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地獄に堕ちそうになっている人間が正しい判断なんてできるわけもなく
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頭がぐわんぐわんになりながら、周りを見る。どうやらちゃんと戻ってきたらしい。
「それで、どういうつもりだ?」
閻魔ちゃんが、いつもより冷えた声で語りかけてきた。
「あなたは自分がなにをしたのかわかっていますか?仮に地獄行きを免れたとしても、あなたはもう人間に転生することはできなくなったんですよ?」
青鬼さんもあきらかに怒ったような顔をしていて、怖い。けどぼくはそんな彼女たちに言ってやることにした。
「ぼくの人生なんだから、ぼくの好きにしてなにが悪い」
「こんなバカなこと、おまえにメリットがないだろう」
「そうですね。戻るにしても、告白が失敗してからでよかったはずです。成功する確率はあったのですから、なのになぜ貴重な一回をドブに捨てるようなまねを……」
鬼たちはぐちぐちとぼくの行いを責め立てるが、メリットならあるのだ。
「だってこうした方がぼくの気分がスカっとするから」
「……なんだその小学生の感想みたいな理由は」
閻魔ちゃんがどこか困惑したようにそう言った。なるほど。確かに言われて見ると小学生みたいな理由だった。
「なんていうか、このままだとモヤモヤするんだよ。吐きそうで吐けないときとか、くしゃみが出そうで出ないときとか、そういうなんかモヤモヤっとするのがぼくは一番キライなんだ」
「……中身は30歳のくせしてダダをこねる子供だな。」
閻魔ちゃんが、額に手を当ててため息をつく。
「そのセリフ、見るからに子供な閻魔ちゃんにに言われると心にくるものがあるな」
「これでもおまえより一回りも二回りも年上なんだぞ!失礼なやつめ」
閻魔ちゃんは声を張り上げた。なんだ。こいつロリババアだったのか。衝撃の事実にぼくは目をパチパチと瞬かせた。
「とにかく、あのまま続けるのは嫌だったんだよ。だから、これでいいんだ」
「たとえ地獄に落ちても、来世で人間になれなかったとしてもか?」
「まあ、それは現在進行形で後悔してきてるけどさ……」
閻魔ちゃんは一つ大事なことを忘れているのだ。
「ぼくは今にも地獄に落ちそうになってる人間だぞ。そういう難しいことや先のことが考えられるかよ」
感情を優先して後先考えずに物事を決めて。結果間違った選択をしてしまう。そしてあとから自分のその軽率な選択を嫌というほど後悔するというのが、ぼくという矮小な人間のいつものパターンなのだ。そう考えると、やっぱりぼくは地獄に落ちるべくして落ちる人間なのだろうなと納得してしまった。
「なぁ閻魔ちゃん。ぼくにやり直す権利をくれてありがとな」
「なんだ急に。その権利を今しがたドブに捨てたやつがよくもまぁ言ったものだな」
ぼくの唐突な感謝に、閻魔ちゃんは不機嫌そうにそう答えた。
「人生ってのは本来やり直しが利かないものだろ?だからぼくにとってこれはボーナスステージなんだよ。だから死んだあとにそんな機会をくれた閻魔ちゃん達にお礼を言っておこうって思っただけだよ」
最初はもう一回あの退屈な学生生活、しかも他人の恋路を成功させるだなんて条件付きだなんて、だるくてしかたない罰ゲームじゃないか思っていた。
でも実際にやってみると、これが思いの外楽しかったのだ。きっと、ぼくが生前一度も体験したことのなかった青春ってやつがあんな感じなんだろう。だから、灰色だった学生生活に彩りを与えてくれた今回のやり直しは、やっぱりぼくにとっては罰ゲームじゃなくてボーナスステージだったのだ。
最後に青春をやり直せるチャンスをくれた鬼たちに感謝を伝えておきたかった。それだけのことである。
閻魔ちゃんは「ふんっ」とそっぽを向いて、青鬼さんは「しかたない人ですね……さすが地獄に堕ちかけているだけはあります」とため息をついた。
「じゃあ、そろそろ戻してくれよ」「ふん。言われなくてもそうするわ。うるさいやつだ」
最後まで不機嫌そうにして、閻魔ちゃんは小づちを振り下ろした。
「それで、どういうつもりだ?」
閻魔ちゃんが、いつもより冷えた声で語りかけてきた。
「あなたは自分がなにをしたのかわかっていますか?仮に地獄行きを免れたとしても、あなたはもう人間に転生することはできなくなったんですよ?」
青鬼さんもあきらかに怒ったような顔をしていて、怖い。けどぼくはそんな彼女たちに言ってやることにした。
「ぼくの人生なんだから、ぼくの好きにしてなにが悪い」
「こんなバカなこと、おまえにメリットがないだろう」
「そうですね。戻るにしても、告白が失敗してからでよかったはずです。成功する確率はあったのですから、なのになぜ貴重な一回をドブに捨てるようなまねを……」
鬼たちはぐちぐちとぼくの行いを責め立てるが、メリットならあるのだ。
「だってこうした方がぼくの気分がスカっとするから」
「……なんだその小学生の感想みたいな理由は」
閻魔ちゃんがどこか困惑したようにそう言った。なるほど。確かに言われて見ると小学生みたいな理由だった。
「なんていうか、このままだとモヤモヤするんだよ。吐きそうで吐けないときとか、くしゃみが出そうで出ないときとか、そういうなんかモヤモヤっとするのがぼくは一番キライなんだ」
「……中身は30歳のくせしてダダをこねる子供だな。」
閻魔ちゃんが、額に手を当ててため息をつく。
「そのセリフ、見るからに子供な閻魔ちゃんにに言われると心にくるものがあるな」
「これでもおまえより一回りも二回りも年上なんだぞ!失礼なやつめ」
閻魔ちゃんは声を張り上げた。なんだ。こいつロリババアだったのか。衝撃の事実にぼくは目をパチパチと瞬かせた。
「とにかく、あのまま続けるのは嫌だったんだよ。だから、これでいいんだ」
「たとえ地獄に落ちても、来世で人間になれなかったとしてもか?」
「まあ、それは現在進行形で後悔してきてるけどさ……」
閻魔ちゃんは一つ大事なことを忘れているのだ。
「ぼくは今にも地獄に落ちそうになってる人間だぞ。そういう難しいことや先のことが考えられるかよ」
感情を優先して後先考えずに物事を決めて。結果間違った選択をしてしまう。そしてあとから自分のその軽率な選択を嫌というほど後悔するというのが、ぼくという矮小な人間のいつものパターンなのだ。そう考えると、やっぱりぼくは地獄に落ちるべくして落ちる人間なのだろうなと納得してしまった。
「なぁ閻魔ちゃん。ぼくにやり直す権利をくれてありがとな」
「なんだ急に。その権利を今しがたドブに捨てたやつがよくもまぁ言ったものだな」
ぼくの唐突な感謝に、閻魔ちゃんは不機嫌そうにそう答えた。
「人生ってのは本来やり直しが利かないものだろ?だからぼくにとってこれはボーナスステージなんだよ。だから死んだあとにそんな機会をくれた閻魔ちゃん達にお礼を言っておこうって思っただけだよ」
最初はもう一回あの退屈な学生生活、しかも他人の恋路を成功させるだなんて条件付きだなんて、だるくてしかたない罰ゲームじゃないか思っていた。
でも実際にやってみると、これが思いの外楽しかったのだ。きっと、ぼくが生前一度も体験したことのなかった青春ってやつがあんな感じなんだろう。だから、灰色だった学生生活に彩りを与えてくれた今回のやり直しは、やっぱりぼくにとっては罰ゲームじゃなくてボーナスステージだったのだ。
最後に青春をやり直せるチャンスをくれた鬼たちに感謝を伝えておきたかった。それだけのことである。
閻魔ちゃんは「ふんっ」とそっぽを向いて、青鬼さんは「しかたない人ですね……さすが地獄に堕ちかけているだけはあります」とため息をついた。
「じゃあ、そろそろ戻してくれよ」「ふん。言われなくてもそうするわ。うるさいやつだ」
最後まで不機嫌そうにして、閻魔ちゃんは小づちを振り下ろした。
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