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2章 異世界オタクと人形達の街
29話 中層の魔物
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ここ、カンダラ市営鉱山において難易度を示す指標として【深度】がある。
その名の通り地表からの深さを示した数値だが、この迷宮においてそれは魔物の強さと結びつく。
この世界の長さの単位であるフィル(注:1フィル=約1m)によって測定されるそれは、いくつかの区分がある。
まず深度600フィルまでを浅層と呼ぶ。
比較的魔物の種類も限られており、観光客も出入りできる範囲である。子供でも安全に迷宮を体験できるレベルだ。カンダラ市営鉱山に設けられたカンダラ牢獄において最も多くの人が魔精石を稼ぐ場所でもある。
かの牢獄が何故あそこまで“ゆるい”のかは、この街のネイティブが関係しているのだが、今は省くすることにする。
結論を言えば、浅層は迷宮といえど命の危険は無いに等しい場所なのである。
そして、そこから深度1000フィルまでを中層と呼ぶ。
ここまでくれば、やっと迷宮は真の恐ろしさを現してくる。
一気に魔物の種類が増え、レベルも高くなっていく。
どんな実力者であっても油断は禁物であり、死と隣り合わせの場所ではあるが、同時に自然魔力や魂によって変質した探索者の遺物が魔道具となって産出するようになるのもこのくらいだ。
俗にいう探索者はこの領域を仕事場にしている。
そして最後に、深層である。
この定義に中層よりも下ということ以外は含まれていない。
なぜなら、この迷宮の最下層は未だ未踏であるためだ。
最前線の深度は、深度3400フィル。それ以上先に人間は行きついたことが無い。
―カンダラ市営鉱山 中層―
「ねえ、アンドレー君。まだつかないのかい?」
「うん、ケント。もうちょっと潜らないと、たぶん追ってくる」
ここは中層。深度は知らないが、かなり潜ったはずだ。
なぜなら、まず空気が違う。この迷宮は空気が謎技術によって一定気圧に保たれているらしいが、にもかかわらず空気が重い。
あと、たまに死体を魔物がついばんでいるのを見ることもある。浅層じゃ見なかった光景だ。
「そういえば、ケント。君は死体とか大丈夫なのかい?」
死体、ね。
俺はそれを見て泣き叫んだりしないし、腰が砕けたりしない。
ゼロライダー曰く、どうかしている奴だ。まったくもって同感である。
別に俺が死体に慣れているとかそういうわけじゃない。惨い光景だとも理解している。
だが何故か何とも思わない。もしかしたらオタクに脳をいじられているのかもしれない。
この異世界で生き残ることができるように。
まあだったらもっとチートとかつけろよって話だが。
「ああ、問題ない。――そういやここら辺ってどんなのが出てくるんだ?」
アンドレー君は明朗な声で教えてくれた。
「基本的に浅層と同じでアンデッドは多いかな。スケルトンの上位種とか、あとは幽体の魔物とかもいる。やつらは魔術を使ってくるから厄介だよ」
このパーティには遠距離へ攻撃できるタイプがいない。アンドレー君は近接専門だし、俺は松明様を眺めるっていう重要な役目があるし、松明様は遠距離攻撃できるけど、手伝ってくれない。
俺たちは魔法使いタイプに滅法弱いのだ。
え? 忠兵衛?
あいつは上に置いてきた。俺の指示だ。
俺の莫大な財産は一度没収されかけたが、大部分はアンドレー君の四次元ポケットないし圧縮空間収納に入っている。よって未だ多くの資産は手持ちにある。
だが、それだと色々とまずい。逃亡生活をずっとやるのもいやだし、運営側と敵対するのは避けたいところだ。というわけで忠兵衛には資産の一部を持たして賠償金を稼いでもらっている。今は牢獄内のマスコミ関係者を懐柔している真っ最中だろう。風説が悪いと何もできないからな。
勿論、奴に財産を任せるのは怖い、というか確実に持ち逃げされるという確証があるのだが、それは問題ない。
ー回想ー
「ということだ。忠兵衛、やれるか?」
忠兵衛は端末を弄りながら応えた。
「うっしゃぁああ!! SSRキタコレ! あ、でも要らねえやつかよ、ちっ」
「お前は上司と話すときくらいゲームから離れろ。まあいい。おい、宜しく頼む」
「分かってますよ。要は金を増やして旦那の賠償金を稼げばいいんでしょ。ちょろいっす」
「よし、言質はとった。アンドレー、あれを見してやれ」
アンドレー君が一枚の紙をでんと突き出した。契約書のように見えるそれは、より厳密で、より恐ろしいものだ。
「ん、なんすかそれ。ソシャゲの一覧……」
「そうだ、正確にはお前がやっているソシャゲの全てだ」
忠兵衛が首を捻る。
「それがどうしたんすか」
俺はニヤリと口角を上げた。忠兵衛がキョトンとこちらを見る。
「お前のゲームデータは、今、俺の管理下にある」
忠兵衛はそれを聞くと恐るべき速さで端末を開きソシャゲを起動していく。
「な、何だこれ。データの移送が、できない?」
「そういうことだ。励めよ」
「ちょ、ちょっと。もしかしてサボったらデータ消去とかないですよね。もう何万費やしたか分からないんすよ!」
俺は忠兵衛を無視して部屋を去った。
ーーーーーーーーーー
という訳だ。問題ないだろう。
さて俺たちは迷宮を二人?で歩いていく。
相も変わらず石を無理やりこじ開けたような迷宮だ。ここら辺になってくると豆電球(似)もなくなるので、事前に買っておいたランプで道を照らす。持つのは俺の仕事だ。
「これさ、自動追尾型にすれば良かったってさっきからずっと後悔してるわ。いい加減腕が疲れてきたんだけど」
アンドレー君はしょうがないと言いたげに、こちらに振り向く。
「でも、金の無駄だって言ったのはケントじゃないか。僕はそれ買うのに反対してたはずだよ」
「それなんだけどさ、俺正直松明様の明かりで十分かなって思ったのよ。だから、買うときはあくまでインテリア的な感じで買ったんだよね。アンドレー君の頭蓋の中に入れたら楽しそうだし」
このランプは色や光量などを調整できるなどいろいろ多機能で、しかも魔精石いらずの優れものである。だが色々機能を足した結果、他のランプにはよくついている、空中に浮遊アンド使用者に追尾という機能が付いていない。
特に空中浮遊の技術はわりかし高度らしく、魔道具として作るのにも結構大変なのだとか。だからほとんどはその機能しかついていないのだ。
だが俺は思ったのだ。そんな多数派を使っていいのか、と。
俺が使うべきなのは、むしろ使い勝手が悪くともいろいろできる少数派なのでは、と。
まあ、結論としては多数派の方が良かったけどさ。
「頭蓋の中に入れるのはやめてね。なんかそういう魔物いるから。間違えられそう」
「いや、間違えられるもなにも、アンドレー君、魔物でしょ」
松明様は今日もブンブンと体を揺らしながら、楽しそうにしている。
だが、お楽しみは俺の異世界の常々としてあまり長く続かない。
どうやら敵のようだ。
「うわ、噂をすれば、だね。ゴーストのようだよ」
俺たちの前に現れたのは松明様と俺の持つランプに照らされてもなお晴れない黒い靄である。ぶつぶつと何かを呟いているが、何を言っているのかは分からない。
だが十中八九、恨み言であることは確かであろう。
「ぐお、ぐあ、ふぐらはぎぃい、ふくらはぎぃぃぃ!」
いや、ただの脚フェチだったようだ。恨みというより、悲しさを感じる。
「いや、二の腕だろ」
俺のその言葉を口火に、戦闘が開始された。
この黒い靄、正式名称は【黒欲雲】と云うらしい。なんでも欲望のままに動き、そしてそれが解消されると自然に成仏するというよく分からない魔物なのだとか。
だが、欲望が解消できないとなるとこの魔物は凶暴になる。残念ながらこのパーティで最上のふくらはぎを持つのは、白くて細いアンドレー君だが、アンドレー君は男だし、そもそも肉が無いから多分範囲外だろう。
ちっ、戦うしかないのか。
俺はせっかくなので魔術を使ってみることにした。【ドリンクバー】以外のものである。
そう、金が有り余っていたのでついに魔術を習得したのだ。今こそその真価を見せるときである。
≪この和田健人が≫
≪自らの魔力に命じる≫
≪いでよ、我が異能≫
【ドリンクバー】
まずは下準備だ。ドリンクバーをセットし、紙コップに水を入れる。
そして、ここからが真骨頂。
≪我、水の異能使いが≫
≪我が魔力をもって≫
≪聖なる水の弾丸をここに顕在す≫
【セムリ・プロモ・シノメンタ(聖水弾)】
その瞬間俺の手に握られた紙コップの中から水が浮かびだす。
イメージだ。俺は顔を顰めながら必死に情景を思い描く。
小学5年生のあの夏。強い日差し。流れる清流。
言い出せなかったあの子への気持ち。
それを今、あの頃の清純さを水の弾に込めて撃ち放つ!
「おりゃあああああああ!!」
ピュッ。
お風呂場でよくやる水鉄砲くらいの水圧が黒い靄を濡らした。
「?」
「ケントッ、無駄にヘイトを増やすのはやめてくれっ」
アンドレー君が勢いよく黒い靄にとびかかっていく。
やはりだめだな。この魔術は水術と促術の複合で悪霊とかそういうアンデッド系に特攻があるんだが、行使には自らの清らかな思い出が必要らしい。
そこで俺は子供時代の思い出を頭に浮かべたわけだが、まず、俺は好きだったあの子の顛末を知ってしまっている。チャラ男と付き合って、数年ぶりに再会した時に、「あれ、誰だっけ? ごっめーん。忘れちゃったぁ。カズ君は知ってる?」「いやぁ、覚えてないな。っていうかこんなザ・モブみたいなやつなんていたっけ」「だよねー。キャハハハッ」って言われたことの印象が強すぎて、清純なイメージなんて思い出せないわ。
ちなみに金髪になってた。
ぐ、奴らめ。同窓会で、連絡してないのに何故か来ちゃった人みたいな対応をしやがって。呼びたくねえなら、連絡網で呼びかけとかするなよ。純情な俺のピュアハートがちょっと期待しちゃっただろうがっ。
まあ、それはいい。それはいいんだ。
つまるところ、俺に聖属性は向いていないらしい。なぜだろう、こんなにも俺の胸の中は慈愛の心に満ち満ちているのに……主に俺に対して。
さて、とにかく魔物への対処である。
「アンドレー、対象を以後【黒靄】と呼称。現状を報告せよっ」
俺は前々からちょっとやってみたかった軍隊ごっこをすることにした。実利にかなっているので、誰も咎めないしな。
「了解。攻撃手段は、遠距離では光術によるレーザー攻撃。近接では、促術によるデバフと、触腕の鞭攻撃。超近接であれば、攻撃可能。しかし、近寄れない」
どうやら結構厄介のようだ。防御力はあまり無さそうだが、攻撃力が半端無さそうだ。うかつには近寄れない。
しかも近寄れば、デバフと音速にも達しているであろう鞭が待ち構えている。
アンドレー君は何度も接近しているが、急に動きが速くなったり、遅くなったりしている。促術というのは、物事の推移の速度を制御する属性だ。ヘベノは料理工程の短縮に使っていたが、戦闘に使えば厄介な補助魔術になる。
「アンドレー、魔道具を使って補助用の促術を編む。120秒くらいだ。それまでの時間を稼げるか?」
「了解」
あの弾幕を突破するためには圧倒的な速度が必要である。それを為すためにはこちらも促術をかけるしかない。
使い捨ての魔道具によるステータスの底上げ。それに賭ける。
俺は懐からカードとりだした。もちろん例の魔道具である。
この魔道具はたった数秒の間だけだが飛躍的な能力向上ができる。だが起動には時間がかかる。120秒、つまり2分というのはその時間だ。
アンドレー君が槍で鞭を弾くと、すかさず光線が飛んでくる。
それを転がりながら躱す。
だが、それも黒靄の手中。すぐに次の鞭が飛んでくる。
予備動作で隙が生まれやすい鞭という武器だが、それを何本も並列で動かせ、かつそれを補佐する魔術があれば話は別だ。
絶え間ない攻撃がアンドレーを襲う。
しかし黙って攻撃を受けるだけの骸骨ではない。
自らの本体である槍からどす黒いタール状の液体が吹き出す。それは徐々にアンドレーの体を覆っていき、ついにはアンドレーは黒い甲冑を着込んだような姿になった。
「あんまり得意ではないんだけどね」
そう言って体を構えるアンドレー。
腰を低くし、全身の隙間を少なく、地に張り付いたようにがっしりとした構え。
それは、今までの戦い方とは違う、タンクの戦い方である。
鞭が飛んでくるがそれを槍の払いで断ち切る。
痛みにうろたえた黒靄は光線を発射するが、アンドレーには効かない。
漆黒の甲冑は光をすべて吸収してしまう。
質でだめなら量だと言わんばかりに繰り出されていく触手の鞭。
目にもとまらぬ速度で何重もの触手がアンドレーの体を叩いていく。
視界上部からの攻撃を突きではねのける。
腕を狙ってきた攻撃を上段からの振り下ろしで軌道をずらす。
俺には速すぎて何も見えないが、なんとなく雰囲気で解説してみた。実際はもっと複雑だろう。
だが、さすがに全部防げるわけではない。
触手の一撃がアンドレー君の肩パッドを吹き飛ばす。カランと金属音を出すと、急に融け出して、地面に溶け込んだ。
大丈夫かな、あれ。環境汚染とかにならないよね。
まあ十中八九なりそうだけど。
アンドレー君の装甲が次々と剥がれていく。
これが女騎士とかだったら、触手を応援できるんだが、剥がれた装甲の隙間から見えるのは、剥き出しの肌(カルシウム製)なので、やはり応援できない。
そんな馬鹿なことを考えていると、アンドレー君の身体がゴムボールのように跳ね飛ばされた。
「グガァッ」
「アンドレー君っ!」
俺は、アンドレー君のところまで駆けようとする。
だがモクモクと土煙(どうやら石が粉に粉砕されるほどの勢いだったようだ)が昇る中から、静止の意を示す手が出された。
そして、槍を杖にしながら立ち上がり、口早に言葉を紡ぐ。
「だいじょうぶ、いいから作業を!」
「分かったっ」
俺は起動の為の呪文を取扱説明書を見ながら唱えていく。
えぇっと、ぁあ? 素早さに関するステータス上昇は続きの詠唱が36ページにあるだと。
使い捨ての癖に、なんでこんなに複雑なんだよ。
「アンドレー、やり方は分かった。あと、もうちょっとだから待っててくれ」
「え、ちょっと待って」
アンドレーが魔物を放っておいて、俺の方に向き変える。
もちろん黒靄はその隙を放って置かない。すぐに攻撃を仕掛けてくる。
「あの、すみません。今、話してるんで、邪魔しないでもらえますか?」
アンドレー君は今までしたことがないような冷ややかな声で言い放った。
あまりの威圧感に黒靄は攻撃をやめて静かになる。
「ケント、今、聞き捨てならないことを聞いたんだけど。――やり方が分かった? ねえ、聞いていいかな、やり方が分かったってどういうこと?」
俺は今、中層の魔物よりも、アンドレー君に対して生命の危機を感じていた。
いや、アンドレー君は魔物なのでそれで合っているのだが、ついでに言うと見た目骸骨なので、全くもって自然なことなのだが、そういう意味ではない。
なんというか、こう。関係性の危機を感じる。
「ま、待ってくれ、アンドレー君。違うんだ、そういうことじゃなくて」
「違うって何が? どう違うの? 分かるように説明して」
どうしよ。アンドレー君がヤンデレ系みたいになってる。
中層の連戦で精神がおかしくなったの?
呪いの槍が?
むしろ精神をおかしくする方じゃないの?
「えーと、さっきのは言葉の綾というか、やり方をチェックしてなくて時間がかかったとかじゃなくて……あー、えーと、そ、そう! この魔導具は一定時間でやり方が変わるんだよ! だから手間取ったんだ」
俺は自分でもどうかと思う言い訳を口にした。
言ってから後悔する。
いや、一定時間で変わるってなんだよ。ワンタイムパスワードかよ。
っていうか変わっても前もって調べてれば、それだって時間そんなに掛かんないだろ。
「ふーん」
黒靄は一向に襲ってこない。
っていうかむしろ『もう帰っていいかな』っていう感じだ。
なんでだろう、アンドレー君から冷たい空気が流れてくる感じがする。
いや、いかにも死の権化ってプロポーションだから似つかわしくはあるんだけど、そうじゃなくて!
「え、いや、やっぱそうじゃなくて、えーと、ああーっと」
アンドレー君が冷たく俺を見蔑む。
「ケント、言い訳なんかどうでもいいんだ」
じゃあ、どうすりゃいいんだよっーー!?
俺は珍しく考えたことを口に出さず、心の中で爆発させた。
どうしよう。完璧に俺が悪いのは明らかなんだが、俺は諦めたくない。
だが理性が囁いてくる。さっさと謝るべきだと。
だが、俺はあきらめない。あきらめたくないーー。
「ねえ、ケント、これなんだと思う?」
アンドレー君が槍を俺にチラつかせる。
「すっいませんでしたぁーーーーーー!!!」
俺は勢い良く額を冷たい石床に叩きつけた。
頭をぐりぐりと床に擦り付ける。
ジャパニーズDO★GE★ZAが伝わるかどうかは知らないが、必要なのは誠意だ。
「ケント?」
アンドレー君に何か言わせる前に謝罪の言葉を口から出していく。
「アンドレー君いたら大丈夫かな、って思ってろくに説明書を読んでなかった俺が悪いんだ。本当にすまなかった。余計な時間稼ぎをしてもらって、すまない」
俺は再び頭を下げる。
「ケント……」
俺は黒靄の方にも向いた。
「お前にも悪いことをした。せっかく勝負してくれてたのに、俺が不甲斐ないばかりに余計な手間を取らせちまってーー本当にすまない」
「ゲンド……」
黒靄は濁った声で俺の名前を呼んでくれた。
「みんな本当に、本当に申し訳なかった。これからは善処する」
アンドレー君と黒靄が涙ぐんでくれている気がした。
「殴ってくれ、2人とも」
俺は歯を食いしばって2人の前に立った。
目を瞑って衝撃に備えた。
だが、そのあとに訪れたのはゴツゴツとした骨と粘着質の雲のような感触だった。
「え」
「ケント、ごめん。その言い過ぎた」
「ゲンド……」
もしかして、お前たち。
「俺を許してくれるのか?」
アンドレーは優しい声で言った。
「もちろんさーー僕たち、友達だろ?」
「ゲンド……」
俺は歯を剥き出しにして笑った。
――落ちたな。
その名の通り地表からの深さを示した数値だが、この迷宮においてそれは魔物の強さと結びつく。
この世界の長さの単位であるフィル(注:1フィル=約1m)によって測定されるそれは、いくつかの区分がある。
まず深度600フィルまでを浅層と呼ぶ。
比較的魔物の種類も限られており、観光客も出入りできる範囲である。子供でも安全に迷宮を体験できるレベルだ。カンダラ市営鉱山に設けられたカンダラ牢獄において最も多くの人が魔精石を稼ぐ場所でもある。
かの牢獄が何故あそこまで“ゆるい”のかは、この街のネイティブが関係しているのだが、今は省くすることにする。
結論を言えば、浅層は迷宮といえど命の危険は無いに等しい場所なのである。
そして、そこから深度1000フィルまでを中層と呼ぶ。
ここまでくれば、やっと迷宮は真の恐ろしさを現してくる。
一気に魔物の種類が増え、レベルも高くなっていく。
どんな実力者であっても油断は禁物であり、死と隣り合わせの場所ではあるが、同時に自然魔力や魂によって変質した探索者の遺物が魔道具となって産出するようになるのもこのくらいだ。
俗にいう探索者はこの領域を仕事場にしている。
そして最後に、深層である。
この定義に中層よりも下ということ以外は含まれていない。
なぜなら、この迷宮の最下層は未だ未踏であるためだ。
最前線の深度は、深度3400フィル。それ以上先に人間は行きついたことが無い。
―カンダラ市営鉱山 中層―
「ねえ、アンドレー君。まだつかないのかい?」
「うん、ケント。もうちょっと潜らないと、たぶん追ってくる」
ここは中層。深度は知らないが、かなり潜ったはずだ。
なぜなら、まず空気が違う。この迷宮は空気が謎技術によって一定気圧に保たれているらしいが、にもかかわらず空気が重い。
あと、たまに死体を魔物がついばんでいるのを見ることもある。浅層じゃ見なかった光景だ。
「そういえば、ケント。君は死体とか大丈夫なのかい?」
死体、ね。
俺はそれを見て泣き叫んだりしないし、腰が砕けたりしない。
ゼロライダー曰く、どうかしている奴だ。まったくもって同感である。
別に俺が死体に慣れているとかそういうわけじゃない。惨い光景だとも理解している。
だが何故か何とも思わない。もしかしたらオタクに脳をいじられているのかもしれない。
この異世界で生き残ることができるように。
まあだったらもっとチートとかつけろよって話だが。
「ああ、問題ない。――そういやここら辺ってどんなのが出てくるんだ?」
アンドレー君は明朗な声で教えてくれた。
「基本的に浅層と同じでアンデッドは多いかな。スケルトンの上位種とか、あとは幽体の魔物とかもいる。やつらは魔術を使ってくるから厄介だよ」
このパーティには遠距離へ攻撃できるタイプがいない。アンドレー君は近接専門だし、俺は松明様を眺めるっていう重要な役目があるし、松明様は遠距離攻撃できるけど、手伝ってくれない。
俺たちは魔法使いタイプに滅法弱いのだ。
え? 忠兵衛?
あいつは上に置いてきた。俺の指示だ。
俺の莫大な財産は一度没収されかけたが、大部分はアンドレー君の四次元ポケットないし圧縮空間収納に入っている。よって未だ多くの資産は手持ちにある。
だが、それだと色々とまずい。逃亡生活をずっとやるのもいやだし、運営側と敵対するのは避けたいところだ。というわけで忠兵衛には資産の一部を持たして賠償金を稼いでもらっている。今は牢獄内のマスコミ関係者を懐柔している真っ最中だろう。風説が悪いと何もできないからな。
勿論、奴に財産を任せるのは怖い、というか確実に持ち逃げされるという確証があるのだが、それは問題ない。
ー回想ー
「ということだ。忠兵衛、やれるか?」
忠兵衛は端末を弄りながら応えた。
「うっしゃぁああ!! SSRキタコレ! あ、でも要らねえやつかよ、ちっ」
「お前は上司と話すときくらいゲームから離れろ。まあいい。おい、宜しく頼む」
「分かってますよ。要は金を増やして旦那の賠償金を稼げばいいんでしょ。ちょろいっす」
「よし、言質はとった。アンドレー、あれを見してやれ」
アンドレー君が一枚の紙をでんと突き出した。契約書のように見えるそれは、より厳密で、より恐ろしいものだ。
「ん、なんすかそれ。ソシャゲの一覧……」
「そうだ、正確にはお前がやっているソシャゲの全てだ」
忠兵衛が首を捻る。
「それがどうしたんすか」
俺はニヤリと口角を上げた。忠兵衛がキョトンとこちらを見る。
「お前のゲームデータは、今、俺の管理下にある」
忠兵衛はそれを聞くと恐るべき速さで端末を開きソシャゲを起動していく。
「な、何だこれ。データの移送が、できない?」
「そういうことだ。励めよ」
「ちょ、ちょっと。もしかしてサボったらデータ消去とかないですよね。もう何万費やしたか分からないんすよ!」
俺は忠兵衛を無視して部屋を去った。
ーーーーーーーーーー
という訳だ。問題ないだろう。
さて俺たちは迷宮を二人?で歩いていく。
相も変わらず石を無理やりこじ開けたような迷宮だ。ここら辺になってくると豆電球(似)もなくなるので、事前に買っておいたランプで道を照らす。持つのは俺の仕事だ。
「これさ、自動追尾型にすれば良かったってさっきからずっと後悔してるわ。いい加減腕が疲れてきたんだけど」
アンドレー君はしょうがないと言いたげに、こちらに振り向く。
「でも、金の無駄だって言ったのはケントじゃないか。僕はそれ買うのに反対してたはずだよ」
「それなんだけどさ、俺正直松明様の明かりで十分かなって思ったのよ。だから、買うときはあくまでインテリア的な感じで買ったんだよね。アンドレー君の頭蓋の中に入れたら楽しそうだし」
このランプは色や光量などを調整できるなどいろいろ多機能で、しかも魔精石いらずの優れものである。だが色々機能を足した結果、他のランプにはよくついている、空中に浮遊アンド使用者に追尾という機能が付いていない。
特に空中浮遊の技術はわりかし高度らしく、魔道具として作るのにも結構大変なのだとか。だからほとんどはその機能しかついていないのだ。
だが俺は思ったのだ。そんな多数派を使っていいのか、と。
俺が使うべきなのは、むしろ使い勝手が悪くともいろいろできる少数派なのでは、と。
まあ、結論としては多数派の方が良かったけどさ。
「頭蓋の中に入れるのはやめてね。なんかそういう魔物いるから。間違えられそう」
「いや、間違えられるもなにも、アンドレー君、魔物でしょ」
松明様は今日もブンブンと体を揺らしながら、楽しそうにしている。
だが、お楽しみは俺の異世界の常々としてあまり長く続かない。
どうやら敵のようだ。
「うわ、噂をすれば、だね。ゴーストのようだよ」
俺たちの前に現れたのは松明様と俺の持つランプに照らされてもなお晴れない黒い靄である。ぶつぶつと何かを呟いているが、何を言っているのかは分からない。
だが十中八九、恨み言であることは確かであろう。
「ぐお、ぐあ、ふぐらはぎぃい、ふくらはぎぃぃぃ!」
いや、ただの脚フェチだったようだ。恨みというより、悲しさを感じる。
「いや、二の腕だろ」
俺のその言葉を口火に、戦闘が開始された。
この黒い靄、正式名称は【黒欲雲】と云うらしい。なんでも欲望のままに動き、そしてそれが解消されると自然に成仏するというよく分からない魔物なのだとか。
だが、欲望が解消できないとなるとこの魔物は凶暴になる。残念ながらこのパーティで最上のふくらはぎを持つのは、白くて細いアンドレー君だが、アンドレー君は男だし、そもそも肉が無いから多分範囲外だろう。
ちっ、戦うしかないのか。
俺はせっかくなので魔術を使ってみることにした。【ドリンクバー】以外のものである。
そう、金が有り余っていたのでついに魔術を習得したのだ。今こそその真価を見せるときである。
≪この和田健人が≫
≪自らの魔力に命じる≫
≪いでよ、我が異能≫
【ドリンクバー】
まずは下準備だ。ドリンクバーをセットし、紙コップに水を入れる。
そして、ここからが真骨頂。
≪我、水の異能使いが≫
≪我が魔力をもって≫
≪聖なる水の弾丸をここに顕在す≫
【セムリ・プロモ・シノメンタ(聖水弾)】
その瞬間俺の手に握られた紙コップの中から水が浮かびだす。
イメージだ。俺は顔を顰めながら必死に情景を思い描く。
小学5年生のあの夏。強い日差し。流れる清流。
言い出せなかったあの子への気持ち。
それを今、あの頃の清純さを水の弾に込めて撃ち放つ!
「おりゃあああああああ!!」
ピュッ。
お風呂場でよくやる水鉄砲くらいの水圧が黒い靄を濡らした。
「?」
「ケントッ、無駄にヘイトを増やすのはやめてくれっ」
アンドレー君が勢いよく黒い靄にとびかかっていく。
やはりだめだな。この魔術は水術と促術の複合で悪霊とかそういうアンデッド系に特攻があるんだが、行使には自らの清らかな思い出が必要らしい。
そこで俺は子供時代の思い出を頭に浮かべたわけだが、まず、俺は好きだったあの子の顛末を知ってしまっている。チャラ男と付き合って、数年ぶりに再会した時に、「あれ、誰だっけ? ごっめーん。忘れちゃったぁ。カズ君は知ってる?」「いやぁ、覚えてないな。っていうかこんなザ・モブみたいなやつなんていたっけ」「だよねー。キャハハハッ」って言われたことの印象が強すぎて、清純なイメージなんて思い出せないわ。
ちなみに金髪になってた。
ぐ、奴らめ。同窓会で、連絡してないのに何故か来ちゃった人みたいな対応をしやがって。呼びたくねえなら、連絡網で呼びかけとかするなよ。純情な俺のピュアハートがちょっと期待しちゃっただろうがっ。
まあ、それはいい。それはいいんだ。
つまるところ、俺に聖属性は向いていないらしい。なぜだろう、こんなにも俺の胸の中は慈愛の心に満ち満ちているのに……主に俺に対して。
さて、とにかく魔物への対処である。
「アンドレー、対象を以後【黒靄】と呼称。現状を報告せよっ」
俺は前々からちょっとやってみたかった軍隊ごっこをすることにした。実利にかなっているので、誰も咎めないしな。
「了解。攻撃手段は、遠距離では光術によるレーザー攻撃。近接では、促術によるデバフと、触腕の鞭攻撃。超近接であれば、攻撃可能。しかし、近寄れない」
どうやら結構厄介のようだ。防御力はあまり無さそうだが、攻撃力が半端無さそうだ。うかつには近寄れない。
しかも近寄れば、デバフと音速にも達しているであろう鞭が待ち構えている。
アンドレー君は何度も接近しているが、急に動きが速くなったり、遅くなったりしている。促術というのは、物事の推移の速度を制御する属性だ。ヘベノは料理工程の短縮に使っていたが、戦闘に使えば厄介な補助魔術になる。
「アンドレー、魔道具を使って補助用の促術を編む。120秒くらいだ。それまでの時間を稼げるか?」
「了解」
あの弾幕を突破するためには圧倒的な速度が必要である。それを為すためにはこちらも促術をかけるしかない。
使い捨ての魔道具によるステータスの底上げ。それに賭ける。
俺は懐からカードとりだした。もちろん例の魔道具である。
この魔道具はたった数秒の間だけだが飛躍的な能力向上ができる。だが起動には時間がかかる。120秒、つまり2分というのはその時間だ。
アンドレー君が槍で鞭を弾くと、すかさず光線が飛んでくる。
それを転がりながら躱す。
だが、それも黒靄の手中。すぐに次の鞭が飛んでくる。
予備動作で隙が生まれやすい鞭という武器だが、それを何本も並列で動かせ、かつそれを補佐する魔術があれば話は別だ。
絶え間ない攻撃がアンドレーを襲う。
しかし黙って攻撃を受けるだけの骸骨ではない。
自らの本体である槍からどす黒いタール状の液体が吹き出す。それは徐々にアンドレーの体を覆っていき、ついにはアンドレーは黒い甲冑を着込んだような姿になった。
「あんまり得意ではないんだけどね」
そう言って体を構えるアンドレー。
腰を低くし、全身の隙間を少なく、地に張り付いたようにがっしりとした構え。
それは、今までの戦い方とは違う、タンクの戦い方である。
鞭が飛んでくるがそれを槍の払いで断ち切る。
痛みにうろたえた黒靄は光線を発射するが、アンドレーには効かない。
漆黒の甲冑は光をすべて吸収してしまう。
質でだめなら量だと言わんばかりに繰り出されていく触手の鞭。
目にもとまらぬ速度で何重もの触手がアンドレーの体を叩いていく。
視界上部からの攻撃を突きではねのける。
腕を狙ってきた攻撃を上段からの振り下ろしで軌道をずらす。
俺には速すぎて何も見えないが、なんとなく雰囲気で解説してみた。実際はもっと複雑だろう。
だが、さすがに全部防げるわけではない。
触手の一撃がアンドレー君の肩パッドを吹き飛ばす。カランと金属音を出すと、急に融け出して、地面に溶け込んだ。
大丈夫かな、あれ。環境汚染とかにならないよね。
まあ十中八九なりそうだけど。
アンドレー君の装甲が次々と剥がれていく。
これが女騎士とかだったら、触手を応援できるんだが、剥がれた装甲の隙間から見えるのは、剥き出しの肌(カルシウム製)なので、やはり応援できない。
そんな馬鹿なことを考えていると、アンドレー君の身体がゴムボールのように跳ね飛ばされた。
「グガァッ」
「アンドレー君っ!」
俺は、アンドレー君のところまで駆けようとする。
だがモクモクと土煙(どうやら石が粉に粉砕されるほどの勢いだったようだ)が昇る中から、静止の意を示す手が出された。
そして、槍を杖にしながら立ち上がり、口早に言葉を紡ぐ。
「だいじょうぶ、いいから作業を!」
「分かったっ」
俺は起動の為の呪文を取扱説明書を見ながら唱えていく。
えぇっと、ぁあ? 素早さに関するステータス上昇は続きの詠唱が36ページにあるだと。
使い捨ての癖に、なんでこんなに複雑なんだよ。
「アンドレー、やり方は分かった。あと、もうちょっとだから待っててくれ」
「え、ちょっと待って」
アンドレーが魔物を放っておいて、俺の方に向き変える。
もちろん黒靄はその隙を放って置かない。すぐに攻撃を仕掛けてくる。
「あの、すみません。今、話してるんで、邪魔しないでもらえますか?」
アンドレー君は今までしたことがないような冷ややかな声で言い放った。
あまりの威圧感に黒靄は攻撃をやめて静かになる。
「ケント、今、聞き捨てならないことを聞いたんだけど。――やり方が分かった? ねえ、聞いていいかな、やり方が分かったってどういうこと?」
俺は今、中層の魔物よりも、アンドレー君に対して生命の危機を感じていた。
いや、アンドレー君は魔物なのでそれで合っているのだが、ついでに言うと見た目骸骨なので、全くもって自然なことなのだが、そういう意味ではない。
なんというか、こう。関係性の危機を感じる。
「ま、待ってくれ、アンドレー君。違うんだ、そういうことじゃなくて」
「違うって何が? どう違うの? 分かるように説明して」
どうしよ。アンドレー君がヤンデレ系みたいになってる。
中層の連戦で精神がおかしくなったの?
呪いの槍が?
むしろ精神をおかしくする方じゃないの?
「えーと、さっきのは言葉の綾というか、やり方をチェックしてなくて時間がかかったとかじゃなくて……あー、えーと、そ、そう! この魔導具は一定時間でやり方が変わるんだよ! だから手間取ったんだ」
俺は自分でもどうかと思う言い訳を口にした。
言ってから後悔する。
いや、一定時間で変わるってなんだよ。ワンタイムパスワードかよ。
っていうか変わっても前もって調べてれば、それだって時間そんなに掛かんないだろ。
「ふーん」
黒靄は一向に襲ってこない。
っていうかむしろ『もう帰っていいかな』っていう感じだ。
なんでだろう、アンドレー君から冷たい空気が流れてくる感じがする。
いや、いかにも死の権化ってプロポーションだから似つかわしくはあるんだけど、そうじゃなくて!
「え、いや、やっぱそうじゃなくて、えーと、ああーっと」
アンドレー君が冷たく俺を見蔑む。
「ケント、言い訳なんかどうでもいいんだ」
じゃあ、どうすりゃいいんだよっーー!?
俺は珍しく考えたことを口に出さず、心の中で爆発させた。
どうしよう。完璧に俺が悪いのは明らかなんだが、俺は諦めたくない。
だが理性が囁いてくる。さっさと謝るべきだと。
だが、俺はあきらめない。あきらめたくないーー。
「ねえ、ケント、これなんだと思う?」
アンドレー君が槍を俺にチラつかせる。
「すっいませんでしたぁーーーーーー!!!」
俺は勢い良く額を冷たい石床に叩きつけた。
頭をぐりぐりと床に擦り付ける。
ジャパニーズDO★GE★ZAが伝わるかどうかは知らないが、必要なのは誠意だ。
「ケント?」
アンドレー君に何か言わせる前に謝罪の言葉を口から出していく。
「アンドレー君いたら大丈夫かな、って思ってろくに説明書を読んでなかった俺が悪いんだ。本当にすまなかった。余計な時間稼ぎをしてもらって、すまない」
俺は再び頭を下げる。
「ケント……」
俺は黒靄の方にも向いた。
「お前にも悪いことをした。せっかく勝負してくれてたのに、俺が不甲斐ないばかりに余計な手間を取らせちまってーー本当にすまない」
「ゲンド……」
黒靄は濁った声で俺の名前を呼んでくれた。
「みんな本当に、本当に申し訳なかった。これからは善処する」
アンドレー君と黒靄が涙ぐんでくれている気がした。
「殴ってくれ、2人とも」
俺は歯を食いしばって2人の前に立った。
目を瞑って衝撃に備えた。
だが、そのあとに訪れたのはゴツゴツとした骨と粘着質の雲のような感触だった。
「え」
「ケント、ごめん。その言い過ぎた」
「ゲンド……」
もしかして、お前たち。
「俺を許してくれるのか?」
アンドレーは優しい声で言った。
「もちろんさーー僕たち、友達だろ?」
「ゲンド……」
俺は歯を剥き出しにして笑った。
――落ちたな。
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