腐男子♥異世界転生

よしの と こひな

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66話(※)初夜ですね -2-

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 彼の目に映る俺がどんな顔をしているのか――そう思うだけで体の奥が熱を帯び、恥ずかしさすら興奮に変わっていく。

「いい香りがする」と耳元で囁かれた直後、腰を片手で後ろへ引き寄せられ、アルチュールが背後で静かにひざを折った。
「なに、を……?」
 突然のことに驚き、咄嗟に身体ごと振り返ろうとするも、身じろぎひとつ許されない。
 うしろから指が抜かれる。
 そして、両手で尻たぶを掴まれ左右に割られて丸見えになったそこに、濡れた舌がぬらりと触れたのを感じて俺は思わず目を見開いた。
「あっ……」
「こんなところまで綺麗だなんて……雪の底で咲く薄紅のヘレボルスクリスマスローズみたいだ……」
「やっ」
「ああ……、この香油、甘いな……」
「アルチュール、やっ、やめろっ」
「……なぜ?」
 アルチュールが舌を使いつつ、後ろから手を回してきて銀色の陰毛の中からきざしている俺のものを撫で上げた。
「セレスの身体は……気持ちいいって言ってるのに」
「アッ、ンンっ」
 表皮を擦りたてられ何度も何度も先端を親指で撫でられて、俺はうしろに挿れられた舌を、ぎゅっと締め付けながら、いとも簡単に声も出せず絶頂を迎えた。
 壁にあった手に、思ったより力が入らない。身体が横に傾いだ。
 倒れる、と思ったその瞬間、アルチュールの腕が俺をしっかり受け止めていた。
 湯を止め、バスローブで包まれ、胸の下に腕を回されたあと軽々と抱き上げられる。彼の体温に吸い寄せられるように力が抜けた。
「どうして先にイかせたんだよ……」
「もしかしたら……今からすることは、セレスにとって痛いだけかもしれない。だとすれば、少しでも気持ちよくなっておいて欲しかった」
「…………」

 なんて男前なんだろう、この子は。
 今度、一人でやっているところを見せてやるって、俺言ったけど……、どうしよう、張り切って思いっきりサービスしてしまいそうだ。ついでに帯クルクルもオプションで付けてあげよう。

 ゆっくり歩く揺れが心地いい。シーツの衣擦れの音がして、柔らかい感触が背中を受けとめた。
 ベッドだ。
 彼は俺をそっと横たえると、「少し待っててくれ」とだけ言い残して、シャワー室へ戻った。

 ほどなくして、扉が静かに開く。
 バスローブを羽織り、タオルで首筋を拭きながら戻ってきたアルチュールは、無造作にベッドに乗って来て、俺に軽いキスをした。
 まだ湯気の残る肌がほんのり赤く、しずくが一筋、鎖骨の方へ流れ落ちていく。
 もう見慣れつつはあるけれど、その引き締まった体つきが目に入った瞬間、思わず息をのんだ。無駄のない筋肉が静かな力を宿していて、動くたびに浮かび上がる陰影が美しい。
 額装して飾っておきたくなるほどの見事な眺めだ。
 俺を見詰めて来るその表情だけで、こっちがやられそう。

 二人して視線を合わせ、くすっと笑う。目が合うたびに、胸の奥がぽっと温かくなる。
「さて、アルチュールさん」
「はい、セレスさん」
「不束者ですが、俺を貰ってくれますか?」
 アルチュールは柔らかく笑って、指先でそっと俺の頬に触れる。
「……勿体ないくらいだ。ありがとう、セレス。他の誰でもない、俺を選んでくれて」
 顎を優しく掴まれて唇を塞がれた。そのまま静かに入ってきた舌に絡めとられ吸い上げられる。ほんの微かに唇が離れる一瞬すら名残り惜しくて、二人とも舌を伸ばして触れ合わせたまま、角度を変えて噛み合わせた。

 ああ、もう、これだけで俺はとろけそう。
 しかし、この子はいつのまにこんなに上手くなったんだろう。

 それが全て俺を気持ちよくさせようとした結果だと思うと、なんだか嬉しくなって目じりから一筋、涙がこぼれた。頬を伝ったそれは、二人の間に欲望の香りを落とし包み込む。
 彼の右手は、はだけた俺のバスローブからのぞく胸を揉んでいる。力強いのに優しくて、触れられた場所の全部が熱を持つ。硬くしこった胸の尖りに爪を立てられると、俺の身体はまるで衝撃に打たれたように震えた。

 もう、見られていないところなんてないんじゃないだろうか。
 触れられていないところなんてないんじゃないだろうか。

 アルチュールが右胸に舌を伸ばし、薄紅色の小さな突起の輪郭をなぞり口に含んで強く吸い上げてきた。俺は甲高い声をあげて身もだえる。
「あっ、早くっ……」
 収まりきらない呼吸を胸に抱えながら、俺はアルチュールにねだる。
 顔を上げたアルチュールの喉元が、緊張に震えるように上下した。性急な動きで下肢を擦り付けてくる。太ももに当たる彼のものは、古木の根のように硬い。

 これが欲しい。
 一つになりたいんだ。繋がりたいんだ。
 お前に俺で、狂ったように気持ちよくなってほしい。

 ベッドの頭元に置いた香油に、アルチュールの指が触れた。部屋に入ってすぐ、俺が用意していたものだ。
 俺はバスローブを脱いで身をひるがえし、そっとうつぶせの姿勢を取った。
 アルチュールは、ジャスマン・プリオンティーヌハゴロモジャスミンのラベルが貼られた紅色のガラスボトルの蓋を開け、掌に中身を出し少し体温で暖めてから繋がる場所を濡らしていく。外から中へ、中から外へ――瞬く間にその一点へ熱が蝟集いしゅうする。
 粘り気のある液体をたっぷり絡めた指が慎重に優しく、傷つけないように、しかしためらうことなく俺の内部を愛撫した。
「セレス、指を増やすぞ」
 彼の息が混じった声が、水の膜を隔てたようにくぐもって耳に届く。俺は熱に浮かされている。
 中をまさぐられることが、こんなに気持ちいいだなんて。
 こくこくと頷くと、一気に質量が増えた。
「あっ……」
 下腹部の奥がズクリと重く脈打つ。
 シーツを握り、目を閉じ、小さく頭を振って俺は壮絶によがった。
「もう、挿れてしほい……、頼むから」
 指が抜かれた瞬間、身をよじり仰向けになると、アルチュールが俺の足を持ち上げて大きく左右に開いた。
「セレス……、もう我慢できない」
 切羽詰まったその顔が愛おしい。
「来て……」
 息だけで俺がそう言うと、アルチュールは恍惚とした表情を浮かべ限界まで膨らんだ欲望の塊を一気に中へと突き入れた。
「あっ――」
 内壁が押し開かれる。指とは比べ物にならないほどの圧迫感。勿論、痛みがないとは言えないが、それを上回る幸福感が俺を狂わせる。
「セレスっ、あっ、セレスタン……」
 感嘆の悲鳴をあげた俺の名を呼んだアルチュールの声は、凄艶な色気を含んで掠れていた。
 圧し掛かってきた体重を受け止め、彼の頬に手を当ててキスをねだる。
 もう、そこからは、ただ性急に、貪るように唇を合わせ、手を取り、指を絡め、お互いがお互いを求めた。焼け付くほどに繋がっている下半身が熱い。
 アルチュールは俺の片足を抱えると、肩に担ぎ、力いっぱい腰を打ちつけてくる。
「あっ、うそっ……こんな」
 突然、訪れた未知の快感に、俺は小刻みに腰を振って激しく身をよじった。その動きに合わせ、アルチュールが本腰を入れて突きを始める。
 息が出来ない。背が戦慄わななく。

 ああ――、
「愛してる……アルチュール」

 眉根を寄せ、見下ろしてくるアルチュールに内部から壊されるのではないかと思えるほどの早いスピードで責め立てられる。
 壊れてもいい、壊されてもいい。お前なら、なにをされてもいい――。

「セレスっ、こんなの、……知らなっ」
「ア、ルチュールっ」
 身体と意識の境目が曖昧になるような感覚に飲まれた瞬間、「イクっ」と言ったあとのアルチュールのくぐもった呻きに引き摺られ、俺も甘い喘ぎを漏らしつつ抑えきれずに溢れ出した熱い奔流を、彼と自身の腹へと放った。
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