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2篇目【お前たちは誰だ?】
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この世界は俺の知らない世界だ。歴史からほぼすべての基本情報は俺の知っているままなのだが、決定的に違う場所がある。
この世界に俺の知っている人間がいないという事実だ。生物学上でも人間に違いないし、赤の他人にまでなるとどうなのかなんてわからない。
しかし、ある程度身近な人間を俺は知らない。まったくの別人だ。
世界とは言ったが、人間関係だけなので俺の頭がおかしくなったと思われるんじゃないだろうか。ただ、精神的な病でないと言い張りたい。
一月ほど前から始まった世界の変革について聞いて欲しい。
「いってらっしゃい」
妻は、いつものように会社へ行く俺を見送ってくれた。
結婚してから1年。新婚と言って良いのか微妙なラインではあるが、関係も冷めることなく続いている。妻とは大学生のころに出会って、付き合いが始まってから卒業後3年ほどしてゴールインした。
俺は、一部上場とまでは言わないまでもそこそこ大きな文具メーカーに勤めている。小さい幸せながらも順風満帆といった具合だ。
「いってきます」
ここ4年ほど、変わらない朝の光景を繰り返す。都心に比べればマシなんだろう人口密度の電車に揺られ、会社の同僚たちに挨拶して、営業に出かけて取引先や上司に頭を下げる。
その日も同じだと思っていた。
またいつものように、窮屈な電車に辟易しながらも会社へとたどり着き、担当部署のオフィスにセキュリティ用のカードを使って入る。
「おはようございます」
大した年季もなければ新人でもない微妙な立場で挨拶すると、口々に返ってくる同僚たちの挨拶を聞きながらデスクへつく。
「よ、おはよ。○○」
そう呼んで挨拶するのは同期の・・・いや、誰だ?
声に振り返った私の前に立っていたのは、同期の男ではなかった。矢岡という少し優男風の人物のはずなのだが、話しかけてきたヤツはきっちりとしたサラリーマンとでも言わんばかりだ。
別の同僚がからかって呼んだのかとも思ったが、そもそも彼のような風体の人物を知らない。
「……矢岡?」
「ん? どうした○○」
変装か? なんの冗談だろうか。矢岡の名前を呼んでみれば、彼ではない誰かはなんてこともなさそうに答える。
やっぱり冗談だろう。セキュリティカードなしに各部署を行き来はできないし、誰かに貸すのは会社の規定違反だ。仮に誰かに頼んだとして、俺にそこまでする理由が思い至らない。
「じゃ、俺っちは外回りいってきまーす」
矢岡のフリをした男は室内へ気さくに笑顔を振りまくと、自分のカードで部屋を開けて出ていくではないか。
……そんな。
周囲の同僚たちが気にした様子もなく見送るので、俺は信じられないって感じになった。
「なぁ、あれって本当に矢岡?」
「はあ? なにおかしなこと言ってるんだよ」
適当な同僚に聞くも、返ってくるのは訝しい表情だ。俺は少し気味悪くなった。
それでも皆が気にしないので、その日は単にイメチェンしたんだろうって無理やり納得する。次の日も矢岡は変わらず立派なサラリーマンをしていた。
次におかしく思ったのは、妻の友人の女性だ。結婚の少し前に知り合った人で、割と友達としては長く突き合わせてもらっている。
「こんにちは~」
いつものように勝手知ったる我が家といった様子で訪れた。
「いらっしゃい、リュー子。どうぞ」
対応した妻が愛称を呼びつつ、リュー子さんを居間へと招き入れる。俺もお茶など準備しつつ待った。
しかし、リュー子さんがやってくると同時に俺は言葉をつまらせる。
「リュー子さん、いらっし……は?」
妙な間に妻たちはどうしたんだと視線を向けてくるが、俺はどうして良いかわからず平静を装うとする。上手く誤魔化せていたかはわからない。
「いや、うん、いらっしゃい」
「どうしたのよ、アナタ。変な人」
妻には若干バレていたようだ。
その日は、ふっくら体型だったのが細くなって顔立ちすら変わってしまったリュー子さんと変わらない一日を過ごした。話す記憶はすべて俺も妻も知っている内容だが、声音どころか性格まで別人だったのである。
正直、変な汗が止まらなかった。すぐにでもその場から離れたいとさえ思っていた。
「じゃ、もう遅いし帰るね」
「あ、うん、またね、リュー子」
「き、気をつけて……」
リュー子さんらしき女性が言い出して玄関へ向かったときには内心ホッとする。見送るのも良い気分がせず、来客の痕跡を片付けるフリをしながら玄関を出ていくのを待った。
妻が戻ってきたところで、しどろもどろながらに聞く。
「なぁ、なんであれがリュー子さんだと思ったんだ?」
「え? やっぱり、アナタ今日はどこかおかしいわよ」
妻は頭をひねって答えるのだった。予想できた通り俺の方がおかしくなったと思われただけだ。
「いや、その、きっと仕事で疲れてるだけさ」
医者に連れて行かれるのは不本意なので、そうウソをついてその場は流すことにした。しかし、知り合いが俺の知らない人間に入れ替わっているのは確かだと思う。
フッとした瞬間、歴史の人物でさえ記憶とは違う顔になっていたり体格が違っていたり、性格さえ変わってしまっている気がする。けれど大きく史実が異なったなんてこともない。
本当に頭がどうにかなってしまいそうになっていた俺に、次が訪れた。それは一本の電話とともに。
「誰からだ? 譲治からじゃないか」
一月ほど外国に行ってるはずの、古い友達からいきなりの入電だった。
久しぶりの連絡に今までの嫌な感じを忘れつつ出る。
「もしもし。久しぶりだな」
『よう、久しぶり!』
「?」
電話口に出た友人の声音に違和感を覚えた。こんな喋り方をするようなヤツだったろうか。こんな野太い声をしてたか。
『なんだよ。黙りこくっちまって』
嫌な予感がしつつも、海外暮らしのせいだと無理やり納得しようとする。きっと英語だと横柄な喋り方になるのだ。
「あ、あぁ、久しぶり過ぎて何を話せば良いのかって……」
俺は戸惑っているのをさとられないようにして、向こうの出方を伺う。
『お前、開いてる日ある? 今度、一緒に飲みながら語ろうぜ』
「え、えぇっと、立て込んでる感じかなぁ」
流石に二人で会うのは恐ろしすぎたからなんとか引き伸ばすことにした。
『そうか。まぁ、また連絡してくれや』
「あぁ……それじゃ、また」
本当は俺の気の所為だったんじゃないかとも思ったが、本能が譲治の姿を確認するのを拒んだ。いつまでも折り返さないものだから、それからも何度か来た連絡を俺は断り続けた。
諦めてくれるまで何度も、何度も、何度も…………。
そのころには俺の心は擦り切れ始めていた。
「あれは、いや……」
会社帰りによく立ち寄るコンビニの店主も、名札に書かれた名前は同じなのに顔や体格が変わっている。いやいや、コンビニの店主なんて雇われなんだから入れ替わることだってある。
でも、ウチのお隣さんはどうだろう。引っ越ししたなんて話は聞かない。
「ただいま」
どんどん世界が塗り替わっていくような感覚が胸に襲いかかって、俺はもはや何を信じれば良いのだろう。少しでも落ち着けるのは、この見慣れた我が家だけ……。
「おかえりなさい」
「!?」
嘘だ。なんで、なんで妻まで別人になってるんだ!
俺は目の前の女性が妻のエプロンを身に着けているのに吐き気さえ覚えた。目が回って立っていられなくなる。
「旦那様、どうしたんです? ねぇ、大丈夫ですか?」
見知らぬ女性に呼びかけられる度に意識が遠くなる。
「旦那様! ……様!」
精神的な疲労もあったのだと思う。そのあたりで俺の意識は途切れた。
目を覚ますと病院のベッドに寝ており、見舞いに来た過去には上司だったであろう誰かから休養を命じられた。
こいつらは、俺の顔見知りや知り合いと入れ替わる以外は何もしてこない。至って普通の対応をしてくる。それが余計に不気味だった。
「旦那様、お加減はいかがです?」
上司が帰って後に妻の偽物は話しかけてくる。
「……大丈夫だ。だいぶ良くなったよ、ありがとう」
どう言っても受け止めてくれるであろうが、俺は恐怖に負けて当たり障りのない返事をした。だから、一刻も早くこの女の側から離れたい。
「なぁ、少し気疲れをしてしまったようだ。しばらく休みをもらったから、一人で実家にでも帰って休養したいと思う」
俺はそのようにこじつけて、偽物から逃げようとする。
「そうみたいですわね……。行ってらっしゃいな」
疑いもせずあっさりと見逃してくれた。
一日の検査入院を経て、俺は簡単に荷物をまとめて実家へと帰る。何度かの帰省で見慣れた車窓からの景色を見ても、心が晴れることはなかった。
漠然とした不安の原因は、実家にたどり着いたところでわかる。庭で作業していた人たちがやってくる。
「おぉ、おかえり」
「嫁さんのこと放っといて大丈夫なの?」
「……」
あぁ、やはりすでに侵食されていた。
この世界に俺の知っている人間がいないという事実だ。生物学上でも人間に違いないし、赤の他人にまでなるとどうなのかなんてわからない。
しかし、ある程度身近な人間を俺は知らない。まったくの別人だ。
世界とは言ったが、人間関係だけなので俺の頭がおかしくなったと思われるんじゃないだろうか。ただ、精神的な病でないと言い張りたい。
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俺は、一部上場とまでは言わないまでもそこそこ大きな文具メーカーに勤めている。小さい幸せながらも順風満帆といった具合だ。
「いってきます」
ここ4年ほど、変わらない朝の光景を繰り返す。都心に比べればマシなんだろう人口密度の電車に揺られ、会社の同僚たちに挨拶して、営業に出かけて取引先や上司に頭を下げる。
その日も同じだと思っていた。
またいつものように、窮屈な電車に辟易しながらも会社へとたどり着き、担当部署のオフィスにセキュリティ用のカードを使って入る。
「おはようございます」
大した年季もなければ新人でもない微妙な立場で挨拶すると、口々に返ってくる同僚たちの挨拶を聞きながらデスクへつく。
「よ、おはよ。○○」
そう呼んで挨拶するのは同期の・・・いや、誰だ?
声に振り返った私の前に立っていたのは、同期の男ではなかった。矢岡という少し優男風の人物のはずなのだが、話しかけてきたヤツはきっちりとしたサラリーマンとでも言わんばかりだ。
別の同僚がからかって呼んだのかとも思ったが、そもそも彼のような風体の人物を知らない。
「……矢岡?」
「ん? どうした○○」
変装か? なんの冗談だろうか。矢岡の名前を呼んでみれば、彼ではない誰かはなんてこともなさそうに答える。
やっぱり冗談だろう。セキュリティカードなしに各部署を行き来はできないし、誰かに貸すのは会社の規定違反だ。仮に誰かに頼んだとして、俺にそこまでする理由が思い至らない。
「じゃ、俺っちは外回りいってきまーす」
矢岡のフリをした男は室内へ気さくに笑顔を振りまくと、自分のカードで部屋を開けて出ていくではないか。
……そんな。
周囲の同僚たちが気にした様子もなく見送るので、俺は信じられないって感じになった。
「なぁ、あれって本当に矢岡?」
「はあ? なにおかしなこと言ってるんだよ」
適当な同僚に聞くも、返ってくるのは訝しい表情だ。俺は少し気味悪くなった。
それでも皆が気にしないので、その日は単にイメチェンしたんだろうって無理やり納得する。次の日も矢岡は変わらず立派なサラリーマンをしていた。
次におかしく思ったのは、妻の友人の女性だ。結婚の少し前に知り合った人で、割と友達としては長く突き合わせてもらっている。
「こんにちは~」
いつものように勝手知ったる我が家といった様子で訪れた。
「いらっしゃい、リュー子。どうぞ」
対応した妻が愛称を呼びつつ、リュー子さんを居間へと招き入れる。俺もお茶など準備しつつ待った。
しかし、リュー子さんがやってくると同時に俺は言葉をつまらせる。
「リュー子さん、いらっし……は?」
妙な間に妻たちはどうしたんだと視線を向けてくるが、俺はどうして良いかわからず平静を装うとする。上手く誤魔化せていたかはわからない。
「いや、うん、いらっしゃい」
「どうしたのよ、アナタ。変な人」
妻には若干バレていたようだ。
その日は、ふっくら体型だったのが細くなって顔立ちすら変わってしまったリュー子さんと変わらない一日を過ごした。話す記憶はすべて俺も妻も知っている内容だが、声音どころか性格まで別人だったのである。
正直、変な汗が止まらなかった。すぐにでもその場から離れたいとさえ思っていた。
「じゃ、もう遅いし帰るね」
「あ、うん、またね、リュー子」
「き、気をつけて……」
リュー子さんらしき女性が言い出して玄関へ向かったときには内心ホッとする。見送るのも良い気分がせず、来客の痕跡を片付けるフリをしながら玄関を出ていくのを待った。
妻が戻ってきたところで、しどろもどろながらに聞く。
「なぁ、なんであれがリュー子さんだと思ったんだ?」
「え? やっぱり、アナタ今日はどこかおかしいわよ」
妻は頭をひねって答えるのだった。予想できた通り俺の方がおかしくなったと思われただけだ。
「いや、その、きっと仕事で疲れてるだけさ」
医者に連れて行かれるのは不本意なので、そうウソをついてその場は流すことにした。しかし、知り合いが俺の知らない人間に入れ替わっているのは確かだと思う。
フッとした瞬間、歴史の人物でさえ記憶とは違う顔になっていたり体格が違っていたり、性格さえ変わってしまっている気がする。けれど大きく史実が異なったなんてこともない。
本当に頭がどうにかなってしまいそうになっていた俺に、次が訪れた。それは一本の電話とともに。
「誰からだ? 譲治からじゃないか」
一月ほど外国に行ってるはずの、古い友達からいきなりの入電だった。
久しぶりの連絡に今までの嫌な感じを忘れつつ出る。
「もしもし。久しぶりだな」
『よう、久しぶり!』
「?」
電話口に出た友人の声音に違和感を覚えた。こんな喋り方をするようなヤツだったろうか。こんな野太い声をしてたか。
『なんだよ。黙りこくっちまって』
嫌な予感がしつつも、海外暮らしのせいだと無理やり納得しようとする。きっと英語だと横柄な喋り方になるのだ。
「あ、あぁ、久しぶり過ぎて何を話せば良いのかって……」
俺は戸惑っているのをさとられないようにして、向こうの出方を伺う。
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流石に二人で会うのは恐ろしすぎたからなんとか引き伸ばすことにした。
『そうか。まぁ、また連絡してくれや』
「あぁ……それじゃ、また」
本当は俺の気の所為だったんじゃないかとも思ったが、本能が譲治の姿を確認するのを拒んだ。いつまでも折り返さないものだから、それからも何度か来た連絡を俺は断り続けた。
諦めてくれるまで何度も、何度も、何度も…………。
そのころには俺の心は擦り切れ始めていた。
「あれは、いや……」
会社帰りによく立ち寄るコンビニの店主も、名札に書かれた名前は同じなのに顔や体格が変わっている。いやいや、コンビニの店主なんて雇われなんだから入れ替わることだってある。
でも、ウチのお隣さんはどうだろう。引っ越ししたなんて話は聞かない。
「ただいま」
どんどん世界が塗り替わっていくような感覚が胸に襲いかかって、俺はもはや何を信じれば良いのだろう。少しでも落ち着けるのは、この見慣れた我が家だけ……。
「おかえりなさい」
「!?」
嘘だ。なんで、なんで妻まで別人になってるんだ!
俺は目の前の女性が妻のエプロンを身に着けているのに吐き気さえ覚えた。目が回って立っていられなくなる。
「旦那様、どうしたんです? ねぇ、大丈夫ですか?」
見知らぬ女性に呼びかけられる度に意識が遠くなる。
「旦那様! ……様!」
精神的な疲労もあったのだと思う。そのあたりで俺の意識は途切れた。
目を覚ますと病院のベッドに寝ており、見舞いに来た過去には上司だったであろう誰かから休養を命じられた。
こいつらは、俺の顔見知りや知り合いと入れ替わる以外は何もしてこない。至って普通の対応をしてくる。それが余計に不気味だった。
「旦那様、お加減はいかがです?」
上司が帰って後に妻の偽物は話しかけてくる。
「……大丈夫だ。だいぶ良くなったよ、ありがとう」
どう言っても受け止めてくれるであろうが、俺は恐怖に負けて当たり障りのない返事をした。だから、一刻も早くこの女の側から離れたい。
「なぁ、少し気疲れをしてしまったようだ。しばらく休みをもらったから、一人で実家にでも帰って休養したいと思う」
俺はそのようにこじつけて、偽物から逃げようとする。
「そうみたいですわね……。行ってらっしゃいな」
疑いもせずあっさりと見逃してくれた。
一日の検査入院を経て、俺は簡単に荷物をまとめて実家へと帰る。何度かの帰省で見慣れた車窓からの景色を見ても、心が晴れることはなかった。
漠然とした不安の原因は、実家にたどり着いたところでわかる。庭で作業していた人たちがやってくる。
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