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5話目・女性が男子トイレに入っていっても怒られないのは力関係があるからですよ! そんなこともわからないんですかムキャオー!
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他の個室に隠れていたなら、すべて開放状態だったのはおかしい。
「君は? 生徒さんなんだろうけど、女性トイレだよ?」
真清は、流し台の上に頭を差し出しながらも横を向いて少年に聞いた。髪はやや長く無造作ヘアーで放置されているが、服装などの雰囲気から男子児童だと推測した。
男子小学生が女性トイレに忍び込むなどというのは相当の胆力だと考える。
「抜け出せるなら川辺にある地区に来て」
彼は質問には答えずそれだけを言った。
「え?」
当然、彼女だって正確な回答を返せない。意味はわかるが目的がわからず、新しい問いを探し出そうとした。
しかし、外から思考をはばむ声がする。
「沖さん?」
「あ、はい! ちょっと上司に連絡を!」
呼びかけてきたあゆみに気取られまいとして誤魔化そうとした。覗かれでもすれば少年のことなどすぐにバレるというのに。真清は無意識に向けていた視線を扉から離して少年へ向ける。
そして、誰もいないことを自らの目で確認してしまう。
「……」
「沖さん?」
そこで扉が開いた。
なんとも言えない間があって、あゆみは視線で聞いてくる。どんな顔をしているのか鏡で確かめる気も起きない。
「?」
「あ、いえ、虫だったかも……?」
小首をかしげる彼女に、真清は表情を繕ってそのように答えるのだった。それでも、少年の存在がバレずにすんで良かった。
真清はトイレを出て校長室に戻ると、またあの彼女らの考えた最高の教育とやらを聞く。
個人的な性への感覚となるものの、度の過ぎた男性卑下は大変頭が痛くなった。
「とっっても良い取材になりそうです。本日はお忙しい中、時間をくださりありがとうございました」
「それは良かった」
相変わらずの定型文をやり取りして、真清は学校での取材を終えたのだった。
最後に校長室から校庭を見れば、ちょうど学生らが下校するところだ。
当然だが男子生徒は少なく、学生寮が違うためか別々の方向へと分かれる。まるで、彼らは女児生徒から逃げるかのように。
少なくともニコやかに別れを告げている様子はない。
「沖さん」
ただの呼びかけだったのだろうが、あゆみの声にヒドく不気味なものを感じた真清。
「はい」
短い返事に留めて車へと戻った。
「君は? 生徒さんなんだろうけど、女性トイレだよ?」
真清は、流し台の上に頭を差し出しながらも横を向いて少年に聞いた。髪はやや長く無造作ヘアーで放置されているが、服装などの雰囲気から男子児童だと推測した。
男子小学生が女性トイレに忍び込むなどというのは相当の胆力だと考える。
「抜け出せるなら川辺にある地区に来て」
彼は質問には答えずそれだけを言った。
「え?」
当然、彼女だって正確な回答を返せない。意味はわかるが目的がわからず、新しい問いを探し出そうとした。
しかし、外から思考をはばむ声がする。
「沖さん?」
「あ、はい! ちょっと上司に連絡を!」
呼びかけてきたあゆみに気取られまいとして誤魔化そうとした。覗かれでもすれば少年のことなどすぐにバレるというのに。真清は無意識に向けていた視線を扉から離して少年へ向ける。
そして、誰もいないことを自らの目で確認してしまう。
「……」
「沖さん?」
そこで扉が開いた。
なんとも言えない間があって、あゆみは視線で聞いてくる。どんな顔をしているのか鏡で確かめる気も起きない。
「?」
「あ、いえ、虫だったかも……?」
小首をかしげる彼女に、真清は表情を繕ってそのように答えるのだった。それでも、少年の存在がバレずにすんで良かった。
真清はトイレを出て校長室に戻ると、またあの彼女らの考えた最高の教育とやらを聞く。
個人的な性への感覚となるものの、度の過ぎた男性卑下は大変頭が痛くなった。
「とっっても良い取材になりそうです。本日はお忙しい中、時間をくださりありがとうございました」
「それは良かった」
相変わらずの定型文をやり取りして、真清は学校での取材を終えたのだった。
最後に校長室から校庭を見れば、ちょうど学生らが下校するところだ。
当然だが男子生徒は少なく、学生寮が違うためか別々の方向へと分かれる。まるで、彼らは女児生徒から逃げるかのように。
少なくともニコやかに別れを告げている様子はない。
「沖さん」
ただの呼びかけだったのだろうが、あゆみの声にヒドく不気味なものを感じた真清。
「はい」
短い返事に留めて車へと戻った。
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