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第2章:てんぱい異世界の足跡
第26話 天貴、修行する
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ザワアァァァァ……。
俺とアリスは、放牧から少し離れた坂道を下った先の、風が吹き抜ける崖の近くにいた。ウトウトしていたモーちゃんとメーちゃんには、「ちょっと向こうで練習してくるから」って、あらかじめ伝えてある。
「ここなら空が広いから…きゃっ!」
アリスの言葉にうなずいた、その瞬間。
ブワッ!!
(…あ!アリスのスカートが!!)
心の中に巣食う妄想玄太の目が光る。
『てんばぁぁぁぁぁぁ……』
いや、見てない!俺は何も見てないからな、玄太!
「コホン…よし、ここなら思いきり試せるな」
風は強いが、周囲には何もない。練習にはまさに、うってつけの場所だ。
俺の天候操作、スカイリンク。気分とリンクして空に映すだけの代物じゃ、この先まともに使えない。しかも1発で空っぽなんて論外だ。もっと自由に、もっと正確に、この力を制御できるようにならなきゃならない。そんな俺の不安とやる気を見透かしたように、アリスの持つ水筒の中にはマナを回復するマナトマソースがたっぷり入っていた。さすがアリス、視えてるだけある。
「そうは言っても、限界はあるわよ。マナが枯渇しないように、範囲を最小限にするの!」
「ああ。狙った天候を、狙った場所にだけ発動させる!それが俺の課題だ」
そう言って、崖の下を見つめながら指を伸ばす。
「ターゲットは、崖の下の大木。狙うは……その真上!」
両手を前方の空へ掲げ、親指と人差し指で一点を囲むように照準を定める。
「なるべく狭く、そして明確に…!」
その指先で作ったフレームに、自分の“意図”を込めた。
「この範囲に、水蒸気が集まるイメージで……来い!雨雲!」
狙いを定めた上空に、ふわりと白い雲が生まれた。やがてそれは色を変え、ゆっくりと灰色の雲へと成長していく。
「天貴!集まってる!」
アリスの声に俺は振り返り、思いきり頷いた。
「よし、空はちゃんと応えてる!」
そう思った瞬間、さらに欲が出る。
「アリス! 俺、このまま上昇気流を高めてみる!」
「上昇気流!? 何を狙ってるの!?」
空は上へ行くほど冷えるはず。空気が上に流れ込めば、水蒸気は冷えてやがて氷の粒になる。つまり、上昇気流を作れば、雨雲の中に氷の芯ができるはずだ。それが集まれば…ひょうとかアラレになるんじゃねえか?
気づけば、自分でもワクワクしていた。この力がただの雨乞いで終わらないなら、もっと掘れるはずだ。仕組みそのものを、手で掴めるところまで。
「よぉし!よく分かんねえけど、この水蒸気の塊が凍るくらい、上空まで押し上げてやる!」
両手を少しずつ上へとスライドさせる。まるで雲をつかんで、空へ空へと引き上げるように。
「上だっ…!」
体中をマナが熱を帯び、視界の中で雲の中心がうねりながら上空へと盛り上がっていく。
「もっと…!もっと上だッ!!」
雲の中心が渦を巻きながら伸び上がり、その輪郭はドーナツのように膨らんでいった。それはまるで、空から地上に向けられた砲口。そして次の瞬間、唐突に空が割れた。
―――ピシャアアアアッ!!
空の砲口から放たれた青色の閃光が、崖の下の大木を一直線に貫く。
「は…はは…」
あまりの衝撃に、気づけば俺は尻もちをついていた。強く吹いていた風も、いつの間にか止んでいる。妙な静けさだけが、この場を支配していた。
「す…すっごーーーい!!」
突然の歓声が、静寂を切り裂くように崖にこだました。アリスは手を叩きながら、興奮気味に俺の元へ駆け寄ってくる。
「ねぇねぇ!今!青雷が、ピシャーって!!」
俺の肩をガタガタ揺さぶりながら、アリスは止まらない。瞳をキラッキラに輝かせ、さらにまくしたてた。
「だって見てよ!青空なのに!晴れてるのに!あそこだけドーンって!見た?見た!?」
「は、はひ…見まひた…」
なんだこれ…マナを急速に失ったせいか、脳がふわふわする。俺は力なくヘラヘラと笑いながら、その場にペタンと座り込んでいた。ろれつも怪しい。今、まさに――栄養補給の刻、来たれり。
「あ、あの…アリスさん?早くマナトマソースを…」
「はっ!!!やだ、忘れてた!もぅ!早く言ってよぉ!!」
俺の肩をバシッと叩いたかと思うと、アリスは俺の口にマナトマスープをダクダクと流し込んだ。なんか玄太とは違うノリで少し戸惑うけど、これはこれで嫌いじゃない。ようやく冷静になったアリスは、はしゃぎすぎた自分を思い出したのか、急に頬を染めて目を逸らした。
分かるよ?俺も内心、裸でサンバ踊りたいくらいテンション上がってる。でも、マナが抜けた身体と脳が、俺のブラジル行きを全力で阻止している。
「いや、でもまさか…雷が落ちるとは思ってなかったんだよなぁ」
「え!?青雷を狙ったんじゃなかったの!?」
アリスが目を丸くして、勢いよく詰め寄ってくる。
「あー…いや、まぁ、アレだ」
上空で水滴を冷やせば氷になる。それが雹になれば、アラレ攻撃でもできるんじゃね?っていう、安易なひらめきだったわけで。まさかそこから雷が落ちるとは思ってなかった。仕組みは正直よく分かってないけどさ。
――青雷。なんとなく、やり方の感覚は掴めた気がする。
「うーん、でもさ。こんなの当たったら死んじまうから、気軽には使えないよな?」
流石にアストラで人に引導を渡すのは、戦を知らない俺には荷が重すぎる。
「ん?青雷なら、死ぬってことはないわよ?」
アリスがとんでもないことを、サラッと言い放った。え?地球と違って、こっちのは青いからセーフとか、そういう理屈じゃないよな?
「これ、威力は低いってこと?」
「え!?まさか!属性の中ではかなり強力よ?」
詳しく話を聞いてみると、この世界の人間は、その体内に流れる“マナの抵抗力”のおかげで、炎や雷といった属性攻撃にはめっぽう強いらしい。つまり、マナのない地球人なら確実に致命傷になる雷も、こっちの人間なら――
「ま、大ダメージは免れないけどね!」
「…うん、だろうな」
例え死ななくてもめちゃくちゃ痛いだろ、これ。いや、逆に言えばもし戦になれば、敵さんも容赦なく異世界特有の属性攻撃をぶっ放してくるわけだ。大事なものを守る為なら、手加減してる場合じゃ無いかもな。
「そうよ!炎に青雷、氷に…あと風の攻撃なんて意外と厄介なんだから!」
「風か…待てよ、風?…台風って…」
ザザァッ!!
その瞬間、一陣の風が吹き抜けた。すると、まるでその呼びかけに応じるように、止んでいた風が一斉に舞い始める。
ザアァァァァァァァァ…!
風はすぐに勢いを増し、俺とアリスはついに、その場に立っていられなくなるほどの強風に襲われた。
「アリス、これ…なんか変じゃないか!?」
「うん…これ、自然なものじゃない!」
その時だった。突然、地鳴りのような重低音が、山全体を揺らすように響いた。
《検知……領域侵害……》
「……!?今の、風の音!?」
「いや、違う……音じゃない!」
誰かの声が、頭の奥に直接届いたような、そんな感覚。ふいに、誰かに見られているような感覚が俺とアリスを襲う。
「…え?…ア、アリス…あれって…」
指先が震え、声もかすれるようにしか出なかった。
「うん…見えてる…」
俺たちの視線の先、崖の向こう。さっき俺が青雷を生み出した、その空の一点。そこに、人の形をした風の塊がまるで彫像のように、静かに俺たちを見下ろしていた。
《空に手を伸ばし、我が風を遮る者を確認……》
「アルカ山にはその領域を守護する山神がいるって、お父様に聞いた事あったけど…」
「山神?あれ、神サマだっていうのかよ!?」
《…………否………》
《……我が存在、神に在らず。風を制する……山の意思なり》
するとアリスは俺を庇うように、前方に一歩を踏み出した。
「アルカ山の意思よ!我らは風を乱す意思は無き者!ゆえに……退かれよ!」
「ア、アリス姐さん、かっけぇ……」
アリスは振り返り、茶化した俺にムゥっと頬を膨らませて怒ったような顔をして見せた。良かった、いつものアリスだ。
《……………語りし娘……………》
《空を操るその男人…………我に捧げよ》
「あ…俺が行けば良いのか…?」
「だめ!いくら上位の存在でも、どう考えても取って喰われちゃうわよ…!」
(っひ!やだ……!俺の体が目当てなの!?)
いや、今そんな冗談考えてる場合じゃない。緊迫するとすぐアホなことが浮かぶこの脳みそ、マジでなんとかしてほしい。
ゴゴゴゴゴゴ…ッ!
風の存在が、ゆっくりと手を伸ばした。その手は空気の流れを巻き込み、渦を巻くようにして膨れながら、やがて俺たちめがけて襲いかかってきた!
「くっ…!いきなり攻撃かよ!」
俺は咄嗟に、盾になる覚悟でアリスの前に飛び出して立ちはだかった。
「天貴!ダメ!!」
「……えっ!?」
一方、山の麓では。
「モ?なんか急に風向きが変わったモ?」
「アリス達はどこまで行ったベ~?」
モーちゃんとメーちゃんは、山の微妙な空気の揺らぎに耳を澄ませた。
「この山は、風達を怒らせなきゃ大丈夫だモ…」
「でも風が騒いでる……少し気になるべぇ~」
そう言いながら、少し考え込むベーちゃん。
「少し見て来る……シェパの足ならすぐだべ」
「OKだモ!ここはモに任せてモ!」
ベーちゃんは雄々しいボス羊、疾風のシェパの背にまたがると、アリスと天貴が向かった崖の方へ向かって颯爽と駆け出した。
俺とアリスは、放牧から少し離れた坂道を下った先の、風が吹き抜ける崖の近くにいた。ウトウトしていたモーちゃんとメーちゃんには、「ちょっと向こうで練習してくるから」って、あらかじめ伝えてある。
「ここなら空が広いから…きゃっ!」
アリスの言葉にうなずいた、その瞬間。
ブワッ!!
(…あ!アリスのスカートが!!)
心の中に巣食う妄想玄太の目が光る。
『てんばぁぁぁぁぁぁ……』
いや、見てない!俺は何も見てないからな、玄太!
「コホン…よし、ここなら思いきり試せるな」
風は強いが、周囲には何もない。練習にはまさに、うってつけの場所だ。
俺の天候操作、スカイリンク。気分とリンクして空に映すだけの代物じゃ、この先まともに使えない。しかも1発で空っぽなんて論外だ。もっと自由に、もっと正確に、この力を制御できるようにならなきゃならない。そんな俺の不安とやる気を見透かしたように、アリスの持つ水筒の中にはマナを回復するマナトマソースがたっぷり入っていた。さすがアリス、視えてるだけある。
「そうは言っても、限界はあるわよ。マナが枯渇しないように、範囲を最小限にするの!」
「ああ。狙った天候を、狙った場所にだけ発動させる!それが俺の課題だ」
そう言って、崖の下を見つめながら指を伸ばす。
「ターゲットは、崖の下の大木。狙うは……その真上!」
両手を前方の空へ掲げ、親指と人差し指で一点を囲むように照準を定める。
「なるべく狭く、そして明確に…!」
その指先で作ったフレームに、自分の“意図”を込めた。
「この範囲に、水蒸気が集まるイメージで……来い!雨雲!」
狙いを定めた上空に、ふわりと白い雲が生まれた。やがてそれは色を変え、ゆっくりと灰色の雲へと成長していく。
「天貴!集まってる!」
アリスの声に俺は振り返り、思いきり頷いた。
「よし、空はちゃんと応えてる!」
そう思った瞬間、さらに欲が出る。
「アリス! 俺、このまま上昇気流を高めてみる!」
「上昇気流!? 何を狙ってるの!?」
空は上へ行くほど冷えるはず。空気が上に流れ込めば、水蒸気は冷えてやがて氷の粒になる。つまり、上昇気流を作れば、雨雲の中に氷の芯ができるはずだ。それが集まれば…ひょうとかアラレになるんじゃねえか?
気づけば、自分でもワクワクしていた。この力がただの雨乞いで終わらないなら、もっと掘れるはずだ。仕組みそのものを、手で掴めるところまで。
「よぉし!よく分かんねえけど、この水蒸気の塊が凍るくらい、上空まで押し上げてやる!」
両手を少しずつ上へとスライドさせる。まるで雲をつかんで、空へ空へと引き上げるように。
「上だっ…!」
体中をマナが熱を帯び、視界の中で雲の中心がうねりながら上空へと盛り上がっていく。
「もっと…!もっと上だッ!!」
雲の中心が渦を巻きながら伸び上がり、その輪郭はドーナツのように膨らんでいった。それはまるで、空から地上に向けられた砲口。そして次の瞬間、唐突に空が割れた。
―――ピシャアアアアッ!!
空の砲口から放たれた青色の閃光が、崖の下の大木を一直線に貫く。
「は…はは…」
あまりの衝撃に、気づけば俺は尻もちをついていた。強く吹いていた風も、いつの間にか止んでいる。妙な静けさだけが、この場を支配していた。
「す…すっごーーーい!!」
突然の歓声が、静寂を切り裂くように崖にこだました。アリスは手を叩きながら、興奮気味に俺の元へ駆け寄ってくる。
「ねぇねぇ!今!青雷が、ピシャーって!!」
俺の肩をガタガタ揺さぶりながら、アリスは止まらない。瞳をキラッキラに輝かせ、さらにまくしたてた。
「だって見てよ!青空なのに!晴れてるのに!あそこだけドーンって!見た?見た!?」
「は、はひ…見まひた…」
なんだこれ…マナを急速に失ったせいか、脳がふわふわする。俺は力なくヘラヘラと笑いながら、その場にペタンと座り込んでいた。ろれつも怪しい。今、まさに――栄養補給の刻、来たれり。
「あ、あの…アリスさん?早くマナトマソースを…」
「はっ!!!やだ、忘れてた!もぅ!早く言ってよぉ!!」
俺の肩をバシッと叩いたかと思うと、アリスは俺の口にマナトマスープをダクダクと流し込んだ。なんか玄太とは違うノリで少し戸惑うけど、これはこれで嫌いじゃない。ようやく冷静になったアリスは、はしゃぎすぎた自分を思い出したのか、急に頬を染めて目を逸らした。
分かるよ?俺も内心、裸でサンバ踊りたいくらいテンション上がってる。でも、マナが抜けた身体と脳が、俺のブラジル行きを全力で阻止している。
「いや、でもまさか…雷が落ちるとは思ってなかったんだよなぁ」
「え!?青雷を狙ったんじゃなかったの!?」
アリスが目を丸くして、勢いよく詰め寄ってくる。
「あー…いや、まぁ、アレだ」
上空で水滴を冷やせば氷になる。それが雹になれば、アラレ攻撃でもできるんじゃね?っていう、安易なひらめきだったわけで。まさかそこから雷が落ちるとは思ってなかった。仕組みは正直よく分かってないけどさ。
――青雷。なんとなく、やり方の感覚は掴めた気がする。
「うーん、でもさ。こんなの当たったら死んじまうから、気軽には使えないよな?」
流石にアストラで人に引導を渡すのは、戦を知らない俺には荷が重すぎる。
「ん?青雷なら、死ぬってことはないわよ?」
アリスがとんでもないことを、サラッと言い放った。え?地球と違って、こっちのは青いからセーフとか、そういう理屈じゃないよな?
「これ、威力は低いってこと?」
「え!?まさか!属性の中ではかなり強力よ?」
詳しく話を聞いてみると、この世界の人間は、その体内に流れる“マナの抵抗力”のおかげで、炎や雷といった属性攻撃にはめっぽう強いらしい。つまり、マナのない地球人なら確実に致命傷になる雷も、こっちの人間なら――
「ま、大ダメージは免れないけどね!」
「…うん、だろうな」
例え死ななくてもめちゃくちゃ痛いだろ、これ。いや、逆に言えばもし戦になれば、敵さんも容赦なく異世界特有の属性攻撃をぶっ放してくるわけだ。大事なものを守る為なら、手加減してる場合じゃ無いかもな。
「そうよ!炎に青雷、氷に…あと風の攻撃なんて意外と厄介なんだから!」
「風か…待てよ、風?…台風って…」
ザザァッ!!
その瞬間、一陣の風が吹き抜けた。すると、まるでその呼びかけに応じるように、止んでいた風が一斉に舞い始める。
ザアァァァァァァァァ…!
風はすぐに勢いを増し、俺とアリスはついに、その場に立っていられなくなるほどの強風に襲われた。
「アリス、これ…なんか変じゃないか!?」
「うん…これ、自然なものじゃない!」
その時だった。突然、地鳴りのような重低音が、山全体を揺らすように響いた。
《検知……領域侵害……》
「……!?今の、風の音!?」
「いや、違う……音じゃない!」
誰かの声が、頭の奥に直接届いたような、そんな感覚。ふいに、誰かに見られているような感覚が俺とアリスを襲う。
「…え?…ア、アリス…あれって…」
指先が震え、声もかすれるようにしか出なかった。
「うん…見えてる…」
俺たちの視線の先、崖の向こう。さっき俺が青雷を生み出した、その空の一点。そこに、人の形をした風の塊がまるで彫像のように、静かに俺たちを見下ろしていた。
《空に手を伸ばし、我が風を遮る者を確認……》
「アルカ山にはその領域を守護する山神がいるって、お父様に聞いた事あったけど…」
「山神?あれ、神サマだっていうのかよ!?」
《…………否………》
《……我が存在、神に在らず。風を制する……山の意思なり》
するとアリスは俺を庇うように、前方に一歩を踏み出した。
「アルカ山の意思よ!我らは風を乱す意思は無き者!ゆえに……退かれよ!」
「ア、アリス姐さん、かっけぇ……」
アリスは振り返り、茶化した俺にムゥっと頬を膨らませて怒ったような顔をして見せた。良かった、いつものアリスだ。
《……………語りし娘……………》
《空を操るその男人…………我に捧げよ》
「あ…俺が行けば良いのか…?」
「だめ!いくら上位の存在でも、どう考えても取って喰われちゃうわよ…!」
(っひ!やだ……!俺の体が目当てなの!?)
いや、今そんな冗談考えてる場合じゃない。緊迫するとすぐアホなことが浮かぶこの脳みそ、マジでなんとかしてほしい。
ゴゴゴゴゴゴ…ッ!
風の存在が、ゆっくりと手を伸ばした。その手は空気の流れを巻き込み、渦を巻くようにして膨れながら、やがて俺たちめがけて襲いかかってきた!
「くっ…!いきなり攻撃かよ!」
俺は咄嗟に、盾になる覚悟でアリスの前に飛び出して立ちはだかった。
「天貴!ダメ!!」
「……えっ!?」
一方、山の麓では。
「モ?なんか急に風向きが変わったモ?」
「アリス達はどこまで行ったベ~?」
モーちゃんとメーちゃんは、山の微妙な空気の揺らぎに耳を澄ませた。
「この山は、風達を怒らせなきゃ大丈夫だモ…」
「でも風が騒いでる……少し気になるべぇ~」
そう言いながら、少し考え込むベーちゃん。
「少し見て来る……シェパの足ならすぐだべ」
「OKだモ!ここはモに任せてモ!」
ベーちゃんは雄々しいボス羊、疾風のシェパの背にまたがると、アリスと天貴が向かった崖の方へ向かって颯爽と駆け出した。
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