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 4 異世界召喚勇者でチートでハーレムで魔王を倒す予定のモンスターバスター その3

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 私たちは負傷していた騎士たちに治癒の魔法を掛けて何とか回復させた後、急いで城に引き返した。

 魔王軍の竜人の工作員(種々の魔法を使い、戦闘力もすごい、トップクラスの工作員だったらしい)に『お話を伺った』ところ、なんと王様、宰相と魔王はグルで、今回も『戦力的に未知数の私』と勇者一行、特にアリス姫とサーヤさんを引き離すため、私抜きで一行を『先に討伐の旅』に出征させたのだそうだ。
 そもそも今回の魔王軍の遠征は両国首脳の合作で、双方とも『相手国が攻めてきた!』と国民に周知して戦争を始め、『近隣各国から多大な支援』をただでせしめていたそうだ。

 で、今回サーヤさんが『私が戦争を止める』と公言したせいで、何としてでも私を亡き者にしようとして、城内の武器庫で一人にした上で『最強の工作員で暗殺』を目論んだのだそうだ。
 政治的価値のあるアリス姫とサーヤさんはいったん魔王軍の捕虜になったもらった後、適当に脱出させて、再び、戦争を煽るために活用する…そんな予定だったようです。

 え、プロの工作員がよくそんなに簡単に情報を吐いてくれたな?ですか?

『左ストレート』で壁にめり込ませてあげた後、持っておられた頑丈そうな魔法の剣をちょっとくねくね丸めるのを見せてあげたら、簡単に全部お話してくれましたよ♪
 その話をしたら、アリス姫もサーヤさん、そしてとくにミーシャさんが真っ青な顔をされていたような気がするのは…さすがに気のせいではないですよね。

 それとは別件で、ミーシャさんが『戦争自体がインチキだったのか…。まさか、父上が私を裏切るとは…。』と愕然とされてました。なるほど、ミーシャちゃんは魔王の娘だったのだね。
 アリス姫を裏切っていた国王もだけど、国のため(でもないけど)とはいえ、娘を簡単に裏切って、道具として使おうというふてえ『父親失格連中』には少しお仕置きをしてあげる必要がありそうです。

 騎士さん達には自力で城に戻ってもらうことにして、サーヤさんの魔法も活用して4人で城に戻ったのですが、玉座には『探さないで下さい』と書いた紙が残っていて、国王も宰相ももぬけの殻でした。

 詳しい状況を聞くと、国王と宰相は『城の武器庫に怪物が出現し、壁にめり込んでいる』と聞くとものすごく慌てて宮廷魔術師ともども現場に向かったそうです。
 そして、『真相究明のために行くところがある』とコメントされた後、国王、宰相、宮廷魔術師、その他何人かの側近や親衛隊ともどもどこかに行かれたきりなのだそうです。
 逃げていた会長やチャラ男君も同行したようです。
 それを聞いて急いで武器庫に駆けつけると…めり込んでいた竜人もいなくなってます。
 全員まとめてパックれやがったようです!!

 「これからどうされますか?」
 アリス姫の不安そうな問いに私はにっこりと笑って伝えます。
 「ちょっと魔王城まで行きますか。魔王様といろいろと『お話』する必要がありそうですし。うまくいけば、そこで『思いもかけない方たち』ともお会いできそうですよね♪」
 笑顔で伝えたつもりでしたが、内面の怒りを抑えきれていなかったようです。
 アリス姫もサーヤさん、ミーシャさんがやはり青い顔でこちらを見ています。

 そして、負傷していた騎士たちが戻ってきましたので、われわれがあらためて魔王を『物理的に説得』するために旅に出ることを伝えると、難色を示されました。
 「我々を痛めつけた『魔王軍幹部』と一緒に行動されるのか?」と。

 「こちらでは戦闘で得た捕虜は実質的な『司令官が自由にしていい』ということですよね。魔王城への旅に『彼女が必要』ですので、その判断を下しました。」
 というと、何とか納得してくれたようです。
 ただ、アリス姫とサーヤさん、ミーシャさんが私を見る視線が納得はしたものの、微妙な色彩をおびています。
 いえいえ、この世界での常識はともかく、私個人、そしてモンスターバスターの常識ではもちろん一般的な捕虜に対して『非人道的な扱い』は絶対にしませんよ。
 それに『彼女たち三人は実際には私に対する依頼者』の立場です。
 アリス姫、サーヤさんはもちろん、ミーシャさんも丁重に扱わせていただきますから。

 一旦城を出て、どういうルートで魔王城に行くかとか、『捕虜に対する懸念』の話をするために、私が口を開く。

 「あのう、さっき言った『捕虜に関する』話なんだけど…。」
 「わかっている。降伏した時から『覚悟』はできている!」
 「ちょっと待って!覚悟てなに?ミーシャさん、あなたは…。」
 「大丈夫です、私も覚悟はできています。」
 「アリス姫同様私も覚悟を決めました!」
 待てい!!アリス姫とサーヤさんも何の覚悟だ!!!それに三人ともなんで顔を赤らめてもじもじしているのだ!!!

 「初めてだけど…お前さんになら…。」
 「それ絶対に勘違いしているから!!!」
 ミーシャさん!色っぽい顔で何を口走っているのだ!!!

 はい、誤解を解くために丁寧にお話しました。
 私たちの世界では『捕虜を人道的に大切に扱う』こと、そもそも私たちの関係は『依頼者と請負人』であって、対等の関係であること。
 そして、さらに『そういう行為』は本当に愛するものとすべきだというのが個人的な信条であることなどを熱く語りました。

 えーと、ミーシャさん。なんで『残念そう』なんですか?!
 「そうですよね…。本当に『愛する人とする』ことが大切ですよね。」
 アリス姫!なんで私を熱っぽい視線で見るのですか!?
 私は『素敵な男性とそういう行動』を取りたいのですよ!
 え?それだけ素敵なのに『年齢=彼氏いない歴』なのは『そっちの趣味』だからではなかったのか…ですって?
 結果的に『黒歴史を突かれる』のは勘弁してください!!

 …幼馴染の友人ともよく話をするのですが、『瀬利亜はんは好みの男性の年齢層が高いからね…』が最大の原因のようです。
 何しろ初恋の人が武術の師匠で、二七歳年上ですから!しかも奥様まで居られるので、当然すぐに初恋は破れました。
 奥様は凛々しい系の若々しいめっちゃきれいな人で、子供さんもおられないこともあり、今でもラブラブです。
 奥様は師範代でもおありなので、昼間は一緒に稽古をされることもよくあります。
 そして、夜は二人で寝技を…あわわわわ!!話が逸れました。

 その後も私は失恋を連発し、まあ。思春期の女子がほぼ『一〇歳年上の男性』に思いを打ち明けて成就させるのは至難の業ですよね。というか、成立したら『ロリコン』だよね…。
 八回ほど『玉砕』してきましたが、現在の『片思い?』の相手以外は全て『ダンディー系』で、女の子の友人に話をすると必ず『どうしてそんな変な趣味なの?』と不思議がられます。
 現在の『片思い相手?』は珍しくイケメン系ですが、六歳年上の幼馴染で『内面もイケメン』という希少な存在かもしれません。…またまた話が逸れました。

 とりあえず、三人とも何とか納得してくれたようです。よかった、よかった。


~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~


 重大な問題が発覚しました。三人とも『家事技能皆無』でした。
 アリス姫とミーシャさんは『国王の娘』ですから、家事技能が必要ないのですよね。
 そして、サーヤさんは木の実とか果物とか、保存食を食べていればいい。 あとは研究一直線…というお話のようです。旅に出た時はどうかを聞いたら、一人旅の上、基本小食で、魔法を使って木の実などを得ることは簡単なようで、それで全く問題がなかったそうです。

 ということで、必然的に材料調達から調理・洗濯まで全て私の出番です。モンスターバスター必携アイテムに『魔法と科学の融合による空間制御技術』を活用した『◎次元ポケッ◎』みたいな便利グッズもあるので、最低限の食料はあります。
 でも、それでは味気ないので、ちょっと狩りをしたり、魚を取ったり、したものとサーヤさんが収穫してくれた木の実、果物も活用すると、食卓がすごく豪華になってくれます。
 モンスターバスター協会では必要に応じて『サバイバル訓練』も行ってくれるのです。
 教官から「お前さんならジャングルで死ぬまで快適に生活できるだろう」とお墨付きまで頂きました。

 キノコとイノシシの鍋、山菜の天ぷら、焼き魚、携帯ご飯などをみんなで頂きながらミーシャさんから魔王領や魔王城の話をいろいろ引き出します。

 まず、魔族ですが、悪魔とかとは全然関係なくて、人間と比べて『魔力適性が高い人型の種族』の連合体なのだそうです。ミーシャさんとの最初の遭遇時にそのことは予想してました。
 そして、血族主義であると同時に人間以上に『実力主義』、特に『魔力の強さ』が重視されるそうです。
 現在の魔王、ミーシャさんの父親ですが、個人戦闘力も高いそうですが、かなりのやり手でもあるそうです。策を弄すところがあるので、直情系のミーシャさんとしては『イマイチ合わない』と思っていたそうです。
 ただ、今回の件から予想以上に黒いことが判明し、ものすごく失望されてました。
 戦闘力は現在魔王城を守っているミーシャさん作成の最強ゴーレムとほぼ同じくらいなのだそうです。
 ミーシャさんは直接戦闘よりも『操作系』なので、もし、魔王と戦うなら、直接対決では勝負にならず、自作のゴーレムをフル活用すれば六割がた勝てるのでは…と言ってます。
 ちなみに現在の皇太子は今の魔王よりかなり弱く、同じく腹黒系の兄なのだそうです。
 腹黒同士仲がいい…というか、私の感覚だとお互いに利用し合っている…感じです。
 王様と皇太子さまとまとめて『物理的説得』が必要かもしれません。

 ちなみに私が鑑定したミーシャさんは以下のようになります。

ミーシャ・アウル・ダレス 女  魔人族 37歳

レベル 相当キテます。
HP  かなりのものです。 
MP  魔王になっても大丈夫!!

攻撃力: あなどれません。
防御力: 実はかなりのものです。
素早さ: 速いぜ!
知力:  知識も知恵も充分高い割にはなぜか『脳筋』。
精神力: 非常に打たれ強いです。でも、ちょっとMっ気が…。

闇魔術 かなりスゴイ!
ゴーレム作成・操作術 匠の技が炸裂します!

【称号】
『ゴーレムマスター』 『魔グリフォン国第一王女』『魔王候補の一人』
【特記事項】
見た目はロリ系だけど、種族特性もあり、案外年喰ってます。


 そして、三日の旅を経て、ついに冒頭のシーンにたどり着きました。
 魔王を倒す(物理的説得)勇者(暫定)一行のリーダーとして魔王城の眼前に来ております。

 「どうされます?正面から行かれても瀬利亜さんなら突破できそうですが。」
 ミーシャさんの問いに私は首を振る。
 「黒幕の悪事を暴くときには『様式美』があるの。今からの手筈をとくとご覧あれ!」
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