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FILE1.痴漢幽霊騒動
その4-1
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教職員入り口で明可に迎えられ、校長室へ向かう片手間に校内の様子を探る。
「まぁ、見た感じ普通の学校だな」
「ですねぇ。日本の学校は通ったことありませんけど」
「今回のことまで生徒たちに影響しないと良いのですが……」
2人に対して教師の返事は物憂げだ。窓を通して見る疎らな生徒や校庭で部活動に励む運動部員達への視線、明可は果たして何を瞳に映すのか。
心配しているのは聖雄のことか、それとも痴漢犯捜査のことか、はたまた両方か。
「保証はしかねるが、出来るだけ大事にならないようにするよ。普通の学校なら過ぎた出来事だろうしな」
「……どうか、お願いします」
零士の言葉に、明可は前を歩きつつも頭を下げた。まだ根拠はないが、この学校には似つかわしくない先生だと探偵は思った。
「私達、場違いじゃないですよね?」
不自然なほどに自然な学校生活の様子に双葉は落ち着かない様子だ。
「肝が据わってるというか。神学校ってぇのはこんなもんか?」
「私も結構良い大学まで行ってるんですけどね!」
「普通ハラスメント! メジャーハラスメントぉ!」
「なんじゃいそりゃ……!」
ここまで来ても相変わらずのやり取りだ。
「ふふふっ」
そんな2人の掛け合いを見て明可は笑った。
「あぁ、申し訳ありません。とても仲が良いみたいですね」
「……双葉ちゃんはいつも怒ってばっかだぜ?」
「零士君が舐めたこと言うからですよ……」
慌てて弁解すると、メガネを上げて目尻を拭った。零士達も顔を見合わせケンカをやめた。
そうこうしているうちに校長室の前に到着する。
「九十九です。お話の協力くださった方を連れてきました」
「お待ちしてました。どうぞ」
明可のノックにすぐさま返事があった。
扉が開くと、女性が執務机に着いており、その前のテーブルの近くで教頭先生と思しき男性が待機しているのが見えた。そして、聖雄が下座で零士達3人を睨みつけている。
「ご足労くださりありがとうございます。どうぞ、お入りになって座ってください」
執務机から立ち上がった初老の女性に促され、探偵達は前に進み出て慎重に席へ。皆がローテーブル周りのソファーに着座するとまずは自己紹介だ。最初は女性の方。
「では、まずワタクシが当校の長を努めております五字卯 犬子と申します。こちらが教頭の」
「葛葉 知太郎です」
中年の男性が言葉を引き継ぎ名乗った。
「阿藤 零士だ」
「双葉・エルサリーヌです。犬、子……」
「何から話せば良いんだ?」
2人とも適当に自己紹介をして、ボロが出ないうちに視線で明可に先を促させる。雇われた探偵だとバレても、彼女や双葉の立場が悪くなるだけだからだ。
「まぁ、見た感じ普通の学校だな」
「ですねぇ。日本の学校は通ったことありませんけど」
「今回のことまで生徒たちに影響しないと良いのですが……」
2人に対して教師の返事は物憂げだ。窓を通して見る疎らな生徒や校庭で部活動に励む運動部員達への視線、明可は果たして何を瞳に映すのか。
心配しているのは聖雄のことか、それとも痴漢犯捜査のことか、はたまた両方か。
「保証はしかねるが、出来るだけ大事にならないようにするよ。普通の学校なら過ぎた出来事だろうしな」
「……どうか、お願いします」
零士の言葉に、明可は前を歩きつつも頭を下げた。まだ根拠はないが、この学校には似つかわしくない先生だと探偵は思った。
「私達、場違いじゃないですよね?」
不自然なほどに自然な学校生活の様子に双葉は落ち着かない様子だ。
「肝が据わってるというか。神学校ってぇのはこんなもんか?」
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「普通ハラスメント! メジャーハラスメントぉ!」
「なんじゃいそりゃ……!」
ここまで来ても相変わらずのやり取りだ。
「ふふふっ」
そんな2人の掛け合いを見て明可は笑った。
「あぁ、申し訳ありません。とても仲が良いみたいですね」
「……双葉ちゃんはいつも怒ってばっかだぜ?」
「零士君が舐めたこと言うからですよ……」
慌てて弁解すると、メガネを上げて目尻を拭った。零士達も顔を見合わせケンカをやめた。
そうこうしているうちに校長室の前に到着する。
「九十九です。お話の協力くださった方を連れてきました」
「お待ちしてました。どうぞ」
明可のノックにすぐさま返事があった。
扉が開くと、女性が執務机に着いており、その前のテーブルの近くで教頭先生と思しき男性が待機しているのが見えた。そして、聖雄が下座で零士達3人を睨みつけている。
「ご足労くださりありがとうございます。どうぞ、お入りになって座ってください」
執務机から立ち上がった初老の女性に促され、探偵達は前に進み出て慎重に席へ。皆がローテーブル周りのソファーに着座するとまずは自己紹介だ。最初は女性の方。
「では、まずワタクシが当校の長を努めております五字卯 犬子と申します。こちらが教頭の」
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