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奥さまはモンバス姉さん編
56 完璧な美少女の一日 その2
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いよいよ今日の一〇時に家で『進路相談』をします。
瀬利亜さんたちが一〇時前に来られるので、朝からみんなで大掃除をして家じゅうをピカピカに磨き上げます。
やや不安げにしていた両親、特に父がなんだか機嫌がいいのですが、なにかあったのでしょうか?
とか考えているうちに、小百合さんが来てくれました。
ん?小百合さんも父同様少し様子が変です。
すごく不安で、同時になにか大きな期待があるような…。
まあ、進路相談の時間になればわかるでしょう。
~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~
不安と期待が半々くらいの気持ちで望海ちゃんの家に到着しました。
望海ちゃんは普段とあまり変わらない落ち着いた雰囲気で…いえいえ、ちょっと会わないうちにものすごく大人びた雰囲気になっています。
相変わらず私には信頼した無邪気な笑顔を見せてくれるのはありがたいです。
ただ、以前は私の前だと『被っていた猫』を外して、本来の明るく活発で好奇心旺盛な年相応の女の子…みたいな空気を出していたのですが、今は年齢以上に落ち着いて、なおかつ目力が非常に強くなっているような感じです。
確かに洋平おじさんと話し合った『望海ちゃん=異世界勇者』説は信憑性がさらに高まりました。
そして、いよいよ『皆様』が家に入ってきます。
まずは瀬利亜さん。
以前お会いした時も私より年上の女性じゃないかというくらい大人びた感じでしたが、今日も学校のブレザーを着ておられて、以前以上に落ち着いた『凛とした美しさ』を醸し出されています。
完全に宝塚の男役がぴったりはまります。
『起業をされた若手の熱血女社長』みたいな雰囲気だと洋平おじさんがおっしゃっておられたのもうなずけます。
正体は『救国の姫』である可能性が一番高いのではないかと二人では暫定的に結論を出しました。
続いて担任の錦織先生が入ってこられました。
明るく優しい雰囲気のイケメンさんです。
瀬利亜さんの旦那様でもおありなのだそうです。
姫様の旦那ということは王国の重鎮なのでしょうか?
意表をついて宮廷魔法使いかもしれません。
副担任のアルテア先生です。
信じられないくらいの美女です!ゆるふわです。
巨乳です!!
正体が全く想像もつきません。
最後に小早川理事長が入ってこられました。
超絶イケメンです!!!一つ一つのしぐさがものすごく様になっています!!
歯がきらっと光りました!
もっと念入りにお化粧をしておくべきでした!!
「それでは、時間の都合もありますので、『正式な自己紹介』から始めたいと思います。」
おっと、いきなり瀬利亜さんが話し始めます。
やはり姫様なのですね?!!
私と叔父様、叔母様がかたずをのんで見守る中、私たちの様子に望海ちゃんがかなり首をかしげてましたが、もう、気にせずに三人とも瀬利亜さんに注目します。
「私はA級モンスターバスター石川瀬利亜です。こちらが名刺です。」
瀬利亜さんの『予想の斜め上の答え』に固まりながら私たちは何とか名刺を手に取ります。
「瀬利亜さんが『望海ちゃんにはいつも本当に助けられています。ありがとうございす。』とおっしゃっていただいているんだ」という叔父様のセリフがここに来て非常に気になります。
あのう、A級モンスターバスター…モンスターバスターと言えば、私、『シードラゴンマスク様』しか、知らないのですが……お願いしたらサインをもらってきていただけたりしないのでしょうか…。
「私もA級モンスターバスターで、リディア・アルテア・サティスフィールドです♪」
初対面のはずなのに、どこかで会ったことがあるような気がするのはどうしてなのでしょうか…。
もしかしてテレビで会ったことがあるとか…。
「わてもB級…いや、それ言いだしたら長ごうなるから、省いてまうわ。
サイバーヒーロー、電脳マジシャンや!」
ええええええっ??!!!いつの間にか着替えてしまわれているんですが?!!!
…電脳マジシャンと言えば、先日の『スーパーヒーローオリンピック』に出場していた日本のスーパーヒーローじゃないですか?!!!
たしか、望海ちゃんと一緒に録画した試合を一緒に観戦したよね…。
小早川理事長もいつの間にか豪華なヒーローぽいスーツに着替えておられます。
「あくまでも華麗に!そして、軽やかに!キャプテンゴージャス、ただいま推参!!」
……先日のスーパーヒーローオリンピックで解説をされてましたよね…。
あ…叔父様、叔母様が完全に魂が抜けた表情になられてます。
うん、『進路相談の相手』がスーパーヒーローだったら…こんな反応になっても仕方ないですね…。
「というわけで、もう少しぶっちゃけます。私はモンスターバスターであると同時に、スーパーヒロイン、シードラゴンマスクでもあるのですが、望海ちゃんも『スーパーヒロイン・マジカルコンバットガール』として活躍していただいております。
それを踏まえて、今から進路相談を始めさせていただきたいと思います。」
叔父さん…予想通り、瀬利亜さんが救国の姫で、望海ちゃんが勇者でした。異世界召喚ではなかったですが…。
こんなん予想が付くわきゃねーだろ!!!!
「さて、まずは担任のわてからの話やねんけんど、望海はんは本人の希望があれば、世界中のどの大学や教育機関でも大丈夫…いうんは予め伝えさせていただいてる思うんやけど、よろしいでっか?」
…叔父様も叔母様も相変わらず固まったままです。
…というか、望海ちゃんがスーパーヒロインと判明した後、普通に進路の話をしてくれても、それどころじゃないんですが?!!
「錦織先生、落ち着いて!望海ちゃんの現状を詳しく話さないと、進路のことだけ言われてもご両親もお困りのことだと思うの。
だから、私がその辺を詳しく説明するわ。」
瀬利亜さんが助け船を出してくれます。うん、確かにもう少し詳しい状況を聞かないと進路どうこうの判断ができないよね。
…ところで、瀬利亜さんがシードラゴンマスク様…いまだに信じがたいのですが…。
「望海ちゃんは『スーパーヒロイン・マジカルコンバットガール』として、私の片腕以上とも言える活躍をしていただいているのですが、同時にA級モンスターバスターでもあり、将来を非常に嘱望されています。
現在モンスターバスター協会は『最高メンバー一二星』を中心に動いていますが、望海ちゃんは近いうちに必ずメンバー入りをし、世界平和に貢献してくれること間違いなしと、ほぼ全てのメンバーから太鼓判を押されてます。」
なるほど、現在世界最強のスーパーヒロインから望海ちゃんは『同じくらいすごいメンバー』になり、活躍すること間違いなしと断言されているわけですね…。
ええと…叔父様と叔母様の顔色が青を通り越して白くなっています…。
自分の頬を抓ってみますが、ちゃんと痛いです。残念ながら夢ではないようです。
「そこで、望海ちゃんご本人の希望なのですが、現時点ではA級モンスターバスター、スーパーヒロインととして活動しつつ、将来的にはモンスターバスター、スーパーヒロインとしてさらに世界平和に貢献し続ける活動を拡大し続ける…そういう風に伺っております。
皆様、ご異存はおありではないでしょうか?」
…そうですか…望海ちゃんはすでに救国の姫と共に救国の勇者として大活躍しつつ、さらに活動の場を広げたいと希望されているわけですね…素晴らしいことです。素晴らしいことですが……私と叔父様、叔母様の頭が現実に付いていけていないようです。
あ、叔父様、叔母様が何とか首を縦に振られています。
「実は来春からは『私立風流院大学』を立ち上げるのですが、そこの異文化交流学部、実体は『モンスターバスター学部』が立ち上がるのです。
まずはそこに入っていただくとともにモンスターバスター、スーパーヒロインとしての活動も並行していただく…という進路を提案させていただきます。」
「…ええと、望海ちゃんがモンスターバスター、スーパーヒロインとして活動されるのに風流院大学に進学されるのが都合がいいとおっしゃるのですか?」
ようやく気を取り直した私はなんとか、質問を返すことができた。
「いいえ。進学ではなくて、望海ちゃんを『講師として招聘』させていただくのです。それは、こちらの瀬利亜ちゃんと錦織先生もです♪」
ニコニコされながらアルテア先生が説明してくださった。…はい?!高校卒業後、すぐに講師なんですか?!!!
「すみません!その話、私も初めて聞くんですが?!高校だけ卒業して、いきなり講師はむりなのでは?」
望海ちゃんが少し焦って口を開いた。
「あらあ、大丈夫よ♪最初の年は異文化交流学部だけだから♪
一年で講師として慣れてもらえば、二年目以降は全然問題ないと思うわ。」
アルテア先生が軽い調子で返す。
「ほら、『校長先生』も大小判を押されているから、望海ちゃん、大丈夫だよ♪」
小早川理事長が歯を光らせながら説明してくれる…。校長先生?アルテア先生が??
「え?アルさん、校長引き受けたんだ。」
「だって、モンスターバスター協会の会長が『他の人が校長だったらみんなが納得しない』からと言って私に校長をおしつけるんだよ。」
瀬利亜さんの質問にアルテア先生がすねたように返事をする。
「…あのう、アルテア先生は何者ですか?」
私は瀬利亜さんに恐る恐る聞いてみる。
「ええと、先日のスーパーヒーローオリンピックはご覧になられましたよね?
その時には『リリカル・アルテア選手』として出場されてました。
モンスターバスター一二星の一人で、世界最高の魔法使い、『大魔女リディア』です。
そうそう、望海ちゃんはアルテア先生から個人的に『魔法の講義』を受け続ける予定ですので、いざとなったら『大魔女の代役』が務まるくらいには魔法技術を身に付けていただくことを周りが期待してますし、ご本人の了解も頂いてます。」
……望海ちゃんは救国の勇者なだけでなく、『魔法少女』でもあったようです。
あ!!叔父様叔母様が卒倒された!!
叔父様、叔母様にベッドに入ってもらい、みんなでダイニングに戻った時瀬利亜さんが口を開いた。
「望海ちゃんのことは望海ちゃんの意志を大事にしてもらいつつ、ご家族で話し合っていただくということでいいのではないでしょうか?
ところで、小百合さん。望海ちゃんから聞いているのですが、サバゲーに望海ちゃんを誘われたのはあなたですね。
そんな『日常を離れた世界にあこがれを持たれている』小百合さんに朗報です。
私の正義の直観が正しければ、あなたには『スーパーヒロイン』として活躍されるに十分な才能があると感じます。
どうですか、一緒に『熱く燃え盛る正義の心』を燃やした、スーパーヒロインとしての道を考えてはみられませんか?」
最高に輝く笑顔で私の両手を握られた瀬利亜さんの言葉に私はついついそのままうなずきそうになり……待って!!!ちょっと待ってください!!!
普通の女子大生にいきなり何をおっしゃっておられるんですか!!!
「はーい♪迷っておられる、小百合さんに朗報です。
『今日の大魔女占い』では、小百合さんの適性はSSS判定が出ています♪
ラッキーカラーはオレンジ。ラッキーナンバーは五。
水回りをきれいにしておくと幸運がアップします。」
アルテア先生がニコニコして占われると、望海ちゃん、錦織先生、小早川理事長も期待するような視線で私を見つめだした。
「待ってください!!いきなり言われても困ります!少し考えさせてください!!」
こうして、私は瀬利亜さん、アルテア先生とメアド交換をし、その場を後にした。
結局、望海ちゃんは風流院大学講師への道が確定しました。
叔父さん、叔母さんともに勇者もスーパーヒロインも同じようなものだと、開き直られたようです。
まあ、お二人ともシードラゴンマスク様の大ファンだったから、瀬利亜さんの説得であっという間に陥落したのですが…。
え?私ですか?
アルテア先生からSDシードラゴンマスクのぬいぐるみ大・中・小の三点セット会話機能付きと、リアルタイプシードラゴンマスクフィギュアを提示されて、あっさり陥落したことをお伝えしておきます。
完
瀬利亜さんたちが一〇時前に来られるので、朝からみんなで大掃除をして家じゅうをピカピカに磨き上げます。
やや不安げにしていた両親、特に父がなんだか機嫌がいいのですが、なにかあったのでしょうか?
とか考えているうちに、小百合さんが来てくれました。
ん?小百合さんも父同様少し様子が変です。
すごく不安で、同時になにか大きな期待があるような…。
まあ、進路相談の時間になればわかるでしょう。
~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~
不安と期待が半々くらいの気持ちで望海ちゃんの家に到着しました。
望海ちゃんは普段とあまり変わらない落ち着いた雰囲気で…いえいえ、ちょっと会わないうちにものすごく大人びた雰囲気になっています。
相変わらず私には信頼した無邪気な笑顔を見せてくれるのはありがたいです。
ただ、以前は私の前だと『被っていた猫』を外して、本来の明るく活発で好奇心旺盛な年相応の女の子…みたいな空気を出していたのですが、今は年齢以上に落ち着いて、なおかつ目力が非常に強くなっているような感じです。
確かに洋平おじさんと話し合った『望海ちゃん=異世界勇者』説は信憑性がさらに高まりました。
そして、いよいよ『皆様』が家に入ってきます。
まずは瀬利亜さん。
以前お会いした時も私より年上の女性じゃないかというくらい大人びた感じでしたが、今日も学校のブレザーを着ておられて、以前以上に落ち着いた『凛とした美しさ』を醸し出されています。
完全に宝塚の男役がぴったりはまります。
『起業をされた若手の熱血女社長』みたいな雰囲気だと洋平おじさんがおっしゃっておられたのもうなずけます。
正体は『救国の姫』である可能性が一番高いのではないかと二人では暫定的に結論を出しました。
続いて担任の錦織先生が入ってこられました。
明るく優しい雰囲気のイケメンさんです。
瀬利亜さんの旦那様でもおありなのだそうです。
姫様の旦那ということは王国の重鎮なのでしょうか?
意表をついて宮廷魔法使いかもしれません。
副担任のアルテア先生です。
信じられないくらいの美女です!ゆるふわです。
巨乳です!!
正体が全く想像もつきません。
最後に小早川理事長が入ってこられました。
超絶イケメンです!!!一つ一つのしぐさがものすごく様になっています!!
歯がきらっと光りました!
もっと念入りにお化粧をしておくべきでした!!
「それでは、時間の都合もありますので、『正式な自己紹介』から始めたいと思います。」
おっと、いきなり瀬利亜さんが話し始めます。
やはり姫様なのですね?!!
私と叔父様、叔母様がかたずをのんで見守る中、私たちの様子に望海ちゃんがかなり首をかしげてましたが、もう、気にせずに三人とも瀬利亜さんに注目します。
「私はA級モンスターバスター石川瀬利亜です。こちらが名刺です。」
瀬利亜さんの『予想の斜め上の答え』に固まりながら私たちは何とか名刺を手に取ります。
「瀬利亜さんが『望海ちゃんにはいつも本当に助けられています。ありがとうございす。』とおっしゃっていただいているんだ」という叔父様のセリフがここに来て非常に気になります。
あのう、A級モンスターバスター…モンスターバスターと言えば、私、『シードラゴンマスク様』しか、知らないのですが……お願いしたらサインをもらってきていただけたりしないのでしょうか…。
「私もA級モンスターバスターで、リディア・アルテア・サティスフィールドです♪」
初対面のはずなのに、どこかで会ったことがあるような気がするのはどうしてなのでしょうか…。
もしかしてテレビで会ったことがあるとか…。
「わてもB級…いや、それ言いだしたら長ごうなるから、省いてまうわ。
サイバーヒーロー、電脳マジシャンや!」
ええええええっ??!!!いつの間にか着替えてしまわれているんですが?!!!
…電脳マジシャンと言えば、先日の『スーパーヒーローオリンピック』に出場していた日本のスーパーヒーローじゃないですか?!!!
たしか、望海ちゃんと一緒に録画した試合を一緒に観戦したよね…。
小早川理事長もいつの間にか豪華なヒーローぽいスーツに着替えておられます。
「あくまでも華麗に!そして、軽やかに!キャプテンゴージャス、ただいま推参!!」
……先日のスーパーヒーローオリンピックで解説をされてましたよね…。
あ…叔父様、叔母様が完全に魂が抜けた表情になられてます。
うん、『進路相談の相手』がスーパーヒーローだったら…こんな反応になっても仕方ないですね…。
「というわけで、もう少しぶっちゃけます。私はモンスターバスターであると同時に、スーパーヒロイン、シードラゴンマスクでもあるのですが、望海ちゃんも『スーパーヒロイン・マジカルコンバットガール』として活躍していただいております。
それを踏まえて、今から進路相談を始めさせていただきたいと思います。」
叔父さん…予想通り、瀬利亜さんが救国の姫で、望海ちゃんが勇者でした。異世界召喚ではなかったですが…。
こんなん予想が付くわきゃねーだろ!!!!
「さて、まずは担任のわてからの話やねんけんど、望海はんは本人の希望があれば、世界中のどの大学や教育機関でも大丈夫…いうんは予め伝えさせていただいてる思うんやけど、よろしいでっか?」
…叔父様も叔母様も相変わらず固まったままです。
…というか、望海ちゃんがスーパーヒロインと判明した後、普通に進路の話をしてくれても、それどころじゃないんですが?!!
「錦織先生、落ち着いて!望海ちゃんの現状を詳しく話さないと、進路のことだけ言われてもご両親もお困りのことだと思うの。
だから、私がその辺を詳しく説明するわ。」
瀬利亜さんが助け船を出してくれます。うん、確かにもう少し詳しい状況を聞かないと進路どうこうの判断ができないよね。
…ところで、瀬利亜さんがシードラゴンマスク様…いまだに信じがたいのですが…。
「望海ちゃんは『スーパーヒロイン・マジカルコンバットガール』として、私の片腕以上とも言える活躍をしていただいているのですが、同時にA級モンスターバスターでもあり、将来を非常に嘱望されています。
現在モンスターバスター協会は『最高メンバー一二星』を中心に動いていますが、望海ちゃんは近いうちに必ずメンバー入りをし、世界平和に貢献してくれること間違いなしと、ほぼ全てのメンバーから太鼓判を押されてます。」
なるほど、現在世界最強のスーパーヒロインから望海ちゃんは『同じくらいすごいメンバー』になり、活躍すること間違いなしと断言されているわけですね…。
ええと…叔父様と叔母様の顔色が青を通り越して白くなっています…。
自分の頬を抓ってみますが、ちゃんと痛いです。残念ながら夢ではないようです。
「そこで、望海ちゃんご本人の希望なのですが、現時点ではA級モンスターバスター、スーパーヒロインととして活動しつつ、将来的にはモンスターバスター、スーパーヒロインとしてさらに世界平和に貢献し続ける活動を拡大し続ける…そういう風に伺っております。
皆様、ご異存はおありではないでしょうか?」
…そうですか…望海ちゃんはすでに救国の姫と共に救国の勇者として大活躍しつつ、さらに活動の場を広げたいと希望されているわけですね…素晴らしいことです。素晴らしいことですが……私と叔父様、叔母様の頭が現実に付いていけていないようです。
あ、叔父様、叔母様が何とか首を縦に振られています。
「実は来春からは『私立風流院大学』を立ち上げるのですが、そこの異文化交流学部、実体は『モンスターバスター学部』が立ち上がるのです。
まずはそこに入っていただくとともにモンスターバスター、スーパーヒロインとしての活動も並行していただく…という進路を提案させていただきます。」
「…ええと、望海ちゃんがモンスターバスター、スーパーヒロインとして活動されるのに風流院大学に進学されるのが都合がいいとおっしゃるのですか?」
ようやく気を取り直した私はなんとか、質問を返すことができた。
「いいえ。進学ではなくて、望海ちゃんを『講師として招聘』させていただくのです。それは、こちらの瀬利亜ちゃんと錦織先生もです♪」
ニコニコされながらアルテア先生が説明してくださった。…はい?!高校卒業後、すぐに講師なんですか?!!!
「すみません!その話、私も初めて聞くんですが?!高校だけ卒業して、いきなり講師はむりなのでは?」
望海ちゃんが少し焦って口を開いた。
「あらあ、大丈夫よ♪最初の年は異文化交流学部だけだから♪
一年で講師として慣れてもらえば、二年目以降は全然問題ないと思うわ。」
アルテア先生が軽い調子で返す。
「ほら、『校長先生』も大小判を押されているから、望海ちゃん、大丈夫だよ♪」
小早川理事長が歯を光らせながら説明してくれる…。校長先生?アルテア先生が??
「え?アルさん、校長引き受けたんだ。」
「だって、モンスターバスター協会の会長が『他の人が校長だったらみんなが納得しない』からと言って私に校長をおしつけるんだよ。」
瀬利亜さんの質問にアルテア先生がすねたように返事をする。
「…あのう、アルテア先生は何者ですか?」
私は瀬利亜さんに恐る恐る聞いてみる。
「ええと、先日のスーパーヒーローオリンピックはご覧になられましたよね?
その時には『リリカル・アルテア選手』として出場されてました。
モンスターバスター一二星の一人で、世界最高の魔法使い、『大魔女リディア』です。
そうそう、望海ちゃんはアルテア先生から個人的に『魔法の講義』を受け続ける予定ですので、いざとなったら『大魔女の代役』が務まるくらいには魔法技術を身に付けていただくことを周りが期待してますし、ご本人の了解も頂いてます。」
……望海ちゃんは救国の勇者なだけでなく、『魔法少女』でもあったようです。
あ!!叔父様叔母様が卒倒された!!
叔父様、叔母様にベッドに入ってもらい、みんなでダイニングに戻った時瀬利亜さんが口を開いた。
「望海ちゃんのことは望海ちゃんの意志を大事にしてもらいつつ、ご家族で話し合っていただくということでいいのではないでしょうか?
ところで、小百合さん。望海ちゃんから聞いているのですが、サバゲーに望海ちゃんを誘われたのはあなたですね。
そんな『日常を離れた世界にあこがれを持たれている』小百合さんに朗報です。
私の正義の直観が正しければ、あなたには『スーパーヒロイン』として活躍されるに十分な才能があると感じます。
どうですか、一緒に『熱く燃え盛る正義の心』を燃やした、スーパーヒロインとしての道を考えてはみられませんか?」
最高に輝く笑顔で私の両手を握られた瀬利亜さんの言葉に私はついついそのままうなずきそうになり……待って!!!ちょっと待ってください!!!
普通の女子大生にいきなり何をおっしゃっておられるんですか!!!
「はーい♪迷っておられる、小百合さんに朗報です。
『今日の大魔女占い』では、小百合さんの適性はSSS判定が出ています♪
ラッキーカラーはオレンジ。ラッキーナンバーは五。
水回りをきれいにしておくと幸運がアップします。」
アルテア先生がニコニコして占われると、望海ちゃん、錦織先生、小早川理事長も期待するような視線で私を見つめだした。
「待ってください!!いきなり言われても困ります!少し考えさせてください!!」
こうして、私は瀬利亜さん、アルテア先生とメアド交換をし、その場を後にした。
結局、望海ちゃんは風流院大学講師への道が確定しました。
叔父さん、叔母さんともに勇者もスーパーヒロインも同じようなものだと、開き直られたようです。
まあ、お二人ともシードラゴンマスク様の大ファンだったから、瀬利亜さんの説得であっという間に陥落したのですが…。
え?私ですか?
アルテア先生からSDシードラゴンマスクのぬいぐるみ大・中・小の三点セット会話機能付きと、リアルタイプシードラゴンマスクフィギュアを提示されて、あっさり陥落したことをお伝えしておきます。
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ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
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勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
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勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
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僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
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