1500人の女に何が起こったのか

AAKI

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8話目・漁業だって女性たちが内職して準備しないと成り立たないんですよ? 女は港とかもう古いですって!

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「ぐぬぬっ。ふぅ……。ごめんなさい」

 細い通り道になんとかよじ登り、最後にいるかわからない隣人へうるさくしたことの謝罪をしておいた。
 手首につけておいたロープを引っ張って、反対の端に縛り付けた通気口のフタを持ち上げる。それを取り付け直したら外へ抜け出す。

「さて、こっちから風が来てますね」

 正解のルートなのかはわからないものの、出口を求めて這いずる。そしてなんとか、空調室に出て裏口から脱出を成功させた。

「出られたのは良いですけど……」

 念のためタクシーなどは使わず人混みに紛れた真清。街の外縁にあたる川辺まで歩きになるのはボヤきたくなる点だ。しかし、意外と女性の姿があって怪しまれることなく歩ける。

「……なんでしょうね、この違和感」

 安全な街だとわかり安心するところを、真清は不安を感じ取る。

「あっと」

 あゆみのものと同じ車種を見つけ、慌てて近くのコンビニへ隠れた。そこで違和感の正体に気づくことになる。
 コンビニだというのに、アイドルだとかサブカルチャーとかの浮いたものがほとんどない。ポスターどころか、グッズ、お菓子のパッケージに至ってまでだ。本も、雑誌が少々あれども男性の被写体か劇画調のものばかりだ。
 ザッと確認しただけだが、高校生以下が喜んで読むような作品は稀有けうとい言っても良い。

「感性の問題ですかね? まるで、まるで……」

 そこは監獄だ。
 肉体ではなく心の。
 街を行く人の表情が1~2割を除いて目が死んでいるのはそのせいだ。

「ありがとうございました」
「どうもです」

 店員の機械的な対応を背に、真清はいくらかのお菓子を手にコンビニを出た。
 そこから目的の地区まではトラブルなども到着できた。

「着いたは良いですが……」

 住宅地にそびえる堤防の道に立ち、少年が言っていた地区を見る。そこは一言で表せば限界集落。
 地域によってはこのような様変わりも見られるが、こうも極端なのは珍しい。なんと言えば良いのだろう。

「まさか、物語のような村があるなんて……」

 よほどの田舎か何十年かをさかのぼらないとまず現実では巡り会えない光景を、真清はそう評した。呆れたいのか感心したいのかわからない。

「おぉっと」

 階段と呼んで良いのかわからない板と杭と砂利で構築された石段を滑らないように降りていく。固められた地面に足をつけられて安心する。
 あばら家と呼んでも差し支えない家屋を通り過ぎると砂地になり、さらにその先は砂利が広がり川がある。建物を探るのは後回しにして、砂場に置かれているものを見に行く。

「小舟と網。漁村って感じですね」
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