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10睡目・残酷な天使のベーゼ
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「さぁさぁ、まだやるか?」
「ぐっ……」「悔しいが……」
俺は棍を揺らして威嚇した。
ケェヌだけでもなんとかなるが、まだ戦わなければならない可能性もある。そう、俺の能力に時間制限があること悟られるまでに立ち去って貰わなければならない。
「覚えていろよ!」「悔しいぞッ。悔しいぃ!」
ハルさんとイアさんは、倒れているピユさんを抱えて逃げていってくれた。
二度とこないでくれると助かるけど、あの様子だと先に俺達を叩いて置かないと気がすまなさそう。さておき、ハァビーは無事なようだし一段落と言ったところか。
「大丈夫だったか、ハァビー? その……今後はこうならないよう俺も頑張るけど、いざというときはハァビーも逃げてくれ。どんな手段を使っても生き残ってくれ」
安心したら、今度はそうまくしたてるように頼んでいた。
ハァビーは少し困惑しながらも、ウンウンとうなずいてくれる。
「は、はい……。あの、改めて伺いづらいんですが、私をどうと?」
更に訊ねてきた。
あ、やっぱり聞こえてましたよねぇ。
ケェヌは空気を読んだのか、いつの間にか消え去っていた。ごまかして逃げられないということである。
「えっと、だから、その。お、俺は」
勢いで言えたさっきとは違って、面と向かってなんて恥ずかしすぎるだろうって。こんなタイミングで、ムードとかも大してよろしくないのに言って良いのかとか。
色々と考えを巡らせてしまう。
ハァビーは、俺が言葉を紡ぐのを辛抱強く待ってくれている。
だからしっかりと彼女の目を見ることにした。無駄な言葉はいらないから。
「好きだ」
「はい」
俺の愛の告白に、彼女は顔を赤くしながらも満面の笑みを浮かべた。
胸の奥がムズムズとして、頭を掻きむしったり叫んだり、奇行に走りたくなってしまうぐらい恥ずかしい。
「あー、ケェヌのカッコ良さに気移りしてたらとか怖かったかな……」
なのでついつい茶化してしまう。
「そ、そんなはずありませんって! いくら私が有翼人種でもッ」
「ご、ごめん! 本当に、俺なんかで良いのかなって」
流石にそんな言い方はまずかったかと、直ぐに謝った。
「むぅ。大丈夫です。ダイナさんの気持ちは良く伝わって来ましたから、もっと自信を持って私達を愛してください!」
今後に及んで自分を低く見てしまう俺を、ハァビーはプクッと頬を膨らませて怒った。
あれ? 伝わったって言うほどの言葉を申し上げた覚えは?
私達って、他の子達の含めてたことに気づいてる?
ハァビーの謎のセリフに、俺の頭におかしな疑問が浮かんでくる。
「俺、そこまで言ったっけ?」
「え? ん……? おかしい、ですね」
「でしょ?」
「前にも、言葉にしてないことを理解できたことがあったような?」
シジットとカホーのケンカで瀕死になった後のことか。もしかしたら、へエヌジーの世界で昔は通じていた思考をわかりやすく伝える力があるのかもしれない。魔法の代わりにそういうのが備わっているのか?
その答えは出ないものの、今はもっと重要なことがあることを思い出す。
「考えても仕方ないか。それより、またハルピュイアさん達が攻めてくる可能性があるから備えないとな」
「そう、でしたね。ですが、ハルピュイアは魔法に優れながらも身体能力だって低くはありません」
ハァビーの言う通りだし、俺も体験したからわかっている。身体能力だけなら成人男性ぐらいだろうか。それに飛翔能力と優れた脚力を併せると、俺が薬なしでサシで戦って五分だ。
さらにハァビーは言葉を続ける。
「地面に潜るわけにはいきませんから、強固な屋根を作らなければ戦いになりません。流石に、私達の家では持ちこたえないでしょうし……」
ハルピュイアさん達が全員で襲撃してくるかはわからないが、上空からの一方的な魔法爆撃などやられようものなら軽く叩き潰されるというわけだ。
塹壕を掘っても生き埋めが関の山。天井を作っても崩壊が怖いため、高い壁を遮蔽に戦うのが正解か。そうなると、人手が必要になってくるわけで……イブ村へと向かうことになった。
「ハァビーはサムベアさんにこの件を伝えてくれ。もしかしたら、学園を、無理な可能性が高いけどもしかしたらな」
「わかりました。ファリッバさん達には避難していただいておきます」
分担して対策を練る。俺が1人で行くのは、あんまり他人をダシに何かをお願いしたくないからだ。
ハァビーも、そういうところや皆への安全を察して行動してくれる。もしかしたら、俺の考えが魔力によって伝わっているのかもしれない。
俺はハァビーと別れ、イブ村へやってきたわけなのだが……。
「説明した通りです。どうか、この村の皆さんの手を貸してくれませんか?」
ハルピュイアの襲撃を受ける可能性があり、防衛に必要な壁の建築に関して協力を願った。頭を下げることにためらいはないまでも、代価が必要ならばどれだけ懸かっても支払おう。
俺は、村長さんの答えを待つ。たった一瞬の間とは言え、緊張が周囲を包み込んだ。
「ぐっ……」「悔しいが……」
俺は棍を揺らして威嚇した。
ケェヌだけでもなんとかなるが、まだ戦わなければならない可能性もある。そう、俺の能力に時間制限があること悟られるまでに立ち去って貰わなければならない。
「覚えていろよ!」「悔しいぞッ。悔しいぃ!」
ハルさんとイアさんは、倒れているピユさんを抱えて逃げていってくれた。
二度とこないでくれると助かるけど、あの様子だと先に俺達を叩いて置かないと気がすまなさそう。さておき、ハァビーは無事なようだし一段落と言ったところか。
「大丈夫だったか、ハァビー? その……今後はこうならないよう俺も頑張るけど、いざというときはハァビーも逃げてくれ。どんな手段を使っても生き残ってくれ」
安心したら、今度はそうまくしたてるように頼んでいた。
ハァビーは少し困惑しながらも、ウンウンとうなずいてくれる。
「は、はい……。あの、改めて伺いづらいんですが、私をどうと?」
更に訊ねてきた。
あ、やっぱり聞こえてましたよねぇ。
ケェヌは空気を読んだのか、いつの間にか消え去っていた。ごまかして逃げられないということである。
「えっと、だから、その。お、俺は」
勢いで言えたさっきとは違って、面と向かってなんて恥ずかしすぎるだろうって。こんなタイミングで、ムードとかも大してよろしくないのに言って良いのかとか。
色々と考えを巡らせてしまう。
ハァビーは、俺が言葉を紡ぐのを辛抱強く待ってくれている。
だからしっかりと彼女の目を見ることにした。無駄な言葉はいらないから。
「好きだ」
「はい」
俺の愛の告白に、彼女は顔を赤くしながらも満面の笑みを浮かべた。
胸の奥がムズムズとして、頭を掻きむしったり叫んだり、奇行に走りたくなってしまうぐらい恥ずかしい。
「あー、ケェヌのカッコ良さに気移りしてたらとか怖かったかな……」
なのでついつい茶化してしまう。
「そ、そんなはずありませんって! いくら私が有翼人種でもッ」
「ご、ごめん! 本当に、俺なんかで良いのかなって」
流石にそんな言い方はまずかったかと、直ぐに謝った。
「むぅ。大丈夫です。ダイナさんの気持ちは良く伝わって来ましたから、もっと自信を持って私達を愛してください!」
今後に及んで自分を低く見てしまう俺を、ハァビーはプクッと頬を膨らませて怒った。
あれ? 伝わったって言うほどの言葉を申し上げた覚えは?
私達って、他の子達の含めてたことに気づいてる?
ハァビーの謎のセリフに、俺の頭におかしな疑問が浮かんでくる。
「俺、そこまで言ったっけ?」
「え? ん……? おかしい、ですね」
「でしょ?」
「前にも、言葉にしてないことを理解できたことがあったような?」
シジットとカホーのケンカで瀕死になった後のことか。もしかしたら、へエヌジーの世界で昔は通じていた思考をわかりやすく伝える力があるのかもしれない。魔法の代わりにそういうのが備わっているのか?
その答えは出ないものの、今はもっと重要なことがあることを思い出す。
「考えても仕方ないか。それより、またハルピュイアさん達が攻めてくる可能性があるから備えないとな」
「そう、でしたね。ですが、ハルピュイアは魔法に優れながらも身体能力だって低くはありません」
ハァビーの言う通りだし、俺も体験したからわかっている。身体能力だけなら成人男性ぐらいだろうか。それに飛翔能力と優れた脚力を併せると、俺が薬なしでサシで戦って五分だ。
さらにハァビーは言葉を続ける。
「地面に潜るわけにはいきませんから、強固な屋根を作らなければ戦いになりません。流石に、私達の家では持ちこたえないでしょうし……」
ハルピュイアさん達が全員で襲撃してくるかはわからないが、上空からの一方的な魔法爆撃などやられようものなら軽く叩き潰されるというわけだ。
塹壕を掘っても生き埋めが関の山。天井を作っても崩壊が怖いため、高い壁を遮蔽に戦うのが正解か。そうなると、人手が必要になってくるわけで……イブ村へと向かうことになった。
「ハァビーはサムベアさんにこの件を伝えてくれ。もしかしたら、学園を、無理な可能性が高いけどもしかしたらな」
「わかりました。ファリッバさん達には避難していただいておきます」
分担して対策を練る。俺が1人で行くのは、あんまり他人をダシに何かをお願いしたくないからだ。
ハァビーも、そういうところや皆への安全を察して行動してくれる。もしかしたら、俺の考えが魔力によって伝わっているのかもしれない。
俺はハァビーと別れ、イブ村へやってきたわけなのだが……。
「説明した通りです。どうか、この村の皆さんの手を貸してくれませんか?」
ハルピュイアの襲撃を受ける可能性があり、防衛に必要な壁の建築に関して協力を願った。頭を下げることにためらいはないまでも、代価が必要ならばどれだけ懸かっても支払おう。
俺は、村長さんの答えを待つ。たった一瞬の間とは言え、緊張が周囲を包み込んだ。
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