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出会い
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痛い、痛い、痛い
寒気がする。
視界がぼやけてくる。
腹部に手をやると、血で真っ赤に染まる。
倒れたまま動くことができない。
ぐちゃぐちゃと音が聞こえる。
不快な音を聞きながら、俺は目を瞑る。
「…っ!」
…次に目を開けた時、俺は横たわる体を見下ろしていた。
あれは俺だ。
辺りを見渡すと、血しぶきで汚れた自分の部屋。
横たわる俺は動く気配はない。
助けを呼ぼうと視線を移動すると、そこには男が立っていた。
黒いコートに黒髪の男。
口元には笑みが浮かんでいる。
血で汚れたナイフを揺らしながら、楽しげに部屋を見渡している。
男に見覚えはない。
俺と同じくらいの年齢か、それとも年下か。
高身長で顔は整っていて…こんな状況でなければ芸能人かと思うくらいだ。
やけに冷静な自分に疑問を抱く。
改めて自分の手足を見てみると、少し透けているような気がした。
汚れた手も、刺されたはずの腹部も綺麗な状態だ。
「とにかく、こいつをどうにか…」
ただで死ぬ訳には行かない。
せっかく犯人がわかったんだ、通報しないと。
でもどうやって?
幽霊の俺にできるのか?
落ちているスマホに手を伸ばす。
その時。
「おっと…そこまでだよ」
その声と同時に、サッとスマホを拾いあげられる。
声の方へ視線を向けると、あの黒髪の男が俺を見て笑っていた。
「うーん…目撃者は消さないといけないんだけど、幽霊ってどーすればいいんだろーね?」
ニコニコと小首を傾げる。
笑ってはいるけれど…目は笑っていないというか、恐ろしさを感じる。
殺人鬼なのだから当然だが。
震えが止まらない。
でも…俺はもう死んでいる。
そう思うと少し強気になれた。変な話だが。
少しでも情報を引き出そうと試みることにした。
「お、お前誰なんだよ…なんで俺が殺されなきゃいけない」
「んー?なんでだろ?僕も依頼されただけだからねー。理由は興味なくて聞いてないや」
「依頼…って、お前、殺し屋ってやつ…?」
「んー、どうだろーね。幽霊さんにどこまで話していーのかわかんないな」
すいすいとスマホをいじりながら、適当な返事をされる。
これ以上聞いても何も教えてはくれなさそうだ。
殺し屋に狙われるなんて、心当たりが無さすぎる。
「というかお前、俺のことが見えるのか…?」
「うん、はっきり見えるよ?僕って視えちゃう人だからねー」
「……視える…」
幽霊が視える殺し屋なんて、取り憑かれまくってるんじゃないか…?
なんて、しょうもないことを考える。
「………取り憑く、か」
「ん?」
やっとスマホから目を離し、俺を見つめる。
幽霊になったのは、きっとなにか意味があるはずだ。
「決めた。俺はお前について行く。真実が知りたい…し、依頼人ってやつを許せない」
「………ふーん。いーけど、僕は依頼人と会ったことないよ?匿名だから名前も知らない」
それでも、このまま何もしないなんて気が済まない。
真実が知りたいのはもちろんだが、
俺は…こいつと、こいつに依頼したやつに復讐をする。
寒気がする。
視界がぼやけてくる。
腹部に手をやると、血で真っ赤に染まる。
倒れたまま動くことができない。
ぐちゃぐちゃと音が聞こえる。
不快な音を聞きながら、俺は目を瞑る。
「…っ!」
…次に目を開けた時、俺は横たわる体を見下ろしていた。
あれは俺だ。
辺りを見渡すと、血しぶきで汚れた自分の部屋。
横たわる俺は動く気配はない。
助けを呼ぼうと視線を移動すると、そこには男が立っていた。
黒いコートに黒髪の男。
口元には笑みが浮かんでいる。
血で汚れたナイフを揺らしながら、楽しげに部屋を見渡している。
男に見覚えはない。
俺と同じくらいの年齢か、それとも年下か。
高身長で顔は整っていて…こんな状況でなければ芸能人かと思うくらいだ。
やけに冷静な自分に疑問を抱く。
改めて自分の手足を見てみると、少し透けているような気がした。
汚れた手も、刺されたはずの腹部も綺麗な状態だ。
「とにかく、こいつをどうにか…」
ただで死ぬ訳には行かない。
せっかく犯人がわかったんだ、通報しないと。
でもどうやって?
幽霊の俺にできるのか?
落ちているスマホに手を伸ばす。
その時。
「おっと…そこまでだよ」
その声と同時に、サッとスマホを拾いあげられる。
声の方へ視線を向けると、あの黒髪の男が俺を見て笑っていた。
「うーん…目撃者は消さないといけないんだけど、幽霊ってどーすればいいんだろーね?」
ニコニコと小首を傾げる。
笑ってはいるけれど…目は笑っていないというか、恐ろしさを感じる。
殺人鬼なのだから当然だが。
震えが止まらない。
でも…俺はもう死んでいる。
そう思うと少し強気になれた。変な話だが。
少しでも情報を引き出そうと試みることにした。
「お、お前誰なんだよ…なんで俺が殺されなきゃいけない」
「んー?なんでだろ?僕も依頼されただけだからねー。理由は興味なくて聞いてないや」
「依頼…って、お前、殺し屋ってやつ…?」
「んー、どうだろーね。幽霊さんにどこまで話していーのかわかんないな」
すいすいとスマホをいじりながら、適当な返事をされる。
これ以上聞いても何も教えてはくれなさそうだ。
殺し屋に狙われるなんて、心当たりが無さすぎる。
「というかお前、俺のことが見えるのか…?」
「うん、はっきり見えるよ?僕って視えちゃう人だからねー」
「……視える…」
幽霊が視える殺し屋なんて、取り憑かれまくってるんじゃないか…?
なんて、しょうもないことを考える。
「………取り憑く、か」
「ん?」
やっとスマホから目を離し、俺を見つめる。
幽霊になったのは、きっとなにか意味があるはずだ。
「決めた。俺はお前について行く。真実が知りたい…し、依頼人ってやつを許せない」
「………ふーん。いーけど、僕は依頼人と会ったことないよ?匿名だから名前も知らない」
それでも、このまま何もしないなんて気が済まない。
真実が知りたいのはもちろんだが、
俺は…こいつと、こいつに依頼したやつに復讐をする。
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