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2話『スズ視点』・少ししか変わらない関係
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さすがにベルちゃんのやり方は乱暴ですが、妖はこれぐらいではなんともありません。妖怪によりますが、人間よりも比較的強靭にできているのも特徴の一つでしょうか。見た目は人間に近かったりしますから、見た目以外で最たるものは『妖力』ですね。
「おぉぉ……未だにネコの玩具にでもなったような気分が続いてるぜ」
復活を果たしたリンリンちゃんは、体をコキコキとならしつつよくわからない感想を述べました。
「あぁ」
私は数秒ほど考えて、ネコがビニール袋で遊ぶことが多いのを思い出して手のひらを打ちました。袋を振ると空気が入ってふくらむのも、先程見たとおりです。
そうしている間にベルちゃんも離れていってしまうため、私とリンリンちゃんも走り出します。と言っても、早歩きにもなるかというぐらいの速度ですが。
「好調! こうちょー!」
肉体的には問題ないとばかりに、リンリンちゃんはバビューンなんて音がしそうな感じで走って行きました。私よりも早いです。
こうしてリンリンちゃんやベルちゃんのおかげで、私は元気で居られるんです。
「ふふっ」
「ん? どーした、スズ?」
「急がないと遅刻よ」
私が友達に感謝して笑みをこぼせば、2人とも目ざとく感づいて急かしてきます。なので私は首を横に振って、なんでもないと答えました。
それから20分ほど後、私達はチャイムが鳴るかどうかというギリギリで教室へと滑り込みました。
「ふひー、間に合ったぜー」
リンリンちゃんが私達の中で一番に扉をくぐり、自分の席がある最後尾の荷物用ロッカーへ向かったことでしょう。あの身長なので、ロッカーの上からでなければ黒板が見えないのです。
「西先生もギリギリになりそうね」
続いて教室に入ったベルちゃんが、室内を見渡してから少し残念そうに言いました。
昨日ぐらいから私のことらしいのですが、何やら話を先生とするようになったので、その件なのでしょうか? 話の主旨を教えてくれないので困ります。
先生の困った顔を見なくて済んだことに安堵して、私も教室最前列の席へと着きます。
程なくして、アズマ先生はいつものように凛とした表情で入室してきました。最後の最後までグループを作っていた人も妖も、波が引くように自分達の席へと収まります。
「出席を取る」
アズマ先生は着席まで持てますこともなく、教壇の立って一言だけ投げ放ちました。
これほど皆が大人しくなる教師は、アズマ先生と生活指導のウホーキン先生くらいではないでしょうか。大柄で力技なウホーキン先生とは反対に、アズマ先生はその理知的でクールな見た目に畏敬を感じる方が多いようです。
妖だって例外ではありません。
「12番篠山 恵太」
「へーい」
「13番――」
アズマ先生がクラスメイト達の名前を読み上げていきます。自分の名前が呼ばれたようなのですが、それに気づかず私は先生への評価を考えいました。
目つきが少し怖いこともあって誤解されがちですが、とても優しくて生徒思いの先生なんです。
「スズ――」
名前を呼ばれているのにも気づかず、私は先生の思いやりに触れた瞬間を思い出すにまで至ってしまいました。
あれは5月に入ったばかりのことです。
衣替えが行われた日の登校時、筋骨隆々なショウケラ妖怪のウホーキン先生が衣服の身だしなみチェックを行っていたのです。私は、体毛のことがあって長袖のままでしたので見咎められることになります。
「――だったなッ? なんで冬服のままなんだぁ?」
ウホーキン先生が、大きな顔をヌッと近づけて声を荒げました。
体育用ハーフパンツにシャツという出で立ちで青白く不健康そうな肌が露出し、見た目からして人ではないのはウホーキン先生も同じのはずなのですが。それでも、気にしていないのであれば私だけ目をつけられるわけです。
「あの、その……体毛が……」
爬虫類と獣を足して割ったような顔は、妖であっても威圧感がありました。別に必ず夏服にしなければならないという校則があるわけでもなく、ましてや乱れた服装ではないのでなんとか弁解しようとしました。
けれど、なぜかウホーキン先生は許してくださいません。
心を読めば適切な言葉も出てくるのでしょうけど、嫌なので頭を下げてなんとかがんばります。
「体毛だぁッ? その程度もさらけ出せなくて、何が妖だッ?」
誇り高い妖が人間と同じ格好をして、姿を隠しているというのが気に入らないようです。いえ、何をしても気に入らないことを指摘してきたはずです。
私が折れなければならないのか、どうしようもなくって顔を伏せ続けます。
そんな中、助け舟を出してくれる人がいました。
「ウホーキン先生、程度の自由な部分は見逃さないと。皆に規範を示す時間がなくなってしまいます」
それこそがアズマ先生でした。私を助けてくれたわけではないのでしょうけど、年上や妖への敬意を忘れず場を丸く収めました。
以後も、私が冬服のままであることを見逃してくれたのでした。
「おぉぉ……未だにネコの玩具にでもなったような気分が続いてるぜ」
復活を果たしたリンリンちゃんは、体をコキコキとならしつつよくわからない感想を述べました。
「あぁ」
私は数秒ほど考えて、ネコがビニール袋で遊ぶことが多いのを思い出して手のひらを打ちました。袋を振ると空気が入ってふくらむのも、先程見たとおりです。
そうしている間にベルちゃんも離れていってしまうため、私とリンリンちゃんも走り出します。と言っても、早歩きにもなるかというぐらいの速度ですが。
「好調! こうちょー!」
肉体的には問題ないとばかりに、リンリンちゃんはバビューンなんて音がしそうな感じで走って行きました。私よりも早いです。
こうしてリンリンちゃんやベルちゃんのおかげで、私は元気で居られるんです。
「ふふっ」
「ん? どーした、スズ?」
「急がないと遅刻よ」
私が友達に感謝して笑みをこぼせば、2人とも目ざとく感づいて急かしてきます。なので私は首を横に振って、なんでもないと答えました。
それから20分ほど後、私達はチャイムが鳴るかどうかというギリギリで教室へと滑り込みました。
「ふひー、間に合ったぜー」
リンリンちゃんが私達の中で一番に扉をくぐり、自分の席がある最後尾の荷物用ロッカーへ向かったことでしょう。あの身長なので、ロッカーの上からでなければ黒板が見えないのです。
「西先生もギリギリになりそうね」
続いて教室に入ったベルちゃんが、室内を見渡してから少し残念そうに言いました。
昨日ぐらいから私のことらしいのですが、何やら話を先生とするようになったので、その件なのでしょうか? 話の主旨を教えてくれないので困ります。
先生の困った顔を見なくて済んだことに安堵して、私も教室最前列の席へと着きます。
程なくして、アズマ先生はいつものように凛とした表情で入室してきました。最後の最後までグループを作っていた人も妖も、波が引くように自分達の席へと収まります。
「出席を取る」
アズマ先生は着席まで持てますこともなく、教壇の立って一言だけ投げ放ちました。
これほど皆が大人しくなる教師は、アズマ先生と生活指導のウホーキン先生くらいではないでしょうか。大柄で力技なウホーキン先生とは反対に、アズマ先生はその理知的でクールな見た目に畏敬を感じる方が多いようです。
妖だって例外ではありません。
「12番篠山 恵太」
「へーい」
「13番――」
アズマ先生がクラスメイト達の名前を読み上げていきます。自分の名前が呼ばれたようなのですが、それに気づかず私は先生への評価を考えいました。
目つきが少し怖いこともあって誤解されがちですが、とても優しくて生徒思いの先生なんです。
「スズ――」
名前を呼ばれているのにも気づかず、私は先生の思いやりに触れた瞬間を思い出すにまで至ってしまいました。
あれは5月に入ったばかりのことです。
衣替えが行われた日の登校時、筋骨隆々なショウケラ妖怪のウホーキン先生が衣服の身だしなみチェックを行っていたのです。私は、体毛のことがあって長袖のままでしたので見咎められることになります。
「――だったなッ? なんで冬服のままなんだぁ?」
ウホーキン先生が、大きな顔をヌッと近づけて声を荒げました。
体育用ハーフパンツにシャツという出で立ちで青白く不健康そうな肌が露出し、見た目からして人ではないのはウホーキン先生も同じのはずなのですが。それでも、気にしていないのであれば私だけ目をつけられるわけです。
「あの、その……体毛が……」
爬虫類と獣を足して割ったような顔は、妖であっても威圧感がありました。別に必ず夏服にしなければならないという校則があるわけでもなく、ましてや乱れた服装ではないのでなんとか弁解しようとしました。
けれど、なぜかウホーキン先生は許してくださいません。
心を読めば適切な言葉も出てくるのでしょうけど、嫌なので頭を下げてなんとかがんばります。
「体毛だぁッ? その程度もさらけ出せなくて、何が妖だッ?」
誇り高い妖が人間と同じ格好をして、姿を隠しているというのが気に入らないようです。いえ、何をしても気に入らないことを指摘してきたはずです。
私が折れなければならないのか、どうしようもなくって顔を伏せ続けます。
そんな中、助け舟を出してくれる人がいました。
「ウホーキン先生、程度の自由な部分は見逃さないと。皆に規範を示す時間がなくなってしまいます」
それこそがアズマ先生でした。私を助けてくれたわけではないのでしょうけど、年上や妖への敬意を忘れず場を丸く収めました。
以後も、私が冬服のままであることを見逃してくれたのでした。
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