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4話目・なんで男の人って女がホラーとか苦手って思い込むんでしょうね? 実際に何かあったときは外聞も気にせず怖がるくせに。
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「こっちが校長室よ」
「えっと、構内は見学できますか?」
教職員の駐車場に作られたお客様用スペースから、これまた教職員用入り口へと案内された。ただついていくだけといった感じだが。
「生徒たちの邪魔になってはいけないから」
やはり芳しい答えはもらえなかった。
校長室では最後の発起人が待っている。ややパーマのかかった頭髪をした勝部 ゆう子という人物。赤っぽく染めた髪は学生への影響を考慮していないのかどうか。
「あー、よろしくお願いします……」
ヒロインは得心いった。このような自由のない取材では取材になりえない。オリクが檻とまで呼ばれてしまうだけの何かがある。
区役所でも同じだったが、簡易の統計しか取っていない資料を見せられながらためにならない話を聞かされる。
「女子児童の多い我が校はこのようにイジメの加害はな――」
「あの、お話の途中ですみませんが、お手洗いを貸していただけませんか!」
息苦しさのあまり真清はそう申し出た。
「――ソワソワしていたのはそういう」
「校長先生の代わりに案内するわ」
これまでの取材担当者の中には、この手を使う者もいただろうからあゆみがついてこようとする。
「いえ、場所さえ教えていただければ……」
真清も抵抗はするがここはアウェイだ。
「指導たちが迷惑をかけてもきけませんから」
ゆう子からの笑顔、あゆみによる無言の圧力に丸め込まれ、トイレまで同行してもらうことになった。さすがに手洗い場まで入ってくるということはなかったが……。
真清はどうしたものかと個室の中でスマホを確認したが、やはり知り合いからの返信はなくため息をつく。
「はぁ」
長くなると怪しまれそうなのでさっさと出ていった。
手を洗いつつ冷水で脳を冷却していると、それは気配の外から聞こえてくる。
「驚かないで」
あゆみとは違う声音だ。
「外に聞こえちゃうから静かに」
「ッ!? ぁ……」
声の主に言われ、危うく出かかった声を口の中に留めた。心臓に冷水を浴びせられた気分だ。
なにせ、一切の気配を感じさせずその子は真清の右脇に立ったのである。
「えぇっと?」
目に入ってくる雫だけはハンカチで拭って、周囲を見渡してみる。
採光窓が高い位置にある以外は、入り口などない。少なくとも、左脇にある扉の外にはあゆみが待っている。教職員用トイレであることも考えれば生徒を入れるとは思えない。
「えっと、構内は見学できますか?」
教職員の駐車場に作られたお客様用スペースから、これまた教職員用入り口へと案内された。ただついていくだけといった感じだが。
「生徒たちの邪魔になってはいけないから」
やはり芳しい答えはもらえなかった。
校長室では最後の発起人が待っている。ややパーマのかかった頭髪をした勝部 ゆう子という人物。赤っぽく染めた髪は学生への影響を考慮していないのかどうか。
「あー、よろしくお願いします……」
ヒロインは得心いった。このような自由のない取材では取材になりえない。オリクが檻とまで呼ばれてしまうだけの何かがある。
区役所でも同じだったが、簡易の統計しか取っていない資料を見せられながらためにならない話を聞かされる。
「女子児童の多い我が校はこのようにイジメの加害はな――」
「あの、お話の途中ですみませんが、お手洗いを貸していただけませんか!」
息苦しさのあまり真清はそう申し出た。
「――ソワソワしていたのはそういう」
「校長先生の代わりに案内するわ」
これまでの取材担当者の中には、この手を使う者もいただろうからあゆみがついてこようとする。
「いえ、場所さえ教えていただければ……」
真清も抵抗はするがここはアウェイだ。
「指導たちが迷惑をかけてもきけませんから」
ゆう子からの笑顔、あゆみによる無言の圧力に丸め込まれ、トイレまで同行してもらうことになった。さすがに手洗い場まで入ってくるということはなかったが……。
真清はどうしたものかと個室の中でスマホを確認したが、やはり知り合いからの返信はなくため息をつく。
「はぁ」
長くなると怪しまれそうなのでさっさと出ていった。
手を洗いつつ冷水で脳を冷却していると、それは気配の外から聞こえてくる。
「驚かないで」
あゆみとは違う声音だ。
「外に聞こえちゃうから静かに」
「ッ!? ぁ……」
声の主に言われ、危うく出かかった声を口の中に留めた。心臓に冷水を浴びせられた気分だ。
なにせ、一切の気配を感じさせずその子は真清の右脇に立ったのである。
「えぇっと?」
目に入ってくる雫だけはハンカチで拭って、周囲を見渡してみる。
採光窓が高い位置にある以外は、入り口などない。少なくとも、左脇にある扉の外にはあゆみが待っている。教職員用トイレであることも考えれば生徒を入れるとは思えない。
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