異世界オタクは幾何学の魔女と伴に

痛痴

文字の大きさ
6 / 30
1章 異世界オタクと物語の始まり

6話 結婚

しおりを挟む


「分かりました。やってみます!」

 白ローブが大きく息を吸った。

 UDOOOOOOOOOOOON!!!

 ロリが遠吠えをする。凄い音だ。
 工事現場の機械音より喧しい。小さな体からよくこんなに声が出るな。
 ん、ていうかUDON……うどん? まあ、そういうこともあるか。異世界だしな。叫び声が故郷の麺類と重なることだってあるだろう。

「ふぅ、これですぐに来るはずです。うどんはドラゴンの大好物なので」

 あ、あるんだ、うどん。より異世界感がなくなったな。まあ、転移者が俺だけとは限らないしな。別にもいてそいつが広めているのかのしれん。うどん。

 GYOOOOOOOOOOOOOO!!

 あ、遠くから怪獣の声が聞こえる。これがドラゴンの声か。ちょっと和太鼓を間近で聞いたみたいにお腹が震える。俺、この感覚好きなんだよね。なんというか、スカッとする。
 だが、ロリはそうではないらしい。

「ほ、本当に大丈夫なんですかね?」

 見てみればガクブルだ。竜というのは勇者を持ってしてもそれ程の存在なのか。
 まあ、コイツはJCにしか見えないのでその実力を俺は未だに疑っているのだが。まあ、あの歳にしては聡明なガキだ。勇者っていうのは嘘じゃねえだろ。

「大丈夫さ。まあ、ちょっと見てろって」
「は、はい!」

 ロリはコクコクと頷いた。
 ドラゴンの咆哮は急速に近づいてきている。この感じだと、ここに来るまで分も無い。というか、ドラゴンの姿が見えてきた。色は緑色で、その大きさはまるでジャンボジェットだ。翼を偶に羽ばたかせる度に恐ろしい勢いで加速していく。
 っていうか、速ぁ! 予想の10倍は速いんだけど。

「来ますっ! 3,2,1」

 GUAOOOOOOOOOOOOOOO!!!

 瞬間目の前が真っ白になった。

 体中が鉄で殴られたかのような感覚。俺は狼狽した。
 全身の骨が折れたかと思った。全て粉々に散ったかのような、圧倒感。
 これが竜。これが、ドラゴン。

「ぐっ」

 静かに目を開ける。幸い、怪我はないようだ。つまり、さっきのはただの威圧。実際は風圧なども殆ど無かったのだろう。良かった。ポケモンバトルには負けていないようだ。
 だが、ちょっとおかしい。

「う、ん?」

 まず、俺は首に違和感を感じた。
 何かに掴まれてるように服が引きつっている。
 次に周りの様子がおかしい。
 俺は首を右往左往させる。
 いない。ロリ勇者がいないのだ。
 そして地面の様子、一面草原なので分かりづらいが高速で移動していないか?
 そして最後に、生臭い。いや、血なまぐさいと言った方が正確か。 

「も、もしかして……」

 俺は上を見上げた。大きな目がギロンとこちらを覗く。

 GYAOU

「あはははは」

 俺は、どうやら、ドラゴンに誘拐されたらしい。


ーーーーー

「たずげてーーーーー!!」

 手足をジタバタさせるが、チラリと下を見ると先程の5倍くらい高度が上がっている。落ちても死ぬだけだ。俺は脱力した。

 どんどんと上昇していく。

 俺はクールになった。暁美ほむらはこの程度では怯まない。だから、俺も冷静に考えるぜ。
 まず、このドラゴンが俺を攫った理由だが、十中八九、俺のプリンス的美貌に惚れたからだろう。まあ、仕方ない。獣に理性を求めるのはお門違いだ。そして、人間も獣である。だから、これまで合ってきた婦女子達、君達も我慢しなくて良かったんだよ? もしかして、照れちゃったのかな。気軽に話してくれれば良かったのにね。
 まあ、それはいい。問題は一つだ。

「お前、女なの?」

 そう、このドラゴンの性別である。人外転生とかが流行る時代。もはや性対象が人型だけとかは、旧人類の考え方だ。俺は現代人なのでね、ドラゴンくらい簡単に受け入れる包容力を持っている。だが、俺はヘテロセクシャルだ。ホモじゃない。流石に男はキツイのだ。
 俺は意外とこのドラゴンさんとお付き合いしてあげてもいいとさえ思っている。だってカッコイイし強いしロリになれるかもしれないからな。だが、ロリを期待してショタが出てきたら俺のガラスハートが無残に砕け散ること明白だ。お突き合いはしたくない。
 いや、男の娘だったらまだ良いのよ。それはそれで別に好きだし。だけど、やっぱり女を俺は望む。
 凸よりは凹がいい。

「ねえ、どうなんですか?」

 GUOGUO

 すみません、判別が出来ないんですが。
 これはどっちかな? うーん、なんとなく『美味そうな男だ』って言ってる感じがある。
 分からない。男好きのホモって可能性もあるし、遊び慣れたビッチのお姉さんって感じもある。
 俺は後者だと考える。
 さっきから不自然に風圧が来ない。ここはドラゴンの鼻の先である。一番風が来る場所と言っても過言ではないだろう。にも関わらず、息苦しくないのはこのドラゴンさんの魔法によるものだろう。この気遣いは女にしか出来ない。だからドラゴンさんは女である。完璧な論理だ。

 そういえば今の所、勇者以外で詠唱して魔法使ってる奴を見ていないな。まあ、資料数3で、内2が人外なのだが。無詠唱ってどうやってやるんだろう。

「そこんとこどうなの?」

 GAAAAAA

 なるほど、分からん。まあ、いっか。
 魔法で思い出したけど、あのロリ勇者はどうなったのだろう? 一瞬の出来事だったから挨拶もできなかったけど、ドラゴンとの式が決まったら松明様んとこに言って挨拶しに行かないと。

 GURUUUU

 駄目ですよ、ドラゴンさん。あの人? 達は、この世界での唯一の知り合いですからね。ちゃんと挨拶師に行かないと。できればうちの親に会わせたかったんですけどね、どうも遠方なもんで。松明様は親代わりみたいなもんですから。

 俺が楽しくおしゃべりをしていると、目の前に大きな木が現れた。

「おっ! あれが新居ですか? 立派なお宅ですね」

 俺の目の先に見えたのは、やけに大きな木と、その枝にある白い何かで作られた巨大な巣だ。
 実はさっきから森に入っていて、下が濃い緑一色だったのだ。
 因みに、白いのは……うん、骨だね。近づく程に鮮明に見えるのだが、なんか猿っぽい二足歩行の頭でっかちな生き物の骨が多い。はっきり言おう、人骨だな。
 ったく~、ドラゴンさんったら元カレをあんなに連れ込んで。挙げ句の果てに食べて、残った骨でDIYしちゃうなんて。
 オッシャレー。

「お前のこと大嫌いだったけど、今なら魔法少女、なってあげても良いよ」

 だが、QBが来ることもなく、俺はドラゴンさんにお持ち帰りされた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる

書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。 鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。 だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。 その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。 俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。 ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。 なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...