見、完全に元通りになっているように見えるが、実際は治癒魔法後の自然治癒で完全に傷口が塞がる。治癒魔法の後に、残痕が残って傷口がぞわぞわするのは、まだ傷口が他人の力で皮膚が繋がっているかららしい。」
「…へぇ?」
「要するに、傷口を仮留めしている状態から、完全の治癒までの時間が短くなるから、残痕でぞわぞわする時間が短くなる。…君の場合は、最初からぜんぜんぞわぞわしないけどね、それでも自然治癒力が上がることも、前例がない。」

ユミルは必死に頭の中でウィリアムの話をかみ砕こうとしたが、やはり、理解することができない。自分としては、ただ本当に、もともと大変少ない魔力で一生懸命魔法をかけているだけなのだ。

「ユミルの力は、例を見ない、とても素晴らしいものだ。
恐らく、魔法局から正式に協力依頼が出ると思うよ。」
「そうなの…?でも、私はレイン様に雇われているし…。」
「契約期間は?」
「1年更新だよ。」
「それなら、来年から魔法局に来ればいいじゃないか。」
「そうだけど…。」

レインはユミルに対して、大きな問題がなければ、1年ごとに契約を更新していくと言ってくれた。他の使用人たちの話しも聞くと、今まで途中で解雇された使用人はいないらしい。

「こんなこと、言われても困るかもしれないけど…。」

ウィリアムは先ほどまでの笑顔をしまうと、真剣な表情でユミルを見つめた。

「何?」
「僕は、君と一緒に居たい。だから、魔法局の依頼を受けて欲しいと思っている。」

ユミルは思いもよらない言葉に目を丸くした。
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