31 / 129
パトリシア 2
しおりを挟む
野営の最中に見張りも立てずにするというのは、普通なら無謀極まりない。
だから俺は、その間はサイレントの魔法を使っている。サイレントを使うと、お互いの声が聞こえなくなるが、魔物対策としては、とびきり優秀なのでクレラインやオーリアとのときも使っている。
魔物対策として、なぜサイレントが効果があるかということだが、俺の想像に過ぎないが、自然界の中では無音という状態はありえ得ない。その無音という状態を、警戒するのだろうと思う。魔物の5感は、当然、人間より数倍敏感だ。だから、無音の空間に遭遇すれば、まずは、そこから離脱を試みる。それは、魔物の生存本能なのではないかと思う。それが、サイレントの魔法を使うと、魔物に襲われない理由なのだと思う。
さて、次の日も馬車を駆って、夕方にナンガブール山の中腹にある村に着く。
この村で馬車を預け、明朝からは徒歩で山に登ることになる。
翌朝、パンとスープを食べた後、山に登る準備をしながら、
「珍しく魔物に襲われなかった」と聞くと、
「ここまでの道は、街や村の自警団が定期的に見回っているからね。元々、魔物が少ない地域だしね」とパティ。
あのときから俺の中での呼び方は、女店主じゃなく、パティになっている。
「魔物が少ない地域というのがあるんだな」
「少ないといっても、出ないわけじゃないから、気を緩めちゃいけないよ」
馬車から、背負子を出し、2人して背負う。
山道はここから急こう配で、30度以上ありそうな坂を、ジグザグに登っていく。
あまりの急こう配なので、岩に手を掛けて体を支えないと、滑り落ちそうだ。
「いつもこんな坂を上るのか?」
「ああ、いつもだよ。どうしてだい?」
「いや、重労働だと思ってな」
「ああ、柔い奴には登れないね」と言いながらも、パティは軽々と登っていく。
その後を追いかけて、俺も登る。
気配察知で周囲を警戒しながら、足元が石だらけで滑りやすい坂を登っていく。
1日に5往復すると言っているから、樵の村までは40分くらいなのだろう。
途中にある、垂直に近い所を、岩の肌を掴んで登っていく。
漸く、樵の村に着き、パティが村の男と交渉を始める。直ぐに話し合いが終わったようで背負子に薪を積み始め、俺は6束、パティが5束積んで、山を下りにかかる。
夕方までに5往復し、薪を馬車に積み込み、暗くなりかけた頃に馬車の中で眠った。
もちろん、パティがゆっくり眠らしてくれないが、山の夜の寒さの中で、お互いの肌の温かさが心地よかった。
次の日も5往復し、薪を積んだ馬車の中は、大人1人が寝ころべる隙間を残すだけになった。
「どこに寝るんだ?」
「もちろん、この隙間よ」と平然として言う。
これじゃ、抱き合って密着しないと2人は寝られない。『一緒に寝るしかないように、最初から計算していたな』と俺は思った。
街への帰りも何事もなく、無事にパトリシア工房まで帰って来た。
ところが、俺達が馬車から荷物を降ろしているところに、邪魔が入った。
「このセンネンブナはどこから盗ってきた」いきなり大声を出した男がいた。
「盗ってきただって?これはちゃんと買ってきた物だ。誰だい、人を泥棒呼ばわりする奴は?」とパティが血相を変えて、声のした方を睨む。
大声を上げたのは、工房の入口の所にいた数人の男達の1人のようだ。
俺は、何かあったときのために、すかさずパティの横に並ぶ。
「おい、パトリシア、何が買ってきただ。センネンブナの割り当てはもう終わっただろう。どこから持ってきたとしても、そのセンネンブナは陶芸組合のものだ」
勝手なことを言うので、男にサイレントの魔法をかけてやる。練習した成果で、サイレントを狙った対象に掛けられるようになっているのだ。
男は続けて何か言ったが、口をパクパクさせただけで、声が出ていないことに気付いて、慌て始めた。振り返って、仲間に何か言っているが、声が出ていないので、仲間達も戸惑っている。
そいつは、パティを振り返って、また、何か言ったが、やはり口をパクパクしているのが見えるだけだ。
「何だい、口をパクパクして、声が出ていないよ。これは、何の真似だい」とパティが体の前で腕を組んで、その男をあざ笑った。
そいつは、顔を真っ赤にして、また口をパクパクさせた後、身を翻して、逃げるようにして去って行った。仲間らしき男達も、その後を追って行った。
「あいつは誰だ?」
パティに聞くと、
「ダブがやってくれたのかい。ありがとう。あいつは陶芸組合の理事で、前から言い寄ってきている、嫌な奴さ」
「センネンブナの割り当てがどうのと言ってたな。よかったら相談に乗るぞ」
「ありがとう。それより、薪を先に運び込もう」
そう言って、店の扉を開ける。
俺が薪を馬車から降ろして、店の入口に積んでいく。それをパティが店の奥へ運び込んで、110束の薪を店に運び入れた。
「お茶でも入れよう」
パティが入れてくれたお茶を2人で飲んでいると、店の入口から人の声が聞こえたと思ったら、10人以上の男たちが店内に押し入って来た。
パティが立ち上がったので、俺も釣られて立ち上がった。
「パトリシア」と先頭の男が叫んだ。先ほどサイレントを掛けた男だ。
「何だい、人の店に勝手に入って来て」
「センネンブナを勝手に仕入れるのは協定違反だぞ」
「そんな協定、結んだ覚えはないね」
「協定は、陶芸組合の構成員全員が対象だ」
パティは胸の前で両腕を組んで
「私は陶芸組合に入っていないからね。そんな寝言に付き合う必要はないんだよ」
「組合に入らず勝手に営業できると思っているのか?」
「何を言ってるんだい。私は、注文されたものを造っているだけだ。売っていないのに、組合から文句を言われる筋合いはないよ」
「そんな屁理屈を言うなら、お前に注文した店の営業を差し止めてやる。それが嫌なら、今日、仕入れて来たセンネンブナは没収する。おいお前達・・」
男がそこまで言い掛けたとき、俺は腰の剣を抜いて、そいつの鼻先に突き付けた。
「さっきは、店の外だったから何もしなかったが、ここはパティの店の中だ。お前らは、店に押し入って来た泥棒と同じだ。ここで斬り捨てても、どこからも文句は出ないぞ」と脅すと、そいつは、一旦、言い掛けた言葉を飲み込んだが、直ぐに気を取り直して、
「貴様、こんなことをしてただで済むと思うのか?」と逆に凄んでくるから、剣の先を鼻に押し込んでから、剣先で小鼻を斬り裂いた。いつか映画で見たシーンの真似だ。
「あうううぅ」
男は鼻を押さえて蹲った。押さえた手の指の間から血が零れだす。
暫くして、鼻を斬られたショックから立ち直ったのか、男は鼻を押さえたまま、怯えたように俺を見上げた。
そのときパティが「ダブ、もういいよ。そいつらは放っておいても」と言うので、俺が剣を鞘に戻すと、そいつは、俺とパティを遠回りするようにして店の入口に向かい、そして、逃げ出した。
リーダーが逃げたので、店の中で立ち尽くしていたそいつの手下も全て逃げ出した。
陶芸組合の連中が何度も来て物騒なので、今晩はパティの所に泊まることにした。
クレラインとオーリアに、街に帰って来たことを連絡をしておかないといけないので、店の手伝いの少女に頼んで手紙を届けておいた。
薪の片づけを手伝っていると夕飯の時間になったので、外で食べようということになり、店を閉めて、外出した。
パティが勧める店で夕飯を食べていると、外が騒がしくなった。
「親父さん、どうしたの」
「火事だそうだ」
「パティ、呑気に飯を食ってる場合じゃないよ。あんたの家の辺りらしいよ」
飯屋のおかみさんが血相を変えて告げてくる。
俺達は飯の途中で店を飛び出し、パティの店に駆け付けた。しかし、その時は遅く、火が建物全体に回っていた。パティが店に飛び込もうとするのを俺が止めた。
「仕入れたばかりのセンネンが」
センネンブナは、燃やすと火力が強いので、陶器を焼くのに使われる。運の悪いことに、パティの店には、仕入れたばかりのセンネンブナの薪が110束、残っていた薪が10束ほどあった。それが燃えたので、火の勢いが手の付けられないほど強いものになっていた。
「誰か水魔法を」とパティが周囲に懇願する。
俺も水魔法を使ってみたが、熟練度の低い俺の水魔法では、水が現れた途端に消滅する。土魔法で砂を出して撒いてみたが、何の効果もなかった。
パティは地面に膝をついて呆然としていた。
街の衛兵がやって来て、家の持ち主のパティに事情を聞き始めたが、火が出た時は、食堂で夕飯を食べていたのを食堂の経営者夫婦が口を揃えて証言したので、付け火だろうということで、パティは放免された。
しかし、パティはこの火事で全財産を失ってしまった。
だから俺は、その間はサイレントの魔法を使っている。サイレントを使うと、お互いの声が聞こえなくなるが、魔物対策としては、とびきり優秀なのでクレラインやオーリアとのときも使っている。
魔物対策として、なぜサイレントが効果があるかということだが、俺の想像に過ぎないが、自然界の中では無音という状態はありえ得ない。その無音という状態を、警戒するのだろうと思う。魔物の5感は、当然、人間より数倍敏感だ。だから、無音の空間に遭遇すれば、まずは、そこから離脱を試みる。それは、魔物の生存本能なのではないかと思う。それが、サイレントの魔法を使うと、魔物に襲われない理由なのだと思う。
さて、次の日も馬車を駆って、夕方にナンガブール山の中腹にある村に着く。
この村で馬車を預け、明朝からは徒歩で山に登ることになる。
翌朝、パンとスープを食べた後、山に登る準備をしながら、
「珍しく魔物に襲われなかった」と聞くと、
「ここまでの道は、街や村の自警団が定期的に見回っているからね。元々、魔物が少ない地域だしね」とパティ。
あのときから俺の中での呼び方は、女店主じゃなく、パティになっている。
「魔物が少ない地域というのがあるんだな」
「少ないといっても、出ないわけじゃないから、気を緩めちゃいけないよ」
馬車から、背負子を出し、2人して背負う。
山道はここから急こう配で、30度以上ありそうな坂を、ジグザグに登っていく。
あまりの急こう配なので、岩に手を掛けて体を支えないと、滑り落ちそうだ。
「いつもこんな坂を上るのか?」
「ああ、いつもだよ。どうしてだい?」
「いや、重労働だと思ってな」
「ああ、柔い奴には登れないね」と言いながらも、パティは軽々と登っていく。
その後を追いかけて、俺も登る。
気配察知で周囲を警戒しながら、足元が石だらけで滑りやすい坂を登っていく。
1日に5往復すると言っているから、樵の村までは40分くらいなのだろう。
途中にある、垂直に近い所を、岩の肌を掴んで登っていく。
漸く、樵の村に着き、パティが村の男と交渉を始める。直ぐに話し合いが終わったようで背負子に薪を積み始め、俺は6束、パティが5束積んで、山を下りにかかる。
夕方までに5往復し、薪を馬車に積み込み、暗くなりかけた頃に馬車の中で眠った。
もちろん、パティがゆっくり眠らしてくれないが、山の夜の寒さの中で、お互いの肌の温かさが心地よかった。
次の日も5往復し、薪を積んだ馬車の中は、大人1人が寝ころべる隙間を残すだけになった。
「どこに寝るんだ?」
「もちろん、この隙間よ」と平然として言う。
これじゃ、抱き合って密着しないと2人は寝られない。『一緒に寝るしかないように、最初から計算していたな』と俺は思った。
街への帰りも何事もなく、無事にパトリシア工房まで帰って来た。
ところが、俺達が馬車から荷物を降ろしているところに、邪魔が入った。
「このセンネンブナはどこから盗ってきた」いきなり大声を出した男がいた。
「盗ってきただって?これはちゃんと買ってきた物だ。誰だい、人を泥棒呼ばわりする奴は?」とパティが血相を変えて、声のした方を睨む。
大声を上げたのは、工房の入口の所にいた数人の男達の1人のようだ。
俺は、何かあったときのために、すかさずパティの横に並ぶ。
「おい、パトリシア、何が買ってきただ。センネンブナの割り当てはもう終わっただろう。どこから持ってきたとしても、そのセンネンブナは陶芸組合のものだ」
勝手なことを言うので、男にサイレントの魔法をかけてやる。練習した成果で、サイレントを狙った対象に掛けられるようになっているのだ。
男は続けて何か言ったが、口をパクパクさせただけで、声が出ていないことに気付いて、慌て始めた。振り返って、仲間に何か言っているが、声が出ていないので、仲間達も戸惑っている。
そいつは、パティを振り返って、また、何か言ったが、やはり口をパクパクしているのが見えるだけだ。
「何だい、口をパクパクして、声が出ていないよ。これは、何の真似だい」とパティが体の前で腕を組んで、その男をあざ笑った。
そいつは、顔を真っ赤にして、また口をパクパクさせた後、身を翻して、逃げるようにして去って行った。仲間らしき男達も、その後を追って行った。
「あいつは誰だ?」
パティに聞くと、
「ダブがやってくれたのかい。ありがとう。あいつは陶芸組合の理事で、前から言い寄ってきている、嫌な奴さ」
「センネンブナの割り当てがどうのと言ってたな。よかったら相談に乗るぞ」
「ありがとう。それより、薪を先に運び込もう」
そう言って、店の扉を開ける。
俺が薪を馬車から降ろして、店の入口に積んでいく。それをパティが店の奥へ運び込んで、110束の薪を店に運び入れた。
「お茶でも入れよう」
パティが入れてくれたお茶を2人で飲んでいると、店の入口から人の声が聞こえたと思ったら、10人以上の男たちが店内に押し入って来た。
パティが立ち上がったので、俺も釣られて立ち上がった。
「パトリシア」と先頭の男が叫んだ。先ほどサイレントを掛けた男だ。
「何だい、人の店に勝手に入って来て」
「センネンブナを勝手に仕入れるのは協定違反だぞ」
「そんな協定、結んだ覚えはないね」
「協定は、陶芸組合の構成員全員が対象だ」
パティは胸の前で両腕を組んで
「私は陶芸組合に入っていないからね。そんな寝言に付き合う必要はないんだよ」
「組合に入らず勝手に営業できると思っているのか?」
「何を言ってるんだい。私は、注文されたものを造っているだけだ。売っていないのに、組合から文句を言われる筋合いはないよ」
「そんな屁理屈を言うなら、お前に注文した店の営業を差し止めてやる。それが嫌なら、今日、仕入れて来たセンネンブナは没収する。おいお前達・・」
男がそこまで言い掛けたとき、俺は腰の剣を抜いて、そいつの鼻先に突き付けた。
「さっきは、店の外だったから何もしなかったが、ここはパティの店の中だ。お前らは、店に押し入って来た泥棒と同じだ。ここで斬り捨てても、どこからも文句は出ないぞ」と脅すと、そいつは、一旦、言い掛けた言葉を飲み込んだが、直ぐに気を取り直して、
「貴様、こんなことをしてただで済むと思うのか?」と逆に凄んでくるから、剣の先を鼻に押し込んでから、剣先で小鼻を斬り裂いた。いつか映画で見たシーンの真似だ。
「あうううぅ」
男は鼻を押さえて蹲った。押さえた手の指の間から血が零れだす。
暫くして、鼻を斬られたショックから立ち直ったのか、男は鼻を押さえたまま、怯えたように俺を見上げた。
そのときパティが「ダブ、もういいよ。そいつらは放っておいても」と言うので、俺が剣を鞘に戻すと、そいつは、俺とパティを遠回りするようにして店の入口に向かい、そして、逃げ出した。
リーダーが逃げたので、店の中で立ち尽くしていたそいつの手下も全て逃げ出した。
陶芸組合の連中が何度も来て物騒なので、今晩はパティの所に泊まることにした。
クレラインとオーリアに、街に帰って来たことを連絡をしておかないといけないので、店の手伝いの少女に頼んで手紙を届けておいた。
薪の片づけを手伝っていると夕飯の時間になったので、外で食べようということになり、店を閉めて、外出した。
パティが勧める店で夕飯を食べていると、外が騒がしくなった。
「親父さん、どうしたの」
「火事だそうだ」
「パティ、呑気に飯を食ってる場合じゃないよ。あんたの家の辺りらしいよ」
飯屋のおかみさんが血相を変えて告げてくる。
俺達は飯の途中で店を飛び出し、パティの店に駆け付けた。しかし、その時は遅く、火が建物全体に回っていた。パティが店に飛び込もうとするのを俺が止めた。
「仕入れたばかりのセンネンが」
センネンブナは、燃やすと火力が強いので、陶器を焼くのに使われる。運の悪いことに、パティの店には、仕入れたばかりのセンネンブナの薪が110束、残っていた薪が10束ほどあった。それが燃えたので、火の勢いが手の付けられないほど強いものになっていた。
「誰か水魔法を」とパティが周囲に懇願する。
俺も水魔法を使ってみたが、熟練度の低い俺の水魔法では、水が現れた途端に消滅する。土魔法で砂を出して撒いてみたが、何の効果もなかった。
パティは地面に膝をついて呆然としていた。
街の衛兵がやって来て、家の持ち主のパティに事情を聞き始めたが、火が出た時は、食堂で夕飯を食べていたのを食堂の経営者夫婦が口を揃えて証言したので、付け火だろうということで、パティは放免された。
しかし、パティはこの火事で全財産を失ってしまった。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
タイム連打ってなんだよ(困惑)
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」
王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。
パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。
アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。
「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」
目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?
※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。
『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる