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23 婚約破棄編 後日談 完璧な美少女 その3
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「大変です!危惧していた通り、別働隊がいたようです。こちらに何十騎の騎馬隊が向かってきています!村人たちを教会に集めて守ってあげてください!
北方から来ているので、何人かは私と一緒に突破された部隊の撃退に協力してください。」
如月君のスマホに北川さんから連絡が入ってきた。
もしかしたら…くらいだったのが、『何十騎と攻めてこられた』ので、みんなの顔色が変わった。私も緊張で震え上がりそうだ…。でも、小さな子供たちが何人もいたのを思い出し、何とか気合を入れて、動くことにした。
私たちは小森君と水島さんを教会の守りに残して全員が敵を叩くために動くことにした。
小森君と水島さんは息が合っていて能力も高いので、近づいてきた敵を殲滅するのは二人で充分だと判断したからだ。
村の北方の平原の彼方からたくさんの砂煙が舞い上がってきている。
オーガが全身真っ黒で目が真っ赤に輝く馬に乗って走り寄ってきている。
乗り手も乗せている馬も双方ともにとんでもない化け物どもだ。
その光景を双眼鏡を見ながら北川さんが淡々と口を開く。
「オーガが乗っているのは闇の馬ですか。
これは予想以上に厄介ではありますね。
一〇〇騎は軽く超えてます。むしろこちらの方が本隊なのかもしれませんね。」
「石川さんたちがやられてしまったんじゃないか?!」
如月君が思わず叫んでいる。
「それはありません。五分ほど前に『間もなく接敵します』と連絡が入りました。この部隊は別働隊だと見るべきです。さて、『残念ながら』仕掛けた罠を存分に活用せざるを得ないようですね…。」
そう言うなり、北川さんは照準器の付いた長銃を構えると次々と騎馬に向かって撃ち始めた。
北川さんの射撃は正確に敵の騎馬を打ち抜き、次々と転倒させていく。
だが、それでも騎馬隊の動きは止まらず、私たちは魔法の用意を始めた…その時、騎馬たちが突然、轟音と共にぱっくりと地面に開いた穴に落ちていった。
穴は見たところ一〇カ所以上に開いており、底にも仕掛けがあるせいか、落ちたまま騎馬も乗り手も動かなくなっている。
一人でどれだけの罠を仕掛けたのですか?!!!
二〇騎以上が穴に落ちて動かなくなったのを見て、騎馬隊の一部は穴を飛び越え、また、穴を回避してこちらに向かってきた!
が、次の瞬間さらにたくさんの穴が開き、騎馬の多くが地面に飲み込まれていった。
北川さんは騎馬隊が慌てるのを見逃さずに次々と騎馬を銃で仕留め続けている。
あなたはゴルゴ13ですか?!!
「待てい!!」
罠を警戒してオーガの騎馬隊が攻めあぐむ中、向こうから大きな声が響き渡った。
「そちらの守備隊に提案がある!!一対一の決闘を申し込む!おぬしらが勝ったらこちらは引くし、負けたら『守備隊』を見逃し、村を好きにさせてもらおう!まだ、我らには別働隊がいる。我らが死に物狂いで戦うよりは生き残る可能性が高いと思うが!!」
一際大きなオーガーが巨大な馬に乗って前に出てくる。
敵の騎馬隊のリーダーのようだ。
「皆さん、私は『私が受けるべき』だと判断しますが、それでよろしいでしょうか?
このまま戦っても勝てますが、敵の大将を一対一で完膚なきまでに叩きのめした方が『敵に与える精神的ダメージは大きい』と判断しますが…。」
淡々と伝える北川さんに私たちはうなずくほかなかった。
「では、合図をしてお互いに一〇歩前進したら振り返って撃つ。それでよろしいですか?」
私たちより少しだけ年上のシスターマリアの言葉にオーガリーダーと北川さんはうなずく。
村とオーガ騎馬隊の中間でオーガリーダーと北川さんが背中合わせに立っている。
オーガリーダーは身長三メートルにもなり、脇には人間の使う倍くらいの大きさの拳銃がガンポケットに入っている。
片や北川さんも女性が使うには少し大きいサイズの拳銃が右のガンポケットに入っている。
ドラン 男 オーガリーダー 35歳
レベル 55
HP 2200
(中略)
◎拳銃LV30
【称号】オーガ騎馬部隊リーダー
あの後、如月君も鑑定魔法を使えることがわかったので、オーガリーダーを鑑定してもらった。
レベルは如月君より低いけど、ヒットポイントが異常に多く、また拳銃のレベルも高いので侮っていい相手ではないようだ。
「それでは、1 2 3 …… 10!」
マリアさんの声に従って歩いていたオーガリーダーと北川さんだが、10の声と同時に双方が振り向いた。
ガンガンガン!!!
銃声とともにオーガリーダーの拳銃は吹き飛び、両脇に歩兵銃を構えた北川さんがにやりと笑っていた。
ええ??!!そんなもの持っていなかったよね?!!
「オーガリーダー、降伏しろ!!お前さんには万に一つも勝ち目はない。
こちらもリーダーを失って暴走された集団を殲滅するのは少し面倒だ。
お前さんもろともとっとと降伏、武装解除後に撤退してもらった方が楽だ
からな!」
眉一つ動かさずに銃を構えて北川さんがオーガリーダーに淡々と告げている。
それを見ていた騎馬部隊は我先に逃亡を始めた。
その時、なにかに気付いた北川さんが眉をしかめ、同時にオーガリーダーが笑った。
「くはははは!どうやら本隊が到着したようだ!我らはただの先遣隊にすぎない!
魔王騎馬隊二〇〇〇騎が貴様ら人間どもを蹂躙するのだ!!」
地平線の彼方からさらに多くの騎馬がこちらに向かってきている!!
さらに空の彼方にも『飛龍らしきもの』の上に人影が乗っている『飛龍騎馬?』が大量に飛来してきているのが見える。
そ、そんな?!私たちはこんな異世界で魔物たちに蹂躙されてしまうの?!
「仕方ありませんね。本来なら正体は明かさないつもりでしたが、非常事態です。」
言いながら北川さんが懐から青いスマホを取り出して『マジカルチェンジ!!』と叫んだ。
北川さんの叫びと同時に北川さんをスマホから出た金色の光が包み込み、その光が消えた時には…。
背が少し伸び、アイマスクをした青色と白を基調にした軍人風の衣装を着た北川さんが銀色に輝く歩兵銃を構えて立っていた。
「愛と勇気のために戦います!『魔法のサバイバー・ファンシー♡コンバット』ただ今参上!!」
……えーと……私たちの目の前で一体何が起こっているのでしょうか…。
「マジカルパトリオット!空の敵を打ち破れ!!」
北川さんが叫ぶと、たくさんの穴の開いた装甲車らしきものが出現し、その穴から大量のミサイルを飛龍たちに向かって放ち始めた。
一分と経たぬうちに飛龍隊は全て撃墜されてしまった。
「マジカルトマホーク!地を行く敵を打ち破れ!!」
北川さんが叫ぶと、ミサイルの乗った装甲車が出現し、巡航ミサイルが騎馬隊に向けて次々と飛んでいった。
一分と経たぬうちに騎馬隊はほぼ壊滅した。
その様をシスターマリアと私たちは、口をあんぐりさせながら呆然と眺めるほかなかったのでした。
「くそう!!この魔王と親衛隊は魔王騎馬隊を壊滅させた張本人だけでも潰してくれる!!」
炎の消えた後に残った騎竜に乗った人間型の魔物たち約一〇騎ほどがこちらに向かって疾走してくる!身にまとう雰囲気だけでもただものではないことが私にすら感じられる。
ビリー 男 騎馬魔王 40歳
レベル 180
HP 18000
(中略)
◎拳銃LV70 魔術いろいろ
【称号】騎馬魔王 拳銃の達人
レベルもヒットポイントも技術も只者ではなさすぎです!!
北川さんはそれでも顔色一つ変えず右手で銃を乱射しながら左手でなにかボタンを押しています。
魔物が騎竜ごと穴に落ちると、そのまま爆炎に包まれます。
落とし穴に爆薬まで仕掛けてあったようです。
その後も巡航ミサイルと銃の乱射で親衛隊は次々と脱落していき、騎馬魔王一騎だけがなんとか北川さんの眼前にたどり着きました。
「貴様だけでもこの俺の手で地獄に落としてやる!!」
魔王が銃を抜いたその時、騎竜の足元が崩れ落ちました。
魔王が落ちると同時に爆音が響き、北川さんはさらに手りゅう弾を何十発も穴に投げ入れます。
さらなる爆音が何十発と響いた後、北川さんが穴に素早く駆け寄り、見下ろして銃を乱射します。
「やれやれ、やっととどめをさせたようです。つまらぬものを撃ってしまいましたね。」
北川さんが振り返ると、まだそこに倒れていたオーガリーダーは真っ白になって燃え尽きていました。
シスターマリアや私たちもそれに近い状態です。
北川望海 女 人間 15歳
レベル 270
HP 1350
(中略)
【技能】◎銃器全般LV120 ◎剣及び近接武器全般LV60 ◎爆発物全般LV100 ◎トラップ作り&解除LV100 ◎サバイバル術LV60 ◎情報収集&分析LV100 ◎軍隊指揮能力LV60 ◎魔法いろいろLV120
【称号】異世界勇者 戦場を選ばない完璧な兵士 銃の魔法少女
如月君の鑑定で見えてはいけないものが見えてしまいました…。
「みなさん、お怪我はありませんか?」
北川さんが変身を解いて、私たちに優しく問いかけます。
私たちはぶんぶんと首を上下に振ります。
とても『この人に逆らってはいけない』気分になってしまいます。
見た目は最初と同じ『完璧な美少女』に戻ったのですが…。
「嘘だ!!!あの美しく可憐な魔法少女はどこへいってしまったんだ!!」
平岡君が涙をだーだー流しながら泣き叫んでいる!!
……美少女ゲームの設定では北川さんは魔法少女だったのだよね…。
どんな魔法少女やねん??!!!
その時、北川さんが何かに気付き、北西の方を見やると、黒い馬に二人の人間が乗って疾走してくるのが見えます。
石川さんと山縣先生です!!
無事だったようです!!
「みんな無事でよかったわ!!望海ちゃん、本当にお疲れ様です!!」
石川さんは馬を到着させると素早く降りて、北川さんに駆け寄ります。
山縣先生は…半ば呆然とされた表情でゆっくり馬から降りてこられます。
「瀬利亜先輩!大丈夫です。村人と生徒会の皆様に誰一人怪我人は出しておりません!」
「望海ちゃん、そちらには二千騎も敵が来ていたのね!!こっちがたったの千騎だったからそっちの方が本隊だったわけね。よく撃退できたわね!」
『たった』千騎?!!いえ、二千騎の方が確かに多かったけど、地対空ミサイルや地対地ミサイルを連射したからなんとかなったんだよね?!!
石川さんは千騎をどうやって撃退したの?!!しかも涼しい顔をしているよ?!!
「石川さん、君は一体何者なんだ??!!」
「え?気付いてなかったの?『ただのがんばる乙女』だわ♪」
「「「「「そんなわけないだろ(でしょ)!!」」」」」
生徒会のみんなの声が被る。
「みなさま、落ち着いて下さい。ほんの一週間もあれば、私たちの本当の正体がはっきりしますから。それまでお待ちください。」
北川さんがやはり淡々とした調子で話しかけてくる。
「ええ?それはどうして??!!」
不思議そうにしている石川さんに北川さんが耳打ちをする。
何やら少しもめているようですが、『今まで生徒会の皆様にバレ無かった方が奇跡ですから』という北川さんの話に石川さんは何とか納得したようです。
そして、私たちは魔王騎馬隊がもっていた魔法資材を活用したシスターマリアの手でその日の夕方には元の生徒会室に戻ることができたのでした。
(なんと一五分しか経っていませんでした!!)
数日後、テレビで放送された『スーパーヒーローオリンピック』に日本チームとして参加した電脳マジシャンこと錦織先生と一緒に登場したスーパーヒーロー(ヒロイン)達の姿を見て、私たちは仰天しました。
『マジカルコンバットガール』はどう見ても北川さんですし、世界最強のスーパーヒロイン『シードラゴンマスク』は…冷静に見ると石川さんにしか見えません…。
『シードラゴンマスクは変身すると黒髪が銀色に変わる』という偽情報にだまされてました!!…なお、さらに後日判明したのですが、その『偽情報を流した』のは電脳マジシャンこと錦織先生でした。
その後、新学期になり、新生徒会に書記として北川さんが入ってこられるのですが、その話はまた後日…。
北方から来ているので、何人かは私と一緒に突破された部隊の撃退に協力してください。」
如月君のスマホに北川さんから連絡が入ってきた。
もしかしたら…くらいだったのが、『何十騎と攻めてこられた』ので、みんなの顔色が変わった。私も緊張で震え上がりそうだ…。でも、小さな子供たちが何人もいたのを思い出し、何とか気合を入れて、動くことにした。
私たちは小森君と水島さんを教会の守りに残して全員が敵を叩くために動くことにした。
小森君と水島さんは息が合っていて能力も高いので、近づいてきた敵を殲滅するのは二人で充分だと判断したからだ。
村の北方の平原の彼方からたくさんの砂煙が舞い上がってきている。
オーガが全身真っ黒で目が真っ赤に輝く馬に乗って走り寄ってきている。
乗り手も乗せている馬も双方ともにとんでもない化け物どもだ。
その光景を双眼鏡を見ながら北川さんが淡々と口を開く。
「オーガが乗っているのは闇の馬ですか。
これは予想以上に厄介ではありますね。
一〇〇騎は軽く超えてます。むしろこちらの方が本隊なのかもしれませんね。」
「石川さんたちがやられてしまったんじゃないか?!」
如月君が思わず叫んでいる。
「それはありません。五分ほど前に『間もなく接敵します』と連絡が入りました。この部隊は別働隊だと見るべきです。さて、『残念ながら』仕掛けた罠を存分に活用せざるを得ないようですね…。」
そう言うなり、北川さんは照準器の付いた長銃を構えると次々と騎馬に向かって撃ち始めた。
北川さんの射撃は正確に敵の騎馬を打ち抜き、次々と転倒させていく。
だが、それでも騎馬隊の動きは止まらず、私たちは魔法の用意を始めた…その時、騎馬たちが突然、轟音と共にぱっくりと地面に開いた穴に落ちていった。
穴は見たところ一〇カ所以上に開いており、底にも仕掛けがあるせいか、落ちたまま騎馬も乗り手も動かなくなっている。
一人でどれだけの罠を仕掛けたのですか?!!!
二〇騎以上が穴に落ちて動かなくなったのを見て、騎馬隊の一部は穴を飛び越え、また、穴を回避してこちらに向かってきた!
が、次の瞬間さらにたくさんの穴が開き、騎馬の多くが地面に飲み込まれていった。
北川さんは騎馬隊が慌てるのを見逃さずに次々と騎馬を銃で仕留め続けている。
あなたはゴルゴ13ですか?!!
「待てい!!」
罠を警戒してオーガの騎馬隊が攻めあぐむ中、向こうから大きな声が響き渡った。
「そちらの守備隊に提案がある!!一対一の決闘を申し込む!おぬしらが勝ったらこちらは引くし、負けたら『守備隊』を見逃し、村を好きにさせてもらおう!まだ、我らには別働隊がいる。我らが死に物狂いで戦うよりは生き残る可能性が高いと思うが!!」
一際大きなオーガーが巨大な馬に乗って前に出てくる。
敵の騎馬隊のリーダーのようだ。
「皆さん、私は『私が受けるべき』だと判断しますが、それでよろしいでしょうか?
このまま戦っても勝てますが、敵の大将を一対一で完膚なきまでに叩きのめした方が『敵に与える精神的ダメージは大きい』と判断しますが…。」
淡々と伝える北川さんに私たちはうなずくほかなかった。
「では、合図をしてお互いに一〇歩前進したら振り返って撃つ。それでよろしいですか?」
私たちより少しだけ年上のシスターマリアの言葉にオーガリーダーと北川さんはうなずく。
村とオーガ騎馬隊の中間でオーガリーダーと北川さんが背中合わせに立っている。
オーガリーダーは身長三メートルにもなり、脇には人間の使う倍くらいの大きさの拳銃がガンポケットに入っている。
片や北川さんも女性が使うには少し大きいサイズの拳銃が右のガンポケットに入っている。
ドラン 男 オーガリーダー 35歳
レベル 55
HP 2200
(中略)
◎拳銃LV30
【称号】オーガ騎馬部隊リーダー
あの後、如月君も鑑定魔法を使えることがわかったので、オーガリーダーを鑑定してもらった。
レベルは如月君より低いけど、ヒットポイントが異常に多く、また拳銃のレベルも高いので侮っていい相手ではないようだ。
「それでは、1 2 3 …… 10!」
マリアさんの声に従って歩いていたオーガリーダーと北川さんだが、10の声と同時に双方が振り向いた。
ガンガンガン!!!
銃声とともにオーガリーダーの拳銃は吹き飛び、両脇に歩兵銃を構えた北川さんがにやりと笑っていた。
ええ??!!そんなもの持っていなかったよね?!!
「オーガリーダー、降伏しろ!!お前さんには万に一つも勝ち目はない。
こちらもリーダーを失って暴走された集団を殲滅するのは少し面倒だ。
お前さんもろともとっとと降伏、武装解除後に撤退してもらった方が楽だ
からな!」
眉一つ動かさずに銃を構えて北川さんがオーガリーダーに淡々と告げている。
それを見ていた騎馬部隊は我先に逃亡を始めた。
その時、なにかに気付いた北川さんが眉をしかめ、同時にオーガリーダーが笑った。
「くはははは!どうやら本隊が到着したようだ!我らはただの先遣隊にすぎない!
魔王騎馬隊二〇〇〇騎が貴様ら人間どもを蹂躙するのだ!!」
地平線の彼方からさらに多くの騎馬がこちらに向かってきている!!
さらに空の彼方にも『飛龍らしきもの』の上に人影が乗っている『飛龍騎馬?』が大量に飛来してきているのが見える。
そ、そんな?!私たちはこんな異世界で魔物たちに蹂躙されてしまうの?!
「仕方ありませんね。本来なら正体は明かさないつもりでしたが、非常事態です。」
言いながら北川さんが懐から青いスマホを取り出して『マジカルチェンジ!!』と叫んだ。
北川さんの叫びと同時に北川さんをスマホから出た金色の光が包み込み、その光が消えた時には…。
背が少し伸び、アイマスクをした青色と白を基調にした軍人風の衣装を着た北川さんが銀色に輝く歩兵銃を構えて立っていた。
「愛と勇気のために戦います!『魔法のサバイバー・ファンシー♡コンバット』ただ今参上!!」
……えーと……私たちの目の前で一体何が起こっているのでしょうか…。
「マジカルパトリオット!空の敵を打ち破れ!!」
北川さんが叫ぶと、たくさんの穴の開いた装甲車らしきものが出現し、その穴から大量のミサイルを飛龍たちに向かって放ち始めた。
一分と経たぬうちに飛龍隊は全て撃墜されてしまった。
「マジカルトマホーク!地を行く敵を打ち破れ!!」
北川さんが叫ぶと、ミサイルの乗った装甲車が出現し、巡航ミサイルが騎馬隊に向けて次々と飛んでいった。
一分と経たぬうちに騎馬隊はほぼ壊滅した。
その様をシスターマリアと私たちは、口をあんぐりさせながら呆然と眺めるほかなかったのでした。
「くそう!!この魔王と親衛隊は魔王騎馬隊を壊滅させた張本人だけでも潰してくれる!!」
炎の消えた後に残った騎竜に乗った人間型の魔物たち約一〇騎ほどがこちらに向かって疾走してくる!身にまとう雰囲気だけでもただものではないことが私にすら感じられる。
ビリー 男 騎馬魔王 40歳
レベル 180
HP 18000
(中略)
◎拳銃LV70 魔術いろいろ
【称号】騎馬魔王 拳銃の達人
レベルもヒットポイントも技術も只者ではなさすぎです!!
北川さんはそれでも顔色一つ変えず右手で銃を乱射しながら左手でなにかボタンを押しています。
魔物が騎竜ごと穴に落ちると、そのまま爆炎に包まれます。
落とし穴に爆薬まで仕掛けてあったようです。
その後も巡航ミサイルと銃の乱射で親衛隊は次々と脱落していき、騎馬魔王一騎だけがなんとか北川さんの眼前にたどり着きました。
「貴様だけでもこの俺の手で地獄に落としてやる!!」
魔王が銃を抜いたその時、騎竜の足元が崩れ落ちました。
魔王が落ちると同時に爆音が響き、北川さんはさらに手りゅう弾を何十発も穴に投げ入れます。
さらなる爆音が何十発と響いた後、北川さんが穴に素早く駆け寄り、見下ろして銃を乱射します。
「やれやれ、やっととどめをさせたようです。つまらぬものを撃ってしまいましたね。」
北川さんが振り返ると、まだそこに倒れていたオーガリーダーは真っ白になって燃え尽きていました。
シスターマリアや私たちもそれに近い状態です。
北川望海 女 人間 15歳
レベル 270
HP 1350
(中略)
【技能】◎銃器全般LV120 ◎剣及び近接武器全般LV60 ◎爆発物全般LV100 ◎トラップ作り&解除LV100 ◎サバイバル術LV60 ◎情報収集&分析LV100 ◎軍隊指揮能力LV60 ◎魔法いろいろLV120
【称号】異世界勇者 戦場を選ばない完璧な兵士 銃の魔法少女
如月君の鑑定で見えてはいけないものが見えてしまいました…。
「みなさん、お怪我はありませんか?」
北川さんが変身を解いて、私たちに優しく問いかけます。
私たちはぶんぶんと首を上下に振ります。
とても『この人に逆らってはいけない』気分になってしまいます。
見た目は最初と同じ『完璧な美少女』に戻ったのですが…。
「嘘だ!!!あの美しく可憐な魔法少女はどこへいってしまったんだ!!」
平岡君が涙をだーだー流しながら泣き叫んでいる!!
……美少女ゲームの設定では北川さんは魔法少女だったのだよね…。
どんな魔法少女やねん??!!!
その時、北川さんが何かに気付き、北西の方を見やると、黒い馬に二人の人間が乗って疾走してくるのが見えます。
石川さんと山縣先生です!!
無事だったようです!!
「みんな無事でよかったわ!!望海ちゃん、本当にお疲れ様です!!」
石川さんは馬を到着させると素早く降りて、北川さんに駆け寄ります。
山縣先生は…半ば呆然とされた表情でゆっくり馬から降りてこられます。
「瀬利亜先輩!大丈夫です。村人と生徒会の皆様に誰一人怪我人は出しておりません!」
「望海ちゃん、そちらには二千騎も敵が来ていたのね!!こっちがたったの千騎だったからそっちの方が本隊だったわけね。よく撃退できたわね!」
『たった』千騎?!!いえ、二千騎の方が確かに多かったけど、地対空ミサイルや地対地ミサイルを連射したからなんとかなったんだよね?!!
石川さんは千騎をどうやって撃退したの?!!しかも涼しい顔をしているよ?!!
「石川さん、君は一体何者なんだ??!!」
「え?気付いてなかったの?『ただのがんばる乙女』だわ♪」
「「「「「そんなわけないだろ(でしょ)!!」」」」」
生徒会のみんなの声が被る。
「みなさま、落ち着いて下さい。ほんの一週間もあれば、私たちの本当の正体がはっきりしますから。それまでお待ちください。」
北川さんがやはり淡々とした調子で話しかけてくる。
「ええ?それはどうして??!!」
不思議そうにしている石川さんに北川さんが耳打ちをする。
何やら少しもめているようですが、『今まで生徒会の皆様にバレ無かった方が奇跡ですから』という北川さんの話に石川さんは何とか納得したようです。
そして、私たちは魔王騎馬隊がもっていた魔法資材を活用したシスターマリアの手でその日の夕方には元の生徒会室に戻ることができたのでした。
(なんと一五分しか経っていませんでした!!)
数日後、テレビで放送された『スーパーヒーローオリンピック』に日本チームとして参加した電脳マジシャンこと錦織先生と一緒に登場したスーパーヒーロー(ヒロイン)達の姿を見て、私たちは仰天しました。
『マジカルコンバットガール』はどう見ても北川さんですし、世界最強のスーパーヒロイン『シードラゴンマスク』は…冷静に見ると石川さんにしか見えません…。
『シードラゴンマスクは変身すると黒髪が銀色に変わる』という偽情報にだまされてました!!…なお、さらに後日判明したのですが、その『偽情報を流した』のは電脳マジシャンこと錦織先生でした。
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これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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何卒宜しくお願いいたします!)
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
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【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
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周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
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想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
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