モンスターバスター in 大江戸

はなぶさ 源ちゃん

文字の大きさ
24 / 47
シルクロード編

1 天竺への旅

しおりを挟む
 クリスマスの日にナースチャとデートをした夜、僕はなかなか寝付けなかった。
 終業式が終わってから街中でデートをした後、夕食を食べて解散したので、『最後まで』はいかなかったけれど、なんとか、帰り際に『キス』まではいきました。

 今までは『年齢=彼女いない歴』だったのが、今年からは心から信頼できる大好きな恋人と過ごせるとは本当に縁を作ってくれた『異世界召喚』万歳だ!

 カイザスさんの魔法の師匠のアルテアさんが『二人は運命の赤い糸に結ばれていて、現在はその太さが綱引き用の縄くらい太くなっている』とか言ってくれたので、ものすごく嬉しい。

 これからのことをわくわくしながら目をつぶっていると、『以前感じたと同じ浮遊感』に包まれて、また真っ暗な空間を漂っていた。
 ちょっと待て!!この浮遊感はまた『異世界召喚』ですか?!
 そんなに頻繁に呼ばないでくれ!!
 …とか思っていると、またもや星空の下のテラスのような場所に着いていた。

 「まあ、巧人さん。また呼ばれたのですね。本当に大変ですね。」
 最初に召喚された時に僕を助けてくれたあのゆるふわの女性から声を掛けてもらった。

 「あの、あなたはもしかしてアルテアさんですか?」
 彼女はカイザスさんの魔法の師匠のアルテアさんにそっくりなのだ。
 先日、本人に確認したら『そういう記憶はないのよね。』と否定されたのだが。

 「…えーと、あなたと会うのはこれが2回目だと思うので、別人でないかと思うのだけれど…。」
 そう言いながらアルテアさんそっくりの人は水晶球でいろいろ調べてたが…。
 「ああっ!私の『来世』であなたたちの世界で出会うことになっているようね♪
 だから、今は違いますが、近々…50年後くらいにそうなる予定です♪」
 「…そ、そうなんですか…。」
 どうやら僕たちの常識とは完全に違う世界に生きているようですが、一応同一人物ではあるようです。

 「また、あまり時間が無くなってしまったので、まもなくお別れです。
 では、その腕輪に追加魔法をかけますね。緊急時に何かの助けになるアイテムを召喚してくれるはずです。では、ご武運をお祈りします。」

 アルテアさん?に見送られた後、僕はまた意識を失った。


~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~


 目を覚ますと、山沿いの砂漠のような場所に倒れているのに気付いた。
 体を起こすと、近くにやや派手目な僧侶風の衣装に身を包んだ女性が倒れていた。
 どこかで見たようなその女性は…桜姫にそっくりだ。

 「大丈夫ですか?!」
 抱き起して揺さぶると、女性は目を覚ました。
 「…!!巧人さん!!いきなり姿を消されたからビックリ…。ここはどこでしょう??」
 周りが岩山と砂漠なので桜姫は呆然とされている。

 「…僕もよくわからないのですが、また『異世界召喚』されたようです…。
 周りに召喚した人はいないようなので、とりあえず桜姫しかおられないみたいなのです。」
 「…そうなんですか、それにしても私の衣装といい、巧人さんの衣装といい、なんとなく『中華風』に見えるのですが…。」
 言われてみれば確かにそうだ。
 桜姫は中国のお坊様風。僕はゆったりした中華風の衣装で、なぜか近くに『鋤状の道具』が落ちているのですが…。

 「巧人―!声が聞こえたけど、巧人がいるの??!!聞こえたら返事して!!」
 僕たちが話していると、ナースチャの声が聞こえてきた。
 「ナースチャ!!もしかして君も召喚されたのか??!!」
 「巧人!!やっぱり巧人なんだね!!召喚てどういうこと?!あと、なんか知らないけど動けないんだ!!武器を具現化してくれればそれで何とかできるかもしれない!」

 ナースチャがなにか大変な状況にあるようだ。
 僕と桜姫が顔を合わせてナースチャの声のする方に走っていくと…。

 岩山から肩から上が生えている状況のナースチャの姿がそこにあった。
 しかも、真っ赤な男性の着る中華服に、頭には金色のわっかがはまっている。
 そして、ナースチャの近くには…棒状の武器が置いてある…。

 僕と桜姫は顔を見合わせて叫んだ。
 「「孫悟空??!!」」

 『ピンポーン♪正解です。』
 僕たちの声に合わせて、空中に女性の姿が現れた。
 絵画などでよく見たその姿は…。

名前: 観音菩薩 菩薩(仏教で有名)性別:女性 年齢 ひ・み・つ ♡
レベル:仏様だから内緒です。
スキル: 法力 知恵 その他たくさん   
称号 菩薩(位階的には如来)
特徴: お釈迦様を補佐する右腕。
特記事項 ※この物語はフィクションであり、実在の人物、団体、事件、歴史、仏教とは一切無関係です。ちなみに本来は『男性』という説もあります。


 ……観音様ですか?!しかも鑑定結果は相変わらず『突っこみどころ満載』です…。

 『あら、特記事項を見て、『男の娘』じゃないかと疑っておられますね。安心してください。ちゃんと女性です。
 そして、本題に戻りますが、あなたたちを召喚したのは私です。」

 「「「なんだって(ですって)――!!!」」」

 「なんと、本来の三蔵法師一行がこちらの世界では全員『ヘタレ』で、集合してすぐに全員夜逃げしてしまったのです。
 そこで代役としてあなたたちを召喚したので、みなさまにはきっちり役が振り分けられてます。」

 「…なるほど、それでナースチャさんが孫悟空なわけですね。」
 「はい、そして桜姫が三蔵法師で、巧人さんが猪八戒です♪」
 桜姫と観音様がやり取りをしている。
 ……僕が猪八戒というのもなんなんですが、それ以上に…。

 「でも、ナースチャさんは悪いことをしてわけでもないのに、岩山に封印してあるということまで『原典をなぞる』必要はなかったのでは?」
 「……えーと、それは三蔵法師様が封印を解くお経を唱えられたらすぐに封印がとけますから。」
  観音様!明らかに目が泳いでいたよね?!

 「…えーと、私本職の僧侶じゃないので、封印解除のお経は知らないんですが…。
 それと、ナースチャさんの封印を解いても絶対に悪いことはされないので、観音様が封印解除のお経を唱えていただければいいのでは?」
 桜姫の返しに観音様の顔色が真っ青になる。

 「………えーと……三蔵法師様のお経でないと封印が解けないようにお釈迦様が設定されているので、『なんとか覚えて』ください……。申し訳ありません!!」
 いやいや、この世界の観音様もお釈迦様も本当に大丈夫なの??!!


 この後、観音様が用意されていた『お経習得用の参考書』と桜姫は必死でにらめっこされ、三時間後にようやくナースチャが解放された時には全員くたくたになっていた。


 「…そういえば、沙悟浄がいませんね?」
 「巧人、沙悟浄てなに?」
 「ナースチャ、三蔵法師には三人のお供がいるんだ。
 ナースチャが役になっている『猿の怪物』の孫悟空。
 僕が役になっている『豚の怪物』の猪八戒。
 そして、『河童の怪物』の沙悟浄。
 この三人を従えて、三蔵法師は天竺(インド)にお経を取りに行く旅に出たんだ。」
 「『私』達が猿や豚の怪物というのは嬉しくないけど、もう一人はカッパの怪物なんだね。」
 ナースチャが僕の話にうなずく。

 蛇足ながら、ナースチャの第1人称が『私』になっているけど、これは『水守家に嫁入りを認めてもらうために俺ではなく、私に修正した方がいいよ。』というナースチャの下宿先の大家・瀬利亜さんの助言を受けてのことだ。
 もともとナースチャに日本語を教えてくれた人が『日本の文化には詳しくない』人だったので、『俺』と間違って覚えたのが始まりらしい。
 それでも戦闘(及び訓練)時になると『俺』をついつい使ってしまうらしいが…。

 「ここで、みなさまに朗報があります。沙悟浄役の人は今から召喚するのですが、呼び出されたい方のリクエストをお受けします。」

 「「「なんだって(ですって)??!!」」」
 なんとなく最後の一人はカイザスさんのような気がしていた僕たちは色めきたった。
 『選べる』のだったら、人間的にも『戦力的』にも『まともな人』を選びたいところだ。

 「はい!!アルテアさん、『リディア・アルテア・サティスフィールド』さんをお願いします!!!」
 ナースチャが手をさっとあげて叫んだ。
 「ナースチャさん、アルテアさんてあなたたちを迎えに来てくれた人よね?」
 「そう。カイザスの魔法の師匠で、カイザスと違って、桜姫の世界でも自由に魔法を使えたでしょう。瀬利亜とどちらを呼ぶか迷ったけど、二枚戦士よりは多彩な魔法が使える人の方がいいかと思って。」
 なるほど、『世界最高の魔法使い』なら、前回の伴天連戦のような苦戦を強いられることもないだろう。
 僕も桜姫もナースチャの判断に任せることにした。

 「わかりました。では、アルテアさんを呼ぶのが皆様の総意でかまいませんね?」
 「「「よろしくお願いします。」」」

 僕たちは少し安心して観音様が召喚術をかけるのを見ていた。


 しばらくして、観音様の顔色が青くなった。
 「申し訳ありません!私の術が未熟で、アルテアさんを呼ぶことができませんでした!!」
 「なんですって!?それでは…。」
 「…幸いなことに『モンスターバスター一〇星』の誰かであることは間違いないと思うのですが…。」

 僕たちがかたずを飲んで見守っていると……ギターを弾いているカイザスさんが姿を現した……。

 「はっ?ここはどこだ??……おお、巧人、ナースチャ、桜姫!もしかして、また召喚されたの?それも今度は…三蔵法師御一行様か!!我々で天竺の旅をするわけだな!!
 また、みんなで一緒とはうれしいよ♪
 あれ?なんか、みんな『すごく疲れている』ように見えるけど大丈夫?」
 「………大丈夫……。大丈夫にするから…。」
 ナースチャがひどく疲れた声で返事をしてくれた。


 こうして、僕たちの天竺へ「三蔵真経」を取りに行くための旅が始まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

異世界ランドへようこそ

来栖とむ
ファンタジー
都内から車で1時間半。奥多摩の山中に突如現れた、話題の新名所――「奥多摩異世界ランド」。 中世ヨーロッパ風の街並みと、ダンジョンや魔王城を完全再現した異世界体験型レジャーパークだ。 26歳・無職の佐伯雄一は、ここで“冒険者A”のバイトを始める。 勇者を導くNPC役として、剣を振るい、魔物に襲われ、時にはイベントを盛り上げる毎日。 同僚には、美人なギルド受付のサーミャ、エルフの弓使いフラーラ、ポンコツ騎士メリーナなど、魅力的な“登場人物”が勢ぞろい。 ――しかしある日、「魔王が逃げた」という衝撃の知らせが入る。 「体格が似てるから」という理由で、雄一は急遽、魔王役の代役を任されることに。 だが、演技を終えた後、案内された扉の先にあったのは……本物の異世界だった! 経営者は魔族、同僚はガチの魔物。 魔王城で始まる、まさかの「異世界勤務」生活! やがて魔王の後継問題に巻き込まれ、スタンピードも発生(?)の裏で、フラーラとの恋が動き出す――。 笑えて、トキメいて、ちょっと泣ける。 現代×異世界×職場コメディ、開園!

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

レオナルド先生創世記

ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!

処理中です...