モンスターバスター in 大江戸

はなぶさ 源ちゃん

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シルクロード編

8 混乱する人間?模様

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 ナースチャはエレーナさんを膝枕しながら介抱しつづけている。
 ナースチャと僕の合体回復技でエレーナさんは命には別条のない段階まで回復したようだが、目の下にクマを作り、相当疲労しているように見える。
 「エレーナ、無茶しすぎだ…。世界を超えるのは『非常に繊細で精密な作業が必要』だとアルテアさんが言っていたよ。それを今回のような力技で超えようとしたら、死んでいてもおかしくなかったんだから。」
 「…ごめんなさい…。そのままおいて行かれるかと思って…。」
 「…二人しかいない家族なんだから、置いて行くわけないじゃない…。大丈夫だから。」
 ナースチャがエレーナさんを優しい目で見つめながら頭をなで続けている。

 エレーナさんも日本に来た後、二人のことをナースチャから聞いたことがある。
 「姉離れしてくれないのは困ったものだけど…小さいころからのことを考えると、なかなか強く言えなくてね…。」

 二人が三歳の時に両親の離婚でお母さんがいなくなり、おばあちゃんが10歳の時、お父さんが12の時に亡くなられてから二人で寄り添うように生きてきたそうなので、お互いに思いやる気持ちは非常に強いのだという。
 エレーナさんは小さいころから内気で引っ込み思案だったため、お母さんがいなくなってからは近所の悪がきたちにいじめられてきて、ナースチャがかばって悪がきどもをぶっ飛ばすことが続いていたのだという。

 一三の時に二人の能力が発覚し、国立の訓練施設に入所し、まもなくモンスターバスターとしての正式な任務に就くようになったのだそうだ。
 二人とも学校に通いながらもプロとしての仕事を続け、戦闘能力だけでなく、精神的にも目覚ましく成長していったのだという。
 日常生活も学校を含めほとんど一緒に過ごし、任務も二人一組で行動してきたので、『エレーナさんが重度のシスコン』であることにナースチャが気づいたのは割と最近、他のモンスターバスターと一緒に任務を遂行した時に指摘されたからだという。

 任務中に『コイバナ』になった際に「三人とも『年齢=彼氏いない歴』だから、お互いにがんばろう!」と仲間が発言したのがきっかけなのだそうだ。
 ナースチャはなるほどと思ったのだが、エレーナさんが『あら、私はナースチャと一緒なら彼氏がいなくても大丈夫♪』とどう見ても『心の底から発言』しているのがわかったため、仲間と二人で冷や汗をかいたのだそうだ。
 もちろん、エレーナさんのことは大好きなのだが、『恋愛にあこがれ続けてきた』ナースチャとしては間違っても『一生独身』とかはあり得ないということで、友人たちの助言も受けつつ、どうしたものかと最近試行錯誤しているところで僕と出会ったのだそうだ。

 そういう事情を聞いている上に、『僕以外の相手』に対しては学校でも他の場所でもエレーナさんは誰に対しても誠実で優しいので、僕も彼女にどう対応していいのか困っている。
 とはいえ、少しずつは僕に対する態度も軟化しだしてくれてはいたのだが…。


名前:エレーナ パザロヴァ 一九歳 人間 女 精霊術師
一六五センチ 五五キロ 八四 五九 八三
レベル:1270
スキル:精霊術(LV403) ロシア語(LV14) 日本語(LV10) 英語(LV12)
 気を込める(LV100)料理(LV22) 家事(LV22)オーラ視(LV60)他
 魔法:精霊剣&鎧発動(LV210) 回復(LV200)結界(LV200)
称号 不死の騎士(双子揃って)モンスターバスター一〇星 ロシアの英雄(二人揃って)
善良度:☆☆☆☆☆☆☆ (通常は最低☆~最高は☆☆☆☆☆)
特記事項  シスコン(重度) 対象:ナースチャ 愛の深さ:LV20

◎癒し系ヒロインで、双子の姉のアナスタシアを溺愛している。
基本はおっとり系の、超お人よしで、悪人や『ナースチャを狙う相手以外』に対しては女神のように優しい。
 モンスターバスター協会最強メンバー『一〇星』の一人で、アナスタシアとタッグを組んだ『不死の騎士』は『一〇星』中最強の格闘戦能力を持つ。
 本当は精霊術師としては単体でも『一〇星』が務まりかねないくらいの潜在能力があるのだが、  『ナースチャ依存症』でアナスタシア以外と組んだことがない。
 男性に興味がないわけではないが、『ナースチャが100倍大事』。
 戦闘時や緊急時は『切れ者』になり、恐ろしく口が立つ。


 「ナースチャの姉御!大丈夫ですか?!」
 バタバタしている間に元祖沙悟浄と、猪八戒も姿を現した。

 「ええっ??!!ナースチャの姉御が女性らしい対応をされている?!!」
 「そんな馬鹿な!!明日は嵐ですか??!!」
 いやいや、二人とも失礼過ぎるから!!!
 ナースチャはものすごく思いやりが深く、優しいからね!!

 「沙悟浄!!私も一応女性だからね!」
 ナースチャが抗議している。エレーナさんを膝に乗せたままなので、心もちそこまで怒ってはいない感じだが。
 「そうですよ!ナースチャさんは強いだけでなく、ものすごく繊細で優しいんですよ!!私も膝枕してほしいくらいです!!」
 「へえ、そうなんだ…。私も膝枕してもらおうかな♪」
 桜姫、沙悟浄さん、話が変な方向に脱線してますが?!


 「沙悟浄!!お前、裏切って、そっちの悟空に付く気か?!」
 沙悟浄さんがナースチャと仲良くしているのに気付き、元祖悟空が沙悟浄さんを睨んでいる。
 「はあ?!最初に私たちを見捨てたのはあなたでしょ?!その後、困っていた私たちをナースチャの姉御は助けてくださったんですよ!!裏切ったということであれば、あなたの方ですよ!!」
 「全くだ!!もう十歳若ければ、もう少し話すこともあるのだが…。」
 カイザスさん、話がとんでもない方向に行ってます!!」

 「…そうですね。悟空の兄貴はちょっとガサツすぎるし、ちょっとトウが立っているんですよね。私はもう少し『美少年系』の方が好みですね…。」
 「ほら、巧人の方がずっといいよね♪」
 「……そうですね…、巧人さんの方が性格も含めてずっと『ストライクゾーン』ではあるんですが、もうナースチャの姉御と『できて』おられるようですから…。三角関係とかドロドロしたのはめんどくさくて嫌なので、別の彼氏を探したいですね♪」
 完全に話題が僕のことになってるんですが!!!

 「くっ!巧人さんがすごくいい人であることは認めるけど!まだ、ナースチャの相手と認めたわけではないわ!!」
 エレーナさんが気合いで、上半身を起こした。
 …うん、まだものすごくしんどそうだね…。もう少し休んでください。

 「待て!お前たち、俺のことを無視するな!!」
 あ、元祖悟空がキレている…。

 「はあ?!負け犬ならぬ、負け猿が偉そうに言ってんじゃないわよ!!」
 …えーと、エレーナさんの怒りの矛先が悟空の方に行っているのですが…。

 「まったくだ、負け猿が見苦しいことだ。」
 ……あの、マッスル三蔵さんが一人で戻ってこられてるんですが…。

 「…えーと、どうして戻ってこられたのでしょうか?」
 我々に対して敵意はないようなので、困惑して桜姫が口を開く。

 「実は、私は『思い立ったが即実行』をモットーにしているのですよ。…ですから…。」
 マッスル三蔵法師は懐から花束を取り出すと、エレーナさんに差し出した。
 「よろしかったらお付き合いしていただければ嬉しいです。美しい方♪」

 ……マッスル三蔵さん以外の全員が凍りつきました。

 「…何を言っているの?!私にはナースチャがいるのよ!!」
 いえいえ、その断り方はヤバイでしょ?!!

 「……なるほど、時期尚早ということですか…。わかりました。では、また参ります。」
 マッスル三蔵さんはさわやかな笑みを浮かべると呪文を唱えだした。
 まもなく、三蔵法師の眼前に翼長4メートルを超える鳳凰が姿を現し、三蔵法師はその背中にまたがった。
 「おっさん!何を考えているんだ!」
 「はっはっは、あなた方姉妹のお互いを思いやる姿から、見た目も中身も美しいエレーナさんに心を奪われただけの話です。では、お義姉さん、またお会いしましょう♪」

 マッスル三蔵さんは鳳凰に乗ってそのまま飛び去っていき、残った我々はしばし呆然としていた。

 「…なんだっていうのよ。あの、ゴリラ坊主は…。」
 我に返ったエレーナさんが苦々しげにつぶやく。

 「やれやれ、もう少し年が若くて、落ち着いた感じならいいんだが…。
 さすがにあのおっさんに『お義姉さん』言われるのは微妙だ…。」
 「なに、ナースチャ!あのゴリラ坊主に嫁入りしろとか言うの?!」
 「エレーナ、落ち着いて。エレーナが好みに合えばいいし、そうでなければ断ればいいだけの話だから。」
 「だ・か・ら!ナースチャのその反応はあのおっさんが『もう少し若くて、落ち着く感じならアリ』と言っているようなものでしょ!」
 「…でも、『カイザスよりはいい』よね?」
 「…まあ、『カイザスよりはいい』けどね……。」

 「待って!!なんで私の方に飛び火するわけ!!」
 カイザスさんが泣いてます…。
 うん、『両方の気持ち』ともわかります。

 この後、約五分間、ナースチャとエレーナさんがカイザスさんに必死で謝って、何とかカイザスさんは機嫌を直してくれました。

 あとは…立て続けに『負け猿』と言われた元祖悟空が落ち込んで『のの字』を地面に書き続けているのを元祖三蔵さんが一生懸命慰めているのを何とかしたいところです…。
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