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6睡目・のジャ貴女(きじょ)カーニバル
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突き出た犬歯っぽい牙と骨格の浮き出たような細面のせいだろうが、こいつはやべぇ奴って思わせる迫力がある。さらに、木の幹に鉤爪状の足を引っ掛けて垂直ヤンキー座りをしている。全身は甲殻に覆われているような艶があって、甲虫人間とでも言えば良いだろうか。
「ハダーエフダーエッチダーエムビィアール・ジィアールガアイビーカケェビィシィビーエムビーです。去年は少量ですし密着される前に追い払えたんですが、ついつい忙殺されていまして……」
亜人とも思えない見た目の生物について、ハァビーは説明してくれた。えっと、ハウスツリーにつく怪物みたいなカミキリムシってことらしい。やっぱり長ったらしいので、ハウス・オニカミキリで良いか。
カミキリってたまに発生しづらい年があるから、気づけなくて彼女も悔しそうに歯噛みした。
で、彼女はそいつらが家を食い荒らそうとするから退治してくれようって頑張ったわけだ。オニカミキリ達が弱いのか、意外にも魔法以外の戦闘能力が彼女にあるのかはしらないが。
「害虫かぁ。俺を呼んでくれれば良いのにさ。対策方法を調べよう」
「いつも頼りっぱなしなので……」
ハァビーは、大きな山の下で手を合わせモジモジと己の無力さを噛みしめるのだ。
そんなことを気にしてたのか。俺だって、何かと世話になっているからお互い様なんだけどなぁ。
「立てるか? 君が立っていないと、俺は歩けないんだ」
そういって手を差し出した。ハァビーは嬉しそうに手を取ると小さく頷いて、ちょっとだけぎこちなく立ち上がった。
小さな打撲なので治癒魔法を使えば簡単だろうが、アルラウネの葉を煎じるとしよう。
俺達は家の方へと戻っていく。
「ご安心を。ダイナ先生、ハァビー先生」
シービンの呼び止める声に振り向いた。
手にはフラスコ瓶みたいなのがあって、乳白色の液体が封じられている。
「まさか……」
彼がそれをオーバースローの体勢で構えた瞬間、嫌な予感がして次の手を考えた。
「カホー、お願い!」
投擲と同時にカホーに発破を頼んだことで、液体が何らかの液剤だと確信した。
「ハァビー、俺を吹きとばせ!」
「へ?」
「早く!」
「キャペ エレジー(風よ!)」
間髪入れずハァビーに言うと、彼女が何かを理解してくれたおかげで飛翔することができた。
「コゴムビ ワイアイジー ラッピミ ワイマタハ フィリュダフォ キャペ エレジー(氷の鏃と収束する風よ)!」
カホーが氷で出来た小型の弾丸と一点集中で吹き出す風を作り出し、10メートル以上は離れていたにも関わらず的確にフラスコ瓶を打ち抜いた。
それでも、ギリギリのところで俺がハウスツリーと液体の間に入れたおかげで、散布されることになった量はかなり減らすことができた。
弾は瓶を割ったところで大きく逸れてくれたおかげで、ダメージは落下時に受けたものだけ。樹の表面に張り付くようにブレーキを掛けたおかげで擦り傷を少しと、軽い打撲で済んだのは幸いだな。
バロメッツ綿のマントに優れた対魔法と少々の衝撃吸収性能がなかったら、こんな危険な方法を試そうとも思わなかった。いや、もしかしたら何かの方法で止めていたかもしれないな。
「ダイナさん!」「ダイナ先生!」
ほとんどの誰もが息を飲む中、ハァビーとシービンだけが駆け寄ってきた。俺はなんとか立ち上がろうとして、大丈夫だと言うことを見せたかった。
しかし、良いダメージが入りすぎてて頭がぐらりと傾くのがわかる。
「大丈夫、大丈夫……じゃなかったか。ハハハッ……」
痛い。
「なんて無茶を! マントの性能がなければ大怪我をしていたところです!」
『そのマントは、魔法や熱とか寒さへの耐性はあっても、衝撃自体を減らせるわけじゃないんですよ? それに、なぜ薬の邪魔を?』
ハァビーは心配しながらも治癒の魔法を準備する。
シービン達の言う通り、無茶をして怪我を負ったことは謝らなければならないな。それにしても、本当に着心地の軽さに対して高性能過ぎるぞ。バロマント。
そして、さっきの液体が殺虫剤の部類だとわかって安堵した。次第に効いてくるオニカミキリ達の様子で察してくれるかわからないが、掛かった部分だけはなんとか注意しておかないと。
「ごめん。シービンも、ごめんな。生産種にとっても大事な樹だから、無茶な薬のやり方はしたくなかったんだ」
ハウスツリーの樹が桑に近いものだというのはわかっていたので、ある懸念を持って対処を後に回していたんだ。
青鋼を作り出す青鋼蚕と呼ぶ虫が、この葉っぱを餌にするとわかったから下手に殺虫剤を撒かないようにしていた。まず、こちらの農薬について勉強しないといけないからな。
『うっ。確かに、ボクの『バエヌアイジィダー ヤシィダー』は虫全般に高い効果を発揮しますね……』「ばんのうやく、ですか?」
バンノーヤクとはまた洒落た一品だ。錬精術士としての実力をわかっていたからこそ、妨害する発想に至ったとも言える。
「ハダーエフダーエッチダーエムビィアール・ジィアールガアイビーカケェビィシィビーエムビーです。去年は少量ですし密着される前に追い払えたんですが、ついつい忙殺されていまして……」
亜人とも思えない見た目の生物について、ハァビーは説明してくれた。えっと、ハウスツリーにつく怪物みたいなカミキリムシってことらしい。やっぱり長ったらしいので、ハウス・オニカミキリで良いか。
カミキリってたまに発生しづらい年があるから、気づけなくて彼女も悔しそうに歯噛みした。
で、彼女はそいつらが家を食い荒らそうとするから退治してくれようって頑張ったわけだ。オニカミキリ達が弱いのか、意外にも魔法以外の戦闘能力が彼女にあるのかはしらないが。
「害虫かぁ。俺を呼んでくれれば良いのにさ。対策方法を調べよう」
「いつも頼りっぱなしなので……」
ハァビーは、大きな山の下で手を合わせモジモジと己の無力さを噛みしめるのだ。
そんなことを気にしてたのか。俺だって、何かと世話になっているからお互い様なんだけどなぁ。
「立てるか? 君が立っていないと、俺は歩けないんだ」
そういって手を差し出した。ハァビーは嬉しそうに手を取ると小さく頷いて、ちょっとだけぎこちなく立ち上がった。
小さな打撲なので治癒魔法を使えば簡単だろうが、アルラウネの葉を煎じるとしよう。
俺達は家の方へと戻っていく。
「ご安心を。ダイナ先生、ハァビー先生」
シービンの呼び止める声に振り向いた。
手にはフラスコ瓶みたいなのがあって、乳白色の液体が封じられている。
「まさか……」
彼がそれをオーバースローの体勢で構えた瞬間、嫌な予感がして次の手を考えた。
「カホー、お願い!」
投擲と同時にカホーに発破を頼んだことで、液体が何らかの液剤だと確信した。
「ハァビー、俺を吹きとばせ!」
「へ?」
「早く!」
「キャペ エレジー(風よ!)」
間髪入れずハァビーに言うと、彼女が何かを理解してくれたおかげで飛翔することができた。
「コゴムビ ワイアイジー ラッピミ ワイマタハ フィリュダフォ キャペ エレジー(氷の鏃と収束する風よ)!」
カホーが氷で出来た小型の弾丸と一点集中で吹き出す風を作り出し、10メートル以上は離れていたにも関わらず的確にフラスコ瓶を打ち抜いた。
それでも、ギリギリのところで俺がハウスツリーと液体の間に入れたおかげで、散布されることになった量はかなり減らすことができた。
弾は瓶を割ったところで大きく逸れてくれたおかげで、ダメージは落下時に受けたものだけ。樹の表面に張り付くようにブレーキを掛けたおかげで擦り傷を少しと、軽い打撲で済んだのは幸いだな。
バロメッツ綿のマントに優れた対魔法と少々の衝撃吸収性能がなかったら、こんな危険な方法を試そうとも思わなかった。いや、もしかしたら何かの方法で止めていたかもしれないな。
「ダイナさん!」「ダイナ先生!」
ほとんどの誰もが息を飲む中、ハァビーとシービンだけが駆け寄ってきた。俺はなんとか立ち上がろうとして、大丈夫だと言うことを見せたかった。
しかし、良いダメージが入りすぎてて頭がぐらりと傾くのがわかる。
「大丈夫、大丈夫……じゃなかったか。ハハハッ……」
痛い。
「なんて無茶を! マントの性能がなければ大怪我をしていたところです!」
『そのマントは、魔法や熱とか寒さへの耐性はあっても、衝撃自体を減らせるわけじゃないんですよ? それに、なぜ薬の邪魔を?』
ハァビーは心配しながらも治癒の魔法を準備する。
シービン達の言う通り、無茶をして怪我を負ったことは謝らなければならないな。それにしても、本当に着心地の軽さに対して高性能過ぎるぞ。バロマント。
そして、さっきの液体が殺虫剤の部類だとわかって安堵した。次第に効いてくるオニカミキリ達の様子で察してくれるかわからないが、掛かった部分だけはなんとか注意しておかないと。
「ごめん。シービンも、ごめんな。生産種にとっても大事な樹だから、無茶な薬のやり方はしたくなかったんだ」
ハウスツリーの樹が桑に近いものだというのはわかっていたので、ある懸念を持って対処を後に回していたんだ。
青鋼を作り出す青鋼蚕と呼ぶ虫が、この葉っぱを餌にするとわかったから下手に殺虫剤を撒かないようにしていた。まず、こちらの農薬について勉強しないといけないからな。
『うっ。確かに、ボクの『バエヌアイジィダー ヤシィダー』は虫全般に高い効果を発揮しますね……』「ばんのうやく、ですか?」
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