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1章 異世界オタクと物語の始まり
6話 結婚
しおりを挟む「分かりました。やってみます!」
白ローブが大きく息を吸った。
UDOOOOOOOOOOOON!!!
ロリが遠吠えをする。凄い音だ。
工事現場の機械音より喧しい。小さな体からよくこんなに声が出るな。
ん、ていうかUDON……うどん? まあ、そういうこともあるか。異世界だしな。叫び声が故郷の麺類と重なることだってあるだろう。
「ふぅ、これですぐに来るはずです。うどんはドラゴンの大好物なので」
あ、あるんだ、うどん。より異世界感がなくなったな。まあ、転移者が俺だけとは限らないしな。別にもいてそいつが広めているのかのしれん。うどん。
GYOOOOOOOOOOOOOO!!
あ、遠くから怪獣の声が聞こえる。これがドラゴンの声か。ちょっと和太鼓を間近で聞いたみたいにお腹が震える。俺、この感覚好きなんだよね。なんというか、スカッとする。
だが、ロリはそうではないらしい。
「ほ、本当に大丈夫なんですかね?」
見てみればガクブルだ。竜というのは勇者を持ってしてもそれ程の存在なのか。
まあ、コイツはJCにしか見えないのでその実力を俺は未だに疑っているのだが。まあ、あの歳にしては聡明なガキだ。勇者っていうのは嘘じゃねえだろ。
「大丈夫さ。まあ、ちょっと見てろって」
「は、はい!」
ロリはコクコクと頷いた。
ドラゴンの咆哮は急速に近づいてきている。この感じだと、ここに来るまで分も無い。というか、ドラゴンの姿が見えてきた。色は緑色で、その大きさはまるでジャンボジェットだ。翼を偶に羽ばたかせる度に恐ろしい勢いで加速していく。
っていうか、速ぁ! 予想の10倍は速いんだけど。
「来ますっ! 3,2,1」
GUAOOOOOOOOOOOOOOO!!!
瞬間目の前が真っ白になった。
体中が鉄で殴られたかのような感覚。俺は狼狽した。
全身の骨が折れたかと思った。全て粉々に散ったかのような、圧倒感。
これが竜。これが、ドラゴン。
「ぐっ」
静かに目を開ける。幸い、怪我はないようだ。つまり、さっきのはただの威圧。実際は風圧なども殆ど無かったのだろう。良かった。ポケモンバトルには負けていないようだ。
だが、ちょっとおかしい。
「う、ん?」
まず、俺は首に違和感を感じた。
何かに掴まれてるように服が引きつっている。
次に周りの様子がおかしい。
俺は首を右往左往させる。
いない。ロリ勇者がいないのだ。
そして地面の様子、一面草原なので分かりづらいが高速で移動していないか?
そして最後に、生臭い。いや、血なまぐさいと言った方が正確か。
「も、もしかして……」
俺は上を見上げた。大きな目がギロンとこちらを覗く。
GYAOU
「あはははは」
俺は、どうやら、ドラゴンに誘拐されたらしい。
ーーーーー
「たずげてーーーーー!!」
手足をジタバタさせるが、チラリと下を見ると先程の5倍くらい高度が上がっている。落ちても死ぬだけだ。俺は脱力した。
どんどんと上昇していく。
俺はクールになった。暁美ほむらはこの程度では怯まない。だから、俺も冷静に考えるぜ。
まず、このドラゴンが俺を攫った理由だが、十中八九、俺のプリンス的美貌に惚れたからだろう。まあ、仕方ない。獣に理性を求めるのはお門違いだ。そして、人間も獣である。だから、これまで合ってきた婦女子達、君達も我慢しなくて良かったんだよ? もしかして、照れちゃったのかな。気軽に話してくれれば良かったのにね。
まあ、それはいい。問題は一つだ。
「お前、女なの?」
そう、このドラゴンの性別である。人外転生とかが流行る時代。もはや性対象が人型だけとかは、旧人類の考え方だ。俺は現代人なのでね、ドラゴンくらい簡単に受け入れる包容力を持っている。だが、俺はヘテロセクシャルだ。ホモじゃない。流石に男はキツイのだ。
俺は意外とこのドラゴンさんとお付き合いしてあげてもいいとさえ思っている。だってカッコイイし強いしロリになれるかもしれないからな。だが、ロリを期待してショタが出てきたら俺のガラスハートが無残に砕け散ること明白だ。お突き合いはしたくない。
いや、男の娘だったらまだ良いのよ。それはそれで別に好きだし。だけど、やっぱり女を俺は望む。
凸よりは凹がいい。
「ねえ、どうなんですか?」
GUOGUO
すみません、判別が出来ないんですが。
これはどっちかな? うーん、なんとなく『美味そうな男だ』って言ってる感じがある。
分からない。男好きのホモって可能性もあるし、遊び慣れたビッチのお姉さんって感じもある。
俺は後者だと考える。
さっきから不自然に風圧が来ない。ここはドラゴンの鼻の先である。一番風が来る場所と言っても過言ではないだろう。にも関わらず、息苦しくないのはこのドラゴンさんの魔法によるものだろう。この気遣いは女にしか出来ない。だからドラゴンさんは女である。完璧な論理だ。
そういえば今の所、勇者以外で詠唱して魔法使ってる奴を見ていないな。まあ、資料数3で、内2が人外なのだが。無詠唱ってどうやってやるんだろう。
「そこんとこどうなの?」
GAAAAAA
なるほど、分からん。まあ、いっか。
魔法で思い出したけど、あのロリ勇者はどうなったのだろう? 一瞬の出来事だったから挨拶もできなかったけど、ドラゴンとの式が決まったら松明様んとこに言って挨拶しに行かないと。
GURUUUU
駄目ですよ、ドラゴンさん。あの人? 達は、この世界での唯一の知り合いですからね。ちゃんと挨拶師に行かないと。できればうちの親に会わせたかったんですけどね、どうも遠方なもんで。松明様は親代わりみたいなもんですから。
俺が楽しくおしゃべりをしていると、目の前に大きな木が現れた。
「おっ! あれが新居ですか? 立派なお宅ですね」
俺の目の先に見えたのは、やけに大きな木と、その枝にある白い何かで作られた巨大な巣だ。
実はさっきから森に入っていて、下が濃い緑一色だったのだ。
因みに、白いのは……うん、骨だね。近づく程に鮮明に見えるのだが、なんか猿っぽい二足歩行の頭でっかちな生き物の骨が多い。はっきり言おう、人骨だな。
ったく~、ドラゴンさんったら元カレをあんなに連れ込んで。挙げ句の果てに食べて、残った骨でDIYしちゃうなんて。
オッシャレー。
「お前のこと大嫌いだったけど、今なら魔法少女、なってあげても良いよ」
だが、QBが来ることもなく、俺はドラゴンさんにお持ち帰りされた。
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